光を飲み込む闇がある。  
闇を打ち消す光がある。  
光と闇、命と死、現世と常世がせめぎあう空間に、楓はいた。  
破壊しつくされた大地に炎が走り、豪雨を降らす暗雲から稲光が漏れる。  
常人なら目も開けていられないような惨状である。  
そんな中、同じ使命を持つ者達、そしてかつての養父とともに、ある一点を見つめる。  
眩い光を纏いながら闇の中へ姿を消していく女性。  
その寂しげな瞳を見たとき、楓は思わず叫んだ。  
 
「姉さん!!」  
持ち場を離れてはならないという言いつけも忘れて走り出そうとする。  
しかし一度封印の儀が始まってしまえば、四神の一人といえども自由に身体を動かすことは出来なかった。  
封印の巫女……雪の身体が闇に埋没していく。  
「こんな……っ、こんな結末なんて!!」  
歯を食いしばり手を伸ばすが、一歩たりとも前に進まない。  
そんな楓を見た雪は、一瞬困ったような笑みを浮かべ……。  
 
「――――――――」  
 
地獄門は、閉じた。  
 
 
 
 
「――――ぇさん!!」  
うわ言と共に身を起こして数秒。  
楓は、それが夢だったことに気付いた。  
封印の儀……一年前、彼が血のつながらない姉を失ったときの夢であった。  
寒気がして二の腕を握り締めると、寝汗をかいていたらしく湿っている。  
「割り切れたと、思ってたんだけどな……」  
震える声で、そう漏らす。  
 
仕方のないことだった。  
自分は四神の一人として、雪は封印の巫女として、使命を果たしただけのこと。  
地獄門を閉じたことで、現世と常世の均衡は保たれ、多くの命が救われた。  
頭では理解していながら、今でもこうしてうなされ、飛び起きる。  
そんな自分がひどく滑稽に思えて、つい自嘲が漏れる。  
 
「もうすぐ、夜明けか……」  
ならいっそ起きておこうか。  
そう思って掛け布団をどけようとしたときだった。  
「……? うわぁっ!?」  
布団の中に誰かがいることに気付いた楓は、慌てて飛びのいた。  
誰か? いや、こんなことをするのは彼の知る限り一人しかいない。  
 
「あ、あかりちゃん! なんで僕の布団に入ってるの!?」  
「ん………にゃ? あさー?」  
もぞもぞと掛け布団をかき分け、ピンと立った一房の髪が姿を現す。  
「朝?じゃなくて! ここは僕の布団だってば!」  
楓が布団を引っ張ると、そこには寝間着姿の一条あかりが寝ぼけ眼を擦っていた。  
 
「ふわぁ……ん…楓ちゃん、“ぐっもーにん”や」  
「あ、おはよう。…………って、違ぇぇぇぇぇっ!!」  
そう叫んだ楓の周囲の空間に、バシィッという音と共に幾本かの光の筋が走った。  
次の瞬間には彼の髪は金色に染まり、目は紅い輝きを放っていた。  
普段の黒髪とうって変わって見る者を威圧する風貌だが、あかりは全くこたえない。  
「なんや、朝から元気やなぁ。ウチは覚醒前のが好みやけど、こっちの楓ちゃんもカッコええで♪」  
「あっちの姿じゃお前に言いくるめられちまうからな! それより何でここにいるんだよ!」  
「何でって……いややわぁ、楓ちゃんのえっち♪」  
顔を赤らめながらニヤリと笑うあかり。  
「ああもう、また訳の分からん言葉を! とにかく俺は着替えるから早く出てけ!」  
「ん、遠慮せんでええで? ウチも着替えるし」  
あかりはそう言うと寝間着に手をかけ、肩の辺りまでするりとはだけさせる。  
剥き出しになった白い肩に一瞬目を奪われた楓だが、すぐに目を逸らし、ふすまに向かって駆け出した。  
「あれ、どこ行くん?」  
「顔洗ってくる! それとあかり、夜俺の布団に入ってくるのやめろよな!  
 いつまでもガキじゃあるまいし!」  
 
そう捲くし立てると、楓は部屋を出て行ってしまった。  
「あちゃー、また怒らしてしもた……」  
一人取り残されたあかりは、そう呟くと胸元まではだけていた寝間着を戻した。  
そして再び布団にもぐりこむ。  
「楓ちゃんもなー、こないな“きゅーと”な美少女と一緒に寝られるっちゅーのに、  
 覚醒してまで逃げることないやん」  
まだ布団に残る楓の温もりを、うつ伏せになって全身で感じ取る。  
「……あないにうなされとる所見せられて、放っとけるかいな」  
楓がうなされている間、ずっと彼の手を握っていた右手を見ながら、あかりは不貞腐れたように呟いた。  
 
