「一つだけ教えてヨ」
火の海とも言っても過言では無い地獄絵図。燃え盛る炎に包まれた屋敷。その中で、神楽は若干疲れのにじむ声で問い掛ける。
「どうして、兄ちゃんは春雨に入ったアルか?
どうして、地球にいるアルか?
どうして──兄ちゃんは戦うアルか?」
「それは一つとは言わないんじゃないの?」
神威はうずくまった神楽を見下ろしながら答えを返す。神楽は沈黙し、笑顔が張り付いた兄の顔を見上げた。
──焦るな。神楽は自分に言い聞かせる。
銀ちゃん達はまだ戦ってる。生きてる。だから、今は少しでも時間を稼いで体力を回復させないと。こいつを出し抜く為にも!
神楽の意図を知ってか知らずか、神威はあのうさん臭い笑顔のままオーバーリアクション気味に肩をすくめてみせた。
「そんな事すら分からなくなっちゃったの?」
「そんな事?」
嘲るような神威の言葉に神楽は眉をしかめる。家を捨て、家族を捨て、それでも兄がやりたい事なんて神楽には想像もつかないし、分かりたくもなかった。
すると、神威は反吐を吐きたくなるような笑顔を浮かべて、歌うように語り出す。
「教えてあげるよ、神楽。俺が最強を目指すのは
♪今宵こそはほとばしる精子と A子もB子も止めどなく
みなぎる力の遺伝子をかけあわせて
ハイ!
この宇宙で最強の子孫 一族の為に残しましょ
たった一つのこの息子
カ ム イッ♪
……分かったかい?」
「分かるかァァァ!! どこからまるまるパクってきてんだこのバカ兄貴!! 少しは空気を読めェェェ!!」
「そして俺の血族で地上を満たして、この世界のカームィになるんだよ。あれ?違ったかな?」
「バカ!!スケベ!!ハゲろ!!お前なんかハゲてしまえェェェ!!」
おわり♪