熱い白濁を妙の顔面にぶちまけてしまった近藤は、肩で息をしながら、急速に襲ってくる罪悪感に、顔を蒼くした。
―――やってしまった……。 お妙さんに顔射……。
普段の妙にそんなことをしようものなら、命を消されるのは確実だが、今の彼女は4歳児の心なのである。
―――トラウマ並みに、傷ついちゃったりなんか、しちゃったりしたら………。
おそるおそる、脱衣所の床に座り込んでいる妙の顔を覗き込む。
全裸の少女は大きく目を見開いたまま、固まってしまっていた。
美しい顔や髪には、近藤の放った濃い液体がべったりと付着している。
―――な、泣いちゃうかな…!?
息を呑んで見守る近藤の目の前で、妙が大きく息を吸い込んで、次の瞬間、その桜色の唇を動かした。
「すごぉぉぉぉい!! お父上、いまの なぁに!? もっかいやって! もっかい!! 」
瞳を輝かせて―――よ……喜んでいるのだろうか、コレは。
何の知識もない幼女だからこその反応なのだろうが、流石お妙さんだ、物怖じしない。などと思いつつ、近藤は胸を撫で下ろした。
―――この人に泣かれてしまったら、自分はきっと途方にくれてしまう。
常に菩薩のように微笑んでいる、この人の笑顔が見れるなら、自分は何でもするだろう。
たまに般若の形相にもなるが、それだって、泣かれるよりは何倍もマシだ。
無邪気に笑っている目の前の少女を、近藤は心底、愛おしく感じた。
「妙ちゃん、お顔が汚れちゃったから、今度こそお風呂に入ろうねー
妙ちゃんのお蔭で、お父上はもう大丈夫だからねー」
その言葉を聞いて、自分のしたことが近藤の「びょうき」を治したと思ったのか、ますます妙は機嫌を良くした。
そして、瞳を輝かせて、近藤に言った。
「お父上!! もっかい!! いまの!!」
「お……お顔を洗うのが先だよー」
「えー!!」
近藤の射精をねだる妙を宥めながら、話をそらそうと浴室に押し込む。
言葉だけで聞けば夢のような状態だが、相手は4歳児だということを忘れてはならない。
――――水鉄砲とか、竹トンボとかと、同じようにしか考えていないのだ。
だが、浴室に入ったところで、近藤はハタと当初の不安を思い出した。
―――全裸の男女が密室で二人きり………
すっきり射精した勢いで、すっかり父親モードを演じてしまったが、以前、危ない状態であることに変わりはないのだ。
18歳の瑞々しい肢体が目の前にある。
焦がれに焦がれた、愛しい少女の美しい裸体。
おまけに相手は、こちらに抱きつかんばかりの勢いで、無邪気に好意を示してくれる。
――――ヤッベェェェェェ!!!! 勃つよ!! 完璧また勃つよ!!
そして今度こそ、己の衝動を抑え切れるのか、自信がない。
脂汗を流して、浴室のドアノブを握りしめる近藤。その背後から、妙は勢いよく、桶の湯を近藤に浴びせかけた。
「お父上、せなか ながしてあげるねー」
振り返ると、彼女自身も頭から湯を浴びて、無邪気に喜んでいる。
純粋に、可愛いと思う。
が、濡れて光る彼女の肌は、ますます艶やかに近藤を誘惑する。
濡れて張り付いた後れ毛が、無邪気な表情とはアンバランスな色香を放っている。
危うく復活しかけた息子を抑えて、近藤は再び妙に背を向けた。
「じゃ…、じゃあ、洗ってもらおうかなー」
―――落ち着け、勲!! あくまで父娘の入浴で終わらせないと!!
お妙さんを視界から外すのは好都合と考えなくては。
そうだ、今俺の背中を流しているのは、お妙さんじゃない。
ゴリラだ!!ここはゴリラのお宿と思えばいい!!