「はぁ……」  
「おう坊主、おはようさん」  
「あ、十三さん。おはようございます」  
顔を洗い、元の姿に戻った楓だったが、あかりのいる部屋に戻る気がせず縁側に座り込んでいた。  
そこに通りかかったのは神崎十三である。  
「十三さん、こんな時間にどうしたんですか?」  
「ん、わしは小便しに起きただけじゃ」  
そう言いながら楓の隣に腰掛ける十三。  
「坊主こそどないしたんや?」  
「え……いや、その、なんとなく」  
「………お嬢やな」  
「!!?」  
「ははは、そない驚くなや。お嬢のやることやからな、大体想像は付くわ」  
図星を突かれて慌てる楓を、十三が笑い飛ばす。  
 
楓があかりの家……一条家に厄介になり始めて半年がたつ。  
封印の儀が終わったあと、楓はしばらく玄武の翁の下で暮らしていた。  
しかし姉を失った心の傷は深く、何をするにも上の空で、塞ぎこむ日々が続くばかりだった。  
 
そんな時、翁は楓に一条神社での修行を命じた。  
四神の長として、一条家との連携は必要不可欠。  
いざという時の為、陰陽術の補助を受けながら戦う術を身につけておけ、という指示だった。  
しかしそれは口実に過ぎず、翁の真意は楓に人との交流をさせることにあった。  
傷ついた弟子を、少しでも賑やかな環境に置くことで癒してやりたかったのだろう。  
楓も薄々気付いてはいたが、その頃は何をする気力もなく、  
反発する理由も見つからなかったので次の朝にはふらふらと旅立っていった。  
 
翁の願い通りというべきか、一条家にやってきてからの楓には塞ぎこんでいる暇などなかった。  
ある時は当主から陰陽術の仕組みや四神の歴史について学び、  
ある時は十三や式神を相手に剣術の修行に励んだ。  
なにより、それらの間……いや四六時中あかりが付いて回り、楓を弄り回したからだった。  
あかりは楓“で”遊ぶのが好きなだけでなく、あからさまに彼に好意を示していた。  
今朝のように気が付けば同衾していたことも一度や二度ではない。  
 
「まぁお嬢がお前さんにべったりなおかげで、わしは楽できとるんやけどな」  
「はぁ……」  
釈然としない様子の楓に、十三は真面目な顔をして向き直る。  
「まぁ、あれやな。お嬢はああ見えて賢い娘や。  
 お前さんを見とって、放っといたらアカンと思うたからあないな事しよるんやろうなぁ」  
「……あかりちゃんといるのが嫌だなんてことは、全くないんですよ」  
楓は少し俯いたままそう呟く。  
 
「それどころか、あかりちゃんの傍にいるとすごく楽しいんです。一緒に遊んだり、  
 町を回ったり……その度に表情がころころ変わるあかりちゃんを見てると、  
 暗い気持ちが全部吹き飛んでしまうような気がして……」  
「はは、なんやお嬢、わしの時より随分おとなしいなぁ」  
妖怪退治を手伝わされたり、二人して地獄門の瘴気から逃げ回った思い出が十三の脳裏に浮かぶ。  
「でもあかりちゃんが気を使ってくれるほど、いつまでも昔のことを引きずってる自分が情けなくて……」  
「んなもん、気にすることあらへんがな。わしなんかタダ飯喰らいの居候やけどなんも遠慮してへんで?」  
何の自慢にもならないことを言って豪快に笑う十三。  
それにつられて、楓もつい笑みを漏らす。  
 
「さて、日も昇ったし、もうちょっとしたら朝飯やな! わしはそれまでもう一眠りじゃ」  
「ええ、僕はもうしばらくここにいます」  
「そうか。まだちょっと冷えるし、風引かんようにな」  
十三は大あくびをしながら立ち上がり、廊下をドタドタと歩いていった。  
楓は再び庭の草木を眺める。  
朝方の悪夢のこと、四神の使命のこと、そしてあかりの事……。  
一人になった途端、楓はまた思考の渦に呑まれていった。  
 
「妖怪退治……ですか?」  
朝食の席で、楓は当主……あかりの父から今日の修行の内容を告げられた。  
「うむ……少し違うな」  
「何が違うん?」  
楓の隣にちょこんと座ったあかりも首を突っ込む。  
「おいおいお嬢、これは坊主の修行やで? 邪魔したらあかんがな」  
「黙っとき十三! それでお父はん、妖怪が何やって?」  
「あの、あかりちゃん。十三さんも言ったけど、これは僕の……」  
十三を押しのけて暴れるあかりを止めようと楓が口を開くが、それを当主がさえぎる。  
「いや、今日の話はあかりにも関係がある」  
「え?」  
「昨日、妖怪の被害が報告されましてな……」  
 
