芸能界から一度消え、戻ってきた私は芸能界の誰よりも気を使って生活しなくてはならない。
音楽駅というミュージック番組にゲストとして招待してもらい、今まさにカメラは回っている最中。
笑顔は絶やさず、語尾にはいつものアクセント。
「いや〜お通ちゃんはファンが熱いからねー、カムバックに違和感を感じさせないね」
「そんなことないですヨサコイ祭りは楽しいな。また位置から出直しなんで頑張りまスイカ割りで頭もパックリ」
司会は芸能界の中でも大物中の大物、特徴的な眼鏡のサリタさん。
サリタさんのギャグはどんなに面白くなくても私たち下っ端は腹をよじって笑わなくてはいけない。
勿論、サリタさんの行いに文句なんか言えるはず、ない。
だから私は笑顔でトークを続ける。
大きな机の下、サリタさんの右手が私の帯の下…ぶっちゃければお尻のあたりを這っている。
さっきまで左太ももだった右手はより柔らかい部分を求めるように尻たぶをつまんだり押したりしている。
正直、気持ち悪い。だが暴露、反論どころか抵抗すら許されないのだ。この世界は。
当然抵抗しない私に気を良くしたのか、規定のトーク時間まであと少しだがサリタさんは時間を延ばすようADさん達に
目線だけで指示を出す。トーク時間の延長は呆気なく決まった。
同じだけ、私のセクハラ耐久時間も伸びる。だがそれは逆に我慢すればTVの出演時間が延びるということ。
芸能界で生きていくと決めた私は、どこまでいっても我慢しようと心に誓う。
どんどんエスカレートするサリタさんに、短く切られている着物の裾がずり上げられる。
服の上からではなく、下着の上から触られる。嫌悪感はますますひどくなる。
それでも腹を括って笑顔を保つ。
下着のレースをなぞり、お尻のくぼみを指がなぞる。指の温かさが肌に伝わってくる感じが生生しい。
満足したのか、サリタさんの右手はまた体の前に戻ってきて、今度は太ももにかかっていた着物の裾がずり上げられる。
ピッタリと閉じていた太ももは呆気なくこじ開かれ、ツン、と指先で敏感な部分をつっつかれた。
肩がピクリとゆれてしまったが、私は何事もなかったように会話を続ける。
サリタさんの中指が割れ目に沿って動き出す。そろそろと動いたかと思うと、強く押されながら擦られる。
指の腹で優しくゆっくり焦らされたら、爪の部分が痛いくらいに食い込んでくる。
サリタさんの指の動きに合わせて、モジモジと下腹部が揺れてしまう。
気持ち悪いと確かに思っていた筈なのに私は、気持ちいいと感じ始めていた。
このままだと下着が濡れてしまう、そう自分で分かった瞬間、指は離れてしまった。
あ、と残念というか物足りなく思った私を見透かしたようにサリタさんは定型化した笑顔を浮かべた。
私だけに聞こえる声の大きさで収録後、サリタさんの楽屋に来るよう告げられる。
私が小さく頷いてしまう頃には丁度、サリタさんの巧みな話術によってトークも終わりを迎えていた。