暗く……どこまでも闇が続く一部屋。外の世界の状況も昼夜も分からない、光無きそこに、一人の少女がいた。  
 
真っ白な肌には赤と青の痣が浮かび、空色の瞳には涙が滲んでいた。  
手足は頑強な鎖に繋がれ、衣類は何一つ身に付けていない。  
幼くも丸みを含んだ身体はまさしく女だった。  
 
ギィ……  
突然、闇が破られ光が飛び込む。  
闇に慣れていた目は光に、少女自身は恐怖にひきつった悲鳴を上げた。  
光から飛び込んできたのは一人の青年。  
貼り付けたような笑みをニコニコと浮かべたまま、再び扉を締める。但し彼が持ち込んだ蝋燭で部屋の中は微かな灯りに満たされた。  
「いい子にしてた?神楽」  
青年は神楽、と呼ばれた少女の前に屈みこみ、ゆっくりと頭を撫でた。  
「に…に……ちゃっ……」  
ガクガクと震えながら神楽は呼び掛けた。目の前の男を「兄」と………。  
「いい子にしてたかって聞いたんだけど」  
兄……神威は神楽の顎を掴むと、ゆっくりと力を込めた。ミシミシと骨が軋む嫌な音が狭い空間に響く。  
「い……痛い痛いっいたっ―――!!」  
「神楽」  
兄の恐ろしいほど優しい口調に神楽は汗を浮かべた。  
「い……いい子にして……ました………」  
神威はその言葉に満足したのか、腕を離すと「そう」と笑ってちゅ、と妹の目尻の涙を口で吸いとった。  
「いい子な神楽には兄ちゃんがご褒美をやろうな」  
その言葉に神楽は身を強張らせたが、抵抗の素振りは見せなかった。  
逆らえばどうなるか、よく分かっていたから。  
震えながら脚を開き、秘められた口を兄に見せつける。  
兄が「淫乱」と嘲笑う声が聞こえたが、知らないふりをしてゆっくりと目を閉じた。  
 
 
ぐいっ……  
少女が自ら開いた脚を持ち上げ、青年はさらに押し広げた。そして、まだ愛撫も施さぬまま秘口の中に指を差し込む。  
「………っ!」  
痛みに眉をひそめたが、抗議の言葉はその口から零れない。  
ぬちゃぬちゃと、前回処理も去れずに残っていた白濁がそこから溢れてきた。  
「いやらしいね、神楽は。ちょっと指をいれただけでこんなになってる」  
クスクスと青年は笑いながら指の動きを早めた。  
 
屈辱と苦痛に叫びそうになるのを必死で堪えながら、神楽は強く強く目を閉じる。  
元来気が強い自分が誰かのされるがままになるのを拒まなくなったのはいつからだったか。  
 
 
圧倒的な支配。  
 
 
比べものにならない力で捩じ伏せられ、抵抗の力を奪われた。  
泣き喚けば、煩い見苦しいと殴られ。  
抵抗したり逃げようとすれば想像を絶する虐行を施された。  
 
ある時は複数の男(恐らく同族と思われる)に同時に犯され。  
ある時は酒を後孔から直腸に直接入れられ、腹を下した。  
 
酷いときは気絶することも許されず、バケツに頭を突っ込まれては果てしなく犯されることもあった。  
 
そうする内に、少女は青年の望むがままになった。  
兄であるこの男との性行為を、受け入れるようになった。  
 
助けも、太陽……月の光も諦めた。  
 
 
 
固く閉じられた目尻に一筋の涙が伝い落ち、蝋燭の灯りに揺らめいた。  
 
 
 
「ねぇ、神楽?」  
少女の膣を蹂躙する手を止めると、神威は彼女の瞼を恐ろしいほど優しく撫でた。  
「自分でやってみなよ」  
瞬間、神楽の身体が強張った。  
「自分がどうされればいいか、俺にやって見せて?」  
にっこりと笑う顔は心底楽しそうで。  
否、楽しんでいるのだ。  
自尊心の強い妹が屈辱と羞恥に染まるのを愉悦としているのだ。  
神楽は顔を歪め、兄を見つめた。きっと、いまの自分の様子も内心で嘲っていると。  
「神楽」  
びくっ……  
神楽の中で、あの屈辱の数々が流れた。  
神楽はゆっくりと手を自分の胸元に持っていった。そして、発育途中の白い胸を円を描いて揉みし抱く。  
痣が自分で貪る度に鈍痛を伴ったが、中心の紅い突起はすぐに固くなった。  
「誰に似たんだろうね、その淫乱ぶり」  
酒を煽りながら神威はケラケラ笑った。  
「それとも、兄ちゃんにヤられんのがそんなにいい?」  
神楽は答えなかった。  
ぎゅっと目を瞑り、できるだけ痣に触れないよう自らに触れる。  
「神楽。次は下」  
神楽は震えた。  
だが、恐怖で慣らされた身体は自然と脚を開いた付け根へ腕を伸ばす。  
まだ薄い茂みに覆われた亀裂を何度もなぞる。  
「……っん…」  
噛み殺していた口から小さく喘ぎがもれた。  
神威は暫くそれを眺めていたが、突然ついと腕を伸ばした。  
「あっ……」  
「全然なってないじゃん。しょうがないから兄ちゃんが教えてやるよ」  
そう言って、神威は後ろから神楽を抱き抱えるような体制をとると、愛液に濡れた口に指を差し込んだ。  
「やっ…やあっ」  
「ちゃんと見とけよ」  
空いている方の手で神楽の後頭部を押さえつけ、下を見せる。  
神楽は嫌々と首を横に降ったが、神威の指は神楽を犯し続けた。  
 
