大晦日
独身の俺はまさに独りだ
以前は別に嬉しくはないがオヤジがいた
だがそのおやじも死んで本当に独りだ
こんな時嫁でもいりゃ今頃は年越しそばでも食いながら
紅白見ておせちの準備なんか手伝ったりするんだろうなぁ
その後は除夜の鐘なんか聞きながら自分も108回
嫁に腰を打ちつけたりりして・・・
なんて寂しい妄想を繰り広げながら俺はジャンプを買って家に帰る道を歩いている
今年はあのジャンプ侍には会わなかった
(あーーーっ!1年経っても思い出せばムカついてくるぜ!アノヤローは!)
怒りに震えながら家に着いて玄関に入る
『!?』
出かける前にはなかった靴が揃えて置いてある
しかも女物のハイヒール
『おいおい、俺の妄想が具現化したか?』
お庭番随一の忍術使いは魔法も使えるようになったんか?
なんて考えを巡らせながら少し緊張して家に上がる
おやじの仏壇がある部屋から気配がする
襖を開けると正座して手を合わせている女がいた
『何してんの お前』
『師匠に年末の挨拶よ』
振り向きもせず答えた女は
具現化した妄想の嫁ではなく元同僚の猿飛だった
(普通は年始じゃねぇの?)
と思ったが浮かんだ言葉とは違う台詞が出た
『おやじにかよ・・・。』
小声で呟いた声は聞こえていたらしい
『当たり前でしょ。全蔵はどうでもいいの』
『相変わらずひでぇな』
廊下を歩きながらそんな会話をした
居間に入りソファにどっかり座ってジャンプを取り出す
改めて猿飛を見るといつもの忍装束とは違い、しっかりスーツを着込んでいる
『てか、なにその格好?なんでスーツ?』
『松平公の依頼で収賄容疑の企業に秘書として潜入捜査に出向いてたのよ。
ここ2ヶ月くらい江戸を離れてたの。ようやく片付いて何とか年内に戻ってこれたわ。』
『だからってこんな遅くに来る事ねぇだろ。明日でいいじゃねーか。 ったく、人の迷惑考えろよな』
独りの家に他人の温度があるのは心地よかった
だが相手は猿飛だ。つい憎まれ口が出てしまう。
『どうしても今年中に手を合わせたかったのよ』
『じゃ真っ直ぐココに来たってわけか』
『違うわよ。一番先に銀さんに会いに万事屋に行ったけど誰も居なかったわ。
きっとお妙さん家でみんなで年越ししてるんでしょ。残念だけど。』
そう言った猿飛の顔は少し寂しげだった。
(くそっ。またアイツの話か。あーイラつく。すげーイラつく。)
思い浮かんだ憎たらしい顔を打ち消すように会話を元に戻してみる。
『へぇーお前が秘書ねぇ・・・。』
そう言いつつその姿を改めて眺めてみる
胸元が深く切れ込んだジャケットからは白い肌が覗き
ミニのタイトスカートからは程よく肉感的な長い脚が伸びている
こいつは中身はめちゃくちゃだがナリは相当だ
男好きのするスタイルで、顔も綺麗に整っている
泣き黒子を覆う赤いフレームは眼鏡属性持ちには堪らないだろう
黙ってりゃいい女なのに・・・と俺は常々思っている。
しかも今日の姿は見慣れていないせいかとても新鮮に思えた。
思わず俗物的な考えが頭をよぎる
(イカンイカン! だって猿飛だよ? 俺のケツにいろいろぶっ込んだ奴だよ? ナイナイナイナイ!)
『なに?』
自分を見続けている俺を見て猿飛が言う
『いや・・・。なんでもねぇ。』
目をそらし買ってきたジャンプをひろげて目線を落とした。
その数秒後俺の横に衝撃があった。
猿飛がボスンと音を立てて隣に沈み込んだ。
ソファとは別の柔らかさを感じ思わず背中が伸る。
さっきの考えがまだ消え去っていないのに。
(ちょ、密着はやめて。密着は!)
そんな俺の思考は露知らず猿飛は頭を俺の肩に預けて深く息を吐いた。
『つかれた・・・。』目を閉じてそう呟く。
思わず出てしまった本音だろう。
普段なら絶対俺に見せる事はない表情をしている。
眉間に皺をよせ目を閉じて頬は気のせいか赤味がさしている。
『大丈夫か?顔赤いぞ?』
『全くと言っていいほど休みが無かったから・・・。少しダルイかも・・・。』
額に手を当ててみる。確かに熱い。しかもうっすら汗ばんでいる。
『おい、お前熱あるぞ。』
『うん・・・・。』
そう言って脱力した猿飛はそれきり黙りこんだ。
横から見る顔は上気して苦悶に耐えているようだが
見ようによっては官能的な表情にも見える。
(マズイマズイ!何考えてんの?俺!え?何?大晦日にコイツの看病?俺はジャンプ読みたいんですけど!)
