――ヂッ‥‥ヂヂヂヂヂヂ‥‥‥ヂヂィ――ッ‥ヂヂヂヂヂ‥‥
『はぁ‥‥‥はぁ‥‥はぁ‥ぁ‥ぁ‥っ‥‥』
誰もが寝静まった静かな街とは裏腹に、ラーメン屋・北斗心軒の二階の寝室からは、今日も嬌声が聞こえる。勿論それは北斗心軒の女亭主、幾松のものである。
未亡人。そんな一度快楽を知ってしまった女に一生禁欲を貫くことが果たしてできるだろうか‥‥?
それは無理な話だと言っても可笑しくはないだろう。
肉棒に似せたそれを淫穴にねじ込むことは、もはや幾松にとって日課となってしまっていた。
――ヂッ‥‥ヂヂヂヂヂヂ‥‥‥ヂヂィ――ッ‥ヂヂヂヂヂ‥‥
『あぁ‥ぁ‥ん‥‥っ‥か‥‥つ‥ら‥‥っ‥‥もっと‥欲し‥い‥のぉ‥‥ぉっ』
それが震えるだけでは最早物足りなくなってしまったのか、幾松は陰核を乱暴に撫でながらそれを出し入れする。
愛液がとめどなく流れ出す。
グチュッ‥‥グチュッ‥‥グチュッ‥‥
(大吾‥ごめん‥私‥どうにかしてる‥‥)
そう思いながらも、桂を思いながら自慰に耽る幾松。
辞められない。辞めたくない。
(アイツが‥‥桂がこの店に来てから‥私どうしちゃったんだろう‥)
大吾が死んで数カ月の間は、体が疼くことはあったが、それはいけないことなのだと欲望を押し殺していた
ある日目覚めたら自らの手が陰核をさすっていた
陰核は勃起していた‥‥勿論乳首も。
気付けば大吾の名を呼びながら自慰に耽っていた
最初は指だけで事足りたのだ
しかし次第に物足りなくなり、鏡台に置いてあったスプレー缶を手に取り、それを挿入する。
それは大吾のものとは較べものにならない程小さく、すぐに飽きてしまった。
野菜、ペン、瓶。
身の回りの物で入れられそうなものは入れ尽くした。今となってはこんなものを入れている有様である。
大吾のものより大きいものを入れた事だってあった。
それでも満たされない。何かが足りない。
そんな時に、桂と出会ったのだった。
男らしいとは言い難い長い髪に細い体は、大吾とは似ても似つかない。
最初は、この男を好きになるなんて思ってもみなかった。
いつもの様に桂が店に来て、蕎麦をねだる。
いつもの様に夢中で蕎麦を啜る桂。
全てが愛おしく、その着物の下はどうなっているのかと、何度も思った。
その肉棒を見るだけで良い。見たところで更に満たされなくなりそうだが。
桂は‥‥そう思われてるだなんてひとかけらも思わないだろう。
幾松は、自分を恥じた。
恥じれば恥じるほど、快楽は増していく。そしていつもの様に、幾松は絶頂に達した。
桂と大吾に詫びながら。
『‥‥あっあっあっあっ‥‥あぁぁァアァッ!‥イクぅぅ!‥ご‥めん‥‥なさい‥っ‥‥はぁ‥はぁ‥』
その時、天井裏から物音がした
気配を感じ、起き上がる幾松。
『だっ‥‥誰だ!?誰かいるのか!?』
答える者などは無く、暫く無音の状態が続く。
‥鼠かなんかだろう、きっとこんな事をしていたから誰かに見られてたら事(こと)だとか思って、誰かがいるのだと勘違いしてしまったのだろう。そうに違いない‥と幾松は思った。
その時、天井の板が外れ、人が飛び降りて来た
勿論幾松は恐れ、おののいた。自慰を見られた事の恥を感じる暇などなく、ただ自分の身を案じた。