幸か不幸か、妙の渾身の力で擦り上げられる背中は、洗う、というよりも、むしろ拷問に近い痛みを伴なった。
近藤は痛さに意識を集中して、股間が萎えてくれるのを待った。
ところが。
「あ。こうすると、すっごくきもちいいよー」
急に、妙が近藤の背中に、裸の胸をぴったりと押し当ててきた。
ぬるぬるとした石鹸の泡を纏って、若い女の肌が男の背中の上を滑る。
―――お、お、お、お妙さんんんん!!??
背中に感じる、甘い肌の柔らかさに、近藤の心拍数は一気に跳ね上がった。
「たえ、すっごくおっきくなったのに、お父上の せなかのほうが やっぱり おおきいねー」
きゃっきゃと、はしゃぎながら肌を密着させて、擦りつけてくる。
こおすると、たえもいっしょにあらえるよー、アタマいーい? と、妙は得意そうだ。
無邪気そのものである。
が、近藤には既に我慢の限界だった。
ぷっつりと、近藤の理性の糸が切れる音がした。
がばっと振り向いた近藤は、正面から妙の体を抱きしめた。
近藤の真剣な顔にびっくりしたのか、妙は黙ってしまう。
泡まみれの妙の胸が、硬い男の胸板に押し付けられる。
細い腰も、華奢な肩も、妙の肌とは対照的な浅黒い男の腕の中に捕えられて、身動きが出来ない。
「おちちう……」
話しかけた妙の唇は、最後の言葉を紡ぐ前に、男の唇で覆われてしまった。
いきなりのことに、目を白黒させる妙。
しかし、たがが外れてしまった近藤は、己を抑えきれずに、角度を変えて、何度も執拗に妙の唇を貪った。
妙は上手く呼吸が出来ずに、苦しげに、近藤から逃れようと、もがいた。
ところが、いったん野生に返ったゴリラには敵わず、遂には舌の侵入まで許してしまう。
「んっんぁ……! んーー!!…っむー!! …やぁ…っ!!」
切れ切れに聞こえる妙の泣き声を聞いて、はじめて近藤は我に返った。
見ると、涙で頬をぐしゃぐしゃにした妙が、怯えた目をしてこちらを見ている。
「どぉして…っ、こんな…っ、するの…っ、おちちうえは…っ、たえが…っ、きらいなのっ!?」
しゃくりあげながら訴える妙を見て、近藤の胸は痛んだ。
眉尻を下げて、申し訳なさそうに、妙の顔を覗き込む。
「ごめん……ごめんね、妙ちゃん……。 怖かったね……。
……でも、これは嫌いだからじゃなくて、一番、大好きな人だから、するんだよ」
「……ほんとにぃ?」
「うん……。……俺は、お妙さんが大好きで、大好きで、一番、大切なんです……」
最後の言葉は、いつも言っているのに、届かない言葉だった。
―――振り向いてもらえないから、自分を父親と勘違いしているお妙さんに付け入るなんて、侍のすることでは、ないではないか……。
自己嫌悪に襲われて、うな垂れる近藤の唇に、温かいものが触れた。
ちゅ、と音を立てて、妙の桜色の唇が、近藤のそれに口付けたのだった。
「たえも、お父上のこと、すき」
まだ涙は乾いていなかったが、真っ直ぐに自分を見つめる瞳が、そこにあった。
コレは違う。勘違いするな。この「すき」は父親としての「すき」じゃないか。と、頭の中で、自分の声が聞こえては、いた。
だが、近藤は再び妙に唇を寄せていった。
いけない、と思いながら、もう、体が言うことを聞かなくなっていた。
今度は、妙も逆らわずに、大人しく、近藤のされるがままになっていた。
時間をかけてゆっくりと、口づけは続いた。
互いに裸の体をすり合わせて、擦れあう肌の感触に酔っていった。
妙は近藤の腿の上に跨って、自分からも舌を絡めた。
初めは戸惑っていた妙も、だんだんと心地よさに酔いしれるような表情を見せ始め、近藤は石鹸をつけて、彼女の体を隅々まで愛撫した。
彼女の体は紛れもなく、成熟し始めた18歳のもので、本人に自覚はなくても、男の愛撫に反応し始めていた。
「はぁ…っぁ…、たえ、なん…か、ヘンなのぉ…っアタマがぼぉって…して、くらくらするのぉ…っ」
