――最初に好きになったのは、声。
それから綺麗な指と、広い背中――。
きっかけは偶然だった。向こうからしてみればそれが仕事なんだろうけど。
仕事帰りの路上で、酔っ払いに絡まれていた私を助けてくれたのだ。
いつもなら妙が真空跳び膝蹴りで撃退してくれるところだがあいにく別れたばかりだった。
「大丈夫か?」
酔っ払いを追い払ったあと、腰を抜かしていた私に彼が声をかけてきた。
「え、はい・・・」
私は助けてくれたことの安心感からか、その声が何故か胸に染み込んでくるような気がした。
「立てるか?」
彼が手を差し伸べてくる。その指先は細く整ってて綺麗な爪をしていた。
詳しくは知らないけど剣の達人だろうに、女の私でさえ嫉妬するほど綺麗だった。
彼の手を握って立ち上がる。力強く握り返してくるその手はやっぱり剣客の手だった。
「あ、あの・・・」
「ん?」
彼が煙草に火を点ける。
「ありがとうございました」
「別に構わねーよ。仕事だからな」
煙を吐きつつ少しぶっきらぼうにそう言う。
私は暫く煙草を吸う彼に見とれていた。
無造作に切られた黒髪。鋭い眼光。何故か狼を連想させる。
「じゃあな。これからは気をつけるんだな」
煙草を捨てると、彼は背中を向けて歩き出した。
「あ、ちょっと・・・」
せめて名前だけでも聞こうと思い、彼の後ろ姿を見る。
その背中が思いのほか広くてときめいてしまった。
私はしばらくその背中に見とれて、気がつけば彼を見失っていた。
「でね、その人がもチョーカッコよかったのよ」
「はいはい、それはもう聞いたわよ」
かぶき町にあるキャバクラ・すまいる。
その更衣室で化粧を整えながら私は妙に今朝のことを何回も話していた。
「でね、その酔っ払いを簡単にやっつけちゃうわけよ。ちょっと聞いてる?」
「聞いてるわよ」
妙はあきらめたように適当に相槌をうちながら化粧をしている。
「その後もねえ、何でもないみたいに煙草吸うんだけどそれがまた渋いのよ。ちょっと聞いてる?」
「はいはい聞いてる」
「近藤さんもあれぐらいカッコよかったらねえ〜・・・」
私の何気ない言葉に、化粧していた妙の手が止まる。
「その人、真撰組の人だったの?」
「そうよ。制服着てたし」
「名前は?」
「だから聞く前に行っちゃったんだって。でもその背中がまたカックイイんだって。ねえ聞いてる?」
「・・・・・・・・」
妙は黙り込んで何か考えているようだったがその時の私はまだ気付いていなかった。
その夜、店にはいつものように近藤さんや、さらに松平の旦那が来て、
妙の「ドンペリ一気飲みしてる男の人が好みなのドン」発言で、ドンペリ合戦になり、
かなり盛り上がってるうちに閉店時間となった。
「ほら、近藤さん起きてくださいよ」
「むぅ・・・お妙さん・・・ドンペル〜ニョ、もう一本・・・」
何回起こそうとしても泥酔した近藤さんは起きそうになかった。
「しかたないわね、タクシー呼ぼうか」
真撰組の屯所なら知らない運転手はいないだろう。
そう思って妙に言うと「でもお金かかっちゃうじゃない」なんて返してくる。
刀まで質に入れさせてドンペリ注文させたやつが何言ってんのよ、などと思い
「じゃあどうするわけ?」と聞くと妙はケータイで誰かに電話をかけた。
「・・・そうなの。悪いけど・・・ええ。じゃあお願い」
妙の話を横で聞きながら、銀さんでも呼ぶのだろうと思っていた。
しばらくして車の音がして店の前で止まった。
店内に残ってるのは私と妙と眠りこけてる近藤さんだけ。他はみんな帰ってしまった。
やっとこれで帰れると思い、店の扉を開けた拍子に誰かにぶつかり、私は煙草の匂いに包まれた。
「おっと。すまねえな」
その声は銀さんじゃなかった。あの朝の、あの人の声だった。
私は心臓が停まりそうになりながら数歩後ずさる。間違いなくあの人が立っていた。
「あ、あ、あの・・・」
顔が紅潮していくのが分かる。何てことだ。そこらの小娘でもあるまいし。
そう思いながら何か言おうとするのだが何も出てこない。
