「んっ…う、う〜ん……」  
愛媛から上京して早数ヶ月。  
時間が立つのは早いもので  
失敗と成功を繰り返しては  
徐々に悦子は東京での生活に慣れていった。  
愛媛から一人で来た悦子に同じアパートの住人達は以外にも親切に接してくれた。  
みな悦子より年が上で地方から来た者が多かったせいもあるだろう。  
事あるごとに「篠村さん」ではなく「悦子ちゃん」と声をかけては  
寂しい思いをさせない様に努めてくれた。  
呼びかけられる度に悦子は  
(みんなも初めて東京に来た時はたぶん、寂しかったんやろう。  
だから、私にあんなに優しくしてくれるんやね)としみじみと感じた。  
特に大家の初老の人の良さそうな夫婦が  
親切だった。  
大家と言う立場上住人に親切なのは  
当たり前かも知れないが。  
それ以上に彼等は悦子の事を気にかけてくれた。  
ただ……そんな悦子にも慣れない事が一つだけあった。  
「あーもう!!!暑い!!!」  
タオルケットを勢い良く蹴り上げる。  
顔からがうっすらと汗が浮かび上がり  
暑さを物語っている。  
愛媛生まれでも東京特有の蒸し風呂と言い切ってもいいぐらいの  
まとわりつく様な暑さはたまらない。  
悦子が体験した事のない種類の暑さだった。  
(愛媛の夏はもっとこう…からっとしとったんやけどなぁ……)  
「なんで、こうも蒸すんよ!!私、耐えられん!!」  
ちらりと横に寝ている浩之を見る。  
幸せそうに寝ている彼の顔からは  
暑さはみじんも感じられない。  
 
「ブー…よう寝られるなぁ」  
顔をぺたぺたと叩いて見ても  
浩之は気づくどころじゃ起きる気配さえない。  
「なんか、ムカつく……」  
手を顔、お腹、下半身へと移していく。  
お腹から下半身へと移動していく最中、悦子の手が止まった。  
「なっ…ブーのエロ!!」  
悦子自身、東京に来てからすぐとは言わないものの  
浩之と愛を育みいつしか結ばれていった。  
セックスだって一度や二度ではない。  
普通の若者と同じく  
いや、高校時代に溜まっていたものを吐き出すべく  
会えば肌を重なり合わせていた。  
しかし、するのにもそれなりのムードがある訳で……  
悦子が驚くのも無理はないかも知れない。  
求めてくるのはいつも浩之からだったし  
悦子自体一緒にお風呂に入っても  
恥ずかしくてあまり浩之のそれに目をやった事もない。  
誰から聞いたのか口に咥えてみたいと言い出した事もあった。  
浩之は「お前にそんな事させられん」と断ったのだが……  
「あっ……もしかして、もしかして?!」  
悦子の瞳が薄暗い部屋の中で怪しく光る。  
にっと白い歯を見せると悦子の手は浩之のトランクスに伸びた。  
(別に悪い事するんやないけんね。ブーが悪いんよ)  
「ええよね……?」  
問いかけたところで熟睡してる浩之が起きるはずもない。  
トランクスを一気にすり下げるとぶるんと風をきってそれは出てきた。  
セックスまでしといて何を今更と思わなくもないが  
恥ずかしいものは恥ずかしいのである。  
(いつも、こないな大きいものが私の中に入っとるんか……)  
そっと、手を這わせてみる。  
それは適度に温かく湿気を帯びていたが  
手の刺激を受けてか少しではあるが動いた。  
「つっ!!!」  
反射的に悦子は手を引っ込めたが興味には勝てない。  
しばらく、様子を見た後再び手を伸ばしてそれに触れた。  
触っているうちに悦子ある箇所から雫の様なものが垂れている事に気づいた。  
掬って口に入れてみる。  
「苦い………」  
悦子は顔をしかめる。  
他の男ならいざ知らず。  
愛しい博之のモノとなると苦さも苦にならない。  
(私のもこないに苦いんかな?)  
そんな事を考えつつ悦子はそれに舌を這わせていった。  
 
