――キーン コーン カーン コーン ……
4時限目終了を告げるチャイムの音を耳にして、神楽が僅かに眉をしかめた。胸を大きく上下させて息をしながら
乾いた舌を何とか動かして自分の上にのしかかっている男に声をかける。
「……ちょ……昼休み終わっちゃったヨ……止めるアル」
「何言ってんでィ、これからが本番じゃねえか」
セーラー服の下で神楽の胸を弄ぶ手を止めずに、沖田がしれっと答えた。下着のホックを器用に外して未成熟なささやかな膨らみを
直接揉み解し、先端の尖りを指で擦り上げる。びくんと体を震わせて熱い吐息を漏らす神楽の耳元でくっくっと低く笑った。
「いい反応だねィ……アンタだって満更でもねえんだろ?」
そう言ってやれば、馬鹿じゃネーノ、と掠れた声が返ってきた。
「せっかく――昼寝しに、屋上まで、んっ、きたのに……っ、お前のせいで、台無しアル……っぁ」
「問題ねェなァ、ちゃんと『寝て』やらァ」
意地悪く囁きながら手をスカートの中に潜らせて真っ白な太股を撫で上げれば、お前マジ馬鹿ダロ、と睨まれた。
「そっちの『寝る』じゃ、ネーヨ……っ、このサドっ――っん、死ネ……っぅあ!」
男女の秘め事の最中とは思えない毒舌を聞き流しながら、何の前触れもなく下着の中に指を滑り込ませて
直接秘所に触れる。高い喘ぎ声と共にびくんと大きく体を跳ねさせる神楽の顔を面白そうに覗きこんだ。
「あーあーあー、何でィこりゃ。やらしいなァチャイナ娘は」
アンタのここ、大変なことになってますぜィ?そう言いながらわざと音を立てて指を動かしてやると
くちゅくちゅという水音に合わせて少女の体が震え、いやいやをするように首を振る。
「やっ、やァっ、やめロヨっ……ぁっ……」
「……ホント素直じゃねえなァ、アンタ」
瓶底と表現される分厚い眼鏡をひょいと外せば快楽に潤んだ瞳があって、沖田の中に湧き上がるぞくぞくとした嗜虐心。
「『嫌よ嫌よも好きのうち』、ってやつですかィ?」
「なっ……に、言って、イヤは、イヤアル……っ、あっ、ふぁんっ!」
ぬるり、と潜り込んだ指の感覚に神楽の体が仰け反った。ぐちゅぐちゅと音を立てる無遠慮な指の動きに合わせて悶える
少女の顔をにやにやと見ていると、とろんとした目を無理に吊り上げてきっとこちらを睨み付けてくる。
「――っの、エロガキっ……その顔、ムカツク……っんぁっ」
そいつァ悪かった、と笑いながら言って口付けてやる。舌を差し入れて口内を蹂躙し、神楽のそれと絡ませて吸い上げる。
ぴちゃぴちゃとわざと音を立てれば、上下から絶え間なく響いてくる水音に煽られていつの間にか神楽の腰が僅かに動いていた。
「――ほォら、素直におねだりの1つでもやってみろィ」
「……誰がっ――ぁ、するか……ヨ、はぁっ、死ネ、っ」
「可愛くねェ……ま、そういうところもそそられるけどねィ」
「――ドSヤロー……っ、あ!ヤっ!あぁっ!」
中をかき混ぜる指を2本に増やす。親指でぷっくりと膨らんだ陰核を刺激してやりながら
セーラー服を捲くり上げて硬く勃ち上がった乳首に吸い付いた。嬌声をあげて面白いくらいに体を跳ねさせる神楽。
「授業中なんだから少しは声抑えたらどうでィ。淫乱チャイナ」
「――っぁ、っく――う、ルセ――っひゃ、」
ずるり、と引き抜かれる指の感覚に神楽の声が裏返った。力のろくに入らない両足からするすると下着を取り払ってしまうと
間に自分の体を割り込ませる。手馴れた様子で片手でベルトを緩めて大きく反り返った自身を解放して
ひくひくと震える入り口に先端を擦りつけた。
「……挿れやすぜィ」
細い腰を押さえつけると、ぐっと一気に腰を押し進めて貫いた。
「ぁ、やっ、ぁあァっ――!」
神楽の体が弓なりに大きく反る。覆いかぶさるようにその体を抱き締めて、遠慮なく突き上げる。