やがてあの人から声をかけてきた。
「オメーは今朝の・・・」
「は、はい!今朝は助けてくれてありがとうございました!」
なんとか御礼は言えたのでホッとする。
「ここで働いてたのか」
「え、ええ・・・。あの・・・おりょうって言います。えっと・・・」
名前を聞いていいものか、一瞬迷った。その時、店内から妙の声が聞こえた。
「土方さん?」
あの人の視線が私の後ろに移る。
(土方さんって言うんだ・・・。)
名前がわかった嬉しさと同時に、彼の、妙を見る視線の柔らかさにも気付く。
なんだか胸の中に重苦しいものが生まれたような気がした。
「迷惑かけたな」
「別にいいわよ。稼がしてもらったから」
妙が答える。その口ぶりは親しげだった。顔も、疲れているくせになんだか嬉しそうだ。
それは決してドンペリだけではないように思われた。
彼は近藤さんに対してか妙に対してか溜め息をつくと、近藤さんに近づいて揺り動かす。
「近藤さん、迎えにきましたぜ」
「ぬ・・・トシか」
近藤さんが目を覚まし、フラフラと立ち上がる。ずり落ちそうなトランクスを直しつつ
「どうですお妙さん?この私のドンペラーっぷりは?」などとカッコつけている。
「さっさとパンツ履けゴリラー」
「いやそんなアムラーみたいに言われても」
「ドンペリゴリラー」
「いやゴリラは・・・」
「つーかよ、妙」
妙と近藤さんの不毛なやり取りにあの人が口を挟む。
(あの人、“妙”って呼び捨てにするんだ・・・)
そりゃある程度親しけりゃ呼び捨てにもなるんだろうけど、この場合はなんていうか、その・・・・。
胸の中の重苦しいものが大きくなった気がした。
なぜだろう。
あの人と話す妙のことを見ることができない。
妙と話すあの人のことを見ることができない。
見ていたく、ない。
「服ぐらい返してやってくれ」
「なんで?」
「何でって・・・局長がパンツ一丁で屯所に帰るわけにもいかんだろう」
「仕方ないわね」
妙はそう言って近藤さんの制服を投げて渡した。
その後、近藤さんとあの人はパトカーに乗って帰っていった。
別れ際に交わしたあの人と妙の様子を見る頃にはもうすっかり分かっていた。
あの人と妙の間に入る隙間なんてないことを。
友人の恋人を奪うほど子供でもない。
あの人への束の間の想いは胸の奥にそっと仕舞ってそれで終わりにした。
そのはず、だった。
あの人――土方さんと出会ってしばらくの時が経った。
土方さんと妙の関係も受け入れる事ができ、妙も私にそれを隠すこともなかった。
あれから土方さんとも何回か顔を会わす機会もあり、知り合いとして普通に接していた。
そうしたある日、妙が何と泣きながらキャバクラ・すまいるに現れた。
鬼の目にも涙か、などと思いつつ、妙の様子から見て土方さんとの間に
何かあっただろうことは容易に察しがついた。
私はあえて妙に何も聞かなかった。
正直、土方さんと妙の関係に首を突っ込むのはまだキツかった。
接客中の妙はいつもどおり気に入らない客の指をこう逆にポキって(妙・談)したりしていたが
それでもいつもよりも早めに帰っていった。
やがて閉店となり、やっぱりダメージあるんだな、などと思いつつ帰り支度を済ませ、店の外に出た。
一人で帰宅の途につこうとしたとき、不意に声をかけられた。
「おりょう」
いきなり名前を呼ばれて、振り返った先には土方さんが立っていた。
久しぶりに名前で呼んでくれた、などと少しドキドキしながらも努めて冷静に振る舞う。
「あら土方さん?どーしたんですか?」
土方さんが店にやって来る理由なんて分かり切っていたけど、しらじらしくもあえて聞く。
「いや妙のことで・・・ちょっとな」
「妙なら先に帰っちゃいましたよ」
あえて突き放すように言う。
「そうか・・・」
土方さんが煙草の煙とともに小さく嘆息する。
その眉間に皺をよせた表情はいつもよりツラそうだった。
この人にこんな顔をさせるのはあの娘だけね、などと思っていると、
「しゃーねェ。送ってやるよ」と言ってきた。
「いいんですか?」
「妙には明日会うさ」
