こんな関係はもう終わりにしよう。そう何度も自分に言い聞かせた。
それなのになぜまだ僕はここでこんなことをしているのだろう?
諦めがつかないのかだろうか?彼女のことが。
かつて愛した女性。いや、無論今でも愛している。
だけど決して夫婦として結ばれることなどできない。
分かっていた。でもあの日までは見ない振りをした。
僕もまた彼女と同じ「女」であること…
妙の寝室に2つの人影が畳の床に添うように座っていた。
その影がつ、と重なり合う。
「…僕はもう君の許婚じゃない」
短い口付けを中断し九兵衛が言う。
妙はいつものように笑っていた。何もかも分かっていると言うように。
そっと九兵衛の手をとり自分の胸の上に置く。
「ねぇ触って」
「……」
いい加減この関係を、彼女への思いを断ち切らなくてはいけない。
そう思いつつも愛しい思いは簡単に消えてはくれなかった。
会うほどに切なくなる胸のうちを押し殺したまま以前のようには振舞えなかった。
自然と九兵衛は妙と距離を置くようになった。
しかし妙はむしろ積極的に九兵衛を誘い出し。遂には妙の方から九兵衛の体を求めた。
驚きつつも妙に誘われるまま性戯の真似事のようなことを繰り返しては九兵衛は自責の念に捕らわれる。
分かっているはずなのに九兵衛は今夜もまた同じ過ちに興じるのだった。
「妙ちゃんきもちいい?」
妙の着物を肌蹴させ柔らかな乳房を優しくなでるように揉む。
尖った先端を指がかすめるたびかすかに声が上がったが
自分自身そこをいじられるのに抵抗がある九兵衛は極力ふれないようにしていた。
「気持ちいいわ。九ちゃんまだこういうこと慣れてないのね。かわいい」
ふふっと声をあげて妙が笑う。
「今度は私が九ちゃんにしてあげる」
今日の九兵衛は妙のリクエストに答えミニ丈の着物を着て髪を二つ結びにしていた。
妙はその帯を解き妙と同等のサイズの小ぶりな胸をまさぐる。
「やだっ、妙ちゃんだめだ!」
妙の手が九兵衛の胸の頂点を探り当てる。ふれられたそこに痛いようなむずがゆいような感覚を覚えた。
「どうしたの?」
「そこは嫌だ。なんだか変…あっ」
隆起し始めた乳首を指でつままれると全身に衝撃が走る。
「気持ちいいのね。もっとしてあげる」
「だめぇっ!」
九兵衛の制止を聞かず妙の手は彼女の胸を攻め続ける。
勃ちきったその頂点を指で押しそのまま小さく円を書くと九兵衛の体が小さく跳ね上がった。
「気持ちいいでしょう?」
「…わからない」
妙の問いに九兵衛は素直に答えた。
与えられる刺激が意味するところを九兵衛の思考は理解していない。
それならとでも言うように着物から抜かれた妙の手が九兵衛の下肢へと伸びた。
「ぃやーぁっ!」
無駄とわかりつつせめて形だけでもと妙の手を押しのけるようにして制止を求める。
思考では理解できないその感覚を九兵衛の体はしっかりと理解し相応の反応を示していた。
九兵衛自身気気付いていたその変化にはきっと妙も気付いている。
そして案の定内腿を這い滑り込む手はとまることはなかった。
「嫌なのにこんなに濡れてしまうの?」
とっさにかぶりをふるがいわれた通りなのは明らかだった。
妙の細い指先が蜜壷の入り口を広げそこに溢れた蜜をすくい取りそれをぺろりと舐めてみせる。
「ふふっおいしい」
そんな淫らな妙の姿はなぜかとても美しく九兵衛を魅了した。
ぞわりと熱い衝動がが腰の辺りをなぜる。
自らも着物を解いた妙が指で九兵衛の内部をまさぐり狭く柔らかなそこをかき乱す。
「九ちゃんも欲しいのね?こんなに溢れさせて…ね、ほら私も…」
「…あ、妙ちゃんすご…い……」
