長く続いた雨は妙が必死に守ってきた志村邸を蹂躙し――そのせいで。
彼女は気がふれたのだ、と土方は思った。
貧しいせいで手入れが行き届かなかった、老朽化した屋根瓦がまるで土砂のように
崩れ落ち、一番広い和室を一瞬にして瓦礫の山にしてしまった。
夜中の騒ぎに近藤と共に慌てて駆けつけてみれば、ぼんやりと虚ろな目で、
瓦礫の山を見ている妙が暗がりに立っていた。
声をかけようとして、近藤と共に口をつぐむ。
肌蹴た胸元から白い膨らみを覗かせ、大胆に乱れた裾からはすらりとした
足が惜しげもなく露出している妙は明らかに常軌を逸していた。
二人を認めた妙が、身支度を整える所か、逆に誘うように肌蹴た胸元を更に右手で開く。
口尻を持ち上げて怪しく微笑んだと思うと、
ゆっくりと開いた唇から赤い舌をちらりと覗かせ、静かに声をかけた。
「……埋め、よ」