その異変は欲望渦巻く夜の街――生き馬の目を抜く勢いで急成長を遂げる一つのキャバクラ――そこで働く双子の巫女キャバ嬢から始まった。
「ちょっと、阿音ちゃん――妹さんがウチで働きたいって本当なの?」
サングラスの上で眉毛を八の字にさせたまま、彼――「すまいる」の店長は胡散臭そうに尋ねた。
「本当ですよォ! 百音もようやくニート卒業する気になってくれたみたいでェ〜」
可愛らしい声を弾ませながら、赤い袴姿の阿音は店長に擦り寄る。
若く美しい娘が笑顔で寄り添ってきてくれるのは、勿論悪い気はしない。
だが相手は金のためなら際限なくえげつなくなれるアバズレ巫女であることも、彼は嫌というほど知っていた。
阿音にボロ雑巾のように搾り取られた客を幾人と見てきただけに、彼は素直に鼻の下を伸ばすことができない。
代わりに眉間のしわが深く刻まれ、嫌な予感に口の端が引きつる。
そんな弱り顔の店長に阿音は殊更甘えた声で言った。
「もぉ〜、そんな顔しないで下さいよォ〜。
百音も入ってきてくれたら、美人双子巫女のいる店できっとスゴイことになりますよぉ〜。
とりあえず面接だけでもしてください。もう、そこの部屋で待たせてますんでぇ〜」
店長の腕に己の腕を絡ませて、引きずるように阿音は彼を部屋の中へ導いた。
昼間の控え室には他のキャバ嬢たちの姿はない。
つけっ放しのTV画面からは、この界隈の上空で宇宙船の荷崩れ事故が発生したことを告げるニュースが流れていた。
開店前の長閑な昼下がり。なんてことのないいつもの日常――そのはずだった。だが。
部屋の中に踏み込んだ途端、店長はいろいろなものが真っ白に吹き飛ぶ感覚を味わった。
そこにいたのは阿音に良く似た美しい娘が――あられもなく白い太腿を大開脚し、美しいローズピンクの花弁を奥まで覗かせて――、一糸纏わぬ姿で彼を迎えていた。
あまりの衝撃にパクパクと口を開閉させていると、後ろから阿音がねっとりと絡みつくような声音で抱きついてきた。
「あたしたちがどれだけスゴイか――確かめてください」
ぬちゃっくちゃっという淫猥な音が耳に絡みつく。
その音に覆いかぶさるように、身も世もなく喘ぐ若い娘の声が切れ切れに響いた。
ああぁんっ…いいッッ…いいよぉッッ
あおぉ……っあうッ…あうぅん……ッ
快感に眉を顰め、唇の端から透明な涎を滴らせて呻く美しい獣が二匹。
瑞々しい柔肌を薔薇色に染め、互いの白い乳房をまさぐりあっている。
黒い絹糸のような髪を振り乱し、興奮して乳頭の先まで尖らせた姿は正に快楽に狂った獣だった。
濡れた唇は同じ形をした相手の唇に吸い付き、互いの赤い舌を貪るように絡ませあった。
「ひぁあっ! わたくしの中にきましたわ!! はあぁあ…!!
いやぁあっ!! 抜かないでくださいまし…!!」
「ちょっと、百音!! アンタはもう充分でしょっ!!
あんん…!! あひぃいっ!! これぇっ! いいのぉおっ!!
もっと奥まで突きまくってぇええ!!! 」
姉妹は互いの裸体を抱き合う形で、淫汁で濡れ光る秘貝を上下に重ね合わせていた。
その潤った肉の貝に、交互に硬く尖らせた男根を食べさせてやる。
それぞれの貝は違った味わいで男根を締め付けた。
アバズレ巫女の異名を持つ阿音とは対照的に、妹の百音は処女だったらしく、最初に挿入した際は初々しく悲鳴をあげた。
ところが、今ではとろとろにふやけた淫穴には男根が差し込まれていないと不安だ、と言わんばかりに求めてくる。
それぞれの淫穴に男根を沈めてやると、それぞれの嬌声があがり、異なったうねりが快感を煽った。
夢のような悦楽に店長は髪を振り乱し、ひたすら腰を振った。
しかしこれは一体どうしたことだろうか。
金も取られない。強請られもしていないこの状況で、こんなに美しい娘たちが自分のようなオッサンに体を開くなど。
なんの計算もなく、ただ単純にこの双子巫女は目の前の「男」に発情しているようだった。
いつもなら全くありえない状況なのだが、この状況では思考より先に体が動いてしまう。
店長はただ口ひげを熱い吐息で湿らせながら、二匹の美獣とのまぐわいに耽った。
一方その頃の万事屋と言えば、銀時がげっそりとした表情のまま――大の字に縛りつけられていた。
「ちょっと、お妙さん。あなた銀さんと私の愛の営みを邪魔する気?