 
「ひっあ……あぅ」  
白濁が掻き出され、神楽が自然と腰を振りだす。  
神威は何度もピストン運動を繰り返しながら神楽の首筋の痣に吸い付いた。  
「あっ……」  
ピリッと鈍い痛みが電流となって走る。  
中の潤いが増したことに、神威はまたもクスクス笑った。  
「痛いのがいいって、M?まあ、いいけど」  
耳朶に噛みつき、項を這う舌に神楽は震えた。  
 
 
怖い。苦しい。  
 
 
助けて。助けて。  
 
 
 
 
 
 
「……ぎ……ちゃん……」  
 
ピタッ………  
神威の動きが止まった。  
はっ……  
神楽が気づいた時はもう遅かった。  
 
がつ!!!!!  
容赦ない拳が少女の頬に飛んだ。  
「うぐっ!!」  
鼻孔と口から血を流し、神楽は倒れ伏した。神威の拳と蹴りは何度も何度も神楽に飛ぶ。  
「銀ちゃ……っし、しん…ぱ……そ、ご……ぱぴ……!!!」  
助けて  
痣の上に痣が重なり、神楽の身体から血が溢れる。神威は神楽の頭を掴んだ。  
「頭が悪いな。何度言えば言いわけ?」  
 
俺の前で違う男の名前を呼ぶな。  
殴られて気絶寸前の神楽は半眼で神威を見つめるだけだ。  
神威は軽く舌を打つと、神楽を乱暴に床に叩き付け、自らの猛ったそれを乱暴に彼女に突き入れた。  
「ひぎゃあああああああああ!!!!!!」  
未熟な上に、まだ完全に慣らされていないそこは軋み、神楽は絶叫した。  
「いたいいだいいっ……やめてぇぇぇぇ!!!」  
激しく突き上げる竿はギチギチと彼女の身体を傷める。  
 
「はっあ……あんあっぁ……や!!」  
やがて、少女がゆっくりと自ら腰を揺さぶり始めた。  
神威はその様子を眺めながらふん、と鼻で笑う。  
そして、神楽に知られないように懐に手を伸ばした。  
 
「あっ…あっあん……あぅ!」  
「神楽。ごめんなさいは?」  
「あっあっぁ……ごめ…なっ……さ!」  
兄ちゃん……と囁く神楽に少し機嫌が良くなったのか、神威はにっと笑う。  
 
 
 
 
「もう約束を破るなよ?」  
神楽の小さな唇に軽く口付け、神威は動きを早めた。  
「ああんっあっ…あん……ああーーーーーーー!!!!!!」  
神楽の背筋がぴんっと張り、ピクピクと痙攣した。  
より強い締め付けに神威は顔をしかめ、白濁を放った。  
 
 
 
「団長〜。来ましたよ」  
数人の男達が、余韻に浸る二人の空間に入ってくる。いずれも傘を所持し、肌の色素は薄い。  
「ああ。早かったね」  
神威は妹である少女に目を向けると、彼らに示した。  
「やっちゃって」  
男達は獣じみた目付きになり、ニヤニヤと笑った。  
「いつもありがたいねぇ」  
「仕方ねぇよ。夜兎の発展の為だ」  
そう言って、男達がわっと少女に群がった。  
男達の前に散々兄に「お仕置き」されていた神楽には、もう顔を上げる力すらなかった。  
飢えた獣が獲物に群がる姿をぼんやり眺めながら神威はそっと息を吐いた。  
 
 
夜兎は安産型ではあるが、生まれる割合は男が圧倒的に多く、戦闘民族ゆえに減少の一途を辿りつつある。  
女の夜兎の宿命。出来る限り同族と関係を持たなくてはならない。  
 
 
例えそれが身内であろうとも。  
 
 
神威は男達の欲望の捌け口となっている妹を見た。  
既に白濁にまみれた身体。その目は虚ろに濁っている。  
神威の目が細まった。  
 
後で処理をしてやろう。  
弱い同族の子供はいらない。あの娘が孕むのは己という最強の遺伝子だけでいい。  
 
 
そこまで考えると、はたと神威は考え直した。  
何を言っているのだ?  
まるでそれでは自分が………。  
神威はふっと自嘲の笑みを溢した。  
馬鹿馬鹿しい。子作りしか用途のない弱者に好意とは。  
妹が誰かの名前を呼ぶことは嫉妬なんて。  
 
 
「ありえない」  
 
 
 
神威は一気に酒を煽り、次はどうやって妹をいたぶろうかと考えた。  
 
 

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