ゴゥンゴゥンと低く響く機械音と微かな振動に気付き、少女はゆっくりと目を開けた。  
微かに痛む頭を押さえながら身を起こす。あまり上等ではないシーツの手触りに違和感を覚え手元を見れば、  
簡素なベッドに寝かされていた。ここが城では無い事にようやく気付いた  
小さな部屋だった。  
窓の向きだしのコンクリートの壁、天井はパイプや配線が一面に広がっている。  
 
 
「ここは…?」  
「船の上だよお姫様」  
外と繋がっている唯一の扉が開いてた。  
女物の着物を纏った、背の低い男だ。顔には包帯を巻き、右目を覆っている。  
口許を楽しそうにゆがませ、左目で少女を見据えた。  
「船、の上?あなたは誰ですか?なぜ私はここにいるのですか?」  
「はっ、寝起きのくせに質問ぜめか。けどまァ、自己紹介は必要だな。」  
 
男は少女の方に近付き、片手をベッドの上に置いた。  
「俺の名前は高杉晋助。以後お見知りおきを。  
 
そよ姫」  
 

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