悪いけど、銀さんはSM好きでも3Pは好みじゃないの。
あま〜い巨乳は好きでもしょっぱい貧乳はお呼びじゃないのよ 」
「猿飛サン、何か誤解しているようだけど、私はこんな天然パーマなんか軍手の片方ほども好きじゃないのよ。
だから貴女たちの愛を邪魔する気なんてさらさらないの。
ただ、この無用のアナログスティックを借りに来ただけなの。
使ったら返すんだから、あなたはそこでメス豚よろしく上下の口から涎垂らして見てなさいよ」
「おいお〜い。誰がSM好きなんて言ったよ、コノヤロー。勝手に人の性癖捏造すんじゃねぇよ。
それとそこのまな板女!てめ、人のアナログスティックを無用呼ばわりすんじゃねぇよ。
ヒィヒィ言わせてやろうか、あ〜!? いいからこの縄解けや! 3Pでも4Pでも受けてたってやっから」
全く噛み合わない三者三様の主張。
思い返せば、銀時が昼過ぎに目覚めた時から万屋には新八も神楽もおらず、布団の中には目の前のメガネくの一がいた。
そこまでは、良くないが、まぁいい。いつものことだ。
問題は、そこでガラリと万事屋の戸が開いて、お妙まで現れた事だった。
明らかにいつもと様子が違う。息も上擦っていて、頬が赤い。
切羽詰った視線は銀時に向けられ、物も言わずにつかつかと歩み寄ってきたかと思ったら、開口一番がこうだった。
「何も言わずに、ヤらせなさい」
日ごろから銀時に対して原始人並と悪態をついている人間の発言ではない。
パンツを履かない未開の部族だってまだマシな言い回しができるだろうに。いや、そうではなく。
結婚するまで純潔を守るとか、キャバ嬢の癖に男に潔癖な部分がある娘なのだ。妙は。
それが日ごろ馬鹿にしている銀時に非常に横暴ではあるが、せまっているのである。性的に。
横を見てみると、めがねっ娘忍者もなんだか微妙に様子が違った。いや、コイツの場合はいつも銀時に欲情しているので非常にわかりづらいのだが。
とにかく、何か異常な事態に巻き込まれていることだけが感じ取れた。
銀時は、面倒ごとは勘弁、とすぐさま逃げようとした。
だがしかし、(性的に)飢えた二匹の野獣(♀)にその場でひきずり倒され、縛り付けられ、今に至る。
女たちは互いに一歩も引かず、まだ何も始まらないまま、銀時だけが強制緊縛放置プレイの憂き目にあっているのである。
「もうお前ら討論は余所でやってくんねーかな。俺は解放してくんねーかな。
せめてTVくらい見せてくんねーかな。今、結野アナがでるワイドショーやってんだけど」
いくら説いても一向に耳を傾けない女たちにゲンナリしながら、最後は投げやりな調子で銀時は呟いた。
その発言が聞こえたのか聞こえなかったのかは謎だが、取っ組み合いの喧嘩を始めた二人が物を投げあい、飛んできたTVのリモコンが銀時の顔面にヒットした。
偶然にもそれが原因でTVの電源が入り、昼のワイドショーが修羅場と化した万事屋の中に流れた。
「緊急ニュースです。現在かぶき町では謎の奇病が蔓延している模様です。
現地にリポーターの花野アナが向かっています。現場の花野さーん!?」
「はい。花野です。ご覧のようにかぶき町に繋がる道路は完全封鎖されている状態です。
感染すると女性は性的に極度の興奮状態を示し、錯乱するという謎の奇病です。
未確認ですが攘夷派のバイオテロなのではないか、との情報も飛び交っております。」
TV画面にはガスマスクを装備した花野アナが映し出されている。
キャスターを務める結野アナがしきりにスタジオから質問しているが、その様子を目にしている銀時は完全に目が点になっている。
―――なんだそれ。夢か?夢なのか?中2の妄想か?安いエロ本の読みすぎか?それともそれなんてエロゲ?
