「!?…そ、そ、そよ様ぁっ!?」  
―夢に違いない。  
そうだ夢だ。これは夢だ。絶対夢だ。起きたら妖刀から美女が…じゃねーよ!よーし落ち着け俺ぇぇっっ!!  
って…切腹かこれぇぇっっ!!  
 
 
「ここに来る?」  
いつもの様にくわえ煙草で尋ねる土方。  
「うむ。そよ姫様にも息抜きが必要なんだろう。おそらく…お父さんを嫌がって」  
またお父さんんっっ!?と心で突っ込んだが、  
「まぁ前みたいに家出されるよりはましか…」  
と思い直す。  
「で、お姫さんこんなとこで何をしたいってんだ?」  
「とっつぁんは、姫様に話相手を…とか言ってたな〜いやあトシ!上手くやれば逆玉の輿かも知れないぞ!俺はお妙さんがいるからダメだが」  
あんた相手にされてねーだろ。  
しかもそんな上手くいってない近藤さんの‘上手くやる’は、一体何のことを指して上手くいくっつてんだか…。  
「…はぁ…」  
溜め息と憐れみと同情と煙草の煙をあわせて吐き出す。  
「あっ!お前が嫁いだって、お前は真選組の永久欠番メンバーだから安心して嫁げ!」  
「嫁ぐかぁぁっっ!!しかも欠番メンバーってなんだよ!!意味わかんねぇよ!!」  
 
 
「あの…」  
「なんですかィ?」  
机に頬杖をついて、パラパラと雑誌をめくりながら答える沖田。  
「お名前…何てお呼びすればいいですか?」  
「マヨネぃ〜ズで」  
「マヨネーズサン?素敵なお名前ですね」  
明らかにふざける沖田に静かに微笑むそよ姫。  
そよ姫の言葉とは裏腹に、沖田と2人でいるこの空間―素敵どころかきっと覗いて見ている人がいたら最悪だろう。  
「その本は何が書いてあるんですか?」  
「エロ本って言いましてねェ…ま、姫さんにはつまんねぇ本でさァ」  
っつか、この状況でそんな本を見続ける沖田もおかしいこと極まりない。  
「エロ?また知らない言葉が増えました。何ですかそれ?」  
「男と女の情交って言えばわかりやすか?」  
いやそれ説明間違ってる!それエロ違う!  
「うーん…じいやが言ってた‘せっくす’のことですか?」  
「あらら、姫さん…したことあるんですかィ?」  
「いいえ…ないです。ただ…じいやが隠して持ってたDVDを見た時に少しだけ教えてくれました」  
「ふーん…」  
「…今日は我が儘を言って城下に来ました。マヨネーズサン…良かったら…教えてくれませんか?私、普通の女の子みたいになりたいんです」  
 
「普通の娘はSMなんてしやしませんぜ。俺が調教ならしてやりますがねィ」  
「えすえむ?ちょうき…?って何ですか??」  
おそれ多くて誰も言わないであろうことを平然と次々に言う沖田に興味津々なそよ姫。いやもうやめた方がいいって!そよちゃぁぁんっっ!!でも進むのであった。  
「興味ありやすか?」  
「ええ、とっても」  
 
 
隊服のスカーフで両手を1つに縛られ、畳に横たわるそよ姫。  
「声あんまり出さねェでくださいよ?めんどくせェヤツが飛んで来たら嫌なんで」  
めんどくせェヤツ―沖田曰わく土方のことだろうが。いやしかし誰だって飛んでくる状況である。  
山崎だってカバディの怪しい呟きと動きが止まるだろう。  
いくら了解したとはいえ、いくら年が近いとはいえ、2人は恋人同士な訳でもなく…江戸を護るべき警官とその国の大切な姫君様だ。  
禁忌的なことをしようとしている―なんて常識はこの2人には皆無な話で。  
「はい、大丈夫です…あの…痛くなさらないでくださいね…DVDは何だか痛そうだったから…」  
じいやどんなの見てんのぉぉっっ!!  
「ワガママ言いやすねェ…これだから女ってのは面倒でいけねェや」  
―決してVS男がいい訳ではない。断じて。つーかホモは却下ぁっ!!  
 
沖田が上着を脱ぎ、そよ姫に乗りかかる。  
初めて感じる男の体重の予想外の重さにピクリと身体を震わせる。自分の首から肩にかけて、目の前の男の指が触れる。  
「…!」  
その手は帯を取り着物を乱れさせる。肌が露わになり―誰も触れたことがない胸元に指を這わす。  
「ゃ…」  
「…やめませんぜ?」  
不意に身体に感じた生暖かく柔らかく、この上なく気持ち悪い様なその感触。片手で胸を掴み、その先端を男の舌がまとわりつくように動く。  
胸を下から上へ舐めあげる度に、自分の顎から首筋にあたる少し長い沖田の前髪がくすぐったくもあり―同時にそよ姫の背筋をゾクゾクさせた。  
「…は……っ…」  
熱い吐息とたまらなく仰け反る身体を抑えられず。膝頭を合わせて軽く腰が床から離れる。  
「姫さん…腰浮いてやすぜ?ふーん…教え込んだら反応良さそうだなァ」  
「…腰?…ダメ…です…か…?」  
「悪くねェ。素直な姫さんで俺ァ嬉しいや」  
 
