真っ暗な部屋に一筋、光がさしている。闇の中でその光を凝視する男がひとり。
呼吸は荒く、羨望と嫉妬と劣情とが渦を巻いて体が熱を帯びている。
なぜ自分がこんな目にあうのか。なぜあの人は自分にこんなことを強いるのか。そんなことばかりを考える。
ただひたすらに切なく苦しい。耐え切れず身をよじると縛られた手足が痛んだ。
それでも自由を奪われた男にはその光景から目を離す事は出来なかった。
目を閉じれば彼女らの声が淫らな水音が嫌でも耳につく。
行為が終わるまでじっと耐え見つめ続けるより他に道はない。
思い人がその腕にかつて彼女の許婚であった少女を抱いている奇妙な光景を…
恒道館の夜は更け、九兵衛と妙はまだ淫具で深くつながったまま抱き合っていた。
ややあって妙が緩慢な動きで2人をつないでいた淫具を九兵衛の膣内から抜きそのベルトを外す。
「んっ……」
妙の中からぬるりと引き抜かれたそれが透明な糸を引きいやらしく光る。
そのとき奥の部屋から不気味な声が聞こえた。
「ううっ」
「誰だ!?」
不気味なうめき声にとっさに身構える九兵衛を妙が制する。
「気にしなくていいのよ。野良ゴリラが迷い込んでるの」
「?」
おもむろに妙が奥の間へ続く襖を開く。
「どうでした?近藤さん」
そこには一人の男がありえない姿で転がされていた。良く見ると九兵衛にも見覚えがある顔だ。
妙を取り戻さんと柳生に決闘を挑んできた中にいたのを覚えている。
その後ここで会ったこともある。確か妙のストーカーだと妙自身から聞いた。
…なぜここに?
いや、ストーカーなのだからいるのは不思議がないのかもしれないが。
なんでこんな格好をしている?
近藤は両ひざを折った形に脚をベルトで固定され猿轡をかまされ腕は後ろ手に縛られ床に転がっていた。
細く開いた襖の隙間から見える九兵衛と妙の絡み合う姿を散々見せ付けられいきり立った一物には
射精を封じる細いベルトが巻かれ尻には黒いプラスティック製の棒が深々と刺ささり不快な音を立てていた。
この男の性癖などは良く知らないし知りたくもないが、これはあきらかに自分で出来るような姿ではない。
誰かに強いられここに放置されたというのなら、それをしたのは…導き出された答えは九兵衛には信じがたいものだった。
妙が近藤の猿轡を外し両腕を開放する。
「お妙さん、なんでこんなこと…」
「言ったでしょう?お仕置きです」
散々妙と九兵衛の痴態を見せ付けられた上ケツにバイブを突き立てられ刺激され続けた近藤は目を潤ませ
限界以上の欲情に陰茎は今にもはちきれんばかりだった。
呆然としていた九兵衛ははっと近藤から目をそらす。勃起した男根を見るのは初めてだ。
近藤のそれは根元を締め付けられたせいもあり異様な赤色をしていた。
そこにきつく巻かれたベルトを妙が外す。尻に刺さったバイブもゆっくりと引き抜かれる。
「くっ…」
射精を禁じられていた近藤の陰茎は精を吐き出したくて仕方がない様子でびくびくと脈打っていた。
しかしこの場で自分で扱くわけにもいかずひざをついた姿勢で両手を強く握り太い眉を寄せ耐える。
そんな近藤の様子を楽しげに見つめる妙がとんでもない提案をした。
「ねえ。近藤さん。九ちゃん男の人を知らないの。教えてあげて」
「!?お妙さん、それは出来ませ…」
身を乗り出して抗議しようとした近藤の頬に妙の肘が入った。
「ゴリラさん?動いてはダメよ?後、勝手にイったら…またお仕置きよ?」
氷の笑顔で告げて九兵衛に向き直る。
「さぁ、九ちゃん」
妙が九兵衛を導き倒れたままの近藤を示す。
「でも…」
戸惑う九兵衛を伴って妙は近藤のすぐそばによる。
そして近藤の手をとり九兵衛の肩へ。
「うがあああああ!」
その手がふれるかふれないかの内に近藤は思い切り投げ飛ばされた。
「ダメじゃない九ちゃん」
「僕が男にさわれないの妙ちゃんも知ってるだろう?」