当主の話によると、ここ最近とある山道に妖怪が頻繁に姿を現すという。  
元々その土地には邪気を沈めるための祠が多数配置されていたが、  
そのうちのいくつかが少し前の山崩れで壊れたのが原因らしい。  
「すでに何人か、行商人が殺されておるようでな……」  
「そうですか……分かりました。しかし、なぜあかりちゃんを?」  
単なる妖怪退治なら、今の楓が遅れをとることはないだろう。  
あかりと力を合わせた方が仕事が速いのは確かだが、娘を危険に晒すほどのこととも思えない。  
 
「うむ。その妖怪の封印、調べたところ数百年は前のものでな……。  
 それだけの長い間封じられていたということは、その間誰にも滅ぼすことが出来なかったということだ」  
「なるほど、そこでウチの出番っちゅーわけやな!」  
待ってましたとばかりにあかりが立ち上がる。  
「うむ。楓殿の青龍の力が効かぬということもよもやあるまいが、  
 万が一倒しきれぬ場合にはあかりの術で再度封印を施せばよい」  
それにあかりならば、その妖怪を式神に変え、新たな力とすることも出来るかもしれない。  
あかりにとっても今回の件はいい修行になるわけだ。  
 
「わかりました。それでは、あかりちゃんをお借りし……」  
「よっしゃ! そうと決まったら善は急げや! 行くで楓ちゃん! はりーあーっぷ!!」  
「えぇ!? ちょっ、まだ朝ごはんが……!?」  
楓を引きずって駆け出すあかり。  
当主達は呆然とその様子を見送るしかなかった。  
 
問題の山のふもとに付いたのは、翌日の昼だった。  
それほど距離はなかったのだが、  
楓が武器を持ってきていないことをあかりに説明して、取りに帰るまでに半日かかった。  
「もう、楓ちゃんいつまでもボーっとしとったらアカンで? 大事な刀を忘れてくるやなんて」  
「…………」  
準備する間もなく駆け出したのは誰だとか、君も幣帛を忘れてたじゃないかとか、  
言いたいことは山ほどあるが飲み込む。  
「さてと。とりあえずなんか食べに行こか?」  
「え!? 調査は!?」  
「えー、そんなん後でええやん」  
「よくないよ! そのために来たんだから! だいたいさっきおむすび食べたばかりじゃないか」  
「もー、楓ちゃんは固いなぁ」  
「とにかく急ごう。今も妖怪は野放しになってるんだから」  
「むー……」  
いつになく頑固な楓に、渋々従うあかり。  
結局、少し茶店で休憩してからすぐに山道に入ることになった。  
 
山道は最近山崩れがあったという情報通り、倒れた木や剥き出しになった岩肌がそこかしこに見えていた。  
楓は黙々と歩きながら、その惨状に地獄門周辺の風景を重ねていた。  
「なぁ楓ちゃん?」  
「………」  
あかりが呼びかけても、反応はない。  
「かーえーでーちゃーん!」  
「………」  
「………何やねんもぅ」  
「………え? 何か言った?」  
「何でもあらへんよ」  
ツンと向こうをむいてしまったあかりを見て、まずいことをしたかと戸惑う楓。  
早くなっていた歩調をあかりにあわせ、寄り添うように隣を歩く。  
 
「……楓ちゃん、あのな?」  
機嫌を直したのか、あかりは再び楓に話しかける。  
「何?」  
「今日の朝、ウチと一緒に寝てたやんか?」  
「う……。あ、あかりちゃん、あんなことしちゃダメだよ? 女の子なんだから」  
「何言うてんの、男がやったら洒落にならんやないの」  
それを聞いた楓は思わず想像してしまい(しかも十三で)、身震いする。  
「まぁ、そのことはええねん。それで、あの時楓ちゃんなんか夢見てたやろ?」  
「……!」  
ハッと息を飲む楓をよそに、あかりはいつになく真剣な声で話し続ける。  
 
「ウチ、昨日の晩寝るときは自分の布団におってんけどな?  
 何や寝とったら楓ちゃんの声が聞こえた気がして、  
 それで部屋に行ったら楓ちゃんがえらいうなされとったから……」  
あるいはそれは、四神の力を託されたあかりが、青龍である楓の苦しみに反応したのかもしれない。  
とにかくなんとか楓を落ち着かせようと手を握っているうちに、あかり自身も眠ってしまったのだった。  
 
「なんでもないよ……。ちょっと悪い夢を見ただけで、内容も覚えていないし」  
「ウソや! 楓ちゃん、朝からずっと元気ないやん! ……家に来たばっかりの時みたいや」  
「本当に、なんでもないんだよ。あかりちゃんが心配することじゃない」  
「何やのそれ! そんなこと言うてまた一人で暗いことばっかり考えて……!」  
「随分歩いたね。一旦ここで休もう」  
熱くなり始めたあかりの言葉を、冷たい口調でさえぎる。  
楓が示した場所は道が急に広くなっていて、小さな祠が一つある。  
おそらくはいくつかあったという封印の一つだろう。  
 
