「いいですか、若」  
静かに言って、東城は膝に抱えた妙の白い足を先のほうから撫で上げてゆく。  
身にまとう物全てを剥ぎ取られてしまった妙は眉根をキツク寄せ、  
思いの外柔らかな東城の指先が一番隠しておきたい部分に辿り着くのを思って  
唇を噛んでいる。  
東城の指先が、固く閉じられた妙の足と足との付根で動きを止める。  
陰毛が見え隠れする微妙な場所で東城の手を拒んだ妙の耳元に  
東城は背後から唇を寄せると、じっと正面で目を凝らしている九衛兵には  
聞えぬよう、そっと囁いた。  
「ほら、あなたも。打ち合わせた通りにして頂かないと困るのはあなたですよ」  
言われて、妙は正面に突っ立っている九衛兵から顔を逸らすように俯いて  
ゆっくりと閉じた膝を開いてゆく。  
妙の希望で幾分暗く調節された部屋の灯りのなかで、秘められた場所が  
九衛兵の目にぼんやりと、そしてやがてはっきりと浮かび上がってゆく。  
「若と同じではないですか?」  
言いながら、東城が長い指先を開かれた妙の足の付根にそっと這わせる。  
驚きに身を跳ね上がらせた妙を尚も背後から膝に抱えたまま、  
城は黒い陰毛を指先で除けるとその中身を指先で二つに割って見せた。  
「――っ!」  
恥ずかしさに、妙が目蓋を閉じて更に強く唇を噛んでいる。  
「……いや、やめて」  
羞恥を堪えている妙が息も絶え絶えに言って東城手から逃れるように身を捩ったが、  
東城はびくともせずに、真っ直ぐに目の前の九衛兵を細い目の奥から  
じっと見据えている。  
「ダメです、若は自分が女だと知っても尚あなたと結婚すると言い張って  
おられる。女が何であるのか、そして女と女が結婚できないということを  
若に教えなければ、あなたは柳生家から帰ることは出来ないのですよ?」  
再び唇を寄せた東城に言われ、妙は泣き出しそうになるのを堪えて  
抵抗するのを止める。九衛兵の目のことは出来る限りの償いをするつもりだが、  
このまま柳生家に、女である九衛兵の嫁という、わけの分からない理由で  
ずっと囚われているのはイヤだった。  
 
だからここはやはり、東城の提案したように妙が九衛兵と同じ女で、  
そして、女と女は結婚出来ないと言う事を教えなければならないだろう。  
九衛兵に結婚は無理なんだと諭した後で、柳生家に女中として遣えるなり  
なんなり、嫁になる以外の償い方を探してもらえばいい。  
「――それが何なのだ」  
妙が必死に恥辱に堪えていると不意に、落ち着いた声で九衛兵が言う。  
「僕と同じだから何なのだ、それが僕が妙ちゃんと結婚出来ない理由なのか?  
僕は妙ちゃんを愛している、それで充分じゃないか」  
平然として言い切る九衛兵が、「もういいだろう、妙ちゃんが可愛そうだ」と  
言って身を翻すと東城に背を向けて、「もう解放してやってくれ」と、告げる。  
「――若」  
九衛兵の言葉に妙は我耳を疑ったが、東城は予め予測していたのか、  
少しも驚いた様子を見せずに小さな九衛兵の背中に呼びかけた。  
不意に、二人のやり取りを信じられない思いで見守っていた妙の身体を  
何かが駆け抜けた。反射的に閉じそうになった妙の白い足を東城は己の足を  
内側から絡める事で押し止め、開かれたままの妙の足の付根で指先を  
ゆっくりと動かし始める。  
「――やぁっ」  
悲鳴にも似た声を妙があげる。背中に居る東城を肘で思い切り突き飛ばしたが、  
途端、東城の長い指が弄んでいた襞を割って一番深いところへ、  
まだ誰にも触れられた事の無い部分へと一気に挿し込まれたのでそれ以上の  
抵抗が出来なくなってしまう。  
身を切られるような痛みをもたらす東城の指から必死に逃れようと、  
妙が身を捩っている。けれど東城は表情一つ変えることなく、  
狭いその隙間を開くようにして強引に何度も指を抜き差しする。  
「や……めっ……」  
抵抗する妙の声に、一度は背を向けた九衛兵がゆっくりと振り返る。  
すっかり向き直って薄暗い妙の足の間に再び目が慣れた頃、  
妙の陰部を弄る東城の指は薄っすらと艶めいており、静かな室内に微かだが  
湿った音が響いていた。  
 
