「なにすんのっ・・・ここどこやと思っとるん」
「暗いし、バレんよ」
塾帰り、彼氏と公園の中を歩いていたら、急に首筋にキスされた。
手を引かれ、木の陰へと連れて行かれる。
「嫌やっ、ここ外よ!?」
「ヤだ。俺は今たぁといちゃつきたいの。愛したいの」
頭の中はエロいことでいっぱいのくせに。私じゃなくて、私の体のことばかり考えてるくせに。
「でっも・・・やぁ・・」
無理矢理座らされると胸をつかまれた。
「たぁ、愛しとるよ」
言葉だけのくせに。
私は抵抗するのをやめた。どうせ無駄だから。
ひんやりとした手が、制服の下から入ってくる。
私の胸に顔をうずめて、ガキみたいに。
もう、どうでもよかった。
「たぁは?たぁは俺のこと、愛しとる?」
唇を押し付けられる。
生ぬるい。
「なぁ・・・」
「・・・あいしとるよ」
そんなこと、思ったこともない。
ただ、誰かと一緒に居たかった。一人が、嫌だった。
誰かに、求められていたかった。必要とされていたかった。
手が、スカートの中に、下着の中に入ってくる。
「やっ・・・」
「たぁ、可愛すぎ」
私の中を、ぐちゅぐちゅかき回される。正直、痛い。
「すごい濡れとるやん」
外でされて、恥ずかしくて、いつもより濡れるに決まってる。
脱がされた下着が片足に引っかかっている。
「なぁ、俺のも触って」
そういうとそいつはチャックを開けて、準備万端なそれを出してきた。
暗くて、よく見えないのが救いだろうか。
動かないでいると、私の手をとって握らせてきた。
「なぁ・・・いつもみたいにしてくれよ」
懇願してくる目が、子どもみたいで、馬鹿みたいだった。
力を入れて握ってやると、情けない声を出した。
「もっと・・・」
私の手をつかんで、動かしてくる。
「してくれよ・・・なぁ」
嫌だった。
「なぁ!してくれよ!!」
そいつは私の頭を掴むと、自分の股間へと近づけさせた。
目の前に、そそり立ったモノ。
そいつの顔を見上げると、ギラギラした目で私を見ていた。
どんどん近づいていく。
私に、拒否する力はなかった。
諦めて、舌を出して先っぽを舐めてやった。
しょっぱいような、苦いような。
「あぁ・・たぁ・・・」
馬鹿みたい。こいつも、私も、馬鹿みたい。
そんなに、一人は嫌なのか。
どうしてこんなことをしてまで、そう大して好きでもないヤツと一緒にいるのか。
もう、どうでもよかった。
「うあ・・・たぁ、気持ちええよ・・・」
私の口の中にあるモノが、脈打つのを感じる。
頭を押さえつけられて、口から出すことができない。
私は所詮力のない女なんだ。
そう、改めて実感する瞬間。
そいつは満足したのか、押さえ付けていた手を離した。
「たぁ、おいで」
胸に引き寄せられる。そいつのモノが、私の太股に当たる。
体が緊張した。
そいつはそれを私にあてがうと、私の腰に手を当て、一気に沈みこませた。
「やっあ・・あん」
気持ち悪い。つながった部分がぐちょぐちょする。
下から突き上げて来る。それと同時に私の腰を上下させてくる。
私の意思とは無関係に、体は動かされていった。
「たぁ、声出せよ」
「誰かに・・・聞かれてしまうやないっ・・ぁん」
そいつの肩に顔をうずめて、声があまり聞こえないようにした。
本当は、喘ぐ声などほとんど出ていないけれど。そいつが喜ぶから、声を出してやっていただけ。
そんなことも知らないで、そいつは動物みたいにセックスに没頭していた。
しばらくして、辺りから声が二つ聞こえてきた。
私と同じ、中学生だろうか。
「お前のせいで俺まで居残り掃除やらされたじゃろが」
「あんただってぞうきん野球楽しんどったやんか、このブー!!」
そいつの動きが止まった。
「チッ・・・邪魔すんなや」
私はその声のするほうを見てみた。影が二つ、歩いていた。
「ブーゆうな、ヤバねぇ」
「ヤバねぇゆうな、ブー」
何の言い合いをしているのか。その二人はガキっぽく思えた。
「・・・でもな、少しだけ感謝しとるよ。私が先生にぞうきんぶつけてしもたとき、かばってくれたやろ」
「それは・・・俺がお前の投げたぞうきん避けたから、俺のせいでもあったけん・・・つい」
なんだかあったかいな思った。
思い合ってるんだ。
この二人はお互いちゃんと思い合ってるんだ。
私がその声に聞き入っていたときでも、彼氏は私を突いてきた。
わずかにだけれど、突いてきていた。
「あっ、もう8時!どおりでお腹空いた思った。それじゃ私、走って帰るけん!」
「待て、篠村。送ってくけん。お前はそんなんでも一応女や」
「一応って・・・」
「ほら、行くぞ」
私の視界から、二人の姿が消えた。
そいつは、待っていたとばかりに腰を突き上げてきた。
「あっん・・・あ」
「たぁ・・たぁ」
私の頭の中は、さっきの二人のことで一杯だった。
どんどん動きが激しくなる。
「たぁ・・・うっ」
私の中に、どろっとしたものが流れ込んで来た。
「愛しとるよ、たぁ・・・」
抱きしめてくる手を払いのけた。
私は下着をはき、乱れているところを直した。
「たぁ?」
坦々と帰る準備をする私を不審に思ったようだった。
私は立ち上がると、そいつの目を見て、口を開いた。
「別れよ。私はあんたを愛しとらん」
呆気にとられるそいつを尻目に、私は歩き出した。
「別れようって・・・どういうことだよ!」
私は立ち止まった。
「言葉の通りよ。別れたいんよ」
「なんでだよ!今だって・・・今だって愛しおうたばっかやんか!」
私の頭を、さっきの二人がよぎった。
「愛し合うって、ヤることなん?ヤれば愛しおうたことになるん?」
私は歩き始めた。まだ後ろで何か叫んでいるようだったけど、気にせず歩いた。
きっと、きっとこれから先、あの二人みたいになれる人が現れる気がした。
それまで、そんな人と出逢えるまで、もう少しがんばってみよう、そう思った。