「ああっ! どういうことなのこれは?」  
 私は100億ドルの美貌を持つ氷上のプリンセス、フィギュアスケーター桜野タズサ。  
その私が、こともあろうに薄暗い地下室のような部屋の中で十字架に磔にされていた  
のだった。  
 
 混乱する頭を整理して思い出してみた。練習が終わってロッカールームで一人で上  
下のジャージに着替えた直後だった。黒い覆面をした複数の男たちがロッカーに乱入  
してきたのね。  
 
 あっ、と叫ぶ間もなく、私の口に布を押し当てると鳩尾に強烈なパンチを入れてき  
た。そのまま私は気を失ったの。そして気がついたら磔になっていたって訳。  
 
 十字架の大きさは私の身長に見合うくらいで、足は揃って床についていた。両腕は  
水平に横に開いた格好にされ、両手首と揃えた足首はガッチリと縄で縛り付けられて  
いた。身動きできない。ジャージに乱れはなく、どうやら身体にイタズラはされていな  
いようだ。  
 
――いやよっ! 冗談じゃないわ。プリンセスが磔にされるなんて、アニメじゃある  
 まいし!  
 不安に駆られた私がそう叫びそうになった時、部屋の扉が開いて、黒覆面をつけた  
三人の男が入ってきた。  
 
「どうだ桜野タズサ! 磔にされた気分は?」  
――気分? いいはずないでしょ!  
 カッとした私は  
「何者なの? あなたたちは!」  
 と言い返していた。  
 
 相手の正体については皆目見当がつかない。そりゃ、私って敵が多いから、私のこと  
憎んでる人たちは多いだろうけど、こんな大胆な拉致監禁をやられるほどの恨みは買  
ってないと思う。  
 
 至藤やドミニクがこんなことするとは思えないし、マスコミの連中も敵だけどちょっと  
ね。ひょっとして私が失脚させたスケート連盟の元副会長? といろいろ考えたけど  
一向に思い当たらなかった。  
 そこにリーダー格らしい男が、冷酷な口調で私に告げた。  
「我々の正体など関係ない。桜野タズサ、お前を今から全裸磔の刑に処す」  
 
――全裸磔の刑? 私が裸にされるって事? ちょっと、冗談でしょ!!  
「全裸磔の刑? 何なの、それ! 私が何したって言うの!」  
 必死になって叫んでいた。  
 
「フフッ、まだわからんのか? あまつさえ、100億ドルの美貌などと自称し周囲を  
たぶらかして五輪出場を掠め取った上に、数々の悪口雑言で、周囲に数々の甚大  
な被害をもたらした罪だ」  
 
――ひ、ひどい! なんていいがかりなの! ま、まんざら全部嘘って訳でもなか  
 ったけどね。  
「何の権利があって、私にそんな罪を被せるのよ!」  
 だが、男はそれに答えず懐からナイフを取り出すと、私の方ににじり寄ってきた。  
「さて、刑の執行だ」  
 
 男はまず私を威嚇するように、顔の前にナイフを突きつけてきた。私は、ゴクッ  
と息を呑んだ。  
――あんなので刺されたら、大変だわ。  
 刃傷沙汰とは縁のない生活を送ってきた私は思わずビビッてしまったのだが、男  
は、私の体ではなくまず上のジャージにナイフを差し込んできた。  
 
 ビリッ、とジャージが裂ける音がした。  
「きゃああっ!」  
 と私が悲鳴を上げるのも一顧だにせず、男は私のジャージを破り裂いていった。  
 
――いやあん、お気に入りのジャージなのに破らないでよ!  
 などとのんきな事を考えている場合ではないのだった。  
「やめてよ!」  
 という私の抗議など通用するはずもなく、男は手際よくビリビリと私のお気に入  
りのジャージを切り裂いていった。あっという間に下のシャツまで奪い取られてし  
まい、私の上半身はピンクのブラジャー一枚だけにされてしまった。  
――い、いやっ! 何をするの!  
 ようやく、私にも事態の深刻さが飲み込めてきた。ほんとに裸にされてしまうの  
だろうか? この誇り高い桜野タズサが?  
 縛られている両腕に力をこめて、逃れようとしたけど無駄な抵抗だった。縄はビ  
クともしない。  
 そして男は、ジャージのズボンにナイフを差し入れてきた。  
――ダ、ダメッ! 今日の下着は見られたくないっ!  
 もう少しおとなし目のショーツを穿いてくればよかった、と私は後悔していた。  
だって、こんなことになるなんて想像もしていなかったんだもの。  
 純白の、下が透けて見えるレースのショーツよ。絶対に知らない男なんかに見  
せたくないっ。  
 
