やばい。とてもやばい。  
さっちゃん人生で一番のピンチかも。  
銀さんに甘いお菓子でもプレゼントしようと買い物に出かけたら、高杉率いる一派に誘拐された。  
近道しようと細い路地裏に入ったらスタンガンっていうからくりで後ろからやられた。  
その後に後頭部をおもいっきり殴られて気絶。  
迂濶だった。銀さんのことで頭がいっぱいだった私は対処できなかった。  
 
目覚めたら手足を縄で縛られ、身動きができないようにされていた。  
念のため持っていたクナイや手裏剣はもちろん取り上げられていた。  
目の前には高杉。  
「よぅ、目覚めたみたいだな女。」  
「た、高杉ねあなた……」  
「ふん、俺の名前知ってたか。さすが元お庭播州だな。」  
「あら、そんなことしってるなんて。」  
「それだけじゃない。お前が好きなヤツも知っているんだぜ?  
 俺にとって邪魔で、憎たらしいヤツだ。銀髪の天パー見るだけで腹が立つ。  
 坂田銀時。」  
(!? まさか銀さんのこと?)  
余裕ぶった態度をしていたけど、銀さんの話になると思わず感情が高ぶってしまった。  
 
「おい、聞いてんのか。」  
危険人物との接触は多く、元来冷静なさっちゃんの背筋を冷たいものが走るような声で男は言った。  
銀時の名前を出されて狼狽し、目の前の男の存在を忘れてここにはいない銀時に気をとられ、  
どこか遠くを見ていた彼女の顔を高杉は細めた鋭利な眼差しで覗き込んでいた。  
その口許には、くノ一は見慣れてしまっていたが人を平気で殺せる人間特有の嫌な笑みが浮かんでいた。  
――今までに見てきた、そういった人間の内でもこの男のものは特に狂気めいていたかも知れない。  
「……聞いてるわよ、でもあなたには関係なッ……ぁう!!」  
動揺を感じさせない低い声でさっちゃんは言葉を返そうとしたが、いい終えない内に言葉は小さな悲鳴へと変わった。  
艶のある青紫の髪を掴まれ、床に勢いよく倒されたのだ。衝撃と床の冷たさが頭に響く。  
「口答えできる立場だと思ってんのかィ?クク……。」  
静かな口調で、僅かな嘲笑めいた声を含めて高杉は女を見下ろしながら威圧的な言葉を零す。  
髪を強く握ったまま頭を持ち上げて、女の肉感的かつしなやかな肢体に跨る。  
そして愉悦の色を湛えた端正な顔を、歯噛みするさっちゃんの顔に限りなく近づけて言った。  
――…いや!銀さん……銀さん、私……!――  
「おい、女。どこ見てる……ここに銀時はいねェぞ。」  
危険な状況にいてもなお銀時のことばかり考えているさっちゃんに苛立ったようでいて、  
しかし彼女の屈辱感を愉しむような調子で高杉は彼女のどこか焦点の合わない瞳を見つめながら言葉を紡ぐ。  
想像できる以上の恐怖が待ち受けているような予感が、さっちゃんの脳裏を支配した。  
 
(銀さん……助けて……!)  
心の中で叫んだが、声は出せなかった。なぜなら高杉の指が無遠慮に、口腔に押し入って来たからだ。  
「……っう、んぅ……っ!」  
「いいぞ、もっと啼け。俺を酔わせろ」  
高杉はさっちゃんの顔に自らの顔を近づけ、ふっ、と怯える頬に息を吹きかけた。  
ビクッ、と全身を震わせたさっちゃんを見下ろし、冷酷な微笑を浮かべた。  
愉悦に浸るその表情は、さっちゃんの胸に更なる恐怖の火を灯す。  
(嫌……銀さん……っ!)  
「声を上げてもいいぜ。どうせ誰も来やしないんだからな」  
高杉は余裕を滲ませた高慢な声でそう言って、さっちゃんの口から手を引いた。  
粘っこい唾液が糸を引き、高杉の指先からさっちゃんの頬に滴る。  
恥ずかしい……!  
さっちゃんは赤面しながら、涙目で、自分の上に跨がっている高杉を睨み付けた。  
「あ…あたしに何かしたら、銀さんが黙ってないわよ……っ!」  
そうよ、銀さんが必ず助けに来てくれる……!  
そしてこの男を……!  
「……ククッ」  
「何がおかしいのよ!」  
笑う高杉を、さっちゃんは更に強く睨み付けた。  
だが、笑い声は静まるどころか、薄暗い倉庫の中に高らかに反響し始める。  
「銀時が駆けつける、か。面白い。呼んでみろ」  
「な、何ですって……!?」  
「あいつとはいずれ戦り合わなければならないと思っていた。面白い、呼んでみろ」  
高杉はさっちゃんの顎をつかみ、開いた唇に強引に口付けた。  
「……んぅ…っ!」  
生暖かい舌が口の中をまさぐる。唾液が流れ込んでくる。  
気持ち悪い……!  
さっちゃんは身にのしかかっている高杉の肩を、力一杯押し返した。  
だがしかし―――。  
「あぁっ!」  
股の間に滑り込んだ高杉の手に、下着の上から敏感な部分を乱暴に押さえられ、身をのけぞらせた。  
「ククッ……嫌がる素振りを見せながら、濡らすとはいい度胸だな」  
「こ、これは……っ」  
「さあ、銀時をよべ、女。奴の前で、お前を犯してやる」  
「!」  
目を見開いたさっちゃんの下着を、高杉は一気に引き下ろした。  
 