何事もなかったように会話する2人の前をさっと影が横切る。
「そうですよお妙さん。九兵衛さんは悪くない。そんなことをしてなんになるんですか」
立ち直りの早い近藤がすばやく舞い戻り妙の手を握りその目をまっすぐにみつめた。
「お妙さん!俺はあなたを抱きたいんで…」
言い切る前に妙のこぶしが決まる。
「ぐあっ…!」
続けざまに九兵衛がその腹を踏みつけた。
「軽々しく妙ちゃんにふれるな」
踏みつける足にぎりぎりと力を込めていくとその下で再び近藤の陰茎がびくりと震える。
それを見た妙が静かにあざけるように笑った。
「踏まれて興奮してるの?とんでもない変態ね」
「違います…お妙さん」
「何が違うのかしら?ほら、こうして欲しいんでしょう?」
「あぁっ!」
妙に陰茎を強く踏まれその強い刺激に思わず射精しそうになるがすんでのところで堪える。
さげすむような妙の視線さえたまらなく心地よく。痛みと快感がせめぎあい気が狂いそうだった。
突然下半身の圧迫感が途絶え
ちゅ…っちゅるっ、ちゅうっ
妙と九兵衛が口付ける音が静まり返った薄闇に響く。
しかし九兵衛は突然、驚きの声をあげそれを中断した。
「…ん…え、…?っ妙ちゃん!なんで?」
いつの間に手にしていたものか妙が九兵衛の手に手錠をかけていた。
くるりと手早く後ろ手に両手をつなぐ。
虚をつかれあっさりと拘束された九兵衛が妙の目に宿る嗜虐の焔を見た。
始めて見る妙の表情に気圧されつつなぜかその色に体が本能的に熱くなるのを感じる。
「大丈夫よ。これはちょっとした戯れ…ね、楽しみましょ?」
妙は九兵衛の体をひょいと抱き上げ倒れたままの近藤の顔の上をまたがせる。
「さあ、近藤さん。私にいつもするように九ちゃんにもしてあげて」
「妙ちゃん…君はこの男とこんな…!っやぁ!!」
近藤の髪をつかみ九兵衛の秘裂に口が振れるよう押し付ける。
数分前まで妙に犯されていた九兵衛のそこはまだたっぷりの愛液でどろどろだった。
その香りにたまりかねた近藤は我を失い蜜壷をちゅうと吸う。
「いやだっ!妙ちゃんやめて…っ!」
そう言いながらも九兵衛は最早両足の力が抜け妙に背中を支えられてやっと立っている有様だ。
自分で逃れることがかなわず必死に妙にしがみつく。
そんな九兵衛を執拗に攻め立てる舌が膣内まで進入し、
次から次へと溢れる蜜を吸い出すようにに入り口全体を口で覆い強く吸う。
「ひっ…ああぁっダメェ!」
「きもちいのね?可愛い」
囁きながら妙の唇が九兵衛の耳や首筋に落ち支える手が小ぶりな胸と尻肉をゆっくりと撫でている。
「んっあ…妙ちゃん……ダメ…やだぁ…ああ…ぁっ」
胸の突起を指先で転がすと九兵衛の体がびくりと跳ねる。
その様を愛しげに眺めながら愛撫する手が胸からわき腹へ滑りさらに下へと向かっていく。
「…ねえ、近藤さんこっちも舐めてあげて」
白くやわらかい九兵衛の尻を両手で割り菊門をあらわにさせた。
「やっ!んぅう…」
悲鳴にも近い喘ぎ混じりの懇願は妙の口付けに吸い込まれ下半身では九兵衛の愛液でまみれた舌が菊門を捉えた。
ぬるりと入り口をなぞり窄まる狭い穴にねじ込むように舌先がぐりぐりと押し当てられる。
愛しい人を守るため身も心も鍛え抜いてきた九兵衛は素性も良く知らない男に恥ずかしい所を嘗め回され痴態を晒す恥辱に心を乱した。
――妙ちゃん、お願いだから。もう止めて…こんな僕を見ないで……
そう考えるのとは裏腹にだらしなく口を半開きにし快楽に目を潤ませた九兵衛を抱き寄せ妙が手錠を外す。
そのまま体を倒し近藤の陰茎へ顔を近づけさせる。
目の前にせまった男のモノから発せられたにおいが鼻をかすめた。
不快なはずのそのにおいになぜか体の奥がまたざわざわと熱くなる。
「九ちゃん、その可愛いお口で近藤さんのおちんちん綺麗にしてあげて」
――いやだ、駄目…!