誰だ‥?私は‥私は‥‥どうなってしまうのか‥?私に恨みを持つ者が殺しに来たのだろうか‥‥それとも、ただの金目当ての強盗か。命が助かれば別に良い‥‥などと思っていた時に拍子抜けのする、聞き慣れた声。
『そんなに驚くな‥‥俺だ、桂だ』
黒い影はそう言い、部屋の明かりを点ける。が、しかし、幾松は先程まで自慰をしていたのである‥‥全裸で。
そして幾松の傍らには先程まで幾松の膣内で暴れていた、肉棒を模した物体。恥ずかしくない訳が無い。
ましてや今眼前にいる者を思いながらそれを膣内に入れ嬌声を上げていたのだ。
幾松は咄嗟にそれと一緒に毛布の中に隠れて怒鳴る。
『な‥何でお前が!?いつからいたんだ!?』
『お前じゃない桂だ』
『うっ‥煩いね!何の用だい、こんな遅くに‥さっさと用を済ませて出ていきな!』
『しかし幾松殿‥‥先程俺の名を呼んでたではではないか‥‥そっちから呼んでおいてそれはないのではないか‥‥?それに、中々可愛かったぞ。もう一度見せてほしい所だな』
『なっ‥‥いきなり何をっ‥?‥見ていたのか‥って‥ああっ!!!』
桂は幾松に近づき、幾松の体を隠していた毛布を取り上げる‥‥と同時に、幾松が握っていたモノを取り上げる。
『こんなもの‥‥俺のはこんなに小さくないぞ、幾松殿。随分と馬鹿にされたものだな‥』
と、鋭く幾松を睨みつける。
幾松は恐怖さえ感じた。が、その言葉を聞き、桂の肉棒を上下の口で知り尽くして仕舞いたいと思ってしまった。
それを桂は感じ取り、幾松に襲い掛かる。
肩を押さえ、唇に覆いかぶさり、吸う。
決して離さない。
幾松は、嫌、と言いながらも、それに答え、吸い返す。桂の舌が、幾松の口の中を侵していく。
答えようとしても、快楽が邪魔して思うように体が動かない。自分が感じている事、もっと感じたい事だけは確信できていた。
桂は、幾松の勃起した乳首を抓る。
『あぁっ!駄目っ‥』
『駄目と言うなら何故頬が紅くなるのか‥‥幾松殿は不思議な女だ‥』
幾松は、そう言われたせいで余計顔を紅くする。
コリコリとリズム良く抓られると思ったら、急に強くなったり、ゆっくりとなったり‥‥つまり、執拗であった。
その度に幾松は、駄目だとか嫌だとかの否定的な言葉を繰り返したが、勿論それは気持ち良いという意味なのだと桂は知っていた。そう言った瞬間を桂は逃さず、そう言った所だけを繰り返し攻め続ける。
まだ何も触れられていなかったが、指で少し触れただけでも、きっと達してしまうであろう程、既に幾松の花は蜜で溢れていた。
幾松の下の口が一番欲していたものは、勿論桂の肉棒であった
だからこそ桂は敢えて指すら触れない
が、しかし、桂とて挿れたくない筈が無い。既に桂の肉棒は大きく反り上がり、熱を発し、先端からは少しずつだが雫が垂れ始めていた
背中に手を回し、体温を伝え、耳を舐め回したりしながら、きつく抱きしめる‥‥わざと、桂の肉棒が脚などに当たる様に。
幾松にはそれが堪えられない。布越しだが、熱や形は確かに伝わり、幾松の脳内で増幅する。
舐めたい。
ただ、舐めたい。
普段は強気勝ち気の幾松だが、床に入るとやはり女である‥‥つまり、攻められてしまうのである。そんな"女"が自ら"舐めたい"と‥‥つまり、攻めようと思うのは、余程の事だからだ。
幾松は小さく、舐めたい、と呟いた。