鈴口をちろちろと舐める。  
苦味が口中に広がるものの  
慣れてくると苦味さえも美味しく感じるようになった。  
(もっとブーの舐めたい……)  
鈴口を舐めるのをやめると、悦子はそれを口にほおばった。  
多少戸惑いはあったものの興味には勝てない。  
(んっ…ブーのおっきぃ……)  
口中に広がる浩之の分身に苦戦しつつも  
悦子は健気に舌を這わせる。  
ちゅちゅっと卑猥な音がなまめかしい。  
鈴口から出る苦いそれさえも愛しそうに悦子は飲み込む。  
(ブーの美味しい……)  
舌で鈴口をつんつんと刺激したり  
幹に手を添えて出し入れしたりと  
悦子の舌は忙しなく動きまわる。  
 
んっ…ちゅっ…はぁっ…ブー……  
奉仕しながら浩之の名を呼ぶ悦子の姿がいじらしい。  
浩之が見たら瞬く間に爆発してしまうだろう。  
普段の彼女からは考えられないその様は  
健気でとても卑猥な印象を受けるだろう。  
浩之も悦子に多少その気があるのは気づいては  
いるものの、好きで大好きでたまらない悦子にそんな事はしたくないらしい。  
むしろ、傷つけたくないと言うより歯止めが利かなくなりそうで怖いと言うのが  
真実であろう。  
腰だっていつ再発してもおかしくはない。  
ボートに乗らなくたって再発の危険性はいくらでもあるのだ。  
本音で言うと父の幸雄が反対したのもそこにあったのだが  
頑固な幸雄は今でも悦子はもとより妻にも言ってはいないし  
知られる事もないと思っていた。  
 
時折、同じく東京に住んでる利絵に手紙やら電話やらをして  
悦子の近況を聞きだしてるのは誰も知らないはずだった。  
利絵にも幸雄は絶対に言わんでくれと堅く口止めしている。  
が、利絵に送ったお中元の領収書が運悪く友子に見つかってからは  
家族全員の秘密である。  
腰痛をなめてはいけない。  
程度によっては立ち上がれない程の痛みを負うのはもちろんだが  
下手をすれば起き上がるどころか息をするだけでずきんと痛みが  
体中を襲う。  
薬を飲めば一時的に痛みはひくものの  
オールを漕げばまた痛みが体中を覆いつくす。  
その当時の悦子の体の痛みはみんなの痛みでもあった。  
家族はもちろん、女子ボート部、男子ボート部悦子に関わる全ての人が残念がった。  
新海のちえみでさえ神妙な面持ちで残念がったと言うのだから驚きだ。  
彼女の性格からして信じられないだろうが良いライバルが減る事を  
純粋に悲しんでいたらしい。  
そんな思いを二度としたくないと言う思いなのだろう。  
浩之は行為の時さえも自分を抑えていた。  
傍から見ればどこがだよ!!と突っ込みたくもなるが……  
浩之に言わせれば抑えていたらしい。  
 
悦子が熱心に奉仕をしているうちにその瞬間はやってきた。  
一際、それが大きくなったと思うといきなり、爆発したのだ。  
「んっ?!んんっ………」  
喉奥に降りかかる苦味を帯びたねっとりとした液体を悦子は  
健気にも飲み干そうとしていた。  
(凄い……これが、ブーの……)  
じゅるじゅるとゆっくり飲み込んでいく。  
飲んでも飲んでもその液体はなくならない。  
それどころは吐き出したばかりのそれはまだ  
自慢げに天を仰いでいた。  
「んっ!!うん……」  
やっとの思いでそれを飲み干すと悦子は  
口の周りにこぼれた白く濁った液体を  
指で拭うとそれを口に持っていった。  
「………………………」  
ぺろりとそれを嘗めると悦子は視線をそれに戻した。  
自然と手が自身の下半身に伸びる。  
「あっ──」  
そこはしっとりと湿気を帯びていて  
ショーツの横から指を忍ばせれば  
ねっとりとした液体が指にまとわりついた。  
(私、ブーの舐めとる内に濡れてしもうたんか……)  
悦子の頬がみるみる朱色に染まっていく。  
誰も見ていないのは頭では分かっていても  
やはり、恥ずかしいらしい。  
(ブーが欲しい、恥ずかしいけどブーが欲しくてしょうがないんよ……)  
ぐっと手を握り締める。  
浩之はまだ寝たままだ。  
起こすのも忍びないし第一、寝ている人を起こすのは  
悦子だって気が進まない。  
「寝とるよね?」  
恐る恐る、顔に手を伸ばす。  
頬を触ろうが鼻を触ろうが瞼をこじ開けようが浩之の起きる気配はない。  
唯一、瞼をこじ開けた時に目があって悦子がびっくりした事ぐらいなもんで  
どうやら、完璧に熟睡しているらしい。  
(ええよね…別に悪い事するんやないしね……私達付き合っとるんやしね……)  
自分に言い聞かせる様に言葉を何度も何度も繰り返す。  
 