心の中で悪態をついてみるがこのまま放置するわけにもいかず
俺は猿飛を抱えあげて俺の寝室へ運んだ。
その間猿飛は目を開ける事もせず少し苦しそうに呼吸を繰り返していた。
掛布団を足でめくって猿飛をおろし、外れかかっている眼鏡を取った。
浅い呼吸を繰り返す顔はさっきよりも赤味が増している。
『おいおい ほんと大丈夫?』
声をかけても返事が無い。
動けそうにないので俺が着替えさせるしかない。
『マジかよ・・・。』
先ほどから頭の半分を占めている俗物的思考を隅に追いやって服を脱がし始めた
(そう、コイツは今病人だ。普段は酷い扱いを受けているけど、やっぱ困った時は助けてやらんと男じゃねぇよな!)
だが、少なくなっていく衣服と反比例して俺の心拍は上がり続けた
下着姿にされても猿飛は目を開ける事はなくやはり苦しそうに胸を上下させている
やばいと思いつつも俺はその豊満な胸に釘付けになった
(でかい胸してんなぁ 柔らかそう・・・。ちょっとだ・・・イヤイヤ!いかんよそれは!)
このままでは本気でマズイと思った俺は薬を飲ませようと思いたった
横たわる猿飛をそのままに薬を取りに部屋を出たら心拍数が少し落ち着いた
(全く情けねぇ。女の下着姿くらいで何うろたえてんだ俺。しかも猿飛だぜ?
あのジャンプ侍に惚れてるんだぜ!? あんな男に惚れてるヤツに興味なんかねぇよ!)
俺は自分に必死に言い聞かせている自分に少し違和感を感じたが無視することにした
錠剤2錠と水を持って部屋に戻る
『ほら、薬だ。飲んでおけ』
肩をゆすってみるが、んっと小さく唸って反対側に顔を向けてしまう
『おい、飲めって。ほら』
顔をこちらに向かせたがやはり苦しそうに唸るだけ
(しかたねーか・・・)
俺は錠剤を口に放り込み水を煽った
顎を押さえ上を向かせると猿飛の唇を俺の唇で覆い
薬と水と唾液を流し込んだ
突然の異物の進入に猿飛は反応した
首を左右に振り眉間の皺を更に深くし苦しそうにもがく
俺はそれを押さえ込むように最後の一滴まで流し込む
唇を離すとうっすら目を開けた猿飛が何かを呟きかけた
『ぎ・・ん・・・さ・・』
咄嗟にもう一度唇を塞いだ
アイツの名前なんか聞きたくも無い
しかも猿飛の声でなんて・・。
(アレ?俺嫉妬してんのか?アレ?ジェラシー?俺コイツに惚れ・・・)
思考はそこまでだった。後はどうでもよくなった
柔らかい猿飛の舌の感触が俺の理性を焼き切ってしまったから
もう止められなかった
その甘い咥内を巡る自分の舌を止める事ができない
十分に堪能して唇を離すと1本糸が引いた。それすらも勿体無く思い吸い上げる
首筋に舌を這わせると汗の味が俺の舌を刺激した
猿飛はやはり苦しそうな表情をしている
熱で体が動かないのか抵抗をしてこない。それとも
(俺をアイツと思い込んでるのか・・・。)
嫌な考えを打ち消すように下着の上から両手で胸を掻き抱いた
心地いい弾力が掌を押し返してくる
直に触れたくて黒の下着を乱暴に取り去った
肉を掻き集め顔を埋め起ち上がり始めた乳首に吸い付いた
『あんっ』
小さな悲鳴があがったが俺はやめなかった
執拗にそれこそ唾液のシミが出来るかと思うほどに乳首を舐めまわす
揉み上げ転がし吸い付き歯を立てる
『はっ・・ああっ・・・やぁん・・・』
俺の頭上で猿飛の吐く息が更に上がっている
そのまま唇を下に滑らせわき腹を甘噛みする
『はうっ!』と息を吐き猿飛の腰が大きく揺れた
白いわき腹を食みながら黒い下着の中に指を這わせた
すぐに濡れた感触が俺の中指に伝わった
抑えようが無い衝動が沸き起こりやはり乱暴に下着を脚から外した
大きく開かせた両足の間に顔を埋める
舌で唇で女の部分を愛撫する