あかりは釈然としない様子だったが、突然落ち着かない様子で、楓に背を向けて歩き出した。  
「……? どこに行くの?」  
楓が問うと、あかりは真っ赤になって顔を背けてしまった。  
「あ、アホ! 女の子のすることいちいち詮索するもんやないで!」  
そう言って草むらに入っていくあかりを見て、さすがに楓も事情を察した。  
「ご、ごめん……」  
少し赤くなって小さな声で呟いた楓は、疾風丸を脇に置き、祠の隣に座り込んだ。  
ふと、ここに来るまでのあかりとの会話を反芻する。  
「……何をやってるんだ、僕は」  
山道での口論だけではない。  
麓の村までの道中でも、楓は夢の事で頭がいっぱいで、あかりの言葉を何度も聞き逃していた。  
それでもあかりはめげずに楓に話しかけてきた。  
おそらく、落ち込んでいる楓のことを気遣って。  
それがわかっているのに、夢の内容にまで言及されると楓はつい邪険にしてしまった。  
「あかりちゃんは心配してくれているのに……僕がこんなでどうするんだ」  
かつて姉を失ったことも、今あかりと上手く付き合えないことも、全て自分の弱さが原因。  
そう考えて楓は歯を食いしばった。  
「……あかりちゃんが戻ってきたら、謝らなきゃ」  
 
 
尿意を感じて楓から離れたあかりは、祠から適度に離れた草むらにたどり着いた。  
「まったく、楓ちゃんには“でりかしー”っちゅうもんが足らんわ」  
一応辺りを見回して、武器を地面に置き、少し焦りながら帯を解く。  
「んしょっと、早よせんと漏れてまう〜」  
なんとか帯を解き、独特の短い袴に手をかけ、脱ぎ下ろす。  
下着をつけていないあかりは、それだけで小ぶりなお尻が丸出しになる。  
そして袴を膝に引っかけたまましゃがみこんだ。  
まだ毛もほとんどない股間が外気に触れると、尿意をより強く感じる。  
「ん………!?」  
そんな時だった。突如何者かの気配を感じ、慌てて袴を引き上げる。  
「ちょっ、楓ちゃん何してるんよ……っ!?」  
咄嗟に楓が覗いていたのかと思い、振り返るが誰もいない。  
しかし気配は消えていない。これは……?  
「妖か……!?」  
その瞬間、あかりの身体が何者かに跳ね飛ばされた。  
「ひぐぅっ!」  
咄嗟に受身を取り、視線を戻す。  
するとそこには、奇妙な生き物がこちらを見下ろしていた。  
人間のような体格だが、顔つきはむしろ肉食獣に近い。  
手には襲った人間から奪ったのか、抜き身の刀を握っている。  
『グゥゥゥ……』  
「な、何すんねんこのエロ妖怪!!」  
言うが早いかその場から跳躍するあかり。目標は、袴を脱ぐときに手放した明暗である。  
しかし妖怪は余裕でそれをさえぎり、再びあかりを蹴り飛ばした。  
「ぐっ……、ほなこれならどうや!!」  
懐に入っていた呪符だけでも、隙を付くことくらいは出来る。  
そう思って呪符を取り出したのだが……。  
『グォォッ!!』  
「ひゃん!!」  
一瞬で距離を詰められ、呪符を引き裂かれる。  
そして腕をつかまれ、ご丁寧にも明暗と反対方向に投げ飛ばされた。  
「な、なんやこいつ……反応早すぎや!」  
明暗に視線を移しただけで割って入られ、呪符を構える前に奪われる。  
動作自体が桁外れに速いわけではない。  
なのに何故こうもあかりの思ったことを次々に阻止できるのか。  
「ん? 思ったこと……?」  
昔書物で読んだ妖怪の知識が脳裏をよぎる。  
「こいつ……サトリか!」  
その瞬間、妖怪は表情を歪め低く唸った。  
そのとおりだ、と笑うかのように。  
 
サトリとは人の心を読むことの出来る妖怪である。  
だとすればあかりの行動を封じたことも、  
一見ただの棒にしか見えない明暗を武器だと知っていたことも説明が付く。  
(あかんな……変化人形もすぐバレる……武器を取らんことには勝ち目があらへん)  
焦りがあかりの思考を阻害する。  
サトリにはそれも筒抜けなのだろうか。余裕を感じさせる動作で一歩一歩近づいてくる。  
(明暗さえ取れば泥田坊を呼んで奇襲できる……って考えたらあかんやん!)  
サトリがちらりと背後を見る。明暗を確認したのだろう。  
なんとしてもあかりに武器を取らせない気だ。  
そして問題はそれだけではない。  
(うう……どないしよ……オシッコしたなってきた……)  
さっきはあと少しで出るというところで止めてしまったので、もはや我慢の限界にきている。  
(はよ終わらせんと……)  
 