 しかし、そんな私の思いも空しく、ジャージはボロ布に変わっていった。  
「いやあああっ!」  
 私にできることは悲鳴を上げることだけだった。考えられる? こんな事態。  
とうとう、下半身もショーツ一枚だけにされてしまった。いやっ! 恥ずかしい。  
あまりの屈辱に、自分の白い肌が紅潮していくのがわかった。  
「フフ、なかなかエロいパンティ穿いてるじゃないか、タズサ」  
 余計なお世話だわ。それに何よ! あんたなんかにタズサとか、名前で呼び捨  
てにされる筋合いはないんだけど。  
 それはともかく、いつの間にか私が身に着けているのは上下の下着二枚だけに  
なってしまっていた。ああ……  
 図に乗った男は私の方ににじり寄って来ると、厚かましくもブラの上から私の  
右の乳房を鷲掴みにした。ああっ! 汚い手で私の胸を触らないで!  
「いいオッパイしてるな、タズサ」  
 くうっ、許せないやつ! 憤った私は、思わず  
「触るな、このイ○ポ野郎!」  
 と言い放つと、男の顔に向けてペッ、と唾を吐きかけたのだった。  
 やだっ! 私としたことがなんてはしたない。とか思った次の瞬間、私の唾が  
男の右目に見事に命中した。  
 
――やった、ざまあみろ。  
 とちょっとだけ溜飲を下げたのだったが、代償は高くついた。  
「このアマ! 優しくしてたらつけあがりやがって!」  
 怒った男は、私の両頬に強烈な往復ビンタをくらわせてきたのだった。  
「ああっ!!」  
 今まで親からでさえ顔をぶたれたことのない私だった。  
――く、悔しい、悔しいっ!  
 私は無力だった。痛みと、いやそれより、暴力に屈した自分の無力さに対する  
悔しさから私の瞳から涙が溢れてきた。こんな侮辱を受けて、何も抵抗できない  
敗北感に打ちのめされたのだ。  
 さすがの私も肉体的な暴力を受けて、抗う気力が萎えてしまった。すっかりお  
となしくなってしまう。  
「そろそろ、乳首見せてもらおうか」  
 男はニヤつきながら、ナイフを胸の谷間に差し込んできた。  
「うう……」  
 私の抵抗はうめくことだけだった。もはや自分が磔のままハダカにされるネガ  
ティブなイメージしか浮かんでこない。  
 
「イヤッ!」  
 という私の声とともにブラが真ん中からちぎられ、スッと剥ぎ取られる。上半  
身裸にされてしまった。乳房が隠しようもなく露出してしまった。  
 
――ああ……は、恥ずかしい。み、見ないで……  
 大変な恥辱だった。両乳房を丸出しにされた私は、羞恥のあまり、相手を  
正視することができず、顔をそむけていた。  
 
「ハハハ、なかなかいいカラダしてるじゃないか、タズサ。どうした? 最初か  
らそんなにしおらしくしていれば結構いいオンナだぞ、お前」  
 ううっ、言わせておけば……私としたことが、言いたい放題の相手に何も言い  
返せなかった。悔しいっ!  
 
「さて、最後のパンティをいただくとするか」  
――えっ、最後のパンティ?  
 ドキッとした。そうだ、もはや私に残されているのは、はなはだ頼りないレー  
スのショーツ一枚だけだった。ホントにハダカにされてしまうの? そしてハッ  
と気がついた。  
――全裸にされるだけですむはずがない……  
 
 きっと、レイプされてしまうに違いなかった。いやっ、いやっ! 力ずくで犯  
されるなんて絶対いやよっ! さすがの私も体が凍りついた。  
 
 だって、私ってまだ男の人とエッチしたことなんかないのよ。スケートしか知  
らない人生だった。世の中の男たちって、私のこの100億ドルの美貌と気の強さ  
に恐れをなして誰も寄ってこれなかったのよね。だから、その種の経験はなくま  
るでウブだった。  
 
