「……骸……いや、紫鏡!!」  
開きかけた地獄門の目前、漸く見つけた仇敵に、小次郎は剣を構えて恫喝した。  
「……この顔、見覚えがあるだろう!!」  
――だが、当の骸はといえば。  
「あん??????」  
小次郎が一体何者であったかすら、骸にとっては既に忘却の彼方といった風情である。  
 
兄上……この男にとっては、貴方の事など心の片隅にすら残っていない。  
尤も、余りに多くの人を斬り過ぎて思い出せないのかも知れませぬが。  
貴方の命を奪ったのは、その辺の石ころを蹴ったのと変わらぬ事のようです。  
こんな奴に……貴方は殺められてしまったのですか?  
 
小次郎はかけがえのない存在であった兄を思い描いて涙が零れそうになるのを懸命に堪えた。  
「おめぇ……たしかぁ???」  
まじまじと小次郎の顔を見つめ、記憶の糸を手繰り寄せる骸の脳裏に、かつて所属し脱走した新撰組の追手であった男の顔が過ぎる。  
 
――あれぇ?こいつ……確か、以前殺した男だよなぁ。  
なのに、何でまたオレの前に現れたんだぁ?  
 
首を傾げる骸の緊迫感のない様とは対照的に、小次郎は緊張した面持ちで剣の切っ先を突きつけた。  
「……兄に代わって、貴様を粛正する!!」  
些か強張り青白い顔で、それでも小次郎は憎き兄の仇を気丈に睨みつつ言い放つ。  
「いいね……!!」  
そんな小次郎を他人事のように眺めていた骸は、醜悪な顔を更に歪め、にたりと気味の悪い笑みを浮かべた。  
「い、いいねぇそのツラぁ!!」  
 
前に殺した筈だとか、実は生きていたのかとかはこの際どうでもいいや。  
要は――また殺す楽しみが出来ただけじゃねぇか。  
一息に殺したりするもんか。生きたまま少ぅしずつ切り刻んで、嬲り殺しにしてやるぜぇ。  
そのお綺麗な顔を苦痛に歪ませて、血と涙に染め上げて、いっそ殺せと懇願させたらさぞかし気持ちイイだろうなぁ。  
 
これから訪れるであろう至福の時を思って骸は舌なめずりをすると、得物を構えて小次郎へと対峙した。  
 
「くぅっ!!!」  
仮令兄に代わり零番隊組長としての激務に耐え、幾つもの修羅場をくぐり抜けてきた小次郎であっても、兄すらも殺めた狂人相手では流石に荷が勝ちすぎた。  
常人ならざる力で刀を弾き飛ばされ、丸腰となった小次郎を組み敷くと、羽織の襟首に得物を突き立てる。  
「ククッ……なかなか惜しいところまでいってたが……ざぁんねんだったなぁ?」  
「っ!!!」  
小次郎は何とか骸の身体を押し退けようと足掻くが、徒手では敵う筈もなく。  
「うるさいなぁ。ちったぁおとなしくしろや?」  
一旦得物を抜くと、暴れる小次郎の右手首を押さえつけ――躊躇う事無くその掌に突き立て、地に縫い留めた。  
「ぐああぁっ……!!」  
さしもの小次郎も、あまりの激痛に声を上げる。  
「うふふっ……いい声出すじゃねぇか?ゾクゾクするねぇ?」  
ニタニタと嗤いながら、骸は残った左手首も得物の柄に結わえて小次郎の両手の自由を封じると、傍らに転がっていた小次郎の刀――本を糺せば兄の愛刀であるが――を手に取った。  
「折角だからおめぇの刀で嬲ってやるぜぇ?嬉しいかい?」  
骸は切っ先を小次郎の頬に押し当てる。滲み出た紅い血が、痛みに蒼白となった小次郎の顔を彩っていく。  
「っ……!!」  
「ん〜?さっきみてぇな声上げてくれねぇのかい?つまんねぇな〜。……ま、いっか。」  
小次郎の得物を手に、玩具を与えられた子供のように笑いながら小次郎の羽織を切り裂いていき……そこで漸く、骸は小次郎の秘密に気が付いた。  
「おんやぁ?おめぇ……晒しなんか巻いてやがって……女じゃねぇか?!」  
「っ!!」  
この男にだけは決して知られたくなかった事を指摘された小次郎――否、香織の顔が屈辱に歪む。  
「なぁんだ、それならそうと早く言えってぇの。たぁ〜っぷり犯ってから殺ってやるぜぇ!!」  
「くぅっ……!!」  
そんな辱めを受けるくらいなら……舌を噛み切ろうとした香織の意図を察した骸が咄嗟に己の身体を覆っていた包帯を丸めて噛ませる。  
「んんんっ!!」  
骸の膿と血が染み込んだ布切れに口を塞がれ、その腐臭に香織は吐き気を覚えたが、吐き出す事も叶わない。  
「お〜っと、そう簡単に死なれちゃつまんねぇからな!!声が聞けねぇのは惜しいが、死なれちまったら元も子もねぇや。」  
下卑た笑みを浮かべたまま、骸はわざと己を焦らすように少しずつ晒しを切り裂いていく。秘し隠されていた豊満な乳房がすっかり露になると、じゅるりと涎を垂らさん勢いでむしゃぶりついた。  
「ん、んんっ……!!」  
驚愕に見開かれた目に、禍々しいケダモノの姿が映る。  
「う〜ん、イイねぇこの感触!!切り裂いたらいったい何が詰まってるんだろぅねぇ??楽しみだねぇ〜!!」  
乳房に歯を立てられ、舌で舐られる感触のその気色悪さに、香織の肌が粟立った。  
 
こんな……こんなの、嫌だ……!!  
助けて、兄上……!!  
助けて、慶一郎殿……!!  
 