そんなことに気を取られたからだろうか。サトリが一気に踏み込んだことに気付かなかった。  
「なっ!?」  
まずい。しかし同時にチャンスだ。  
上手くすれ違えば、明暗を拾える。  
深く考えずにその通りに身体を動かしたのがまずかった。  
 
「ぐっ!」  
当然のようにその思考も読んでいたサトリの手刀が、あかりの下腹部に食い込んだ。  
そのまま地面に投げ出される。  
急いで立ち上がれば何とか明暗に届いたかもしれないが、あかりはもう限界だった。  
 
「い、いやぁ……」  
股間が温かい感覚に包まれ、シャーーーッという水音が耳に刺さる。  
膝がガクガクと震え、白い袴に黄色い染みが広がり、やがて地面をも濡らしていく。  
「あ……ぁ……」  
漏らしてしまった事実に呆然としているうちに、サトリが動く。  
抵抗する間もなく首を捕まれ、持ち上げられた。  
小柄なあかりはそれだけで地に足が着かなくなる。  
さらに帯をつけていなかったため、小水に濡れて重くなった袴が地面にずり落ちる。  
「くっ……は……ぁ……」  
ギリギリと首が絞まり、意識が遠のく。  
(やられる――――?)  
嫌だ。  
このまま死にたくはない。  
まだ、あの青年に……。  
「かえ……で…ちゃ……」  
「あかりぃーーーッ!!」  
『グガァッ!?』  
聞きたかった声がしたかと思うと、あかりの身体は乱暴に投げ出され、地面に叩きつけられた。  
 
「あかり! 大丈夫か、あかり!」  
妖怪と切り結びながら、楓は必死に呼びかける。  
地面に投げ出されたあかりは、倒れたまま起き上がってこない。  
「てめぇ……ぶっ潰す!!」  
楓は怒りを隠そうともせず、金色の髪を振り乱し、サトリに斬りかかった。  
しかし怒りに任せた一撃は受け止められ、腹を蹴飛ばされる。  
「くそ、こいつ……!」  
『グォォッ!』  
意表を突こうと出した二段の空牙は軽く避けられ、連刃斬はすべて受け止められる。  
「これならどうだぁっ!」  
雷の力を疾風丸に乗せ、衝撃波と共に飛ばす。  
しかしその渾身の一撃すらかわし、サトリが楓に肉薄する。  
「うぉっ!?」  
足元をすくわれよろめく楓に、人の油を吸い錆の浮いた刀が迫る。  
 
『グォァッ!?』  
しかし、その刀は何かに弾かれ、楓に届くことはなかった。  
「これは式神……? あかり、無事なのか!?」  
「楓ちゃん! そいつ相手の考え読みよるねん! でも二人がかりやったらなんとかなるかも知れん!」  
「わかった、だが無理すんな! 援護だけ頼む!」  
「“らじゃー”や!」  
あかりの無事を確認し、楓は再びサトリと向かい合う。  
 
あかりの読み通り、二人分の思考を読めても動作は追いつかないらしい。  
楓の刀が、致命傷は与えられないまでも掠るようになった。  
しかし楓もほとんど動けないあかりを庇いながら戦っている為、再び劣勢となっていった。  
「齧っとけぇ!」  
あかりがサトリの背中にむけて式神を飛ばす。  
だがたまたまあかりの思考を優先して読まれたのか、避けられてしまった。  
「あかん! 楓ちゃん!!」  
このままでは楓の攻撃も避けられ、反撃を受ける……と思われた。  
『ガァッ!?』  
しかし、体勢を崩したのはサトリの方だった。  
「あ、あれ……?」  
 
膝をついたサトリの向こうに楓がいる。黒い髪と黒い瞳で、控えめな笑みを浮かべる楓が。  
「一か八かだったけど……思ったとおりだ」  
『グゥ、ウガァッ!』  
サトリは焦ってあとずさった。しかし傷を受け、鈍くなった足では楓からは逃げられない。  
「僕が覚醒する瞬間、体が一瞬青龍に支配される……!」  
“相手のすぐ近くまで踏み込む”  
黒髪の人間がそう考えているのは分かる。しかし、そこから先が全く読めない。  
「だから僕が…………“変わる瞬間”の思考は読めねぇようだなぁ!!」  
人間の髪が再び金色に戻ると、またサトリの中に思考が流れ込みはじめた。  
だがもう遅い。  
“正面から叩き斬る”  
その思考を読んだときには、サトリの脳髄はすでに光の刃に焼き切られていた。  
「活心ッ!! 醒龍ーーーーッ!!」  
疾風丸が全力で振り下ろされ、サトリは全身を焦がされながら絶命した。  
 