妙の弱々しい声を聞いて、近藤はいよいよ己の中の欲望を抑えることが出来なくなった。
「妙ちゃん、お風呂に入る前に、石鹸、流さなくちゃね……。 そこに座ってごらん……。」
近藤は妙を湯船の縁に座らせると、彼女の体に付着した泡を流していった。
「きちんと流れたか、確かめないといけないね……」
言うと、近藤の無骨な手が、妙の白い肌の上を滑りだした。
首筋、鎖骨、乳房、その先にある小さな突起。突起を指の腹で捏ねると、それは、たちまち硬くしこりだした。
「気持ちいいの…? 妙ちゃん…」
「わかん……な……っぁ」
顔を真っ赤に上気させている妙。近藤はその顔を見つめながら、「確かめる」行為を続けた。
脇、横腹、腰、ヘソの窪みと辿って、腹、その下の茂みにまで、男の手は伸びていった。
「妙ちゃん……。脚を広げてごらん……。もっと、お父上にも見えるように……」
妙は、言われた通りに、素直に脚を広げた。
近藤は、茂みの奥のワレメに指を差し入れて、ゆっくりと擦りあげた。
「ひゃあんっ……やぁ…っ」
びくりと、妙の体が震える。
「ヘンだね……ここだけ、まだぬるぬるしてるよ?」
石鹸が流れなかったのかな、といいながら、近藤は妙のクリトリスを執拗に擦り続けた。
「やぁあ…! お父上、そこ…っやぁなのぉ……っ!!」
妙は頭を横に振って、涙を流したが、スイッチが入ってしまった近藤は、ますます激しく捏ね始めた。
「大事なところだから、よく洗わないとね……」
「あんっ!あっあっ!やぁぁあ!! おちちうえぇ…! こわいよぉ…っ! 」
息が上がって、加速する快感に戸惑う妙。近藤は手を緩めて妙を見た。
「大丈夫、怖くないよ。 痛かったかな…? ごめんね…。 お父上が、代わりに舐めてあげよう」
言うと、妙の股間に顔を埋めて、蜜の滴る入り口に、その舌を差し入れた。
ビクンッと痙攣して、逃げようとする妙の腰を近藤の両手は放さなかった。
「あぁうぅ…ッダメぇぇ……っ! お父上……きたないよぅっ」
近藤の肩に爪を立てて、妙は体を捩じらせたが、近藤の舌は彼女の奥まで侵入していった。
「あ…あ…あぁっっ!! う、ごかさない、でぇ…! お、おもらししちゃうよぉ…!!」
蠢く舌がもたらす感覚に、背筋を這い登る快感。慣れない刺激に襲われ続けて、妙は限界だった。
膝ががくがくと震えだし、近藤の頭を挟み込むように、太腿や足先にまで力がこもった。
そして妙が絶頂に達した瞬間。
ぷしゃああああぁぁぁ………と、黄金色の液体が、彼女の体内からほとばしり出た。
勢いよく溢れ出た液体を、近藤は妙の股間に唇をつけたまま、喉をならして飲み干していった。
恥ずかしさと、快感の中で泣き出した妙を、近藤は湯をかけて洗ってやった。
「お父上が悪かった……です……」
「う…っううぅ…っ」
いつまでも泣きじゃくる妙の頬に、近藤は口づけた。触れるように、そっと。
「あ、お父上、口ゆすいでるからね?」
三寸と離れていない距離で近藤が見詰めると、妙は上目遣いに近藤を見た。
大粒の涙が今にも溢れ出さんとしている。
「たえ、おもらしして悪い子だから、きらいになっちゃった?」
「た、妙ちゃんは悪くないってば!! 嫌いになる訳ないでしょう……大好きです、はい」
自分のせいで、純真な幼女の心を傷つけてしまった、と、近藤は心底悔いていた。
妙は心配そうに、近藤の瞳を覗き込んだ。
「ほんとに?」
「…ほんとに」
妙の真っ直ぐな瞳に射抜かれると、近藤の心拍数は再び上がった。
触れ合うほど近くで見つめていると、また良からぬことをしたくなる。
横に頭を振って、近藤は妙に言った。
「体が冷えちゃったね……お風呂に入ろうか」
―――これ以上のことはもう、いくらなんでも…… 仮にもお妙さんは幼児退行をおこしているわけで…… それって幼児虐待……
いや、心身喪失状態の未成年に猥褻行為って…… 未成年略取? 淫行?