心の中で愛しき人たちの名を何度も呼んで、その空しさに香織は涙を零す。  
 
これは……報いなのか。  
慶一郎殿の止めるのを振り切って、己が力を過信して……挙句がこのざまだ。  
兄上の仇を取る事すら叶わず、おぞましい陵辱の末にはむごたらしい死が待っている。  
それでも、この男の心には私の事など何一つ残る事無く終わるんだ。  
 
兄上の仇を取ろうなどと思わず、普通の女として生きるべきだったのか?――否。  
この道を選んだ事だけは、決して後悔していない。  
ただ、己の力が及ばなかった……兄の仇が取れなかった。  
せめて、此奴に一矢報いたかった。それだけが酷く口惜しい。  
 
愛撫と呼ぶには余りにお粗末な、虫唾が走るようなおぞましい掌が香織の身体中を這い回った。  
だが、徒に嫌がり抗う素振りを見せたところで、骸を愉しませるだけだという事を悟る。  
これは己に与えられた罰なのだと、香織は腹を括って瞳をきつく閉じ、辱めに耐え続けた。  
「んん〜?つまんねぇなぁ?もっと痛がってみせろや〜?」  
業を煮やした骸が、香織の掌に刺してあった得物を抉ってみせると、再び激痛が走り抜ける。  
「んんんんっ!!!」  
「イイねぇ〜!!そうでなくっちゃ!!」  
言葉にならない苦痛の呻きを漏らす香織の様を見て満足げに忌まわしい笑みを浮かべ、骸は再び香織の身体に喰らいついた。  
豊満な白い乳房に、骸の噛み付いた歯の跡と、傷から滲んだ血が鮮やかなまでに映えている。  
「うふっ……こりゃたまんねぇなぁ〜!!」  
文字通り垂涎しながら、骸は香織の下肢を覆う袴をも切り裂いていった。時折わざと刃で肉を浅く裂き、その傷口に舌を這わせる。  
「く、ぅんっ……!!」  
その度に襲い来る気持ち悪さと苦痛に、香織は眉を顰めた。  
「へっへっへ〜、さぁて、ご開帳ぉ〜!!」  
力の入らぬ脚を大きく開かされ、秘所を骸の眼前に晒されて香織が顔を背ける。  
「ぐぅんっ!!」  
花弁を無理矢理こじ開けられ、指で中を掻き回される痛みに自然、香織の目に涙が滲んだ。  
「んん〜?ぜ〜んぜん濡れてねぇなぁ?……ま、いっか。」  
一人で結論付けると、骸は襤褸同然の衣を脱ぎ捨てる。醜悪な身体にそそり立つそれを目の当たりにし、香織の顔からは完全に血の気が失せた。  
「んふふっ……いっくぜぇ!!」  
「ぐぅうんんっ!!!!!」  
刀傷とは明らかに異なる、身を裂かれるかの如き激痛が香織を襲う。声にならない叫びを上げ、香織が目を見開いた。  
 
「おやおやぁ〜?きついねぇ〜。もしかして初物かぁ??」  
嗜虐的な笑みを浮かべつつ、骸は遠慮なく己が凶器を香織の中に突き立てる。  
貫かれる痛みに懸命に耐える香織の事などお構いなしに、骸は腰を動かし始めた。  
「てめぇの中がぎゅうぎゅう締め付けて、オレのを喰いちぎりそうだぜぇ?オレの逸物がそんなにうめぇか?」  
骸は激しく腰を打ちつけながら、言葉でも香織を辱める。  
抜き差しが続けられるうちに、身体が痛みを和らげるべく愛液を滲ませ始めた。  
「うん?濡れてきたじゃねぇか?こんなんでも感じちまってんのか?インランだねぇ!!」  
生理的に滲んだそれが、少しずつ骸の動きを助けていくのも厭わしい。  
だが、そんな香織の心などお構いなしに、骸は己が欲を満たす事に没頭していた。  
「さぁて、まずはてめぇの中にぶちまけてやるぜぇ〜!!受け取りな!!」  
「ん、んんっ……!!!」  
その言葉に瞠目し、腰を揺らめかせて何とか逃れようとするのを確りと捕え、骸は香織の中に精を吐き出した。  
「おおっと〜!!まだ終わりじゃねぇぞ?」  
骸は再び香織の下肢を抱え上げ、今度は二つに折り曲げるようにする。己でもまじまじと見た事などなかった秘部が目の当たりになり、香織はきつく目を閉じた。  
「ほれ、折角だから目ェ開けてよ〜く見とけ?てめぇがうまそうにオレを咥え込むのをよぉ!!」  
「っ!!!」  
わざと香織に見せ付けるように、骸は血と白濁に塗れた女陰を再び犯し始める。  
先に放たれた精が律動の度にぐちゅ、じゅく、と耳を覆いたくなるような卑猥な音を立てて香織を苛んでいた。  
全身を襲う痛みと衝撃に、何度も香織の意識は遠退きそうになる――だが、骸はそれを許さない。  
「気ィ失って楽になろうったってそうはさせねぇよ!!あァん?!」  
「ぐぅうん!!!」  
右手に突き刺した獲物を抉るように動かし、その度に香織は激痛に目を剥いて戦慄く。  
唯一自由になる瞳からは止め処もなく涙が零れ、香織の頬を濡らし続けるのだった――  
 

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