「大丈夫か! あかり!!」  
両断され黒焦げになった妖怪の死体に見向きもせず、楓は座り込んだままのあかりを抱き上げた。  
「ん……危ないところで楓ちゃんが来てくれたからな。カッコよかったで……」  
言い終わるが早いか、あかりは楓に抱きしめられていた。  
「な!? ちょ、ちょっと楓ちゃん!?」  
「………なるな」  
「え?」  
「俺の前から……もう、誰もいなくなるな……!」  
見ると、楓の身体は震えていた。  
四神の力を宿し、強力な妖怪を斬り倒しておきながら、迷子になった子どものように震える楓。  
その姿が、あかりには愛しく思えてならなかった。  
「……ウチはずっとおるよ。楓ちゃんのことが好きやから、ウチはずっと楓ちゃんの傍におる」  
あかりはそう言って楓の顔に手を添え、そっと唇を重ねた。  
「ん……ちゅ……」  
あかりの柔らかい舌が、楓の口の中に入り込む。  
「ぁ…………うわぁ!?」  
そこまでされて我に返ったのか、楓は慌ててあかりから離れる。  
「ん、どないしたん?」  
「どうってお前! い、いいのかよ! しちまったぞ、接吻!?」  
「……ええよ」  
「なっ……!」  
「言うたやろ、ウチ、楓ちゃんが好きや」  
「……あかり」  
頬を染めながら、あかりは再び楓に口付けをする。  
今度は楓もそれを受け入れる。  
「ちゅ……ん……は、あぁ……」  
「ん……」  
二人の舌が触れ合い、絡み合う。  
一旦口を離すと、二人の間を唾液の糸が伝った。  
「あかり……」  
「楓ちゃん……」  
暫し見詰め合う二人。そこで、楓があかりの格好に気付いてしまった。  
「お、お前下はどうしたんだよ!」  
「え……きゃ! わ、忘れとった〜」  
あかりは真っ赤になって、両手で股間を隠す。  
楓が辺りを見回すと、尿でぐっしょりと濡れたあかりの袴が見つかった。  
「ううっ、楓ちゃんにオシッコ漏らしたこと知られてしもた……」  
「わ、泣くな泣くな! そんなこと気にしねぇから!」  
「……ホンマに? 嫌いにならへん?」  
「ああ」  
「それやったら……」  
それだけ言うと、あかりは楓を押し倒す。  
「うわ!? おいあかり…………!」  
突然のことに驚いた楓は、腹に跨ったあかりの秘部に目が釘付けになる。  
「楓ちゃん……ウチのこと……もらってくれる?」  
「あかり……いいのか?」  
あかりは、もう一度口付けすることでそれに答えた。  
 
楓は、あかりの残っていた上着をスルスルと脱がしていく。  
まだ膨らみかけの乳房が楓の眼前に晒され、あかりは一糸纏わぬ姿となった。  
「あ……」  
「キレイだぜ……ま、ちょっと早ぇ気もするがな」  
「あ、アホ! ウチだけ裸にしとかんと、楓ちゃんも脱いでや……」  
楓は苦笑すると、自分の服にも手をかける。  
ベストとシャツを脱ぐと、細身だが鍛えられた身体があらわになる。  
しばし見惚れるあかりを余所に、楓はそっと背後に回る。  
 
「ぁん!?」  
あかりの無防備な胸を、楓の両手が掴む。  
「おっと、強すぎたか?」  
そう言いながらも楓は手の動きを緩めず、緩やかなふくらみを撫で回し、指で乳首を弄る。  
「い、嫌やないけど……な、何これ……? 変に…ん!…なってまう……!」  
あかりの息が荒くなっていくのを確かめると、楓は片手を秘部に伸ばす。  
「ひゃう!? あ、あかんて、そこ、汚……!」  
「平気だって」  
あかりの抗議に怯むことなく、楓は幼い蕾を解きほぐしていく。  
「ひっ!あ、あぅ……ん!な、何これ……おっぱいと……おまん……こが……?  
 お尻に、なんか……当たっとるし…………んぅぅ!?」  
快感があかりの身体を桜色に変え、汗をにじませる。  
「はぁ…ぅ……ん!かえで……ちゃん!」  
まだ幼さの残る少女の痴態に楓も我慢できず、密かに己の肉棒を解放していた。  
「あかり……気持ちいいか……?」  
秘所と乳首を攻撃しながら、紅潮した頬に舌を這わせる。  
「あぁっ!? か、かえでちゃ、あかん、なんか……くる!」  
「ああ……それでいい。俺に見せてみろよ!」  
その叫びを受けて、楓はより強く秘部を刺激する。  
「く、ぁぁぁっ!」  
あかりの身体が軽く痙攣し、股間から達した証がピュッと噴きだす。  
「は…ぁ……何……ウチ、またオシッコしてもうたん……?」  
あかりは目に涙をにじませるが、楓はすかさず拭き取る。  
「違う違う、お前が俺で感じたって証拠だ。……可愛いぜ、あかり……」  
楓は力の抜けたあかりの身体を抱きしめ、ゆっくりと髪を撫でる。  
「ん……♪」  
あかりも楓のするままに任せ、彼に寄りかかる。  
 