考えながら、近藤は妙を湯船の中へと促した。
妙がしきりと「お父上もー!」とせがむので、近藤はなるべく妙に触れないように、湯船の隅で膝を抱えた。
温かい湯の中で、反省して小さくなる男の背中と、そんな男の顔をそっと覗き込む少女の白い背中が並ぶ。
自己嫌悪をおこして落ち込んでいる近藤の、微妙な空気を感じ取って、妙もまだ不安そうな顔である。
「お父上―、抱っこして?」
妙は近藤の様子を覗いながら、小さい声でおねだりした。
本当は甘えたいのに、近藤が自分と距離をとりたがっているようなので、少し悲しそうである。
側で自分を見上げる妙の瞳を見ると、近藤は本当に申し訳なくなった。
――――お妙さんは純粋に父親に甘えたいだけなのに、俺ときたら……。
抱っこしてあげたら、また無邪気に笑ってくれるのだろうが、結局、自分は己の欲望で彼女を泣かせてしまうに違いない。
近藤は複雑な表情のまま、何も言えずに、うな垂れた。
その時だった。
妙のすらりとした腕が近藤の首にまわされた。
驚いて顔を上げた近藤の唇に、妙の愛らしい唇が吸い付いた。
先ほど覚えた要領で、舌を絡めてくる。
条件反射のように近藤は妙の体を抱きとめて、口付けに応じていた。
心地よく甘いひと時に、近藤の意識は靄がかかったように、思考力を失ってしまう。
「……たえのこと、きらい?」
呼吸を乱して、頬を上気させながらも、妙は近藤を真っ直ぐ見つめて訊ねた。
近藤にかまってもらいたい一心で、妙は先ほど覚えた「一番好きな人にすること」をして見せたのだった。
「………すっげぇ、好きです」
湯船の中で、体を密着させた男女は、息がかかる距離で見つめあった。
近藤は自分の体中の血が沸騰するのではないかと思えるほど、体温が上がっているのを感じていた。
その熱がヘソの下に集中して、どんどん昂っていくのを抑えられなかった。
近藤の剛直が妙の柔らかい腹に当たるので、そこで妙は近藤の変化に気づいた。
「お父上、また おちんちん いたくなっちゃった?」
膨れ上がった欲望に、少女の細い指が触れる。
近藤の倫理観に再び靄がかかり、目の前の少女を蹂躙したいという欲望が、滲み出てきた。
頭の中で、いけないぃぃ!!今俺はお父上ぇぇぇ!!と、叫んでいる声は聞こえるのだが、最早、遠い異国の言葉のように感じられる。
近藤は自分の腿に跨る妙の尻を掴んで、自分の方に強く引き寄せた。
ぐにぃ、と、妙の股間と近藤の腿が摩擦を起こす。
途端に、妙は露わな声を上げて、腰を震わせた。
先ほど達したばかりなので、敏感になっていたらしい。
「妙ちゃんは、さっき、ここを触られていたとき、どんな気持ちがした?」
近藤は妙の耳元で囁きながら、彼女の尻の間から、その秘唇に指を差し込んだ。
「ふあ…ッ! ぁう…ん…っ なんか…っ あつい…の…
でも…さみしい…みたいな…っ、このへんが、きゅうって、するのぉ…っ」
妙は切なそうな顔をして、自分の胸を押さえた。
顔を真っ赤にして、身を震わせる妙の尻の下で、近藤の右手が淫猥な動きを繰り返す。
湯の中でもそれと判るほど、妙の秘唇からあふれ出た蜜が、近藤の指にまとわりついた。
「妙ちゃん…お父上、おちんちんが痛くて、死んじゃうかもしれないんだ」
治してくれるかな…? 再び耳元で近藤が囁くと、妙は一生懸命こくこくと頷いた。
「どうすればいい? また なでなで すればいい?」