俺の唇が小さな敏感な芽を見つけ唾液と一緒に吸い上げる
『はあああうっ!!!』
全身が捩れた猿飛を押さえつけ何度も何度もに吸い上げ舐め付け押しつぶす
すると猿飛の両手が俺の頭に伸びてきた
俺はその手を掴んで5本の指を絡ませる
『やっ・・・あ・・はん・・・いい・・あ、そこ・・・あああっ!』
猿飛の息は一層上がり敏感な芽を突くたびに絡ませた指が力を入れる
頭をあげて猿飛を見る
全身を桃色に染めてやはり苦しそうな表情をしている
熱のせいか愛撫のせいかわからないがしっとり汗をかいていた
気がつけば俺も熱い 全身に汗をかき股間は充血し熱く滾っている
快楽を求める本能が液体になって先端から流れている
自分の着ているものを全て脱ぎ去り改めて猿飛の身体を覆う
欲望に任せて断りも無しに一気に己を差し込んだ
『あああああうっ!!』
反り返った猿飛の背中が俺の身体を押し返してくる
浮いた細い腰を掴んでゆっくり動き始めた
猿飛の中は熱く濡れていて俺が与える振動に反応し蠢いている
『あっ・・はっ・・・うっっ・・・んんん・・・・』
入り口で先端を出し入れするとカリが引っ掛かりキュゥと締め付けてくる
その締め付けが気持ち良くて何度も出し入れする
思わず声が漏れた
その声で猿飛が薄く目を開けた。俺の方を見る。
眼鏡がないから見えていないはずなのに確かに視線が絡み合った
俺は嫌な予感がした
またアイツの名前を呼ぶかもしれない
例え熱にうなされたうわごとでもそれだけは許せなかった
(今お前を貫いているのはアイツじゃないぞ!俺だ!)
声に出される前に俺は猿飛の行き止まりまで突き上げた
『ああああんっ!』
俺の不安は艶かしい嬌声に変わった
そのまま闇雲に振動した
何度も何度も突き上げ、引き抜き、ぐりぐりとまわす
繋がった箇所に目をやると
どちらのものともつかぬ体液が粘膜の摩擦によって白く濁っていた
『はっ・・ああんっ・・や・・あぅ・・・』
その甘い声が表情が縋り付く腕が俺の脳で全て快感に変換されていく
変換された快感は速度を速め猿飛を攻め立てる
猿飛も熱く柔らかく蠢く肉壁できつく俺を締め付けてる
身体の奥から抑えられない衝動が駆け上がってきた
『・・・っ あやめ・・』
思わず名前を呼んでしまった
名前を呼ばれた猿飛はそれに答えるべく口を開く
『・・ぎ・ん『全蔵だ!』
俺は叫んでいた
はっきり目を開けた猿飛が俺を捉える
『・・・・ぜ・・ん・ぞ・・・』
『そうだよく見ろ!俺だ!全蔵だ!』
更に激しく打ち付けながら俺は言う
『ああっ!・・ぜんぞ・・・あぅっ!・・ぜ・・』
身体を倒し猿飛を腕いっぱいにきつく拘束する
(逃げないように 逃がさないように)
窒息させてしまうほど唇を塞ぎ舌を絡めた
『ああ!だめ!だっ!あああっ!いやぁ!いっ・・いっちゃ・・・あっ!全蔵っっ!!』
俺の名を呼びながら猿飛は最大の力の肉壁で俺を締め上げた
その声に安堵しその力に負けて俺は全てを吐き出した
(ん?)
意識が覚醒し始めるが目が開かない
(もう朝か?・・んー昨夜何時に寝たっけ・・・んーと・・あ・・ああーー!猿飛!!)
飛び起きた俺は独りで布団にいた
一瞬昨夜の出来事は夢かと思ったが、どうやら現実だったらしい
枕元には錠剤2錠と水と(バカ全蔵)と書かれた紙があった
その紙切れを手にとってにやける俺は本当にバカだと思う
(次会った時は手裏剣がとんできそうだな)
起き上がった頭は熱さを伴い鈍痛を訴えてきた
早速錠剤を口に放り込む 気のせいか飲み込んだ水は少し甘く感じた
(ハァ・・正月もやっぱ独りか・・・でも、ま、いいか)
結局俺はジャンプも読まず布団の中で満足しながら正月を過ごす事にした
終わり