家に帰ると、見慣れたマイ煎餅布団で2人の女が一糸纏わぬ姿で寝ていた。
なに?酒池肉林ハーレムかこれ?
寝起きドッキリバックリ?
隠しカメラとか仕掛けてあんの?
襲えコノヤロー!と言わんばかりで。欲望に素直に従い襲っちゃっても罰は当たんねーんでしょーか、神様仏様バベルの神様…。
時は遡り――inスナックお登勢
「あんたいい加減にしなよ?」
フゥーと煙草の煙を吐き出し、目の前の女に言う。
「だって!銀さんたら約束したのに放置プレイよ!?どこまで喜ばせるつもりなの!ねぇ!」
本当に約束したかは不明だが。
「知るかいぃぃっっ!銀時なら、今日は帰らないっつてたよ。」
「え!?何それ!朝までちゃんと待ってるか、私を試してるのね!そうなのね!?応えるわ!銀さん!」
お登勢は赤い縁の眼鏡をかけた、赤い顔の女に何度目かの溜め息をついた。
万事屋に登る階段で銀時の帰りを待っていたさっちゃんに、持ち前の親切心でついうっかり声をかけてしまい、今に至る。
「ったく…そんなに飲んで…あんたお金持ってんだろうねぇ?」
「ああ、お金なら服部にツケといて」
「服部って誰だよ!!」
スパーーーン!と気持ち良く扉が開き、
ピシャッ!と扉が閉じられ、1人の女がそこにいた。
「おいぃっっ!扉いたわって開閉しろぉっ!」
「ごめんなさい。ちょっとゴリラ殺ってきたから…追っ手にから逃げて慌ててアジトにきちゃったの」
「きちゃったのじゃねぇぇっ!そしてここはアジトでも犯罪者の隠れ家でもねぇぇっ!」
怒鳴るお登勢を物怖じもせずニコニコ笑うその女―お妙であった。
「あら?隠れたのに隠れ家にもストーカーがいるわ」
「隠れ家じゃねぇっつてんだろーが!!」
酒の入ったグラスをカウンターに置き、さっちゃんは扉に視線を向ける。いや睨む?
「何それ?私が銀さんのストーカーだとでも言いたいわけ?あなたのゴリラと一緒にしないでくれるかしら?」
「私のゴリラじゃありません。見ず知らずのゴリラですぅ」
見ず知らずのゴリラを殺って逃げてくるのも如何なものか。
は、さておき…
さっちゃんとお妙―この2人、ヒロイン争奪戦以来何だか険悪なムードが漂っていた。
良からぬ予感―悪寒かも知れない―がしたお登勢が口を開く。
「あーもう!商売の邪魔だから、隠れたいなら2階にでも行っといてくれ!犯罪者もストーカーも神聖なスナックにはいらねーよ!」
ヒョイとお妙に万事屋の合い鍵を投げる。
合い鍵―何だかいかがわしい響きだが、銀時とお登勢が鍵を交換するような仲な訳ではない。大家だから持っているだけだ。多分。
「なっ!!銀さんの帰りをお風呂で…しかも裸で待つつもりなのね!?そんなことさせないわよ!」
「そんなの湯冷めして風邪引くわぁぁっっ!もう早く消え去れぇぇっっ!」
煙草片手に怒鳴るお登勢の指示通り、万事屋に上がる2人。
「あら〜いつまでいるのかしら?私と銀さんの愛の巣に」
「あら?いつからここは胸がまな板な女の廃の巣になったって言うの?」
一昔前の漫画なら、火花がバチバチと飛び交う背景効果だったに違いない。
「大体、あなたみたいな処女に銀さんが興味を持つはずないじゃない!」
いや、男ならある種興味津々かも知れないぞ、さっちゃん。
「牛乳搾れそうな乳女にそんなこと言われたくありません」
「悔しいなら触りなさいよ!ほら!乳搾ってみなさいよぉぉっ!ってホントに出たら興奮するじゃないのぉぉっ!」
むんずとお妙の手を取り、自分の豊満な胸にその手をあてがう。
「やーね、欲求不満な女は誰に触られてもいいのかしら?」
菩薩の様な微笑みに不似合いな怒りマークが額に浮かぶ。
「んなに揉んで欲しいなら揉みしだいてやるわぁぁっっ!」
両手で両胸をがっしと掴み揉み上げる。
やわやわやわ…
「下手ね…そんなじゃ銀さんを満足させるなんて出来るわけないじゃない!私がやってあげるわ!」
さっちゃんは素早くお妙の着物の間に手を滑りこまし、下から持ち上げる様に揉み、突起部分をきゅうと摘む。
そしてそのまま爪先で先端を軽く引っ掻く。
「…いっ…」