しばらく、肩を並べて歩いて行く。チラリと彼を見るともういつもの仏頂面に戻っていた。
「なんだ?」
土方さんが前を向いたまま聞いてくる。
「い、いやァなんでも・・・」
私は慌てて視線をそらせた。
そのまま私達は無言で歩きつづけた。私は妙の事を忘れて、このままずっと歩いていられたら、
などとボンヤリ考えているうちに気がつけば家の前まできていた。
「ここでいいだろ」
彼が素っ気なく言う。
「あ、ええ・・・」
「どうした?」
彼が私の顔を覗くように聞いてくる。
「あの・・・」
「ん?」
「よかったら、お茶でも飲んでいきます?」
言ってからのことはよく覚えていない。そもそもなんで誘ったりしたのだろう。
土方さんも特に躊躇することもなく私の誘いに応じた。
この状況が実はものっそいヤバイんじゃないかと気付いたのは湯呑みが空になってからだった。
友人の恋人と自分の家でお茶を飲んで、しかもその友人と彼は喧嘩中で・・・。
自分が新たな火種になるのだけは避けなければならない。
私は急須にお湯を足そうと立ち上がりかけたがなぜか足が震え、湯呑みを倒してしまった。
湯飲みを起こそうと手を伸ばした時、同じく伸びてきた彼の指と一瞬触れ合う。
私はそれだけで顔が紅潮し、さっと手を引いた。
どうしよう。彼の全てを意識してしまう。
自分の心臓の音が、彼に聞こえるんじゃないかという位に大きく鳴っている。
「大丈夫か?」
「え?」
「手。火傷してねーか?」
土方さんがあまりにも自然に手を伸ばしてくるのでつい私も手を差し出す。
私の手をとった土方さんの指はやっぱり綺麗で、見とれてしまう。
彼は数瞬私の手を触っていたが、やがて私の指先を微かに舐めた。
私は目を奪われ、それに一瞬身を委ねかけたが、我に返った。
「ッ・・・やッ・・・!」
一瞬、時が止まる。
私は彼の手を振り解き、カッとなって彼の頬を思いっきり叩いていた。
「ってー・・・」
「私は・・・お妙の代わりじゃない・・・・・・・バカにしないでよッ!」
涙が溢れてきた。もう自分が何をしたのか、何を言ってるのかよく分からなかった。
ただ何故か悲しくて悔しかった。嫉妬という悪魔に支配されていたのだ、あの時は。
「ワリ・・・」
彼が立ち上がる。
「じゃあ帰るよ」
そう言って玄関に向かう。
その背中はあの朝の時と同じだった。私はまたこの背中を見ているだけなのか。
嫌だ。
そう思った瞬間、反射的に彼の背中にしがみつくように抱きついた。
無言で立ち止る土方さん。
「なに考えてんだよ」
「何も・・・」
私は彼の背中に頬を寄せながら答えた。涙が溢れ、彼の制服に染み込んでいく。
「お前は妙じゃないんだろ」
「・・・・・・ええ」
「じゃあ・・・」
土方さんが振り向く。
「私はおりょうよ。私を見てほしいの」
「お前・・・」
「今日だけは・・・私だけを見て」
友人の恋人を奪うなんて泥棒猫もいいとこだ。
しかし私は私の心の中の悪魔を開放していた。
土方さんが優しく頬に流れる涙を拭う。
その手をとり、今度は私がその綺麗な指先を舐めた。
彼の指先が唇にそっと触れる。
あの朝の指先に触れられればもうそこは痺れにも似た感覚を覚える。
私はそっと目を閉じた。
土方さんがそっと唇を重ねてくる。
ついばむような優しい口付け。
何回か繰り返した後、私達は深く唇を重ねた。
土方さんの舌が口に入ってくる。私は夢中でその舌を絡ませた。
「んッ・・・んんッ・・・んはッ・・・・んむぅ・・・ンッ」
お互いに激しく舌を絡ませ、吸いあう。
土方さんが唇や舌の裏、歯茎まで舐めあげ、唾液を送り込んでくる。
私は懸命になって唾液を嚥下した。それは煙草混じりの少し苦い味だった。
酸欠になりかけたところでやっと唇を離した。
お互いの舌が離れ、舌先から伸びた銀の糸がふつりと切れた。
しばらく見つめあった後、私は彼に抱きかかえられるようにして床に横たわった。
土方はおりょうの頬や額、まぶたに口付けを落としていく。
そして、白い首筋に舌を這わす。
「んんッ・・・あッ・・・」