 桜野タズサ凌辱されて処女喪失!? いや、いやっ、いやあん!! 冗談じゃな  
いわよ! まだ脱がされる前から勝手に想像して悶絶する私だった。  
 そんな私の思いなど汲み取られるはずもなく、覆面男はナイフを振りかざして  
再び近寄ってきた。そして私を更に辱めようとしてか、すぐにはショーツを剥ぎ取  
らず、弄ぶかのように無礼にも薄いショーツの上から、女の子の一番敏感な場所  
に指で刺激を加えてきた。  
 
「あ、ああんっ!」  
 な、何、この感覚! 身体を走ったビビッという電気のような感覚にたまらず  
私は、はしたない喘ぎ声を上げてしまった。いくら普段は強がってはいても、所  
詮は、私もか弱い一人の女の子に過ぎないのだった。  
 
「感じたか? なかなか感度はアソコの感度はいいようだな」  
 と言い捨てると、男は無遠慮に私に残された最後の砦であるレースのショーツ  
に、無遠慮にナイフを差し入れてきた。  
 絶対絶命だった。タズサ、オールヌード寸前よっ!  
 
「ああ……お、お願い! やめて!」  
 無駄とはわかっていたが、最後に演技半分で涙を流して哀願してみた。人に  
頭を下げて物を頼んだことなんかない、この桜野タズサがよ。  
 
 だが男は手を休める気配はなかった。もう絶望だわ! ハダカに、全裸にされ  
るなんて、レイプされるなんていやっ!  
 
――誰でもいいから助けて!  
 助けなど来るはずもなかったが、私は必死で助けを求めていた。  
――助けて! ピート! コーチ! ヨーコ!  
 
 いろいろな人たちが脳裏に浮かぶ。そして四人目の名前が浮かんだ  
――助けて、リア!  
 私の最後の下着が奪い取られようとしたその時だった。  
 
「Wait!」  
 部屋の扉が開いて、人影が走りこんできた。誰なの? ひょっとして私を助け  
に来てくれたの? 人影の正体は、一人の小柄な女性だった。頭を上げた私は  
心底から驚いた。  
「リア!」  
 
 救世主は、女子フィギュアスケート界の若き女帝、リア・ガーネット・ジュイ  
ティエフだった。それもたった一人だ。  
 
「タズサ、助けに来たわよ!」  
 リアは英語で叫んだ。男たちが英語を理解できるかどうかわからなかったけ  
れど、この闖入者が、自分らを邪魔しに来たことは理解したようだ。  
「なんだこの女、やっちまえ!」  
 
 いくら、リアがフィギュア界では無敵の女帝といっても、身体の小さい少女に  
過ぎない。相手は、屈強な男三人だ。一人で戦うなんて無謀に思えた。  
 
 だが、その心配は杞憂に過ぎなかった。最初にナイフで突進したリーダーの  
男をY字スパイラル並によく脚の上がったハイキックでナイフを叩き落すと、次  
の瞬間、身体を沈め、鳩尾にナックルパンチを食らわせていた。  
 
 そして、飛びかかってきた二番目の男には、トリプルアクセル並みのジャンプ  
力で飛び上がっての延髄斬りが入っていた。  
 
 三番目の男には、まるでシャーロットスパイラルみたいな豪快な後ろ回し蹴り  
がアゴに炸裂した。  
 
――ど、どうしてリアがこんなに強いの!  
 わたしはあっけに取られて成り行きを見つめるだけだった。相変わらず彼女に  
はびっくりさせられることばかりだ。それにしても何なの? このアニメみたい  
な展開は?  
 