桂はその言葉を聞き逃しなどはしなかった
その言葉は桂のシナリオの中にきちんと入っていたからだ
これからどうするかということも、勿論組み込まれている。
桂はニヤリと笑い、抱きしめるのを止め、立ち上がる。しかし、それだけであった。
桂は、幾松が自ら服まで脱がせてくる事を言葉にこそ出さなかったが、明らかに望んでいた。
大吾はこんな事を仕向けるような男では無かった。
その為幾松には羞恥心が芽生えたが、最中それすら欲望を増すものとなってしまっていた
幾松は、貪りつく様に帯を解き、褌を剥ぎ取る。眼前に現れた桂の陰茎は、太く長いのは勿論の事、美しかった
幾松は暫く、涎を垂らしそうな顔で陰茎を見つめ、吸い付けられる様に口に容れた。些か苦かった様だが、気にも止めずに無心に吸い、舌を転がし、柔らかい手は自然と陰茎に添えられ、巧みにさする。
まるで獣である。淫獣とでも呼ぶべきであろうか。もっとも、何年も心の奥で欲していた男の味であるから、こうなって当然なのかもしれない。
桂は、幾松に皮肉をこめて語りかけた
『幾松殿はこれがそんなに好きだとは思わなんだな‥‥旦那にもこのような事を毎晩やっていたのか?幾松殿。中々上手いぞ』
『んっ‥んっ‥んっ‥んっ‥』
『ハハハハ、随分と淫乱だな、幾松殿は。好きなだけ舐めて良いぞ!そんなに俺のが美味しいのか?ん?』
『んっ‥おい‥ひ‥い‥‥む‥‥んんっ‥』
幾松は心なしか、笑ってる様にも見える。
桂はといえば、中々上手い等と強がっておきながら、実は相当感じていたらしく、少しすると立っているのも苦しそうな顔ではぁはぁと息を荒立てながら、震え出した。
『幾松殿っ‥‥あっ‥いぃ‥いぃっ‥い‥イって‥しまいそうだ‥‥中に‥出‥して‥良‥い‥か‥‥?』
『‥‥‥』
幾松は何も答えない。幾松は桂の様子をみて、内心悦び、しかしそれは露にせずに、そして更に激しい愛撫をした。
『‥‥あっ‥あっ‥‥だ‥出すぞぉぉ幾松殿ぉぉあぁぁあうぅっ!!!』
先程のそれが余程堪えたのだろう、桂の陰茎から大量の精液が溢れ出す。しかし幾松は一滴も残さずに、飲み込んでしまった。
『幾松殿は‥本当に淫乱だな‥』
桂は、幾松の髪を撫でながら言う。
『えっ‥だ‥だって‥美味しいから‥いけない‥‥』
幾松は我に帰り、本能の侭に桂の陰茎をくわえた咥えた事を今更になって恥じ、顔を赤らめ、目を反らした
『何が‥美味しいから、って?』
『その‥その‥‥えっ‥と‥』
『んん?』
『お‥ちん‥ちん‥が‥っ‥』
『それを…次はどうしてほしいだ、幾松殿?』
『えっ‥‥と‥な‥‥なかに‥入れて‥ほしい‥‥』
『それだけじゃわからないな』
『お‥まん‥こ‥に‥』
『んん?』
『桂の‥大‥きなお‥おちんちんを‥私のお‥まん‥こに‥入れてほしい‥‥』
『それはどんなおまんこなのだ、幾松殿?』
『淫乱な‥お‥おまん‥こ‥』
『よし、よく出来たぞ幾松殿』
そう言うと再び桂は幾松の髪を撫で、優しい接吻をし、抱きしめた。幾松は大吾の事をふと思いだし、罪悪感に駆られもしたが、これからずっと求めていた男根が遂に挿入ってくるのだと思うことで、安堵感も芽生えていた
桂はそれらしい雰囲気を幾松から感じ取っていた。だからこそ、桂は幾松に意地の悪い事ばかりをする。