心配そうに訊ねる妙に、近藤は言った。
「妙ちゃんが、お父上のおちんちんの上に、座ってくれるだけでいいんだよ…
今、妙ちゃんの、ぬるぬるしてるところが、おちんちんの上に来るように、跨いでごらん」
近藤の分身は硬く立ち上がって、湯の水面から上にその顔を覗かせていた。
妙は立ち上がって、その上に仁王立ちになった。
「そう……もっと足を広げて、ゆっくりしゃがんでごらん…大丈夫…お父上が支えてあげるから…」
言われたとおり、近藤の上で股を広げて、腰を落としていく妙。
近藤は妙の腰を両手で支えて、ゆっくりと導いてゆく。
怒張した先端に、ぬるぬると潤った妙の陰唇が触れた。
近藤はワザと妙のクリトリスや膣口に自分のそれを擦りつけた。
妙の呼吸もだんだんと荒くなってゆく。
「はぁ…っぁん… おまたがじんじんするよぉ…っ」
「大丈夫だよ… お父上と同じように、ゆっくり息をしてごらん… 力を抜いて… 怖くないから… 」
近藤はカリ首が妙の膣口に潜りかけた辺りで、ぐっと妙の腰を引き寄せた。
熱く、複雑に入組んだ襞の中に、近藤の抜き身が差し込まれる。
湯の中で、二人の下半身は深く繋がった。
十分に潤っていたとはいえ、初めて自分の体内に深く入り込んだ異物に、妙はびくりと体を強張らせて、声にならない悲鳴をあげた。
妙の爪が近藤の腕に食い込んで、血を滲ませる。
しかし、近藤は腕の痛みよりも、妙を心配して声をかけた。
「……っ力を…抜いてごらん……大丈夫だから……ゆっくり、息を吸って…」
「……っっぃいたいよぉぉ!! おちんちんがぁ、ささっちゃったのぉ!!」
ようやく声を出せた妙は、半ばパニックになって涙を流した。
痛みで動くこともできない妙は、近藤の腕にひたすらしがみついた。
近藤は、妙に優しく語りかけ、唇や肌の上に口付けを落としていった。
お互いの肉が馴染むまで、近藤は辛抱強く待ち続けた。
妙の呼吸が落ち着いてきて、近藤を締め付ける入り口の力も和らいできた辺りで、近藤は妙のクリトリスを、包皮の上からゆっくりと刺激し始めた。
妙の呼吸が、痛みとは別の理由で上擦っていく。
膣内が潤いを増して近藤を包み込む。
「妙ちゃん…… これ、気持ちイイ…?」
「わかんない……っけど……、ヘンな気持ち……」
すっかり恍惚とした表情を浮かべ始めた妙に、近藤は囁いた。
「じゃあ…、今度は、妙ちゃんが動いて気持ちよくなってごらん……。 手を使わないで、動くんだよ……。
そうしないと、お父上の病気が治らないんだ……」
病気の話を思い出して、妙は健気に腰を動かし始めた。
慣れない為か、刺激が強すぎるのか、すぐに動きはぎこちないものになってしまう。
だが近藤は、そんな妙を熱のこもった視線で見つめながら、囁き続けた。
「そう……とっても上手だよ…っ、…もっと……動いてごらん……、すごく…いいよ……」
近藤が気持ち良さそうに目を細めると、妙も嬉しそうに一生懸命腰を揺する。
ばちゃばちゃと、湯の水面に波が立ち始める。
だんだんとお互いの呼吸が揃ってきて、徐々にそのリズムを速めると、近藤は苦しそうに眉を顰めだした。
「はぁ…っはあ…っ たえ…ちゃ…っ」
妙の腰を掴む指に力が籠もり、下から突き上げる動きが小刻みになる。
「あっあっあっあっ!! はぁっあぁっ おちちうえぇっっ」
