「新八、今すぐ"どらっぐすとあ"に行って"なぷきん"を買ってきなさい」
扉を開けた新八が最初に聞いた台詞はこれだった。
話は10分前に遡る。
「銀ちゃん、トイレにいったら血が出たアル」
「血くらいでガタガタ言うんじゃねーよ、俺なんか糖が出るんだからな」
神楽の訴えを銀時は何も考えずに流した。
それがどれだけ重要な話なのか気付いていなかったから。
「姉御、トイレにいったら血が出たアルヨ」
ちょうど仕事から帰ってきた妙に、神楽は同じ事を訴えた。
最近妙は万屋に寄ってから自宅に帰る。
ストーカー対策だとか言っているが、今はその話は置いておく。
「どこから?」
さずがに妙は聞き流さなかった。
質問の仕方がおかしいような気もするが、ここはきちんと確認しなければならない。
「わからないケド、オシッコでもウンコでもなかったヨ」
「……お赤飯炊かなきゃ♪」
「赤飯は小豆にしろ…よ…? オイ、赤飯って…」
妙の台詞でようやく銀時は気付いた。
反応した単語が"赤飯"だというのは侍として間違っているような気もするが、今はその話も置いておく。
銀時の台詞を遮るように、扉が開いた。
ここで冒頭に繋がるのである。
「神楽ちゃんはアクティブだから、羽とギャザー付きのにして」
「了解。 行ってまいります」
マイペースな妙、動じない新八、目が泳いでいる銀時。
三者三様に盛り上がる中、神楽だけが状況を把握していなかった。
「姉御、何かいいことあったネ?」
「神楽ちゃんが大人になったの」
「酢昆布臭いチチ無し神楽を大人だって言われても …!痛っ」
「うるさいヨ!」
神楽が銀時を軽く殴る。悪口への反応はかなり素早い。
「胸だってちょっと大きくなったネ!」
神楽の自慢は、鳴り響いた携帯電話の着信音にかき消された。
即座に妙が応答する。
「はい、妙 …なんだ、新ちゃんじゃない うん、なに?選べない? さっさと選んで買ってこい」