「く、くそ! 覚えておけ!」  
 三人の男は、ほうほうの体で逃げ出していったのだった。  
 リアはいつも同様、全く表情を変えていなかった。ようやく我に返った私は、  
「リア、ありがとう! 助けに来てくれたのね」  
 と英語でお礼を述べた。  
 
「タズサ、災難だったわね」  
 彼女の表情が少し緩み、私はおずおずと、彼女にお願いしてみた。  
「ねえリア、この縄外してくれたらありがたいんだけど。このままじゃ、ちょっ  
と恥ずかしすぎるわ」  
 
 私は依然としてパンツ一枚で十字架に磔にされたままだった。ライバル選手  
の前では恥ずかしすぎる姿だ。  
 
 ところがリアはすぐに縄を解こうとはせず、私の前に立つと珍しくいたずらっぽ  
い笑いを浮かべ  
「フフ、タズサ、あなた思ったよりいいボディしてるわね」  
 私の身体に対して、こともあろうに覆面男と同じような感想を述べた。  
 
――な、何言ってるのよ。私を助けに来たんでしょ。  
 なかなか行動に出ない彼女にいい加減、キレそうになった私に対して、女帝リ  
アは予想もつかない行動に出たのだった。そう、私が全く考えもしていなかった  
行動に。  
 
 リアは、いきなりスーッと私の方に近づいてきた。そして私の前に立つや否や  
磔で動けない私の唇に、自分の唇を重ねてきた。  
 あまりに当然のことに、わたしは呆然とした。自分を取り戻すのにしばしの時  
間が経過した。  
 
――えっ、えっ! 私、今リアに唇を奪われたの?  
 しかし、不思議なことに同姓とのキスという事に対する拒否感は全くなかった。  
だって、だって相手がリアだったもの。  
 
 でもね、もうちょっとロマンティックなシチュエーションだったら、もっと良かった  
のにね……私だけかっこ悪くパンツ一枚で、無理やり唇を奪われちゃうなんて、  
もう。  
   
 リアは私から離れると、初めて見せる切ない表情になった。女帝リアが私の前  
で初めて見せた人間的な表情だった。  
 
「ああ……タズサ! 貴女のことが好きよ! 好きで、好きでたまらないの。ど  
んなにフィギュアスケートで栄光を掴んでも、心が満たされることはなかったわ!  
淋しくて、淋しくて……貴女と初めて会った時、わかったの。私を理解してくれ  
るのはこの人だけだって」  
 
 そして、私の前で自分の服を脱ぎ始めた。世界のフィギュアスケート界に君臨  
する女帝が、一糸纏わぬ姿になった。全裸で仁王立ちになった彼女は続けた。  
 
「どう、これが私のすべてよ。タズサ、以前言ったことがあったわよね。あなた  
にしか興味ないって。あの時から私の気持ちは一つよ。お願いよタズサ! 私を  
受け入れて欲しいの!」  
 
 これまで、欲しい物すべてを手に入れてきた女帝が、この桜野タズサに懇願し  
ているのだった。リアの眼は本気だった。ここで、もし私が拒んだら私を殺して  
自分も死ぬつもりかもしれない。  
 
 私は悟ったのだった、初めてリアと会話をかわしたトリノの夜、あの時こうな  
る運命に定まっていた事を。そう、リア・ガーネットと結ばれるという運命に。  
 
 心臓がドキドキしてうまく伝えることができるか自信がなかったけど、できる  
だけ落ち着いて私は言った。  
 
「私も同じ気持ちよ。リア、貴女のことが好き!」  
「タズサ!」  
 
 リアは覆面男が残していったナイフで私の縛めを解いてくれた。私はようやく  
十字架から逃れることができた。  
 
「リア!」  
 自由になった私は半裸のまま、リアに飛びついていた。彼女と再び唇を重ねる。  
お互いの舌を絡ませる。熱いディープキス。今まで男の人ともしたことがない濃  
厚なキスを堪能したのね。  
 
 リアは私のショーツに手を掛けた。そして、優しくそっと降ろす。これで私も  
彼女と同じく一糸纏わぬ姿になった。お互いに全裸になった私たちは床に崩  
れ込んだ。  
 
「タズサ、何も心配しなくていいのよ」  
 リアは私の乳房を優しく揉みながら、優しくそう囁いた。ああん! なんてい  
い気持ちなの。こんな素敵な世界があったなんて……  
 
 リアの手が私の茂みにそっと伸びて、優しくそして的確に私をめくるめく快感  
の世界へと誘っていった。  
 
――ああっ! 最高だわ。  
 私にとっては未経験の世界。リアは経験者なのだろうか? ほんのちょっとだ  
か口惜しい思いがしていた。だって、氷の上だけでなく、床の上でもリアの方が  
私より優位だなんて。  
 
