「――そこのお兄ちゃん、ちょっと待って欲しいアルよ。」  
「・・なんですかィ?」  
昼下がりのかぶき町。土方に命令されムリヤリ街の見回りに行かされた沖田が見回りをしつつ(実際はただ歩いているだけ)  
土方を抹殺・・ではなく副長の座を奪い取るためにアレコレと思案を  
巡らせている時だった。  
急に後ろから自分を呼ぶ声がし、同時に服の袖をつかまれた。  
振り向くとそこには日傘を差したチャイナ服姿の女の子が立っていた。  
透き通るような白い肌。淡くツヤのいいピンクの髪。  
少し主張する程度に膨らんだ胸に幼さの残る顔が印象深い。  
「私の体・・買って欲しいアル。」  
「・・ハァ〜ッ!?」  
「好きなことしていいから、お願いヨ。」  
「きゅ、急にそんなこと言われやしても・・。」  
いきなりの出来事に沖田は戸惑った。  
沖田は少し考えた。多少迷ったが結構早く答えは出た。  
 
自分は腐っても警察。そしてこの少女がしていることは売春。犯罪である。  
警察の使命は悪人を捕え改心させ、その人を正しい道に戻してやることである。  
しかしそこはさすが沖田とでも言うべきだろうか。そんなことはすっかり忘れていた。  
「お嬢ちゃん、名前は?」  
「・・神楽。」  
「神楽ちゃん・・。じゃぁ、行きやしょうか!」  
沖田は見回りのことなど完全に忘れ、ルンルン気分で神楽を人通りのない暗がりの袋小路へ連れ込んだ。  
「・・ホテルでやらないアルか?」  
「こういうところのが燃えるもんですぜ?」  
「――ッ!?」  
沖田は強引に神楽を押し倒し、馬乗りになった。  
「い・・いきなり何するアルか!?びっくりするアルよ!」  
「どんなことしてもいいって言ったのは自分じゃないんですかィ?」  
沖田は服越しに胸をもみ始めた。  
「は、あんっ、やめっ・・あぅっ!」  
「もう感じてるんですかィ?かわいい顔してイヤらしい娘さんだねぇ。」  
沖田は執拗に胸をもみ続けた。耳もとでは神楽の甘い喘ぎ声が聞こえている。  
その声が沖田をますます興奮させた。  
「・・そろそろ直に触ってあげやすぜ。」  
沖田は、神楽の服の肩の部分を掴むと一気にずるりと脱がした。  
ラインの細い華奢な体と、服越しで見るよりは大きめの胸が露わになった。  
そして・・・  
 
「――これは・・?」  
体のいたるところに見られるアザ。縄で縛られた痕。白い肌のおかげで一段と目立って見えた。  
さらに乳首には、リング状のニップルピアスが乱暴に取り付けられていた。  
沖田は手の動きを止め、黙って神楽の体を見つめていた。  
自分はまだ何もしていない。いや、これからするつもりであった。  
だからこの少女の体に刻まれたこれらの傷跡は自分がやったものではない。自分はまったく関係ないのだ。  
沖田はそう心に言い聞かせたが、何故なのだろう。  
後から後から罪悪感が押し寄せてくる。  
神楽は、突然手の動きをやめた沖田の顔を覗き込んだ。  
沖田は険しい顔で神楽の体を見つめているのに気づいた。  
神楽は慌てて沖田に謝罪した。  
「ち・・乳首ピアスは気にいらないアルか!?ゴメンアル、昨日のお客さんにムリヤリ付けられて・・。  
す、すぐ外すからちょっと待つアルヨ・・。」  
神楽は慌ててニップルピアスに手をかけて外そうとした。  
「――ッ!イタッ!」  
外そうとする痛みに神楽の顔が歪む。と同時に乳首から血が滲んできた。  
「う・・うぅっ・・。」  
痛みのあまり、神楽の目からポロポロと涙がこぼれた。  
そのとき、沖田が強引にピアスを外そうとしている神楽の手を掴み、  
外すのをやめさせた。  
 
「ど、どうしたアル・・ひゃっ!?」  
沖田は、神楽の乳首から流れ出ている血を舐めとり始めた。  
ゆっくりと、丁寧に。  
「あ・・そんな血なんて舐めちゃ・・あ、んんっ!」  
沖田の舌使いのうまさに神楽はつい先ほどまでの痛みなどとうに忘れていた。  
代わりに優しい快感が乳首を通して伝わってくる。  
沖田は血をきれいに舐めとってやると、ゴソゴソとポケットを探り始めた。  
取り出したものは、しわだらけのハンカチ。  
おそらく何日もポケットの中に入ったままのものだろう。  
沖田は、そのハンカチでそっと神楽の頬を拭いてやった。  
「・・・・・」  
神楽は自分の頬を伝う涙を拭う沖田の顔を黙って見つめていた。  
拭き終わると、沖田はどっこらせと馬乗りをやめて立ち上がった。  
「ど・・どうしたアルか?」  
「なんだか気が変わりやした。ここらでお開きにしましょうぜ。それと・・もう少し自分の体を大事にしなせぇよ。」  
 
沖田は、神楽に背を向けるとその場を立ち去ろうとした。  
神楽はその後姿を引きとめた。  
「ちょ、ちょっと待つアル!お願いだか・・」  
 
――グゥ〜ッ  
 
「え?ありゃ・・?」  
突然神楽のお腹が鳴った。後で分かったことだが、神楽は誰かに無理やりこんなことをやらされていた。  
そして一日のうちで決められた目標額以上稼げなかったらお仕置きとしてご飯抜きにされるらしい。  
もちろん『仕事中』買って食べることも禁止。別にバレないだろうなんて思っていたら大間違い。  
仕事が終わって戻ると規則を破っていないか『検査』と称して腹を殴られ、  
強制的に胃の中の物を吐かされる。そしてその後に稼いだ額を計算する。  
目標額に達していればその日の夕飯の残飯がもらえる。しかし目標額を一円でも下回っていれば何も食べさせてはもらえない。  
たとえご飯にありつけても一日の食事の上限はたった一食だけ。しかも残飯。  
神楽はもう三日も何も食べていなかった。  
 
神楽はグーグー鳴るお腹をポコポコ叩いた。  
「もう・・鳴るなヨ!鳴るなってば・・」  
そのとき、神楽の目の前に手が差し伸べられた。か細く綺麗な手が。  
「・・何か食べに行きやしょうか。」  
神楽は沖田の顔を見上げた。  
笑顔だった。  
この地球に来てから今までで初めて自分に向けられた笑顔だった。  
 
「・・・すこんぶ」  
「は?何て言いやした?」  
「・・・すこんぶ食べたいアル。」  
「ハアァーーッ!?何ですかそのしみったれた個体名は!?もっと豪勢に行きやしょうぜィ?俺がウマいとこ連れてってあげるから早く服着てくだせぇ。」  
「う、うんっ!わかったアル!」  
 
「・・何笑い泣きしてるんですかィ?何だか気持ち悪いですぜ?」  
 
 
―――こんなに優しくされたのも初めてだった。  
 

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