臍辺りまで唇を動かす。あちこち舐めて赤い痕を散らしていく度にビクビク反応するその無垢な身体。  
初々しい身悶えがたまらなくて。悪戯で終わりそうになくなってきた。  
「…っ……んっ…」  
太腿の内側に舌と指を這わすと、両足に力が入りまた仰け反る。  
言った通りに声を我慢する姿が何だか沖田にはおもしろくなくて、太腿から唇を離し足首を掴み持ち上げる。  
「…?…ゃ…あっ!!」  
その白く細い足首に噛みついた。それは甘噛みと言えるほどに優しくもなく遠慮もなく。  
つ、と赤い線が足首から伝う。  
「…っっ…いたくしちゃ…ゃです…」  
チクリとした激痛に、縛られた両手を口元にあて声を抑える様に言う。  
―そんな姿に沖田のS心が欲情してしまう。  
流れ出た血をペロリと舐め、また噛みつく。  
「いっ…つ…おねがい…です…っ…」  
「聞けねェなァ…そのお願いは」  
いつの間にか、そよ姫の股間にあてがわれた指が茂みを掻き分け秘部に強引に割って入った。  
「あああっ…!」  
初めての膣内の異物感にたまらず声があがる。決して気持ち良い声ではなく苦痛に似た声。  
「やっぱ姫さん育ちがいいや。濡れるとこはしっかり濡れてらァ」  
「…ぬれ…る?…はぁっ……ああっ…」  
慣れない指の出入りにためらいながら…口からは吐息が自然と漏れる。  
いつか見たDVDから聞こえてきたのと同じ声がどこかでする。  
それを発してるのが自分だと自覚すると、そよ姫は急に羞恥心に捕らわれて足をバタつかせた。  
「あれ?自分が何されてるか分かったってか?止めねェ、って言ったよなァ…んなに俺ァ優しくねェんでさァ」  
一層指が激しく動き、一層グチャリとした音が響き、一層恥ずかしくなる。  
「ゃ…だ……あぁっ…」  
縛られたままの手で高揚した顔を覆うが、簡単に沖田の片手に掴まれて寝たまま万歳の格好になる。  
更なる恥ずかしさと得体の知れない快感に思わずぎゅっと目を閉じる。  
自分の中で自由自在に動いていた指の感触がなくなり、代わりにまた知らない熱い異物感が貫いた。  
「ん…ぁ…ああぁあっ!?」  
「声出すなって言っただろ?それとも…見ず知らずの男に感じてんのかィ?」  
前触れもなく先程の異物が膣奥を突く。  
指よりも中いっぱいにぎゅうぎゅうと押し入ってきて…とても熱い。  
突き上げられる度に、痛くて熱くて痛くて涙がそよ姫の頬を濡らす。  
 
「泣くほど嫌がられたらたまんねェなァ」  
でも下半身は素直に濡れきて異物を自然と受け入れ…締め付けに変化していく。  
「…はっ…はぁっ…あん…っ…ふっ…」  
「鳴き声もいい感じになってきたなァ」  
――感じてる…?わかんない…けど…なんだかこうされるのはイヤじゃない…むしろ…もっと…もっと――  
そんなそよ姫の気持ちを身体から読み取ったのか、沖田が呟く。  
「姫さん…あんた…飼ったらおもしろそうだなァ」  
「…んっ…か…う…?…あっ…!」  
激しく抽送を繰り返していた異物がまだ奥があったかと言わんばかりに、最底を突かれた拍子に身体がビクッと痙攣して  
―そよ姫は初めての異物に、初めて絶頂し頭の中が真っ白になった。  
きゅう…っと膣内が収縮する。  
「俺も…っ…」  
さらに動きを増すその振動に、初めての絶頂の後の敏感になった膣は耐えきれないようで。  
逃げてしまいたかったが腰を押さえつけ固定されて、ズンズンと突き上げられるその快感とも不快感とも形容し難い感触に―沖田の放つそれを膣内で受け止めるまで―そよ姫は悲鳴や叫び声に近い声をあげ続けた。  
 
 
「…何だかまだ頭がフラフラします」  
「そりゃ初めてだし…まぁそうだろなァ」  
上着を整えながら沖田が言う。  
「フフ…でも…良かったです。お城では…マヨネーズサンみたいに私に触れる人なんていないもの」  
少し寂しそうに笑うそよ姫。  
その笑顔が何だか苦しくて、思いついた様に沖田が口を開く。  
「…あ、もう1つ、普通の女の子を教えてあげまさァ」  
その言葉に、寂しそうな笑顔は消えて可愛い笑みが浮かぶ。  
「何ですか??」  
 
 
屯所内を散々探し回ってようやくそよ姫を見つけた土方。  
「っって総悟ぉぉっっ!!てめェ…よもやそよ様に何にもしてねーだろうなぁぁっっ!?」  
「大丈夫でさァ土方さん。姫さんに何かあったら切腹だろ?」  
「あったり前だ!!そよ様…こいつに何にもされてないですか!?」  
本当に心配そうな土方。  
ほら行きな!と、そよ姫の背中を軽く叩く。  
 
 
マヨネーズサンが最後に教えてくれたこと。  
――今から来るヤツに抱き付いて口付け迫ってみな?姫さんの初‘ちゅう’は俺なんかより、そいつのが普通の女の子らしく姫さんの思い出に残りやすぜィ――  
 
 
 
〈終っわり〉  
 

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