しばらく休むと、あかりの呼吸もだいぶ落ち着いた。  
「なぁ……楓ちゃん、そろそろええよ」  
「え?」  
「その、楓ちゃんのチンチン、さっきから元気なままやし……」  
「あ、ああ。でもあかり、平気か?」  
「へへへ。あかりさんをなめたらあかんで? ……ちゃんと、ウチを楓ちゃんのモノにして……」  
そう言って笑って見せるあかりに笑顔を返し、楓はあかりを彼女の服の上に横たえた。  
そしてゆっくりとあかりの上に覆いかぶさる。  
「あ……」  
「大丈夫か? 怖くないか?」  
「うん……」  
あかりの後頭部に手を回し、抱き寄せるようにしながら性器同士を触れ合わせる。  
「ひん!?」  
「……っ! こいつは……なかなか……!」  
互いに与えられた快感に、二人の身体が同時に反応する。  
これまであかりを感じさせてきたが、楓とてまともな女性経験はない。  
ここからは全く未知の領域だ。  
 
「さて、いくぜ……あかり……!」  
「楓ちゃん…………うぅっ!!」  
楓のモノが、あかりの中へと入り込もうとする。  
「あ……っく、う、うぁぁ!?」  
「あかり……力抜いてろよ?」  
痛みを持続させない為にも、一気に押し込む。  
何かの切れるような音と共に、楓はあかりの中に完全に突き入れた。  
「あぁぁぁっ!? あ、はぅぅ、く……っ!!」  
「あ、あかり!」  
「かえ、で、ちゃ……ん!?」  
ろくに声も出せないほどのあかりの痛みを何とか和らげようと、楓は口付けを繰り返す。  
息の続く限り舌を絡ませ、背に突き立てられたあかりの爪にも耐える。  
 
「はぁっ、はぁ、あ……かえで、ちゃん……」  
やがて唇が離れると、あかりはか細い腕で楓を抱き寄せた。  
「は、入った……な……」  
「うん……ウチの中に、楓ちゃんがおる……」  
あかりの幼さに不思議な色気の加わった顔に、楓は自分のモノが硬さを増すのを感じる。  
「あかり……動いても、大丈夫か?」  
「うん、だいぶ慣れてきた……楓ちゃんのチンチン、もっと感じさせて……」  
 
「あ……あぁん!」  
「くっ、う……」  
あかりの中は、包まれているだけで射精しそうなほどきつい。  
それでもなんとか男根を前後に動かす。  
同時にあかりの痛みを和らげようと、空いた手で乳首を愛撫する。  
「ひあぁ、あ、くぅ…っ」  
「ん……あかり!」  
楓自身もやがて快感に頭を支配される。  
互いの液体でぐっしょりと濡れたそこから、ジュブジュブと水音が漏れる。  
「あ、あ、ぁう、ぁ、あぁっ」  
「くぅ、ん、……っ、ぬぅ」  
楓の腰は速度を増し、あかりを抱く手にも力が篭る。  
そして……。  
 
「く、う、うわ、ぁ、あぁっ……!!!」  
「ひぐっ! あ、あぁ、あぁぁぁっ!!!」  
楓はひときわ強く打ち付けると、あかりの中に精を放つ。  
同時にそれを受け入れたあかりも絶頂に達した。  
「はぁ、はぁ、はぁ……かえで…ちゃんの……熱い……」  
「う……く……、あ、あかりちゃん」  
 
万感の思いで、互いの顔を優しく見つめあう。  
楓は達した瞬間に元の姿に戻っていた。  
「楓ちゃん……大好きやで」  
「……僕もだよ、あかりちゃん」  
そして、楓はあかりを抱き寄せ唇を重ねる。  
「ん……」  
「ちゅ……ん…………? あかりちゃん?」  
楓は違和感を感じ、一度唇を離す。  
 
視線を下に移すと、あかりが楓のズボンを膝まで下ろしていた。  
「ちょ、ちょっと」  
「ええやん、楓ちゃんも裸になり」  
「うわっ!?」  
膝を動かせないまま仰向けに倒され、すばやくズボンを抜き取られる。  
そして全裸になった楓に、やはり全裸のあかりが跨る。  
「こんどは、ウチがしたるから……」  
 