『しかし幾松殿‥‥俺には幾松殿がどの辺を攻めて欲しいのか等が全く解らないのだ‥‥
幾松殿‥‥是非どの辺が気持ちいいのかを教えてほしい』
『?!』
幾松はどういう意味なのだ、とでも言いたい様に首を傾げた
『それって‥‥どういうこと‥‥』
『先程、幾松殿は自らの手で達していたではないか‥それをもう一度、今度は私の前でしてほしいのだ』
『なっ‥なんでいきなり!!恥ずかしいじゃないか!!』
『しかし幾松殿は俺が好きなのではなかったのか‥』
『いや‥そういう‥訳‥じゃ‥ない‥けど‥‥』
『やってくれるな‥?』
幾松は、暫くだんまりとした後、自らの陰核に手をのばし、愛撫を始めた。
――クチュッ‥‥ヌチャッ‥‥ヌチャッ‥‥
初めこそはぎこちなかったものの、次第にいつもの様な手慣れた手つきになっていった。
絡み付くような桂の視線が、幾松の心をより高揚させた。
幾松の息は次第に荒くなり、桂がふと呟く
『気持ち良さそうだな幾松殿‥‥すごく濡れている』
『‥恥ずかし‥そんな‥ことっ‥言わな‥いで‥』
『ぐちゃぐちゃだ
‥俺が手を加えるまでも無いであろう程にな‥』
『や‥いつまで‥見てるの‥は‥はぁ‥早‥く‥欲‥しいぃ‥』
もう限界だ、と幾松は涙目で訴えた。
桂も限界であった。桂は、いきなり幾松の手を除けて、陰核に吸い付き、勢いよく指を二本膣内に挿入し、中を激しく掻き混ぜた。
『ああぁァアあぁあっ!!!い、いやぁぁぁぁぁっ!!!イクうぅぅぅ!!!イッちゃうぅぅぅッ!!!』
幾松は思わず叫んだ。しかしそれでも桂は執拗に吸い続けた。膣壁はヒクヒクと痙攣しながら、桂の攻撃に答える様に、桂の指を締め付けていた。
『気持ちいいよぉ‥‥あっ‥あっ‥あんっ‥‥はぅっ‥はぁっ‥‥』
その間も幾松殿の嬌声は、止むことを知らないかの様に絶えず部屋じゅうにこだました。
ヌチャッ‥ヌチャッ‥と、蜜の立てる、独特のいやらしい音と、牝の匂いが桂の本能をより刺激させた。
二、三分程経っただろうか。
突然幾松は叫びだし、達した。
『‥あっ‥あっ‥あっ‥‥!!!!!!ああぁァアぁアッッ―――!!!!』
――シャァァァァァ‥‥‥‥
桂の執拗な攻撃に耐え切れなかったのであろう、ふと幾松の中の何かが切れ、黄色い液体が溢れる様に噴出してしまったのだった。
我に帰ったときにはもう遅く、布団の上には黄色い染みが、大きく円を描いていた
それは湯気と独特の匂いを発した。
『あ‥‥‥っ‥‥』
桂の顔と手は、びっしょりと濡れていた
『ご‥ごめんなさい‥!そんな‥汚いもの‥』
幾松は咄嗟に起き上がり、桂の元に顔を寄せ、ばつの悪そうな顔で詫びた。
桂は手に付いたものを舐めながら、言った。
『狡いぞ‥‥幾松殿ばかり気持ちいい思いはさせん』
『え‥‥っ?』
『お仕置きだ、幾松殿』
桂は粋なり幾松を抱き上げ、対面座位の姿勢に持ち出そうとした
かつて幾松が大吾と身を重ねていた時、それは決まって正常位であった
故に、幾松はどうして良いのか些か戸惑った
『可愛いぞ‥幾松殿‥』
桂は、更に続けた。
『もしや‥座位は初めてなのか?幾松殿』
しまった、という感じで顔を赤らめながら幾松が答えた
『だ‥だって‥大吾は‥あの人は‥こんなこと‥してこなかったしっ‥』
