その日恒道館では妙が新八の帰りを待っていた。  
「新ちゃん遅いわね」  
いつもより遅い帰りに心配になり始めたとき  
「ただーいまー」  
だれた声とともに帰ってきたのは新八ではなく銀時だった。  
「いつここはあなたの家になったのかしら?」  
「さみしーなぁ。お帰りなさいませご主人様。お風呂になさいます?お食事?それともあ・た・し?って  
 やってくんないの?」  
妙は人相が変わるほどに銀時の顔をつかんだ。  
「だれがだれのご主人様ですって?」  
「相変わらず怖ぇな。な、ほら言って見てよ。お風呂になさいますぅ?それとも…」  
いつも以上の軽口を叩く銀時に妙の苛立ちが増していく。  
「だれがそんなこと…」  
怒りのオーラを放ち始める妙を銀時が抱き寄せた。  
「まっ、聞かれるまでもねぇ。あんたをいただきに来たんだけどよ」  
言ってから首筋に唇を落とし舌を這わせる。妙は身をよじり銀時の体を押し戻そうともがくが  
不意打ちで殴りつけるならともかく、まともな力比べではかなうはずもなくやすやすと床に押し倒された。  
「やだ、ちょっと銀さんどうしちゃったの!?」  
「別にー。まーいうならちょっと溜まっちゃってるってゆーか。…最近ご無沙汰なんだよ」  
囁いて耳たぶを噛む。妙の体がびくんとゆれた。  
「あんたの性欲事情なんか知らないわよ!離しなさい!!」  
気丈な台詞にはいつもの迫力はない。  
「いーじゃねーの減るもんじゃなし。むしろ増えるんじゃないの?こことか」  
着物の胸元を左右に開き乱暴に乳房を揉む。白いふくらみが手のひらに吸い付くように柔らかい。  
「言うほど小さくはないんじゃねぇ?Bぐらいか?」  
絞るように握り先端を大きく口に含む。尖り始めた乳頭の周りを舌でなぞりくすぐった。  
「やだっ離してっ!」  
嫌々をする妙の肌が薄く桜色に染まっている。呼吸が少し速い。胸を愛撫する手にも鼓動が高鳴っているのが伝わる。  
「なに?もう感じちゃってんの?早くない?」  
最早体に力が入らなくなったらしい妙はくたりと床に横たわった。好機とばかりに帯を解き着物を脱がす。  
何度か妙の手がすがってきたがそれほど酷い抵抗はなかった。  
「銀さん…どうして?」  
「心配すんな。ちゃんと気持ちよくしてやっから」  
言いながら下腹を撫で銀時の手がさらに下へと向かう。  
すべやかな入り口をなでその感触を楽しんだ後つぷりと指先を挿入すると中は既に愛液でいっぱいに濡れていた。  
「しっかり濡れてんじゃねぇか」  
「あぁ…だめ、だめぇ」  
顔を覆い嘆く妙は隙あらば体を上にずらし自分の恥部を犯す指から逃れようとする。  
それを開いた手で押さえつけ進入させた中指を手前に折り恥骨に沿ってなで敏感な部分を探る。  
「ん…あ……ん、や、あ…ぁぁ」  
ためらいがちに上がる声が耳に心地よい。  
膣内を探る指先でくっと一点を突くと妙の体が激しく震えた。  
「あぁぁ!もういやぁ!やめて!!」  
初めての感覚に戸惑い怯えた妙が下にしかれたままの着物を強くつかんだその瞬間。  
銀時の眼前で閃くものがあった。  
 