かくして、万事屋を含むかぶき町一帯は、老若を問わない女たちの桃色の吐息で染めあげられることになった。
「んッ……は…っぁ! 気持ちイイアルぅ!! もっと!もっとヨ!! 」
幼い顔立ちとは釣り合わない妖艶な吐息を漏らしながら、神楽は唇をわななかせた。
濡れた唇と頬を薔薇色に染め、大きな瞳を潤ませている。
白くしっとりした肌は情欲に火照り、熱気が甘酸っぱい汗の匂いを立ち上らせる。
男はその香りを胸いっぱいに吸い込み、はぁはぁと呼吸も荒く、少女の未成熟な蕾の中に指を沈めた。
未成熟な割れ目の内部は、そのキツさと裏腹に充分すぎるほどの蜜を湛えて男の指を咥え返した。
くちゅくちゅと音を響かせて、小刻みに揺すってやると、「あんっあんぅ!」と可愛らしい声で鳴いてくれる。
それが嬉しくて男はますます少女の淫らな蕾を穿る。
神楽はふるふると頭を振りながらも、腰は快感を享受するように揺らめかせていた。
男が蕾の上にある快楽の芽に口付けて、思い切り吸い上げた。
舌先を尖らせて小刻みに肉の芽を刺激してやれば、「んひぃいっ!ひゃあ、あんッ!!」と悲鳴をあげて、神楽は小さな腰をびくんっと跳ねさせた。
薄暗い店内には如何わしい商品が溢れかえり、少女の嬌声と相俟って妖しさ200%である。
雑居ビルの地階にあるアダルトショップ。
そこで長谷川は己の倫理観と背徳的な欲望とを戦わせ、あっけなく欲望に敗北しようとしていた。
様々なバイトを首になって、久方ぶりに決まったのがここの店員だった。
そこに訪れてはいけないはずの少女が訪れたのは、ほんの数十分前。
少女はいつもの辛口チャイナ娘の勢いはなく、どこか熱に浮かされたような表情で入ってきた。
「ちょ…ッ、お嬢ちゃん! 18歳未満は立ち入り禁止だよ!!」
慌てて追い返そうとする長谷川を認めると、少女は切なげな吐息を漏らして近寄り、華奢な外見からは想像もつかない力で長谷川を押し倒した。
馬乗りになった姿勢で徐に中華服を脱ぎだし、幼い乳房を無理やり長谷川に揉ませる。
いきなりな状況に頭が追いつかなかったが、体は正直に反応してしまう。
こんなこども相手に俺は何を欲情しているんだ!と心の中の天使が長谷川を叱咤したが、長く異性の肌に触れていなかった手の平に、柔らかい少女の体はあまりに魅惑的過ぎた。
ふにふにとしたまるい感触と、それをもっと味わえと言わんばかりに押し付けてくる少女の小さな手のひらの感触に挟まれて、長谷川は爆発しそうなほど動揺した。
頭も体もぱーん!となりそうだった。
実際にその後、少女が繰り出した誘惑の数々に、長谷川の倫理観はあっけなく弾けてしまった。
「ねぇ………一緒に気持ちィイコトしてヨ」
ぴちゅ、と舌を出して舐めあげるように長谷川に口付ける。
少女は長谷川の胸元を開き、んふ、ふぅ、と微かに鼻から吐息を漏らして、興奮して熱くなった男の肌を舐めまわした。
立ち上がった乳首の周りに舌で円を描き、硬く尖らせた舌先でその先端を擦った。
白い花のような肌の少女が親子ほども歳の離れた男に欲情して覆いかぶさる姿は異常だったが、その異様な状況が返って長谷川の興奮を煽った。
逆に少女を押し倒して、少女の可憐な蕾に舌を這わせるに至るまで、さほど時間は要さなかった。
充分にほぐし、潤った少女の花弁から指を引き抜くと、長谷川は傍にあった商品に手を伸ばした。
小さな卵型をしたピンク色の商品。
パッケージをぺりりと剥がし、つるんとしたその塊に舌を這わす。
「お嬢ちゃん…イイモノ食べさせてあげようか」
「は…あん……ッ!!」
くぱ、と音を立てて少女の蕾を押し広げる。
官能にとろけた甘い声をあげる少女の体の中に、小刻みな振動を伝える大人の玩具を挿入していく。
「はぁあうッッ!! あああああんッッ!! 」
びくびくと激しく痙攣する白く小ぶりな尻を撫で回しながら、長谷川は神楽の膣奥まで玩具を押し込んだ。
その横顔には、少女の身を案ずる心優しい天使の面影は既になく、まるで堕天使か鬼のような笑みを湛えていた。
「お嬢ちゃん、……一緒に気持ちイイコトいっぱいしようね……」
「ふふ…お妙さん、いい格好ね……その無様で浅ましい姿を銀さんにたっぷり見てもらいなさい!