あかりは精液の溢れる秘所を、楓のモノに擦り付ける。  
「あは、楓ちゃんのチンチン、また硬うなってきた……♪」  
「うっ、あ……」  
硬度を取り戻した男性器を、あかりの柔らかい手が撫で回す。  
「あ、あかりちゃ……」  
「ん……ちゅ」  
少女のような喘ぎ声を漏らす楓の唇を、あかりの唇が塞ぐ。  
そして、一旦腰を浮かし、楓のモノに性器をあてがうと、少しずつ腰を落としていく。  
「ん……ひぁっ!」  
「あ、あかりちゃん! 大丈夫!?」  
「うん……さっきより、だいぶ……あぁん!」  
幾分抵抗の少なくなったあかりの秘所に、男根が埋まっていく。  
「うっ、ぁ……」  
「ふふ……楓ちゃん、こんな大きいチンチンやのに女の子みたいな声や……」  
無邪気な笑みを浮かべて乱れるあかりの姿に、楓の性欲にも火が付く。  
「あかりちゃん……!」  
両手であかりの身体を抱きしめ、激しく絡み合う。  
あかりの白い柔肌と楓の無駄のない筋肉が触れ合い、汗が交じり合う。  
「あ、あぁっ、か、かえっ、ちゃ、ぁ、ぁあっ!!」  
そして2度目の絶頂が訪れた。  
楓が途中で性器を抜き出すと、上気したあかりの肌に精液が浴びせられる。  
「あ、ぁぁ、ぁ………♪」  
「はぁ、はぁ……」  
 
あかりは快感に酔いしれたまま、楓の胸に顔を寄せる。  
そのあかりの姿に、楓は改めて愛しさを覚えた。  
もはやあかりへの想いを、言葉に変えることすらもどかしい。  
何度も自分の心を癒してくれた大切な少女を、ただ強く抱きしめる。  
決して離さないように……。  
 
「うむ。ご苦労でありましたな、楓殿」  
「いえ、あかりちゃんがいてくれたおかげで助かりました」  
楓たちは一条神社に戻り、当主に仕事が終わったことを告げていた。  
当主は二人が3日もかからずに帰ってきたことに驚いていたが、楓の報告を聞くと満足そうに笑った。  
 
「しかし大変やったな坊主。お嬢が肥溜めに落ちたんやて?」  
「溜池に落ちただけや!! 乙女に向かってなんちゅうこと言いよるんやボケェ!!」  
「痛、ちょ、お嬢、冗談やがな! 痛いイタイいたい!!」  
軽く茶々を入れた十三を明暗で小突き回すあかり。  
二人が帰ってきたとき、あかりは楓のシャツ一枚、楓は上半身裸という格好だった。  
当然事情を聞かれたが、まさかあかりの服は尿と精液で濡れていて着られませんなどと言えるわけもなく、  
咄嗟についた嘘がそれだった。  
 
「まぁ、他には特に問題もなかったようでなによりですな」  
「え、ええ……」  
一瞬汗が背を伝うが、なんとか笑顔を作る。  
近い将来、この頑固そうな男を相手に“娘さんをください!”と……。  
「やるしか、ないのか……」  
「ん、何か言うたか、坊主?」  
「い、いいえ! 何でもありません」  
そんな楓の姿に、あかりは悪戯っぽい笑みを浮かべる。  
 
「そう言えばあかり、楓はんが退治しはった妖怪はサトリやったんやて?」  
茶を運んできたひかりがそんなことを口にする。  
「そやで。ま、ウチと楓ちゃんの“ちーむわーく”の前には敵やなかったけどな!」  
「ふむ、心を読む敵を相手にも遅れをとらぬとはな。さすが四神の一人だけはある」  
当主も機嫌がいいのか、今日はあかりの言動を諌める気はないらしい。  
「心を読む敵なぁ……そらお嬢、式神に出来んで惜しかったな?」  
「ん? 何でや?」  
「いや、そいつを使って心読んでみたい奴がおったんちゃうか〜?」  
からかうような口調で問う十三。  
あかりはしばらく考え、ちらりと楓を見る。  
 
「……別におらんな、そんな相手」  
「え?」  
「ほなお父はん、ウチこれから楓ちゃんと“でーと”やから♪」  
「え、ちょっとあかりちゃん……うわぁ!?」  
あかりはそれだけ言うと、楓を引きずって部屋から出て行った。  
 
「なんや、お嬢のことやから坊主の心読みたがると思うたんやけどなぁ……どない思う、ひかりちゃん?」  
「ふふふ……さぁ? もう読む必要がない……っちゅうこととちゃいます?」  
「むむむ……」  
 
境内の方から、あかりの笑い声が聞こえてくる。  
楓がいる限り、あかりの笑顔が途絶えることはない。  
そしてあかりがいる限り、楓も笑っていられる。  
 
まだ首をかしげている十三と、なにやら不機嫌そうな当主。  
そんな二人を見て、ひかりは楽しそうな笑みを浮かべていた。  
 
 
 
〈了〉  
 

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