すんでのところでそれを避け、すばやく妙を抱きかかえると後ろへ飛び退る。  
「てめぇぇ!お妙さんになんてことしてやがる!」  
「やっとおでましか」  
にやにやと見やった先には近藤が刀を構えていた。  
「俺が居ると知っていながらお妙さんに手を出すとはどういう了見だ!」  
「物騒なもんはしまえよ。あんただってこいつとやりたかったんだろ?」  
言いながらも銀時は妙の体をもてあそんでいた。乳房を揉みしだき内腿を撫でる。  
「やっ…銀さん!離して!」  
妙はだれとも目を合わせないようにうつむきながら銀時の手から逃れようとあがく。  
「お願い近藤さん…見ないで」  
羞恥にうっすらと涙を浮かべながら懇願する妙を難なく押さえつけ愛撫を続けながら銀時は近藤を煽った。  
「来いよ。見てたんだろ?興奮した?もしかしなくてももう勃ってんじゃねーの?」  
ほら。と妙の両足を開きその濡れた下半身を近藤に見せ付ける。  
「いやあぁぁっ!!」  
「万事屋!てめぇ!!」  
激昂した近藤が銀時を刀の柄で殴り飛ばしその腕から妙を奪い取る。  
銀時は弾き飛ばされ背中を壁に打ち付けられていた。  
「あー痛ってぇ、そうカッカすんなよ。わかったわかった。俺は退散します。じゃ、あとよろしくー」  
そういうとあっさりと銀時はその場を去った。  
「何なんだあいつは。お妙さん大丈夫ですか?」  
しばらく銀時の消えた先をにらんでいた近藤が腕の中の妙を見下ろす。  
近藤を頼るようにその胸元に添えらた細い手がわずかに震えていた。  
「大丈夫じゃないわよ。見てたんならもっと早く助けに…やっ」  
精一杯強気を装い近藤に悪態をつく妙の白い肌がところどころうっ血していた。その赤い痕を近藤が指でなぞる。  
「万事屋にどこを触られたんですか?」  
近藤の目つきがいつもと違うことに妙はやっと気付いた。  
「離して」  
身を硬くし眉をひそめ近藤を見返す。  
凛とした表情すらどこか艶めかしい。  
「ここ触られてましたよね?」  
乳房を覆うようにやんわりと手のひらで包むとすぐにその頂点が硬くなり始めた。  
さっきまでの快楽が尾を引いているのか妙の体は酷く過敏になっていた。  
硬くしこったそこを軽く指でする。  
「いっ…やぁ……」  
細めた目から涙が溢れ肩が震えている。しかしその手はしっかりと近藤の着物の胸元を握り締めていた。  
体を強張らせたままの妙をゆっくりと床に横たえ軽く口付ける。  
きつく目を閉じて身じろぎもしない妙にもう一度、今度は深く口付けた。  
妙のふっくらとしたつややかな唇を軽く吸い亀裂に沿って舐めると薄く唇が開きそれを受け入れた。  
 
「んぅっ…はっ……ぁ…」  
妙の口内を探り舌先を舐める。絡ませようとすると逃げてしまうそれを誘い出そうと唇ごと強く吸い。内壁を舌でなぞる。  
その下で小さな丘陵をわき腹辺りから寄せるようになで上げる。  
「やあぁ……」  
思わず上がった声と共に覗いた妙の舌をすばやく吸い上げる。  
自分の舌を絡めもう一度唇ごと吸うと、溢れた妙の唾液がたっぷりと流れ込んできた。  
それを飲み干し首筋を這い胸にも何度も口付けを落とし次第に責めの重点をを下へと移す。  
「そこはっ…だめです。お願い」  
そう訴える妙の目がまっすぐに近藤を捕らえている。  
「すみません。お妙さん。そのお願いは聞けません。さっき万事屋の野郎ここも触ってましたね?」  
多分、独占欲だか嫉妬だかのせいで近藤はの思考はねじがひとつ外れていた。  
目の前で陵辱された妙の体に自分の肌の感触を上書きするように、さっきが銀時触れた後を執拗に責める。  
「それにほら、こんなに溢れさせて…お妙さんのここいいにおいがしますよ」  
「やだっ汚いからァっ」  
愛液にまみれた妙のそこをぴちゃぴちゃと音を立てて舐める。  
「やっ、うそっ…いやぁ…あっん……あぁ…」  
その水音が男の手で乱され快楽に溺れる自分の体を思わせ妙の心を苛んだ。  
「もう…っやめて!こんなこ…と侍として…の道に悖…りますよ」  
このままでは心が壊れてしまう。そう思い妙は必死に声を絞り出す。  
気を抜けばその台詞は自分の喘ぎに飲み込まれそうだった。  
しかし、その声は近藤には届いてはいないようで与えられる快楽は途切れることはなかった。  
 
舌先が陰核をかすめるたび弾む腰を引き寄せ指でなぞる。  
柔らかな肉壷は力を込めなくとも自ら飲み込むようにその指を受け入れていく。  
ぐるりと中を探ると妙が悲鳴のような嬌声を上げた。  
「ここが弱いんですね?あいつにされたのとどっちがイイですか?」  
「そんっなの…っ聞かない…で」  
「どっちがよかった?」  
「やめっ、あぁぁっ…!!」  
たっぷりと指で慣らした後、取り出した自分の肉竿を妙の秘裂へあてがいゆっくりと腰をすすめる。  
さすがに妙を気遣い見やると圧迫感に顔をしかめてはいるが痛みはさほど感じていないようだった。  
それを確認して一気に最奥まで突く。  
「大丈夫ですか?」  
今更間抜けな問いを投げかける近藤に妙は半ば諦めた表情をする。  
「お妙さん。愛しています」  
「…好きにして。頂戴」  
その意味を履き違えたまま近藤は腰の動きを早めた。  
「あ――あはぁっ……あぁぁ…」  
つながった場所が熱い。抱きしめる腕も、熱い。  
繰り返される睦言と熱を全身に受け止めながら妙は自分の体がいやらしくうごめくのを感じていた。  
腰をゆすり快楽をむさぼろうとする体は最早自分の物ではないようにさえ思えた。  
「やだっすっごい…気持ちいい!!や、やぁあぁぁっ!!」  
声すらももう自分の物ではない。そう思いながら妙の意識はそこで途切れた。  
 