不意に幾松の口から出た、"大吾"の名。
――そうだ。かつて幾松殿はその男に身を委ね、達していたのだ。
俺は‥俺なんかは‥言うなればただの間男ではないか
桂の心が、チクリと痛んだ。
そして武士故の闘志というべきだろうものが、沸々と沸き上がった
最初は、"ただ愛する人の感じる顔を間近に見たい"といった、まぁ有りがちな理由からだったのだが、桂は
『ほう‥その"大吾"殿とやらはこのような事をしなかったのか』
『だ‥だってあの人は‥その‥普通だったし‥その‥き‥気に障ったら‥ごめん』
『フッ‥"大吾"殿は惜しい事をしたものだな‥それに今となっては別の男とこうして交わっているのだ‥さぞかし"大吾"殿は悲しむであろう』
そう言うと、桂はクスクスと笑いながら、幾松の中に自らの肉棒をゆっくりと挿入れた
『い、いやゃぁぁぁああぁっ!?!?』
『どうだ‥‥?見ろ、幾松殿‥繋がっているぞ』
『あっ‥やっ‥恥ずかし‥っ』
そう言いながらも、幾松は結合部に目を遣る。
――繋がっている‥桂と‥すごく‥太い‥
桂は、最初はゆっくりとしていたが、段々と下から突き上げるような激しいピストン運動になっていった。
幾松は、桂の肉棒が段々と熱く、太くなっていくのを感じた
快楽に耐え切れず、幾松は体を大きく反らそうとする。桂はそれを抱きしめて、自らの体に引き寄せる。
『結構‥締まっていて良いぞ‥幾松殿‥』
『あっ‥あっ‥気持ち‥いい‥よぉっ‥はぁっ
もっと‥奥‥まで‥欲しい‥よおっ‥!』
桂は幾松の顔をしかと見つめ、軽く口づけをした後、言った
『可愛いぞ‥幾松殿‥』
すると桂は幾松を挿入れたまま抱き上げ、鏡台へと向かった。
『どうだ‥随分といやらしい顔をしているじゃないか幾松殿は‥本当に‥可愛いぞ‥』
すると桂は、幾松が、自らの顔が見えるように馬のポーズにさせ、何も言わずに後ろから突いた。
『あぁぁぁんっ!!』
『幾松殿‥自分の顔を見ろ‥幾松殿は先程こんな顔をしていたのだぞ‥?可愛いと言わない方が無理があるではないか‥』
幾松は恥じた。その為に余計濡れた。
『先程より随分と濡れているぞ‥幾松殿‥はぁ‥はぁ‥‥そ‥そろそろ‥俺はイきそうなんだが‥』
『待って‥抱いて‥二人で‥イこ‥っ‥』
そして二人はその場で共に横になり、正常位の姿勢に入った。
『あっ‥あっ‥んっ‥あんっ‥い‥いいよぉ‥あああぁっ‥イッちゃううぅっ!!イッちゃうよおおぉぉっ!!!』
幾松は、挿入れるやいなや、桂に強くしがみつきながら達した。
程なくして桂にも波が押し寄せた。
『あっ‥あっ‥幾松殿‥イっ‥イクぞ‥幾松殿っ‥幾松殿っ‥はぁっ‥はあっ‥』
『‥中に‥中に出してぇぇっ!』
『だ‥出すぞ‥幾松殿‥はぁっ‥幾松殿っ‥幾ま‥あァアあァッ―――!!』
――ドピュゥゥゥッ!!!
幾松の膣内で、熱い精液が溢れた。
桂は幾松を強く抱きしめた。暫くの沈黙が続いた。
外はもう夜明け頃といった感じで、空は白み始めていた。
二人の吐息だけが、部屋に響いていた。桂は、ふと幾松に目を遣り、言った
『なぁ‥幾松殿‥もし‥俺が死んだら‥悲しむか?
仮に死んだとして‥変な事を聞くが‥他の男と寝たり等するか‥?』
『‥馬鹿‥っ』
そう呟き、幾松は桂の頬にキスをした。
―――END―――