抗う心はしかし体の欲望に屈っし九兵衛は妙の言うままに近藤のモノを口に含んだ。
震える唇をゆっくりと近づけ剣豪とは思えない少女らしい可憐な手を控えめに添えて肉棒を口いっぱいに頬張りおずおずと舌を這わせる。
つたない愛撫がかえって欲情をそそり妙に見られながらその友人にフェラチオされているという背徳感がそれをさらに後押しする。
限界をとうに超えたていた欲求を抑えきれず近藤は思い切りよく射精した。
「んぁっ!」
驚いて口を離した九兵衛の顔を胸を白濁した体液が汚していく。
「今日も我慢できなかったのね。まったくしょうがないゴリラだわ」
「ちょっ!?お妙さん?」
九兵衛にかかった近藤の体液を妙が舐めとるのを見た近藤は驚きに目を見開いた。
白い粘つく汚液を妙の可憐な舌が拭い取り飲み下すときに白いのどがこくりと上下する。
妙はこれまでは近藤の陰茎へは直接振れることすらしなかった。
その妙が今薄汚い精液を舐めさらにそれを飲み込んでいる。
九兵衛の体を清め終えた妙は近藤の両脚の自由を奪っていたベルトを外していった。
脈拍が速くなり思考を奪っていく。
「お妙さん!!すみません!」
「きゃっ!!」
感極まった近藤は思わず妙にのしかかる。
妙との淫靡な逢瀬のたびいつも近藤は体のどこかを縛られその自由を奪われていた。
でも今夜はその戒めはたった今妙の手で解かれたのだ。妨げるものは何もない。
「俺は!お妙さんときちんと結ばれたいんです!」
硬く勃ち上がった自身を愛液で濡れ光る濃い桜色の陰裂へあてがう。
「近藤さん!駄目!やめなさいっ!や…あっ!!」
妙の制止は最早近藤の耳には届いていなかった。柔肉を押し広げるその感触を味わいながらゆっくりと膣内へ進入する。
心地よく絡まりつく内部はついさっきまで淫具で広げられ絶頂を終えたばかりとは思えないほどだった。
「あぁんっ…うんぁ…はぁ……っん!」
わずかに聞こえていた妙の喘ぐ声が唐突に途切れる。
妙の膣内を征服する感動に浸っている隙に九兵衛が妙の口に口付け舌を絡ませていた。
悩ましく美しい光景だが今の近藤にそれを楽しめるような精神的な余裕はない。
やっと妙を自分のものに出来たというのに横槍がはいってはかなわない。
「あの、九兵衛さん…」
少しだけでいいので妙を自分に独占させてくれないか。そう頼もうとしたその時。
すぱーん
目の前に火花が散った。
「抱いてる最中に他の子の名を呼ぶなんて最低」
「すみません。お妙さん…っ」
叩かれた左頬から走る痛みに混じる快い熱さが下半身を刺激する。
「あ…ふふっ…中で大きくなった…やっぱり痛くされるのが好きなのね」
「それは違います。て、痛!」
すかさず近藤の手に妙が噛み付く。
「ぁんっ…ほらまたびくびくって動いたわ。この変態ゴリラ」
「すみませんっ」
反射的に謝る近藤を一瞥して九兵衛が妙にすがる。
「ねぇ、妙ちゃん。そんなゴリラほっといて僕と、しよ?」
妙を独占したいのは九兵衛も同じだった。
近藤と妙の間に四つんばいになって割って入り妙の胸を愛撫する。
胸のふくらみを口に含み軽く歯を立てながら頂点を舌でくすぐった。
近藤の側に向けられた九兵衛の白い尻がその目の前で悩ましく揺れている。