一気に下着諸共スパッツを引き剥がされ、丈の短い和服から白く滑らかな太腿、そして髪と同じ色の秘所が露になる。  
「いや!!」  
辱めを受ける拷問にだって慣れている。しかし銀時の姿が脳裏から離れないさっちゃんに抵抗せずにチャンスを待つという判断はできなかった。  
拒絶の叫び声とともに、手も足もしっかりと強く縄で縛られていたが身を捩じらせて両足で高杉の体を遠ざけようと必死に抵抗しようとした。  
「銀さん以外が私に触るなんて許さない!!」  
自分でも気付かない内に瞳に溜まっていた涙が溢れそうになり、普段は見られないような剣幕で言い切った女を見る高杉の瞳はこの上もなく愉しそうなものであった。  
顎をグイと手繰るように掴むと、舌を噛まないようにか猿轡を強引に噛ませた。  
「いい女だなオイ、益々気に入ったぜ。…殺すには勿体ねェ。」  
「…ん、……ッ……んん!!!!」  
言葉が紡ぎ出せなくなり、悔しさに歯噛みすることもできず唸っていた女の声と体が突如跳ね上がり、その大きな双眸が見開かれた。  
露にされていた、しっとりと湿った割れ目にちゃんとした前戯もなく男の骨ばった指を押し込まれたのだ。  
いきなりの乱暴な挿入は苦痛でしかなく、必死に涙を堪えるさっちゃんの鼓膜を男の狂気めいた笑い声が響いた。  
「普段はどうしてるんだ?銀時のこと考えながら一人でやってんだろ?淫乱なくノ一さんよォ。」  
指が内部で上下し、内側から己を撫でていく感覚にゾクリと背中を快感の兆しが走る。  
そして思い浮かぶのは、未だ果たしていない銀時との情事であった。  
――銀さん…違う、私を今犯してるのは銀さんじゃ……――  
まだ理性は保たれていたが、銀時に体を貪られる光景が脳内をぐるぐると巡り、下半身の熱は上がっていった。  
 
スパッツ以外は着たままであり、無理に脱がされた訳でもなかったが暴れている内にさっちゃんの装束は乱れ、  
はっきりとした谷間の覗く胸ははだけていた。  
紅潮した顔は猿轡を噛まされて屈辱を感じながらも、高杉の巧みな指使いで誘い出される興奮と  
姿のない銀時への欲情で酷く扇情的であった。  
それを物陰で撮影している無表情の男に、どこか苛立った様子でこれもまた気が強そうな露出度の高い和服を纏った金髪の女が声をかける。  
「何してるんスか、武市先輩。アンタロリコンじゃなかったんスか。」  
「ロリコンじゃありません、フェミニストです。因みにこれは私の趣味ではなくて命令です。」  
「晋助様も何考えて――…」  
 
 
「んんん!!!!」  
くぐもってはいるが一際高い囚われの女の嬌声で、  
言葉が言い終わらぬ内に首を傾げたままでまた子の言葉は止まった。  
さっちゃんは首筋に思い切り噛みつかれ、いつのまにか縄を解かれ無理矢理開かされた足の間には刀の鞘がつき立てられていた。  
涙ながらに、無機質な異物感に体を跳ね上がらせながらも愛液を滴らせるそこをなで上げられて更にさっちゃんは呻いた。  
「なんだ、泣く程気持ちいいか?」  
口を彼女の白い項から放し、歯型から血が僅かに滲み出ている様子をどこか酔うような眼差しで見遣った高杉は言葉でもさっちゃんを責め立てた。  
「銀時の敵によがってんじゃ世話ねェな、クククッ……。」  
 
自尊心を傷付ける言葉を何度も浴びせられ、酷く銀時への後ろめたさを感じながらも押さえきれない体の疼きを、  
全て壊すような勢いで犯されたいという衝動が子宮の辺りから湧き上がる自分に憎悪を抱き、さっちゃんは目尻から涙を零した。  
 
 
 

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