妙も強まる快感に眉根を寄せて、よがり声をあげた。
近藤はだんだん、抑えが効かなくなって、遂には妙を押し倒して、乱暴に腰を打ちつけ続けた。
風呂の湯が激しく飛び散る。
湯船に背中を押し付けられながら、少女は激しく犯され続けた。
男を引き絞る膣内の力は次第に強まり、妙は何度か絶頂を迎えたようだったが、男は容赦なく行為を続けた。
本当に止まらなくなっていた。
目の前の少女が愛しくてたまらない。
気持ちの制御が出来ない。
壊れるのでないかと思うほど、男は少女の内部をかき回して突き上げた。
「はぁっはぁっ 妙…っ たえっ 」
男は少女の名を呼び続けた。
やがて、快楽の頂上にまで上り詰めるのを感じ、男は勢いよく自身を引き抜いた。
数秒の後、男は熱い欲望を愛しい少女の顔に放っていた。
「っって、ナニさらしとんじゃ糞ゴリラァァァァァ!!!!!」
射精の瞬間、意識が真っ白くなった近藤が次に感じ取ったものは、自分の顎の骨が砕ける音だった。
妙がモザイクをかけなければ放送できないほどの恐ろしい形相で、拳を叩き込んできたのだ。
洗い場のタイルの上に沈んだ近藤は、頬にタイルの冷たさを感じながら、背後でバン!!と響く音を聞いた。
「どうしたアルか、アネゴ!!」
妙の絶叫でようやく目を覚ましたらしい神楽が、浴室の扉を勢いよく開けたのだった。
「このゴリラストーカーが入浴中に入ってきたの!! 警察呼んでちょうだい!!」
「あれ、アネゴ記憶が戻ったアルか!?」
「いいから、その汚らわしい獣をつまみ出して!!」
「お安い御用ヨー」
神楽に蹴りだされ、薄れゆく意識の中で近藤は「あぁ、いつものお妙さんに戻ったんだ…」と、嬉しいような寂しいような気持ちを噛み締めていた。
近藤が神楽につまみ出された後の浴室で、妙は一人、早鐘のように鳴り響く心音が静まるまで、己の肩を抱えていた。
――――何だったの!! 今のは!!!!
思い出せるのは、強い眩暈の中で聞こえる自分の心音、飛散る水飛沫、燃えるような体の熱、それよりも熱い、自分の内部を激しく掻き回す、何か。
逞しい男の腕と、荒い息遣い、そして、必死に自分の名を呼ぶ、低い声。
瞼を開けると、切なそうに目を細めた男が、自分に腰を打ちつけていた。
その男の瞳に宿る光は、今まで見たことがないほど、真摯で、強い光を放っていたから、妙は思わず、見入ってしまった。
誰だろう、本気でわからなかった。
男に組み敷かれて、肌と肌を擦り合わせても、不思議と、恐怖も屈辱も感じなかった。
男が与えてくれる律動の中に組み込まれていると、苦しいはずなのに、不思議な安心感すらあった。
――――求められて、愛されて……。満たされる、というのは、こういうことなのかも知れない。
夢とも現とも知れない感覚の中で、妙は男を受け入れていた。
――――本当に、誰かしら……この人……。 なんだか見覚えのある顎鬚だわ…。
妙が男をよく見ようとした瞬間、顔面に男の白濁を浴びせかけられた。
そして、男の間抜けな射精中の顔を見た瞬間。
渾身の力で、男に拳を叩き込んでいた。
何故なら、その男は妙が最も忌み嫌っていたストーカーだったから。
咄嗟に神楽に嘘をついて、出て行ってもらったが、何故自分がここでこんなことをしていたのかは、全く思い出せない。
妙はただただ、意識が戻る前後に男に抱いた感情を、必死に否定しようとし続けるのだった。