床に転がされてからどれくらいの時間が経っただろう。
脚を合わせた状態で縛られた太腿と足首のおかげで立ち上がることもできず、後ろ手に回された手首も同じく縛られている。
それよりもまた子を苦しめているのは、鈍い音を立て続けているからくりで動く張り型だ。
また子が呼ばれてこの部屋にやってきた時、男は窓辺で夕暮れ時の川面を眺めていた。
だが、すぐに呼び出されて出て行ってしまった。
男は、出て行く前にまた子に下だけ取り去るようにと命じた。
絶対的に自分を支配する男の命に何の戸惑いも見せずに、また子は下着を取り去った。
「そこにあるヤツを取れ」
指し示した箱の中にあったものを見て、また子は小さく「あっ」と叫んでしまった。
それは女が男の代用として使うものだということは知っている。
最近は天人のもたらした技術を使ってからくりを仕込んだものがあり、何もしなくても
勝手に動くものがあるというもの、以前にこの男に命じられて使ってみたので知っていた。だが今目の前にあるものはまた子から顔色を失わせるほど大きく、子供の腕ほども
あった。
「…しん…助様」
それを使えというのか、と恐怖の混じったまなざしで確認したまた子に、高杉は
試すように鋭い視線を返す。
また子はそれを箱ごと彼の元に持っていった。
高杉は手に取ると彼女の目の前でそれがいかにして動くのか見せる。
あまりにも忠実に男根を再現しているソレが鈍い機械音と共にくねるのを
また子は正視できなかった。
だ、ダメッス!そんなの・・・・。
開かされた脚の間に埋め込まれる時、恐怖のあまり決して口にしてはいけない言葉が口をついた。
入らない、という言葉は彼女の口から出てこなかった。代わりにほとばしったのは絶叫。
眼を最大限に見開き脚を突っ張らせる女にお構いナシに高杉はそれを奥まで埋め込んみ、飛び出した部分を縄で固定し、さらにまた子の脚に結びつけ、そのまま脚を閉じさせると太腿と足首を開かせないために縛り上げた。
そして、彼女が下半身を意のままに動かせなくなったのを確認すると、同じ箱に入っていたリモコンのスイッチを入れた。
「ひぃぃぃぃぃぃぃ!!!」
受け入れているだけでも苦しい大きさのモノがまた子の中でうごめき始めた。
普通ならばこれだけでも裂けてしまいかねないが、すでにある程度のことになれているおかげで傷つかずにすんでいた
ものの、苦しさには違いはない。
「取るんじゃねぇぞ」
高杉は、なんとか逃れようとするまた子の腕を後ろ手に回すと手枷をはめた。
「晋…助さ…まぁ……」
見上げたまた子の視界に入ったのは、呼びに来た男に何か話しかけている高杉だった。
彼はまた子の方を振り返りもせず、扉を閉じると去っていった。
誰もいない薄暗い室内に残されたまた子はなんとかこの状態から逃れようとしたが、体に食い込む縄の苦痛と共に、
中にあるソレに苛まれ続け、しばらくするとあきらめた。
晋助がこうしたのなら、これはもう絶対的な命令だ。
中でうごめくものは晋助が手ずから埋め込んだのだと思うと、体の中に占めるものの中に苦痛とは違う何かが生まれた。
そう意識してみると、中一杯に広がる感覚というのは悪くはない。
また子は自分の尻の方に何かが伝っていくのに気付いた。
「…え?…」
それが溢れ出た自らの愛液だというのに気付いた時、体の中に一気に痺れるような感覚が広がってきた。
受け入れるだけで精一杯だった張り型をむしろ食らうかのように飲み込んでしまっているのに彼女は気付いていない。
だが、蹂躙されたその部分は五感だけでなく彼女の意識さえもそこに取り込んでしまっていた。
大きく上下する胸の先にある突起は硬く立ち上がり、布地にこすれてそれもまたまた子を苛むものの一つとなっていた。
自分の荒い息遣いに混じって聞こえ始めた水音。
床の上にできかけている水溜りは汗だけではなく、その上をもがき続けたまた子は
何かの拍子にうつぶせになり、そのまま顔を床につけ腰を高く上げた。
「あ…ァ…アアッ…ンンーッ」
また子はもはや快楽に逆らうことをやめた。
この体勢を取ったのも、せめてあの男に犯されているのならば・・・という妄想を
満たすためだった。
命じられたときのことを思い出し自由にならない腰を一心に振り続け、また子はひときわ甲高い声を上げて崩れ落ちた。
意識がどこかにいったのはほんの僅かな間だった。
「晋助さま?」
誰かがそこにいたような気がして問うてみたが、答えるものは誰もいなかった。
だが、たったそれだけのことなのに、一度陥ちてしまったまた子の体は再び快楽に支配され始めた。
「し・・しん…ウグッ…ひっ」
もはや自我を保つためなのか、刺激を求めるためなのか分からないまま、彼女は恋しい男の名を呼び続ける。
決して優しい男ではない。
いつも勝手に呼びつけて勝手に抱いて、突き放す。
まっすぐに見つめても視線が絡むことさえないような酷い男。
なのに、離れられない。
高杉の手のぬくもり。汗ばんだ胸板。指先の感覚を思い出そうとすればするたび
無粋なからくりが湿った音を立てながら彼女の中に食いこんでいく。
強引に高みに押し上げられては、落とされ、休む事も許されずにまた突き上げられ、
また子は声を出す事もできずに、涙を流し、体を震わせてはイき続けた。
そして、あたりがすっかりと闇に包まれた頃。
「待たせたな」
扉が開く音と共に飛び込んできたのはあれほど聞きたいと思っていた声だった。
うつろに開かれていた眼を泳がせた先にいた男にまた子は力のない、だがどこかほっとしたような笑みを浮かべた。