 最高の時が過ぎていく。私とリアは桃源郷に入っていったのだ。いつまでも、  
いつまでもこの瞬間が続いてくれたらいいのに、と私は考えていた。   
 
 
 これが私たちにとっての命取りになるとも知らず……  
 
 
「いや! いやっ! 離して!」  
 私は必死になって叫んでいた。全裸で床の上に仰向けになって、大の字に両腕  
両脚を大きく広げられた格好にされていた。そしてその四肢は屈強な男たちに押  
さえつけられている。そして私のすぐ隣ではリアも同じ状況だった。  
 
「ハハハ、バカな奴だ! あのまま逃げればよかったものを。戻ってみたらレズ  
っていやがったとはな」  
 
 例の覆面男が私を見下ろして、憎々しげに言い放った。残念ながら、全くその  
通りだった。あのままこの場を立ち去っておくべきだったのだ。私とリアが裸で  
絡み合い、私がリアにイカされて喜悦の叫びを上げた直後、10数人に増えてい  
た男達が部屋に踏み込んできた。私たち二人はなす術なく捕らえられてしまった  
のだった。  
「桜野タズサとリア・ガーネットのレズプレイをビデオに撮れるなんざ、ラッキ  
ー過ぎて笑いが止まらんよ」  
 
 もう、おしまいだ。私とリアの行為は覗かれていた。しかもその一部始終がビ  
デオに撮られていたのだ。しかも更に、私とリアに向けてビデオカメラが向けら  
れていた。二人が、これから力ずくで犯されるシーンを撮るために。  
 
「タズサとリアのレズプレイ、プラス二人のモノホンのハメ撮りだぜ。いくらで  
売れるか、想像もつかんな」  
 
 私は全身が凍りついた。そんなものが世の中に出回ったら、もはや生きて  
いくことはできない。天国から地獄へ、という表現ですら甘すぎるほどの運命  
の暗転だった。  
 
―そうだ、リアだけは助けたい!  
「私はどうなってもいい! 犯すなり姦すなり、好きにしていいわ。何でもする  
わ。でも、リアは、リアだけは助けて!」  
 
 私は懸命に懇願した。すると男は、ニヤリとしてこう告げた。  
「ほう、そうか、じゃ俺のモノを咥えてもらうとするか」  
 
――モノを咥える?  
 一瞬、ピンと来なかった私は  
「ど、どういうことなの?」  
 
 間の抜けた私の問いに、男は呆れた様な顔で言った。  
「フェラチオも知らんお嬢様か。俺のチ○ポを咥えてしゃぶるんだよ!」  
 
――チ○ポを咥えてしゃぶるですって!?  
 私は激しい嫌悪感が心の奥底から湧き上がってくるのを覚えた。さすがに世間  
知らずの私でも、フェラチオという行為が存在することは知っていた。  
 
 しかし、それはまるで違う世界の出来事のような感覚だった。まさか、まさか、こ  
の私がそんな汚らわしい行為をしなくてはならないなんて。  
 
 でもリアを救うためには、それしかないのだった。  
「わかった、やるわ」  
 私は簡潔に答えた。  
 
「100億ドルの美貌をもつ女にフェラしてもらえるとは嬉しいぜ」  
 というなり男は、早くも硬く屹立している自分の肉棒を露出させた。いやよっ!  
あんな醜いモノを口に咥えるなんて。  
 
 だが私は、情けないことに、まるで犬みたいに、お尻を後ろに突き出した四つん  
ばいの格好をさせられていた、もちろん全裸だ。その姿はすべてビデオに収めら  
れているのだ  
 
 日本語ができないリアは、どんなやりとりがされているのかわからずいつもに  
増して冷たい表情だったが、わたしの姿で、これから何が起こるか理解したらし  
く、英語で  
 
「タズサ! ダメよ、そんなことしないで! あなただけは逃げて!」  
 と叫んだが、床に押さえつけられたままだった。氷上では無敵の女帝も、まっ  
たくの無力な存在に過ぎなかった。  
 
 わたしの目の前に醜悪な肉棒が突きつけられた。うっ、臭い! ツーんとする  
臭気に吐き気を催した。  
 
――ああ……いや! いやっ! こんな汚いモノを口に入れるなんてできない!  
 込み上げる拒否感を必死で堪え、私は確認した。  
「お願い約束して! 私が、私がフェラチオすれば、リアを助けてくれるのね」  
 