「これがどう言う事か、若にはわかりますまい」  
ほんの少しだけ潤い始めた妙の中を尚もかき混ぜながら、東城が言う。  
「何故女にはこんな穴があるのか、女と女が何故結婚できないのか、  
今から教えてさし上げましょう」  
低く囁くような東城の声に、妙の目が大きく見開かれる。  
「ちょ、ちょっと待って、そんな約束は……!」  
言って身体を捩り、背中の東城を振り返った妙が、大きく振り上げた拳で  
彼の頬を力任せに殴りつける。  
反動で東城の膝から畳みに投げ出される格好になった妙に九衛兵が  
駆け寄ったが、東城は殴られた頬を物ともせずに静かに九衛兵を制すると、  
ゆっくりと立ち上がって着物の前を割る。  
「何をするつもりだ!」  
畳みにあお向けに倒れた妙に寄り添った九衛兵が、共に東城を見上げている。  
東城は着物を大きく割ると、「失礼します、若」と言って小さく会釈をした後、  
膨らんだトランクスを二人の目の前で一気に下した。  
声にならない悲鳴をあげた二人を尻目に、東城は仰向けに倒れている妙の  
足元に腰を下ろすとその、細い足首を掴む。  
「……やっ……!」  
言って逃げようとする妙の足を左右に割ると、東城はそのまま強引に  
引き寄せて白い足の間に腰を押し付けた。  
「な、何をするつもりだっ」  
九衛兵が妙の肩を掴んで声を荒げるが、東城はお構い無しに引き寄せた妙の  
足を脇に抱えたまま、再び足の付根に指先を這わせる。  
朝露程度に濡れた陰部の襞を擦るように指を這わせると、  
少しだけ膨らんだ突起を見つけて柔らかく捻り潰した。  
「……ひっ」  
悲鳴を飲み込んだ妙が、抵抗を奪われたように畳に背中を押し付ける。  
抱えた足からも力が抜けたことを知った東城は、そのまま桃色の突起を  
執拗に捻り回した。  
 
「な、何をしているっ、お妙ちゃんはどうしたんだっ」  
ハァハァと荒い息を刻む妙を心配そうに見詰めながら、九衛兵が東城に尋ねる。  
が、東城は額に薄っすらと汗を滲ませたまま、何も返事をしない。  
「東城、答えろっ」  
九衛兵が声を荒げたが、東城はそんな九衛兵を無視して妙を責め続けた。  
「お願い、止めて……」  
上がる息は整うことなく、東城の指が妙を追い詰めている。  
幾分刺激に慣れたのか、言いながら妙が足元の東城を見上げると、  
東城はそれを待っていたかのように再び妙の中へと指を一気に突き刺した。  
「……やぁぁあんっ」  
途端にくちゅり、と水音がして、妙の中から蜜があふれ出す。  
水音が耳に届いた九衛兵は慌てて妙を凝視したが、苦しそうな声とは裏腹に、  
妙の表情は恍惚としている。  
東城の長い指が妙の中をかき混ぜる度に厭らしい水音が響き渡る。  
「――もう準備はいいですね?」  
抵抗を見せることなく東城のされるがままに身を任せている妙に東城は告げると、  
濡れた指を妙の中から引き抜いて腰を押し付ける。  
「……あっ、いや、だめぇっ」  
東城の指が離れたことで妙が抵抗の素振りを見せたが、東城はその隙を  
与えずに一気にそそり立った自身を濡れそぼった妙のそこへと押し付ける。  
「若、ちゃんと見ていてくだされ」  
ぐっと一気に腰を沈める間際、東城は言って九衛兵を見据える。  
「な、何をするつもりだ」  
目を見開いて九衛兵が尋ね返したが、東城は「女と女では出来ない事を  
するんです」と言うと一気に妙を貫いた。  
 
「いやぁっ……ああっ」  
一際甲高い悲鳴を妙があげたので九衛兵はその場で固まってしまう。  
まるで剣で身を貫かれてしまった人のような声をあげた妙を、九衛兵は  
固唾を飲んで見守っている。  
「結婚するとこういう事をするのですよ、若」  
額に薄っすらと汗を滲ませた東城が、ゆっくりと腰を前後に動かしながら言う。  
やがて、ゆっくりと抜き差しされる東城の陰茎に慣れだした妙の陰部から、  
湿った水音が再びし始めた。  
「……初めてのようですが気持ち良さそうですね、どうですか」  
ゆっくりと動く東城の腰が引き抜かれ、そして深く差し込まれるたびに妙が  
苦しそうな声を漏らす。水音と相俟った妙の声は甘く、閉じるのを忘れた唇は  
この上なく淫靡に見えた。  
徐々に腰を動きを早める東城に、妙の声も次第に大きくなってゆく。  
「若はこんなに彼女を気持ちよくしてあげられますか?彼女を気持ちよく  
させてあげられるものが若にはついてますか?」  
ごくり、と生唾を飲み込みながら続ける東城の下で、妙が苦しそうに喘いでいる。  
「お妙ちゃんは苦しんでいるのではないのか?」  
目蓋を閉じ、開かれたままの唇から必死に息をする妙を見詰めて九衛兵が尋ねる。  
「冗談、彼女はとても気持ちがいいのです。女は苦しければ苦しいだけ気持ちよく  
なれるのです。なんでしたら彼女のその苦しそうに喘いでいる唇を塞いでみなされ。  
お別れの意味をこめて、キスでもなんでもいいですよ」  
言われ、何かを徐々に悟ったらしき九衛兵がゆっくと妙の顔に唇を寄せて  
苦しそうに喘いでいる唇を塞ぐ。  
「んんっ」と苦しそうに妙が喉を詰まらせたが、開かれたままの妙の唇から  
九衛兵は構わず舌を差し入れると、暴れる妙の舌を絡めて強く吸い上げた。  
「わかってくれましたか、若?」  
妙の唇を塞いだ九衛兵を見下ろしながら、東城が言う。  
苦しさに足掻く妙の足首を掴んで高く掲げると、これ以上ないと思われる  
部分まで深く陰茎を突き刺した。  
「若では彼女を気持ちよくさせてあげることが出来ない。若は彼女の側、気持ちよく  
してもらう側の人間なのです」  
妙の舌が激しく暴れている。九衛兵の舌から逃れようと顔を左右に振る妙の口内から  
舌を引き抜いたのと殆ど同時期に東城が果てると、九衛兵は自分の下腹部が何故か  
とても熱くなっていることに気がついた。  
 
 

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