「ブーごめん。私、我慢出来ん!!」  
悦子はショーツを脱ぎ捨てると  
浩之に跨った。  
「つっ!!!あっ、あぁ……」  
幹に手を添えると一気に悦子は腰を静めた。  
この体位自体悦子は初めてだったのだが  
誰から聞いたのか知らないが知っていたらしい。  
上に跨ってやると気持ちええんよと教えてくれたのは  
多恵子だったか、それとも、安田と付き合っている敦子だったか……  
意外なところで真由美や利絵だったかも知れない。  
(なんや…壁が擦れて気持ちいい………)  
悦子はうっとりしながら懸命に腰を振っている。  
初めはゆっくりだった腰の動きも慣れると同時に  
早くなった。  
寝ている少年に跨って腰を振っている少女の姿は  
妙に艶かしく色気がある。  
「あっ──はぁっ──気持ちいい……」  
前屈みに倒れて腰を動かすとクリトリスが陰毛に擦れて  
気持ちええんよと教えてくれたのは……  
いや、誰でも良いだろう。  
少なくともそのおかげで悦子は悦びの声をあげているのだから。  
(やっ……ブーの凄い。固くて気持ちいい……)  
クリトリスを陰毛に擦りつける様に腰を捻る。  
「あっ、あぁ……擦れて…おかしくなる……」  
渇いた部屋に悦子のしっとりと水気を帯びた声は  
やけに響く。  
夢中で悦子は腰を左右に捻っては上下に動かす。  
(やっ…私、もうイキそう……)  
悦子の腰の動きが早くなる。  
「あっ……やっ──もうっ──あぁぁぁぁ!!!」  
悦子は腰を何度か勢いよく打ち付けると  
頂に上り詰めた。  
浩之のそれはどくどくと脈を打ち  
白く濁ったそれを膣深く注ぎ込んでいく。  
「ブーの熱い………」  
膣深くに入ってくる熱くてどろりとした  
液体が妙に心地良い。  
それが全部出終わるまでどの位の時間が立ったのだろう。  
出尽くしたのを確認すると悦子は名残を惜しむかの様に  
腰をゆっくりと上にあげてそれを解放した。  
膣からは白く濁ったそれが大量に溢れだした。  
溢れたそれは悦子の太ももを汚していく。  
(ブー……いっぱい出したんやね……)  
浩之のそれや汗ばんだ肌をタオルで拭いていく。  
それの出した量の多さに悦子は思わず微笑む。  
思えば最近二人共忙しくて  
会う時間が中々取れなかった。  
昨日だって、久々に会ったものの  
先に寝たのは悦子の方だった。  
(溜まとったんやね…こんなに我慢して……)  
本当はしたくてしょうがなかったのに恥ずかしさのせいで  
断ってしまった事も一度や二度あった。  
(私、馬鹿みたい……素直にしたいって言えばええのに……)  
浩之の頬をそっと撫でる。  
少し汗ばんだ肌がひんやりと手にしみる。  
「ごめんね…ブー次は起きとる時にしような。約束やけん」  
唇に顔を重ね合わせると悦子は小走りに浴室へと急いだ。  
次の日、妙にすっきりとした面持ちの悦子と  
心地良い疲労感とすっきりした下半身に困惑する浩之の姿があった。  
 
 

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