おりょうが小さく声を漏らす。
首筋を舐めあげ、強めに吸い付く。
「んはあッ・・・ん・・・」
「いてーか?」
「ううん大丈夫。もっと強く・・・あんッ・・・んんッ」
土方が首筋を甘噛みする。おりょうの白い首筋に紅い花が咲く。
それは土方の所有の印のように感じられ、おりょうは嬉しくなった。
土方がおりょうの着物の胸元を大きく広げる。
おりょうの深い谷間が露わになると、そこにも口付けを落としていく。
成熟した女の匂いが立ち込めている。
「やッ・・・あッ・・・ああッ・・・」
帯を緩め、胸元をさらにはだけさせ、乳房を露出させる。
おりょうの乳房はズッシリと肉感的で、乳輪の中心には可憐な乳首が息づいていた。
「やッ!・・・あッ・・・ああッ・・・んはッ・・・!」
おりょうは恥ずかしさのあまり胸を隠そうとするが、
土方に両手をまとめられ、頭上に押さえつけられた。
土方がおりょうの乳房に触れる。
その乳房は柔らかく、妙とは違い、圧倒的ボリュームがあった。
優しく揉みあげると、たちまちおりょうが声をあげる。
「ああッ!・・・あんッ!・・・んんッ・・・んッ・・・んあッ・・・」
土方はあくまでも優しく、しかし乳首を避けるようにやわやわと揉む。
「んッ!んんッ!・・・あんッ・・・あッ・・ん・・・」
土方が乳房に舌を這わす。しかしそれは乳首を避け、広めの乳輪にだけであった。
乳首に刺激がこないことにおりょうはもどかしげに声をあげる。
「ね・・・もっと・・・ちく・・・」
おりょうが言いかけたとき、突如土方が乳首に吸いついた。
「んはああああッ!!」
たまらず嬌声をあげるおりょう。
土方は右の乳首を激しく転がしながら、左の乳首も指でこねまわした。
「やッ・・・そこ・・・いッ・・・イイッ! ああッ・・・・・・ん・・・」
舌先で押しつぶすように乳首を刺激すると、それに抗するように固くなり、
唾液にまみれたそれはテラテラと輝いていっそう淫靡な輝きを放っていた。
すっかり固くなった乳首に軽く歯を立てる。
「んあああッ!!・・・いや・・・ぁ・・・」
あまりの刺激におりょうの体が跳ね上がる。
その拍子に着物の裾が乱れ、白いふくらはぎが露わになる。
土方はおりょうの胸を攻めながら、片手をおりょうの裾に忍ばせる。
乳房の刺激に恍惚としていたおりょうだが、太ももを這う手の感触に我に返る。
「やッ・・・! やだ・・・そこ・・・・」
おりょうはぴったりと両足を閉じ、身を固くする。
土方はおりょうの体を解きほぐそうと、さわさわと太ももを撫で、耳たぶをねぶる。
「ああッ・・・んんッ・・・だめ・・・んッ・・ンッ」
おりょうは土方の攻めに必死に抵抗する。
しかし土方は冷静におりょうの耳もとに口を寄せた。
「おりょう」
土方が耳もとで名を呼ぶ。その声はあの朝のときと全く同じ。
おりょうは土方の声を聴いた瞬間どうしようもなく欲情し、全身の力が抜けていった。
ゆるんだ太ももの間に土方が手を差し入れる。
内股に手を這わすと、おりょうは自然に足を開き、土方を受け入れていった。
おりょうの秘所は既に濡れそぼり、ヒクヒクと肉ひだが息づいていた。
土方がそっと肉ひだに指を這わす。
「んッ!・・・あんッ・・・そこ・・・・広げ・・・な・・・いぁあッ!」
肉ヒダを開き、膣内に指を入れる。愛液で充分濡れたそこは軽い抵抗のあと、
貪欲に土方の指を飲み込んでいった。
土方が指をクチュクチュと蠢かせる。
「あッ・・・あッ・・・ああッ!・・・いやッ・・・・んッ・・・んはッ・・・」
あの朝の綺麗な指で、自分の膣内を激しくかき回されている。
そう考えただけでイってしまいそうになる自分をおりょうは必死に抑えつけていた。
しかし体はその意に反してどんどん反応していく。
いつしかはしたない程に足を大きく開いて、土方の愛撫を受け入れていった。
土方はおりょうの膣内をかき回しつつ、陰核の包皮を剥き上げる。
そこはプックリと勃起し、愛撫を待ちわびているようだ。
(!?そんな・・・今いじられたら・・・)
