「んなっ……!」
とみ子は例のマフラーに両手を捕らわれて、ほぼ動けないでいる。
あくまで、ラブコメに対応すると言い張る山本は、あーでもないこーでもないと、頭を捻っていたのだが、
おお、そうだ、と手を叩き、電球を頭の所に浮かべるという古いリアクションをかまして
ぺろーん、ととみ子のスカートを捲りあげた。
「だーれがAVのはなしをしとるかぁぁぁああ!」
ああああ。一体何をしているんだろう。
今日期末テスト期間中でいつもより早く帰宅した。
もちろん頭に不自然乗っけたクソ親父は仕事に出ていていない。
つまり家には誰もいない。…はずだけど、最近できた同居人が居間で漫画を読んでいた。
…ん?漫画?
落ち着け、とみ子。よく思い出せとみ子。
あれ、は。なんて漫画だった?
…………。
…………………。
『苺十割』……?
「……あれか……」