「やめてっ!!」  
妙は九兵衛の抱擁を振り払おうとするが、その力は男のそれ以上だ。  
「妙ちゃん、嫌なの?」  
「も・・・、離して!」  
「僕は強くなった。君は約束を忘れたのかい?」  
押し黙る妙を見、九兵衛は満足げにする。  
そして二度目となる口づけをした。妙は拒まなかった。  
「ん・・・ふ・・・ぅ」  
経験のない九兵衛のキスは、ただ押しつけるように。妙は瞼を硬くする。  
するり着物の襟に手が入る。これには妙も慌ててのけ反った。  
「イヤッ」  
そんな抵抗も空しく簡単に着物がはだける。  
九兵衛は息を呑み、そのまま妙を畳に押し付けてしまった。  
きゃ、と妙が小さく悲鳴をあげる。色白い乳房が惜しげもなく晒された。  
「イヤ、九ちゃんいい加減に――」  
小さい手が妙の乳房を鷲づかむ。  
「痛っ」  
気にせず九兵衛は愛撫を続ける。  
少女にはどうすれば相手に好いかなんてわからない。  
ただ抑えられないものをぶつけていくしか方法を知らない。  
「ん・・・痛い・・・九・・・」  
「妙ちゃん、愛してる、妙ちゃん」  
九兵衛の手が下に落ちていく。  
腿を往復すると妙が身体を震わせた。  
「ここがいいんだね?」  
「違・・・あ・・・」  
慈しむように撫でる。妙の呼吸が熱を帯びていく。  
「ずっと夢見てた。こうするために僕は変わったんだよ」  
「・・・・・・」  
「聞いているの?」  
手ごたえがない。  
僕だけが舞い上がっているのか。その虚ろな双眸に自分は映されていないのか。  
「・・・違う、こんなの間違ってるわ」  
――許せない  
加速する九兵衛の動きに、妙の嬌声が続く。  
九兵衛の愛撫は、秘部にまで届いていた。  
「僕は君が必要で、君も僕が必要なんだ」  
「んうっ、ああっあ・・・!!」  
 
 
「間違ってるの・・・」  
「僕は妙ちゃんの言ってることがわからないよ」  
嗚咽を押し殺そうと努めるを妙を見て、九兵衛も泣きたくなった。  
「どうして泣くの」  
その肩をきつく抱きしめる。  
「ねえ、妙ちゃん」  
美しく添う二輪の花は、音を立てて夜の闇に消えた。  
 
 
(おわり)  
 

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