こんなにお股からいやらしいおつゆをこぼして恥ずかしくないのかしら!」
「いやああッ!! やめて! 見ないで!! 」
「…………うん。いや…あの…………いいからこの縄を解け、コノヤロー」
相も変わらず万事屋内部はカオスとしか呼べない様相を呈していた。
何故かお妙は下半身を裸に剥かれ、さっちゃんに後ろから大股を開かされていた。
両膝を押さえつけられて閉じられなくなった股の間を、お妙は必死に両手で隠そうとしている。
今お妙が股の間に置いている手の平をどければ、彼女の内部が奥まで包み隠すことなく見えてしまうような体勢である。
さっちゃんは何に目覚めたのか、先ほどからお妙の耳に辱めの言葉を吹きかけ、自身もうっすらと汗をかくほどに興奮している。
対するお妙は顔を真っ赤に染めて目には涙を浮かべ、さっちゃんからの攻めに防戦一点張りである。
まったくいつものキャラクターとはSとMが入れ替わっているような状態だった。
銀時はといえば、相変わらず絶賛放置プレイ続行中である。
あれ?俺主人公なんじゃないの?普通、こういうパターンでは主人公はハーレム状態って相場が決まってんじゃないの?などと呟くが、目の前の女たちは全く聞いていない。
当初銀時を奪い合う形で争っていた女たちは、最早銀時そっちのけで互いの性感を高めあう争いに移行しつつあった。
銀時は単なるダシに使われているに過ぎない。
女二人はただ淫らな行為を銀時に見せ付けてくれるのみである。
いや、嫌いじゃないけど。こういうの。嫌いじゃないけどさ、縄は解いてくださいよ。せめて右手だけでも自由にしてくださいよ。
最後は敬語になりつつ、銀時は死んだ眼をして項垂れた。
股間はそれなりに反応を示しているのだが、銀時をこの状態に追い込んだ当の女たちが銀時自身に無反応なのは何故だろう。
そもそもコイツ等は俺のアナログスティックに用があったんじゃなかったのか。
ここにY染色体を受け継いだ証が聳え立っているにも関わらず、XX染色体同士で絡むとは哺乳類の繁殖行為に対するいかなる冒涜だ。
もはや銀時自身の思考も支離滅裂だった。
そうこうするうちに女二人は濃厚なくちづけを恍惚とした表情で交わし始めた。
完全に銀時の存在意義は失われつつあった。
「チクショー! 要するに女キャラが今みんなエロエロ状態なんだろーが!? 誰かテキトーにヤらせろや!!」
半ば自棄になって銀時が叫んだそのとき、万事屋の扉が再び開いた。
「坂田サーン、今ナラ500万デ、本番マデサセテヤルヨー」
「いつもなら青臭い餓鬼なんざお呼びじゃないけどね、久しぶりに体が疼いちまって仕方ないんだよ。
ちょっとアンタの股のでっぱり貸してもらうよ」
「チェエエエエンジィィィイイ!!! てか、何でお前ら、悉く上から目線で来るんだよ!!