快楽により思考がぼやけ思わず手を伸ばしそうになるのをぐっと堪えた。
「はぁっ…ああぁん……九ちゃん上手…」
うっとりと横たわる妙が腰を揺らし始めた。そして近藤に目配せをし、九兵衛を指す。
おあずけをとかれた犬のように近藤が九兵衛の腰をがっしりと引き寄せ濡れ光る割れ目に指を挿入れる。
「あっ!?やめ…っ!んぁあっ……」
男の無骨な指にふれられるのははじめてのそこはきつく締め付けながらも近藤の指を深く飲み込んでいく。
節くれだった太い指が膣壁をこすり妙にされるのとはまったく違う快感が九兵衛を襲う。
「あぁんっ…あっ妙ちゃん!凄いっ!きもちいいよぅ…はっああぁっ…」
妙の胸にしがみつき自ら腰を振る九兵衛の尻肉を押し広げ菊門に舌をのばした。
その時、
「貴様ぁぁ!若になんと言う破廉恥なことを!!」
どこからともなく現れた東城が近藤の頭に飛び蹴りを決めた。
「東城…お前なんでここにいる?」
九兵衛が至極当然のことをたずねる。
「若あるところにこの東城ありです!!私はいついかなるときでも若を見守って…」
出歯亀をしていた人間が胸を張って言うことではない。
「今まで見てたのか?」
少し不機嫌に九兵衛に言われ東城がうろたえる。
「え、いやそれは…」
九兵衛は東城を殴り飛ばそうとこぶしをあげる。
が、東城はそれをひょいと受け止めた。
まだ快楽が冷めず力を出し切れない九兵衛の肩に着物をかけながら背後から抱きしめ内腿に手を這わせる。
「!!東城っ…やめろっ!あ……あぁんぅ…やぁ…」
さっきから濡れっぱなしの部分に指が入ってくるのを感じながら九兵衛の理性が揺らぐ。
異性にふれられることへの嫌悪はすでになく、むしろ悦びのほうが勝っているようだ。
「続きは私がして差し上げますよ」
頬を染めこくりとちいさく頷く九兵衛を東城は抱き上げた。
「では私たちはこれで。…妙殿、また若と遊んで上げてくださいね」
畳の上に間の抜けた体制で座り込んだ近藤はあっけにとられたまま2人を見送る。
東城の乱入によりすでに行為は中座していた。
控えめに妙を伺い見るがいつもの様に笑っているその表情からはその真意は分からない。
続けることが許されるのか詫びを入れるべきなのか。
固まったまま動かない近藤の右手をそっと妙が取った。
九兵衛の愛液で濡れたその指を赤い舌が舐める。
「ふふっおいしい…ねえ、近藤さん。さっき九ちゃんにしてたときこっちがおろそかになってて…私さみしかったんですよ…?」
近藤に馬乗りになった妙が自ら近藤のモノをつかみ膣内へと埋める。
「すごい…熱いのがいっぱいに入ってくる。あぁっ!」
淫らな台詞を口にして興奮したのか妙の膣内がきゅうっと締まる。
堪らず妙の腰をつかみ下から強く突き上げると妙が高く声をあげた。
ぱしん
しかし、それとほぼ同時に妙が近藤の頬を軽く打つ。
「いっ…!」
近藤の体がびくりと震える。
「がっつくんじゃありません。まだ動いてはダメです」
深くつながったまま妙は動かない。生殺しの状態で近藤は妙に従った。
「お利巧なゴリラさんね。ではごほうび、あげるわね」