おりょうの心中に構わず土方は愛液を塗りつけるように陰核に触れた。
「ひああああッ!・・・ああッ・・・・・いあッ・・・ああんッ・・・」
土方が陰核に吸い付く。
「んああッ!・・・そこ・・・んんッ・・・イイッ・・・くぅッッ!!」
おりょうの体が跳ね、果ててしまった。
「ハァ・・・ハァ・・・」
おりょうは息を荒くし、グッタリとしている。
やがて体を起こすと、土方の股間に手を伸ばす。
「お、おい・・・」
土方が止めようとするがおりょうは構わず既に猛っている肉棒をしごいてゆく。
(すご・・・大きい・・・)
その大きさにおりょうはしばし息をのんでいた。
やがて、肉棒に舌を這わす。裏筋から全体を舐め上げ、亀頭にしゃぶりつく。
カリを激しく舐め上げると、肉棒がそのたびにピクピク動く。
(感じてくれてるんだ・・・)
そう思うと嬉しくなり、いっそう舌技に力を込める。
陰嚢をやわやわと揉み上げ、溢れる先走りをすする。
「おりょう・・・」
おりょうが顔を上げると、土方はもう我慢できないようだった。
おりょうは肉棒から口を離し、仰向けに横たわる。
土方は覆い被さるようにおりょうの上になる。
肉棒の先端をおりょうの肉ヒダに擦りつける。
「んッ・・・早く・・・」
おりょうがヒクヒクと肉ヒダを動かす。
土方は肉棒をおりょうの膣内に突き入れていった。
「んんッ! ・・・んはああッ!!」
肉棒が膣内をすすむ刺激におりょうが声をあげる。
やがて肉棒が奥まで入ると、土方は律動を開始した。
部屋中にニチャニチャ愛液がかき回される音と腰を打つ音が響く。
「あッ・・・あぅッ! ・・・ああッ!あんッ・・・んんッ」
おりょうの乳房が重々しく揺れる。
土方はその乳房を鷲掴み、乳首を口に含んだ。
「ふああああッ!!それ・・・ダメ・・・んんッ・・・」
おりょうがたまらず声を張り上げる。
胸の刺激でおりょうの膣はいっそう土方の肉棒を締め上げる。
白く濁った愛液が結合部から漏れ、うねうねと膣内のヒダが肉棒を刺激する。
「おりょう・・・」
土方がたまらず体を倒す。おりょうは体を密着させると、背中に手を回す。
初めて出会った時のあの背中。それが今だけは私のモノ。
土方の広い背中を力を込め、撫でる。
どうしてだろう。
こんなに抱き合っても、背中は寒いまま。
体の奥から熱情が湧き起こっても、なぜか寒く感じる。
おりょうはさらに求めるように、足を土方の腰に回した。
「もっ・・・と・・・・激しく・・・・んんっ!イイっ!もっと!」
「おりょう・・・もう・・・」
おりょうが激しく腰をうねらす。土方も激しく膣内をかき回していたが、
もう限界だった。
「お願い、名前・・・呼んで・・・」
土方はおりょうの耳もとでに口を寄せ、おりょうの名を呼び続ける。
土方の声。おりょうの大好きな声。その声を聴きながらおりょうは
自分がどんどん高まっていくのを感じた。
「あんっ!!あッ! ああッ!!・・・出して!中に全部出して!!」
「おりょうッ・・・・!」
おりょうの子宮口をこじ開ける如く最奥まで肉棒を突き入れると、たまらず射精した。
「あああああッ!! んんッ!・・・んッ!・・・イッちゃうぅぅッッ!!」
土方の精液を膣内に受け、おりょうも達した。
二人ともしばらくグッタリとし、大きく息をついていた。
おりょうは薄れる意識の中で、土方が優しく髪を撫でてくれているのを感じた。
どれほど時間が経ったのだろうか。
私は夢うつつの中で、土方さんが部屋から出て行くのを感じた。
去り際、指先でそっと頬に触れ、耳もとで「スマン」と一言だけ言う土方さん。
私は土方さんの声、指先の感触でゆっくり意識が覚醒した。
しかし彼はそれに気付く事もなく、部屋から出て行った。
最後に見たその背中は、やっぱりあの朝と同じで、私はなんだかあったかい気持ちになった。
その後、まだ気だるい体を起こし、私は土方さんが忘れていった煙草に火をつけた。
初めて吸う煙草は苦く、涙が出た。
それでも私は吸い続けた。
彼を感じられる気が、した。
< 了 >