いや、しわくちゃババアと獣人ババアがいくら可愛くおねだりしてきても無理だけどね!!
アナタたちにはウチの息子と会わせたくもないですけどね!!」
現れた階下の大家と、そこの出稼ぎ従業員とに間髪入れずに突っ込んで、銀時はゼェハァと肩で息をした。
「てか、ババアんとこにはまだ使える雌がいたろーが! たま呼んで来い! たま!!
機械(からくり)でもこうゆうときには都合よくエロパロ仕様にカスタマイズされてるモンだろーが!!」
股間の息子がご立腹なのを宥めたくて必死でも、主人公の尊厳としてババア相手に犯されるのは御免だった。
白夜叉真っ青の剣幕でがなり立てると、流石にババア二人はそれ以上近づいてこなかった。
この際、機械(からくり)でも構わない。従順にエロパロ的本道を進んでくれそうなキャラを選択し、銀時は叫んだ。
そして、そんな銀時の想いが通じたのか、万事屋の戸は三度開かれたのである―――。
「ごめんねン……はっ…あンっ…ぜんぞ…アンンッッ!!」
ぐちゅぐちゅくちゅくちゅ。
深くスリットの入った赤紫色の忍者服の間から、白くむっちりとした太腿が伸び、腰の動きと共に小刻みに震える。
部屋の中は甘いバラの香りに包まれ、その脳髄までとろけさせる香りにまぎれて、仄かな汗の匂いと甘酸っぱい淫靡な香りが混じる。
その香りの源はスリットの奥、布地に覆われていて隠されてはいるが、淫猥な水音を響かせている場所と同じところからだった。
ぶちゅんっぐちゅんっぶぽっじゅぽんっ。
太腿の震えが激しくなると同時に、水音は一層激しく響き、深くねっとりとした女の吐息がそれに覆いかぶさる。
「はあああんっ全蔵のぉっすっごく太くて気持ちいいのぉんっ」
感極まったように女は喘ぎ、ますます腰を激しく上下させる。
女の下には青い忍者服の髭の男が寝ていた。
男は呼吸も荒く、首筋から汗を滴らせていたが、先ほどからぴくりとも動いていなかった。
女の激しい腰使いに合わせて揺すられるのみである。
二人の重なり合わさる箇所は女の衣装の前垂に隠されて見えなかったが、恐らく淫靡な香りのする女の花弁の奥深くまで男の芯が突き刺さっている。
両者は同じように息を熱くさせながら、絶頂に向かっていた。
「ごめんねんっ…あたしがっ…M39-Rなんかに感染しちゃったためにんッッ」
女は男の上でしきりに謝罪の言葉を繰り返していた。
男はその言葉をやはりただ受身になって聞き入れるのみだった。
男の動きを封じているもの――それは忍法「呪縛旋花」。目の前のくの一――脇薫の得意技だった。
「ランスショイン戦役において…蓋也族が栗無損星に使用したとされるウィルス兵器…M39−Rか…ッ」
全蔵がようやく掠れた声を絞り出すと、薫はこくこくと首を縦に振った。
「そうよんっ…まだ、誰が地球に持ち込んだのか…調査中だけどぉっ…ふぁあっ!あっ!あんっ!」
全蔵が薫に会ったときには、既に彼女は発症していた。
熱に浮かされた表情で近寄り、間髪入れずに「呪縛旋花」で全蔵の動きを封じてきた。
瞳にはただ、男の欲望を己の身の内に取り込みたいという欲求しか映されていなかった。
猛烈な勢いで全蔵の股間をしごきたてたかと思うと、前戯もそこそこに己の濡れた花弁をあてがって腰を沈めてきたのだから。
だが、薫の意識はウィルスに完全に乗っ取られてしまったわけではなかった。
彼女は欲望を抑えられず、そのせいで全蔵の意思を無視する形で性交していることに、後ろめたさを感じているようだった。
その気遣いが、全蔵には少なからず嬉しかった。
自分の上で懸命に腰を振りたて、嬌声を上げる薫を見て、図らずも自然と股間は質量を増した。
薫は己の内部を圧迫する全蔵の熱が更に増えたのを感じ、体を震わせた。