「あっ、あァっ、あっ、やっ、」
「――っ、声、抑えろっ――誰か来たらアンタだって困んだろィ、っ」
「やァっ、はっ、激し、ンだヨっ、んぁっ、」
喘ぎながらも必死に沖田の体に縋り付いて非難の声をあげる神楽。背中に回された手が自分のシャツを握り締めるのを感じて
自然と笑みが浮かぶ。それを誤魔化すように、はっ、とわざと馬鹿にしたような声を出した。
「んなこと言いながら、喜んで締め付けてきやがって……痛って」
ばし、と背中を叩かれて顔をしかめる。お返しとばかりに真っ赤になった耳たぶに噛み付くと
ひぁ、という快楽とも苦痛ともとれる声があがった。
「ちょ、やっ、やぁー……ァっ、あァっ……」
蕩けた目から溢れた涙を舌で舐めとると、一層激しく突き入れた。神楽の引き締まった真っ白な太股が
ぶるぶると震え、手が沖田のシャツを引きちぎらんばかりにがむしゃらに掴む。
「や、やぁーっ、もっ、やぁヨ……イヤァっ――」
「……イヤじゃ、ねェだろ……、ホンット、可愛くねェ……っ」
神楽の唇に自分のそれを重ねれば今度は彼女の方から夢中で舌を求めてきた。拙いながらも必死で沖田を求める動きに
応えてやる。くぐもった喘ぎ声と、荒い呼吸音。
「――っふ、ぁ、やぁ、も、イっ――!!」
がくがくと神楽の体が震えた。抱き締めた体が折れそうなほどにしなり、きつく瞑られた目からぽろぽろと涙が零れ落ちる。
同時に彼女の中がぞわぞわと沖田の欲望に絡みつき、締め上げる。
「―――――っ!!」
沖田の腰をぞくぞくと快感が走り抜け、神楽の最奥まで突き入れたまま、自身を解放した。
「最っ悪アル!このドSが!今すぐ死んで詫びるヨロシ!!」
もろもろの後始末を終えるとすぐに殴りかかってきた神楽の右ストレートをひょいと避け、続いての左アッパーもかわして
何がでィ、と面倒くさそうに呟く。
「何がって全部ヨ、全部!スカートぐしゃぐしゃになったし、昼寝もできなかったし、教室に帰る時に購買で
ジュース買おうと思ってたのもパアアル!お前マジで1回殺されロォォォ!!」
怒りに任せた更なる攻撃が飛んでくる前に、沖田は素早く少し離れたところに置いてあった自身のカバンを指差す。
「ジュースなら買ってありやすぜィ」
「……マジでか」
「マジマジ」
しばらく睨み合う――というより、一方的に睨み付けてくる視線を受け流す2人。やがてふぃっと神楽が視線を反らすと
さっさと沖田のカバンに駆け寄って行く。
「……つーか、なぁ、チャイナ」
「何アルか」
ごそごそと無遠慮にカバンを引っ掻き回して500ミリのペットボトルを取り出す神楽の後姿を見つめながら呟く。
「そんなに毎日毎日俺にヤられんのが不満なら、毎日昼休みに屋上に来るの止めればいいんじゃねぇ?」
ぴたり、と神楽の動きが止まった。
「……俺ら、どーせだからもう付き合わねぇ?」
何でもないように呟いたこの言葉も、そう言えば昨日言ったなァ。そんな風に思いながら動かない神楽を見つめ続ける。
と、ふっと神楽が振り向いた。どこか赤く染まった顔で、挑むようにこちらを真っ直ぐに見据えて。
「――考えておいてやるアル」
それだけ言うと身を翻して屋上を出て行ってしまった少女に、ぽつりと呻く。
「……それも昨日、言われたんだけどなァ」
あ、間違えた。昨日どころじゃねェや。もう数日――下手したら数週間、同じこと言って同じこと言われてらァ。
まぁ、それでも毎日毎日律儀に屋上に来ること自体、可愛くないあの女なりの返事なのかも知れない。
それでも直接OKの返事が欲しいってんだから、我ながら間抜けだねィ。
そんなことを考えて自嘲気味の笑みを浮かべながら、アイマスクを装着してごろりと1人で寝転んだ。
――終――