「やだ!このくらいで乳首固くするなんて…もっとやりたくなるじゃないのぉぉっ!」
ドジでもMでも眼鏡がないと明日が見えなくても、さっちゃんはくの一らしく俊敏な手つきで、お妙の着物をあっという間にはだけさせる。
さっちゃんには劣るが、可愛らしい手のひらサイズの胸が露わになる。
すかさず先端を口に含む。
舌を這わせ、時折歯を立てながら、チュッ…とわざと音をさせて吸い上げる。
もう片方も手でグイグイと揉みしだく。
「あっ…ぃっ…」
快感には逆らえず、お妙が喘ぎ始めた時―ダメよ!と言わんばかりに唇を塞ぐ。
唇を丁寧に舐め、ゆっくりと舌を絡ませていく。
「…ふ…ぅ…ぅっ…」
切なくお妙から声が漏れる。
「ふふっ…こっちの口も感じてるのかしら?」
足の間に割り込まれる手。
クチュ
女同士、勝手知ったる身体の性感帯。
クチュクチュ
指先を中に挿れ、それぞれバラバラに動かして音をたてる。
「お妙さん…指、何本か分かる…?」
ふるっと首を横に振る。
「わかんないくらい濡れてるのね…やらしい女…」
弄んでいた3本の指を根元まで押し入れる。
「ゃあっ……ゃっ…あっ……」
さっちゃんの指に反応する様に声が自然と出る。
「うふふ…イかせてあげる…」
もう片手をぷくっと膨らんだそれに当て、秘部から溢れ出る密を塗り付けるように擦る。
「ひっ…」
同時に挿入した指はどんどんと奥に進み、激しく出たり入ったりする。
「ん…やめなさ…い…よ………ああんっ!」
嫌がっても欲情し始めた身体は甘く痺れ、たまらずさっちゃんに抱き付く。
「あらもう限界?」
ビクビクッと身体を震わせ、果てるお妙。
「…っ…何さらすんじゃ!ボケェッ!!」
さっきまでのよがり具合は一気に興醒めだ。
「ねぇ…今度は私を気持ち良くさせてちょうだい…お妙さん?」
眼鏡の奥で勝ち誇った様に笑うさっちゃんに何だか負けた様で。
「じゃあ、床に行きましょうか」
引きつる笑顔で奥の部屋にずかずか入る。
「じゃ…口で舐めて貰うゾ?」
さっちゃんは布団に寝転んだお妙の顔に跨る。
いつものMっぷりはどこへやら。
何だか甘い香りのするさっちゃんの秘部。ソッと指で割れ目を開き、見せ付けてくる。
「わ、わかったわよ!」
ぴちゃ…
経験はないが、きっとここよね?と思うところへ舌を当てて舐める。
「…ぅうん…はぁ…そのまま…吸ってぇっ!」
吸うって何じゃい!!
とお妙の頭をよぎるが、先程簡単にイかされてしまったのが悔しいらしく、ムキになって何となく吸ってみる。
「あぁっ…気持ちいいっ…もっとぉぉっっ!激しくぅぅっ!」
エスカレートするさっちゃんにつられ、お妙の吸いっぷりもエスカレートする。
「お妙さん…舌遣いはなかなかじゃない…!この私が気持ちよくなるなんてぇっ!」
何だか1人の世界に片足を突っ込んでる様なさっちゃん。
「…はぁっ…イくわよ…?止めないでぇぇ!」
自ら腰を振りながら悶えている。
「ああ!もう…だめ……銀さぁぁんっっ!!」
いない人の名を叫び、さっちゃんも―簡単に果てた。
それから2人で、何度イかしイかされあったか。
溢れる密でぐちゃぐちゃに股を濡らして口付けを交わし、身体を擦り付け指を入れ合い、その濡れた指を舐め合い…なんてめくるめく快感の旅に出たりなんかしたりした。
「お妙さん…思ったより淫乱なのね」
ちゅう…と口付けしながら言う。
「それ枕だから!」
「あら、ごめんなさい。じゃ改めて…」
ちゅうぅ…
「だからそれ私の下着だから!眼鏡かけろこのボケェッ!」
何だかんだで夜が明け朝になった。
――で冒頭に戻り
「おいおい、2人して銀さん誘ってんですかコノヤロー」
ニヤつき近付く銀時の足が動かなくなる。
「この泥棒ぉぉっっ!」
言葉の通り、泥の棒かも知れない男の足首を掴み、一瞬の間に殺し屋モードオンなさっちゃん。
「ぎゃあぁぁっっ!!」
赤い縄紐でぎっちり亀甲縛りにされ天井から吊される銀時。
「あれ?何で殺し屋モードになってるの?私?」
寝ぼけていたらしく1人呟いてから、もそもそとお妙の胸に顔を埋め布団に潜るさっちゃんの顔に当然の如く眼鏡はなかったのであった。
〈終わらす〉