「ひぎぃいいんっ!! だめぇえっ!! らめなのぉおおおおんっっ!!!」
びくんッびくんッッと盛大に体を痙攣させて、薫は達した。
「う…ッぁ…あっ…!!」
肉の芯を強烈に圧縮されるような快感に、全蔵は堪らず薫の奥に白い欲望を吐き出した。
両者はしばらく痙攣を繰り返し、深く繋がった体位のまま、互いの体をかき抱いた。
薫がようやく全蔵から体を起こし、離れようとしたとき、全蔵の右手が彼女を捉えた。
ちょうど毒バラの香りが薄れてきたところだった。
全蔵は力任せに薫を押し倒し、今度は薫を組み敷く形で彼女の花弁を押し開いた。
そして、再び硬さを取り戻した己自身を彼女の奥に挿入させながら、こう囁いた。
「オイ……もうブス専とか言わせねぇかんな」
長い前髪の下で欲望を滲ませた男の眼が笑った。
男の切羽詰った荒々しい息遣いと、んちゅっ…むちゅっ…という水っぽい音が切れ切れに万事屋に響いた。
明らかに濡れ場を想像させるシチュエーションであるにも関わらず、そこに重なったのは女の興奮した声音でも濡れた息遣いでもなく、冷静で機械的な音声だった。
「目標の心拍数・血圧は急激に上昇。極度の興奮状態で、射精間近です。」
たまはいつもの表情を保ったまま、いきり立った男の一物をくわえ込み、激しく頭部を前後に振っていた。
唾液に良く似た生暖かいオイルが充満した口の中で、男の一物はびくびくと震えていた。
人間の女の舌と遜色のないたまの舌は、人間の女以上に器用に動いて男を刺激した。
カリ下の脇の部分を重点的に擦ったり、裏筋を丹念に刺激してみたり。
舌以上に絶品なのはその可憐なピンク色の唇で、絶妙の力加減でぷりゅぷりゅと亀頭全体を扱かれると、思わず男の唇からは震えた吐息が漏れた。
玉や棹にもためらうことなく唇を当てて、はむはむと食んでくれる。
男から掠れたうめき声が漏れたあたりで、畳み掛けるようにたまは男の尿道口にれりゅれりゅと舌先を捻りこませた。
「は…ッあッ…イイ…ッッ」
男は上擦った声で呟き、たまの頭部をがっちりと掴んだ。
下腹部から湧き上がる、甘くも抗いがたい強烈な射精感。
「ダメだッ……出る…ッ」
銀髪を揺らし、男は背筋を駆け抜ける電流と共に欲望を発射させた。
たまはそれを一滴も漏らすまいと強力な力で吸引し、皮と肉棒の間まで舌で掃除した。
最後まで丁寧に愛撫してくれるたまの頭を愛おしそうに撫で擦り、男は礼を言った。
「……ありがとよ」
銀髪の下――ビン底メガネを颯爽と外し、必要以上に男前な、その武蔵のごとき瞳を輝かせて――。
「っておいィィィ!!! おまッ何!? なにヒトん家で機械(からくり)にフェラさせてんのォォォ!?
ここは銀時×たまでタイトル通り『銀たま』っていうオチだろぉがァァァ!!!
武蔵×たまでムサタマってどこの美術大学だァァァ!!! 」
依然として縛られた状態から一歩も抜け出せない銀時が叫ぶ。
その横ではさっちゃんとお妙が巨乳と貧乳を擦り合わせて、双頭バイブを股に挟んでよがり狂っている。
お登勢はうざい位に流し目を寄越しながら、じわじわと銀時の衣服を脱がしにかかっている。
キャサリンはノーパン状態で腰を降ろし、陰部が見えるか見えないかのギリギリで脚を組みかえる、所謂「氷の微笑」攻撃を繰り返している。
カオス以上に非常に腹立たしく、不愉快な状態である。
銀時は青筋が切れんばかりに吼えた。
「てか、俺が今まで助けてきた若い女とか、まだまだいんだろーが!! ゲストキャラ連れて来い!!
ゲストキャラぁぁぁ!!!」
また、間髪を入れずに万事屋の戸が開いた。
そして、その日何度目かの訪問者が万事屋を訪れたのである―――。
<続く>