つ、と近藤の胸元に顔を寄せ唇を這わせる。褒美というにはささやか過ぎる愛撫に近藤が焦れ始めたとき
「痛っ!!」
妙が近藤の乳首を強くかんだ。
「止めてください…っお妙さん!」
「どうして?痛いのが好きなんでしょう?」
聞く耳をもたず妙はもう片方の乳首を爪でつまみ次第に力を込めていく。
「ふふっ、また中でびくびくって…もっとしてあげるわね」
そういいながら妙は近藤の胸元にきつく爪を立てる。
赤い痕が線を引き近藤が痛みに喘ぐたび妙の膣壁もひくひくとうごめき陰茎を締め付けた。
「お妙さん…動かして…っいいですか?もう限界ですっ!もう…イかせてくださいっ!お妙さんっ!!」
「動かす?こうかしら?」
妙の腰が激しく上下し膣肉が陰茎をこする。締め付けが更に徐々に強くなり押しつぶされそうなほどだ。
「お妙さん!イっていいですか?…あっ!もうイきますっ!お妙さんっっ!!」
あわてて肉棒を引き抜き妙を抱き寄せる。柔らかな妙の下腹の感触を味わいながらそこに精を吐き出し白く汚した。
射精後ぐったりとする近藤の上から妙が離れなにやらかちゃかちゃと音を立てていた。
ぼうっと天井を眺めたままの近藤にすぐにまた妙が覆いかぶさる。
「また勝手にイってだめなゴリラね。そう、お仕置きして欲しいのね?」
その腰には先刻九兵衛に使ったペニスバンドがつけられていた。
極太のはりがたにオイルがたらされてらてらと光っている。
それを見た近藤の顔が一気に青ざめた。
「お妙さん!?ちょ、それ無理!無理だから!あっー!!」
一方そのころ東城に連れ帰られた九兵衛は東城の自室の布団の上にいた。
「東城っ!そんなとこ…駄目だっ!!汚い…っ、やぁっ!!」
東城は九兵衛の膣内を犯しながらその奥のもうひとつの穴に指を差し入れている。
「さっき若はあの男にここを舐められて感じていたではないですか。若のここは穢れてしまった。私が清めて差し上げます」
九兵衛の耳元で囁きながら入り口をほぐしていた中指を一気に根元まで突き入れる。
そのまま何度も強く腰を打ちつけた。
「ひっああぁぁんっ!あっ、あぁっ東城っ!もうイキそう…っ」
「おしりの穴をいじられながらイクなんて…若、随分いやらしくなってしまいましたね」
「いうなっ…!あっああぁあ!!」
しがみつくように抱きついてきた九兵衛がびくんと体を弾ませる。温かい体液が膣内から溢れとろりと流れ出た。
痙攣するそこから抜き出した陰茎を九兵衛が口に含み唇と舌を使って扱く。
自ら腰を使い東城はその口にさっきからすでに4度目になる精を吐く。
その瞬間九兵衛はさっき東城に教えられたとおり肉棒を強く吸った。
凄まじい快感の後東城は余韻にしばし呆けていた。
そしてすでに柔らかくなった東城のモノをまだ離さない九兵衛を見る。最早体力は限界だった。
「若、今日はもうこの辺で…」
「?もう終いか?僕はまだ満足してないぞ」
素で上目遣いに訴える九兵衛はとてもかわいらしかった。しかしそれとこれとは話が別だ。
「いや、若。人には限界というものがありまして…や、もう無理だから!若ァァ!!」
その夜、江戸の夜更けに2人のストーカーの(多分喜びの)悲鳴が響き渡ったのでした。
めでたしめでたし。
(終)