「……え…さん…お妙さん!!」  
気がつくと妙は布団に寝かされていた。間に合わせではあるが着物も着せられている。  
「よかった、気がついて。無茶してすみませんでした!」  
傍らで頭を下げる近藤を見ながら今日の自分の痴態を思い出し全身がいやに熱くなった。  
「何か飲むものとってきます。他に何か…?」  
立ち上がろうとする近藤の腕を引き寄せ口付ける。  
「お妙さん?」  
妙は答えずただ近藤を見つめた。  
「あの…」  
困惑する近藤を抱き寄せそのまま仰向けに倒れる。  
笑った形に歪んだ妙の唇を近藤のそれが覆った。  
 
 
 
(終)  
 
 
 
(おまけ) 
 
 
 
「きゃんっ!」  
「あ、ごめん」  
そのころ万事屋事務所では神楽の性技に翻弄されっぱなしの新八が少し落ち込みはじめていた。  
――やっぱり銀さんにおそわったんだろうな。こういうこと。つーかもうちょっと普通にしたいんだけど。  
変なことばっかり教え込んじゃって。と心の中で毒づく。  
「新八早いアル。マダオでももうちょっとはもつネ」  
「それは、長谷川さんは年のせいで…って神楽ちゃん!?ええっ?それ例えで言ってるんだよね…?」  
きょとんと首を振る神楽の顔にかかったままの精液をぬぐってやっていると銀時が帰ってきた。  
「たぁだーいまー」  
あわてる新八を尻目に神楽は全裸のまま銀時の元へ駆け寄った。  
「おかえり!銀ちゃん!」  
「おう、神楽。足止めご苦労」  
「姉御、どうだったアルか?上手くいった?」  
「足止めって何?姉上がどうかしたの?」  
――何?何の話だ?  
「首尾は上々。あとはあいつ次第だな」  
「だから姉上が何!?」  
ひとり話が見えない新八が叫ぶ。  
「姉御は今、真選組のゴリラと合併中アル」  
「ええぇぇ!!銀さん!?なんで!」  
「だって大串君から依頼されちゃったんだもの」  
「そんな!姉上の気持ちは…」  
「あの女だってまんざらじゃねーよ。嫌よ嫌よも好きのうちって言うでしょーが。間違いなく惚れてるねあれは」  
丸々土方の受け売りの台詞だ。根拠も保障もあったもんじゃない。  
「でも!」  
「局長がいつまでも女の尻追っかけてちゃあ示しがつかねーだろ。最近は仕事にも支障があるってんで  
 副局長自ら頭下げて…は来なかったが報酬前払いでたんまり貰っちゃったしぃ」  
パフェ食い放題だぜとはしゃぐ銀時を見て神楽もうれしそうに新八を見返す。  
「新八!私も酢昆布5箱も買ってもらったネ!」  
新八の胸を不安がよぎる。  
「銀さん。もしかしてたったこれだけで神楽ちゃんに僕の相手させたんじゃないでしょうね?」  
「なにいってんの神楽は今から俺が体でねぎらってやるからいいんだよ」  
「解決になってねーよ!!ていうかあんたがヤりたいだけじゃないの?」  
的中である。つーかさらに始末が悪い。  
「新八もまざるか?」  
なんでもないことのように神楽に聞かれ面食らう新八の横で銀時のテンションがまたあがった。  
多額の収入があって上機嫌なのだ。  
「ええ?さっき散々ヤったんじゃないの?いいねぇ若いってぇのは。そうだなたまには3Pってのもいいかもな。  
 いやまぁどうせなら女が多い方がいいんだが…」  
そこまで言った時天井の辺りから人影が舞い降りた。まあ大体誰だかは想像がつく。  
「もう、銀さんたら。そういうことならこのさっちゃんにおまかせよ!  
 駄目眼鏡略してダメガネに代わってメガネくの一さっちゃん参上!!」  
「いや、おまえはそこで見てろ。全裸で」  
驚くどころか一瞥もせずに冷たく言い放つ銀時にさっちゃんの表情がかわる。  
「な、なんですって!?銀さん…そんなっそんなのって……すごく興奮するじゃないぃぃ!  
 なんて私の心を心射ているのぉぉ!!」  
ばさっと忍び様の衣装を脱ぎ去ったさっちゃんの下着からピンク色のコードが延び  
ガーターベルトに挟まれたリモコンにつながっている。準備は万端だったようだ。  
さっそく銀時は神楽を抱き寄せさっちゃんになにやら注文をつけている。  
万事屋事務所の混沌とした光景を人事のように眺めながら新八はため息をついた。  
「…もう、なにがなんだか…」  
 

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