「フフ、助けるって言ってるだろ、さっさと口を開けろ」  
 ううっ、信用できない……全く信頼できない相手だったが、一縷の望みを託す  
しかなかった。私は覚悟を決めた。四つんばいで口を大きく開ける。一気に硬い  
肉棒が突っ込まれてきた。  
 
――ううっ、いやああっ。  
 醜いペニスを咥えさせられた私。必死に耐えるだけだった。あまりの屈辱に瞳  
から涙がとめどなく溢れ出していた。  
 
「馬鹿か! 咥えてるだけのやつがあるか! しゃぶれ!」  
 男は、実に身勝手な怒声を飛ばす。歯で噛みちぎってやりたかったけど、リア  
を守るためにそれはできない。男がイカないと抜いてもらえない。私は一生懸命  
にペニスをしゃぶった。男は喉の奥まで突っ込んできた。ジャリジャリという剛  
毛が顔に当たって気色悪い。とにかく早く終わって欲しかった。  
 
「うっ、こりゃイイ! 最高だよ、タズサちゃん!」  
 初めてのちゃん付けだったが、私にとっては何にもならない。ハアハア、男の  
息が荒くなった。  
 
「ううっ、イクう!」  
 やっと終わりかと思ったが、私には新たな悪夢の追加だった。  
 
「口の中に出すぞ! 一滴も残さず飲めよ、タズサ!」  
――ダ、ダメ! そんなことだけはいやっ!  
 私に自分の精液を飲め、と強要しているのだ。絶対に嫌だ。だが拒否する暇も  
なく次の瞬間には私の口内に 男のスペルマがぶちまけられていた。  
 
――いやっ! こんな腐った液飲みたくなんかない!  
 だが男は果てた後もなかなかペニスを抜いてくれず、私は泣く泣く精液を飲み  
干すしかないのだった。  
 
「いやあ、タズサちゃんがフェラしてくれるなんて最高!」  
 やっと肉棒を抜いた男の勝手極まりない感想は、耳には入らず、プライドをズ  
タズタにされた私は嗚咽が止まらなかった。でも、私がどんなに屈辱にまみれよ  
うとリアが、リアさえ助かればよいのだ。  
 
 だが、その時耳をつんざく悲鳴が響き渡った。  
「アアァ―――!!」  
 
 リアの声だ! 私は声の方を振り返った。そこには私が決して見たくない光景  
が展開されていた。四肢を押さえられた彼女の上に大柄な男がのしかかってい  
た。そいつは下半身裸になっており、肉棒がリアの股間に挿入されていたのだ。  
 
 ああ、なんということだろう、フィギュアスケート界の至宝、リア・ガーネッ  
ト・ジュイティエフの純潔は無残にも散ってしまったのだ。  
 
「リア!! いやああああああっ!」  
 私は絶叫した。リーダーの男をキッと睨みつける。  
「卑怯者!! 私をだましたのね!!」  
 
 飛びかかろうとしたが、たちまち取り押さえられてしまった。  
「どこまでアホな女だ。助けるはずなどないだろう。フィギュア界の二大美女、  
桜野タズサとリア・ガーネットの二人を一度に犯れる機会など、もうないわ。  
ま、タズサちゃんは俺が優しくイカせてやるから安心しなさい」  
 
 さりげなく、私に凌辱宣言したのだ。次は私の番だった。  
「ああっ! や、やめて! 犯されたくない!」  
 私は逃げようとしたが、たちまち仰向けに組み伏せられ、両脚を大きく広げ  
られてしまった。男が再び肉棒を取り出す。さっき果てたばかりなのに、もう  
勢いを取り戻していた。  
 
「いやっ! いやっ! いやあっ!」  
 私はさしたる抵抗もできなかった。男がのしかかってくる。そして暴虐が私  
のカラダを貫いた。  
 
「い、痛いっ!」  
 愛情の欠片すらない処女喪失。痛みのあまり、叫ぶしかなかった。男はピス  
トン運動を開始したが、快感など覚えるはずもない。一体これから何人の肉棒  
が私に入ってくるのだろうか。私はひたすらこの悪夢が早く終わってくれるこ  
とだけを祈っていた。  
 
  〜終〜  
 

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