愛液にまみれた妙の手が九兵衛の手に添い妙の陰裂へと導く。滴る蜜をすくわせ九兵衛の口元へ運んだ。
甘く温い香りが九兵衛の口内を満たした。
全身が次第に熱くなってくる。
九兵衛は思わず妙の手をとり自分の指を絡め口に含んだ。
妙のそれと微妙に違う自分の味を感じながら下半身を妙のそこに絡ませると妙が互いの陰裂に太ももがふれるように
体を強く押し付ける。
柔らかな肉弁は太ももを濡らす暖かい蜜液でぬめり妙が腰をゆすりこすりつけるたびその奥がぞくぞくと痺れた。
「ぁんっ…妙ちゃ…ん……妙ちゃん…!」
夢中で妙にすがりつき何度もその名を呼んぶ九兵衛の口を妙の唇がふさぐ。
舌を絡めあい唾液をすすりあう。ややあって離れるときには混ざり合った唾液が透明な糸を引いた。
「今日は新しいおもちゃを用意したの。ほら」
どこに隠していたのか妙は九兵衛が見たことはおろか聞いたこともないような淫具を取り出した。
下着のようなベルトのようなそれには内側と外側にひとつずつ太いはりがたがついている。
「ん……」
内側のはりがたを自分の膣に差し入れ妙がペニスバンドを装着し九兵衛に見せ付けるようにそばによった。
これまで妙に使われてきたバイブより幾分太いそれが九兵衛の秘裂にあてがわれる。
「!!いやだ!妙ちゃんだめぇ!待ってっ」
「どうしたの?怖いのかしら?…大丈夫よ。ほら体の力を抜いて…」
躊躇なく腰を進める妙は男根形の淫具が九兵衛の陰部にめり込むのをじっくりと眺めている。
「ほぅら、どんどん挿入っていく。九ちゃんのおまんこが私のおちんちんおいしそうに食べてるわ」
「あっああぁ!っくぅ…」
これまでになく押し広げられた九兵衛の膣がびくびくと痙攣するのが淫具を伝わり妙にも感じられた。
九兵衛を抱きながらたまらない征服感に妙は捕らわれる。
「はっぁん……」
少年のように振舞っていた九兵衛を今は妙が男のする様に抱いている。
虚ろな目にうっすらと涙さえ浮かべかわいらしく喘ぐ九兵衛が妙をそそる。
「少しきついかしら?ゆっくりしてあげるわね」
「平気だ。もっと…動いていい…はぁっ……妙ちゃんのおちんちんで僕の中もっとかき回してっ」
むしろもっと動いて欲しいのだというように九兵衛は自らも腰を使っていた。
答えるように激しく突き上げる妙の奥のモノが反動でゆれ刺激される。
入り口と陰核が摩擦に押しつぶされ甘い痺れが襲った。
2人の少女はお互い夢中で腰を振りながらきつく抱きしめあっている。
抱きしめた腕の中に九兵衛がいるのを妙はあらためて確認する。
こうでもしていなければ九兵衛は妙を忘れようと離れていってしまうのではないか
そんな予感が妙の胸中を掠める。
「あぁっん…九ちゃん、可愛い…あっイイっ!凄い…九ちゃんっ!」
「妙ちゃんっ…!綺麗だ…っあぁ…んっ…!!」
もし離れてしまえばもう二度とは会えないのではないかいう不安が妙を苛み乱れさせた。
それならいびつな関係でもいいから九兵衛をつなぎとめていたい。
幼い日の約束を反故にしたのは自分自身なのに。
私は強くも優しくもない。
私は、ずるい。
溢れた愛液がどちらのものともつかないまま太ももを伝い畳を濡らしていく。
乳房をすり合わせ先端がこすれるたび2人の喘ぎ声が重なって響いた。
「…妙ちゃんっ。僕もう…」
「うんっ九ちゃんっ私もイキそう…っ」
「はっ…妙ちゃんっいっしょに…ああっぁぁあ!!」
「ひぁああっん九ちゃ…っん!!」
のけぞる妙をしがみつくように九兵衛は抱きしめ2人は同時に果てた。
そしてしばらく淫具でつながったまま余韻の中緩慢に口付け合った。
その口付けはまるでお互いがそこにあることを確かめ合うかのように続きいつまでも途切れることはなかった。
(終)