静まりかえったオフィスに何かを舐める淫猥な音が響きわたる。  
「……はぁっん……」  
息苦しさに一度口から離したものを再び深く咥え込む。  
何が理由でこんな事を強要させられているのかは実際よく判らない。  
ただ毎日こうして相手をさせられる。  
 
 
「ほら。しっかり舐めて下さいね?」  
さらに深く口の中に押し込まれるものに吐き気と屈辱を感じ、無意識に涙が瞳から零れ落ちる。  
「ふ……んん…はぁっ」  
苦い雄の味とむせ返るような欲望のにおいに綺麗な顔が歪む。  
自分の脚の間で懸命に己を舐め続ける美しい金髪をそっと撫でる。  
「……相変わらず上手いですね。梅崎さんは…。」  
そう言うと田波は真紀の顔に白濁とした液体を吐き出した。  
 
何時からだったかよくは覚えていない。  
突然に田波に行為を要求させられた。  
確かあの日は田波と一緒に残業をさせられていたはずだ。  
突然に田波が行為を要求してきた。  
何かの冗談だと思いたかった。  
自分は初めてではなかった。  
ただいくら処女ではなくとも慣らされずに貫かれればそれなりに痛みはある。  
悔しかったのは、それを上まわる快楽……  
 
真紀の秘所に舌を這わせていた田波は真紀が唇を噛んで必死に声を殺しているのに気が付いた。  
「そんなに強く噛んでると唇切れちゃいますよ?」  
秘所を這わせていたものを指に代え、そっと真紀の唇を舐めた。  
涙の滲んだ眼が薄く開く。  
「……んっ……」  
柔らかな唇を這い回る舌の感覚に声が洩れる。  
田波のものを舐めさせられるのは、嫌いだ。  
においも味も神経を逆撫でる。  
だが、田波に身体を弄られるのは嫌いではない。  
それによる快感で意識を飛ばした事だって何度もある。  
眼が覚めると必ず身体を清められ田波の腕の中に居る。  
眼が合うと見せる照れたような微笑みは好きだ。  
自分だけが田波のものだと思える瞬間。  
 
「……梅崎さん?」  
急に名を呼ばれた。  
「……あ……」  
自分だけに向けられた笑顔につい顔が火照るのがわかる。  
困ったような照れているような笑顔……  
そっと頬を田波の手が包む。  
少し骨張っていて、温かい感触……。  
 
「嫌、ですか?」  
「……え?」  
「続けても良いですか…?」  
柔らかな笑顔に戸惑う自分がなんだか可笑しい……  
「梅崎さん…?」  
困ったような田波の唇にそっと自分の唇を重ねる。  
「続き、シテ……」  
田波の手を自分の、胸に当てる。  
柔らかに揉みしだかれる感覚に呼吸が乱れる。  
思わず田波にしがみつく。  
真紀の髪から柔らかな香が発せられ田波の鼻腔を擽った。  
 
「梅崎さん……いいですか?」  
真紀の秘所に田波のものが宛がわれるとこれから行われる快感に真紀の秘所は期待に濡れる。  
「……田波君…、早くぅ……」  
焦れてきたのか催促する真紀を突然田波は仰向けになり自分を跨がせた。  
「ふぁ…あ、なにぃ…?」  
突然の行動が理解できずに、田波を跨いで困った表情を見せる真紀に田波は微笑み返すと、  
「自分で挿入(いれ)てみてください。」と言った。  
「……ン……」  
やっと意味が理解できた真紀は田波のものをそっと掴み秘所に当てるとゆっくりと腰を降ろした。  
「はぁ……あ…んん……」  
田波のもので拡げられてゆく感覚に思考が奪われていく。  
唐突に田波は腰を突き上げた。  
それによって最奥まで一気に突かれた。  
「ぁあ!……ふぁ…ぁはっ…」  
待ちに待った快楽に声を殺すのも忘れていた。  
ただ田波から与えられる快楽だけを追った……  
 
「……ん…」  
夜明けに眼が覚めた。  
眼が覚めた自分はやはり、田波の腕の中に居て………  
真紀を腕に抱いたまま眠っている田波の寝顔に安堵感を感じた。  
 
「お疲れ様。」  
 
そう囁くと田波の頬にくちづけてまた目を閉じた。  
 
 
 
終  
 

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