「リー」
そう言うと私はリーを後ろから抱きすくめた。
「なんや、ダッコか。なんか用?」
そっけない。
部活も引退して、受験勉強に必死のこの時期。私はあまり必死になれないでいる。
「いや、リー頑張っとるなぁ思って」
「そりゃそうよ、もうじき私試験やもん」
ふーっと溜め息をつくリー。どこか疲れているように見える。
「あんまり頑張りすぎちゃあかんよー。ただでさえリーは頑張り屋さんなんやから」
ギューッと、抱き締める。いい匂いがする。
頑張りすぎてない、とか、ダッコがあんまり頑張っとらんだけや、とか、いつもなら言うはずなのに聞こえてこない。
「リー?」
顔を覗きこむと、涙をぽろぽろ零していた。
「ちょっ、リー、どうしたん?どこか痛いんか?」
首を振るリー。教室にいるみんなが、こっちを見ている。
「とりあえず外出よう?な?」
私はリーを屋上へつながる階段へと連れ出した。
「どうしたんやーリー・・・」
頭を撫でてやると、顔を私の肩にうずめてきた。
何分そうしていたかはわからない。だけど長い間、リーが泣きやむまでそうしていた。
「落ち着いた?」
リーは頷いた。
「リー、どうしたんよ?誰かにイジメられたか?そうなら、そいつぶっ飛ばしてきてやるけん」
リーは首を振った。
「違う・・・」
「なら、なんでやの?」
少し考え込んだリーは、こっちを見ないで話し出した。
「ようわからん。けど、何かでいっぱいいっぱいなんよ。受験かな」
リーらしい悩み。私にはそんなものない。
「リーなら大丈夫やって!あんなに真面目に取り組んどるんやもん」
「けどな、ダメなんよ。なんや食欲も出てきて、太ってしもうた。だからいつも以上に食べないよう食べないようしとったら、いっぱいいっぱいになってしもて・・・」
「食欲に逃げたんか。リーのことやから、あんま寝てないんやろ?」
リーは頷いた。やっぱり。
「人間の欲求を全部抑えてしもうたら、そりゃいっぱいいっぱいにもなるわな。ストレスの抜け道なくなるもん」
「どうしたらええんやろか・・・」
私に意見を求めるリーなんて初めてだ。いつも対立ばかりだから。
なんだか、そんなリーが可愛く思えた。
「何か一つ、欲求を満たしてやるしかないと思う。ボート乗れたらそれでいいんやけどなぁ」
そっかぁとうつむくリー。
やっぱり弱気なリーも可愛い。
ふと、いたずら心が芽生えた。
「そや!一つ、欲求満たしたろか?」
多分、私の顔には満面の笑みが浮かんでいるだろう。
きょとんとするリーを、後ろから抱きしめた。
「ダッコ?」
制服の上から、リーの胸を揉んでやった。
「ひゃっ・・・何すんのダッコ!」
「しーっ。聞こえちゃう」
何すんの、やめぇ、と言うリーにお構いなしに揉みしだく。
「満たすことができるのなんて、性欲しか残っとらんくない?」
唖然とするリー。もう片方の手でリボンを外すと、シャツの中へと手を突っ込んだ。
「ほんと・・・もうやめぇ」
弱々しい声。感じているみたいだ。
少し嬉しくなった。
「気持ちええやろ?」
耳を舐めてやると、堪え切れなくなったのか、膝をついた。
「なんや・・・私おかしくなりそう」
見上げて言うリーは、少し息を荒くしていて、頬がピンク色に染まっていた。
可愛い。今までにこんなリーは見たことない。
「いっぺんおかしくなってみぃ。すっきりするけん。私がおかしくしたる」
私は今度は正面からリーを抱きしめると、首筋にくちづけた。
ビクッと体が動いた。
もう一つボタンを開け、キャミソールをずらすと、水色っぽいブラが見えた。
リーっぽいなぁと思った。
合宿や修学旅行の時、みんなでお風呂に入った。
みんなそれぞれに『らしい』下着をつけていた。
悦ねぇはピンク系、ヒメは白、イモッチは黄色っぽくて、私は黒。
だけど恥ずかしがりのリーは、みんなが浴室に入ってから服を脱いでいた。脱ぐところと着るところだけは見られたくないと。
だから、私はリーの下着を見るのは初めてだった。
そのブラもずりさげると、ちゃんと感じて立っているそれを口に含んだ。
「あっ・・・」
リーは私に倒れかかってきた。
経験はまだらしいのに、よく反応してくれる。
私は気分がよくなった。
「リー、あんた本当可愛いわ」
立ち膝のままのリーの太股を撫で、スカートの中へと手を滑り込ませた。
「ひっ・・・」
こんなところ、今まで誰にも触られたことなかったみたいで。
下着の上から撫でてやると、私にしがみついてきた。
「やっ、おかしくなってしまう・・・ダッコ、やめてぇ」
態度と裏腹の拒否の言葉も、私への褒め言葉になる。
私はリーの下着をずらし、直接リーのそこに触れてみた。
「ひぁ・・・やっ」
リーはまたギュッとしがみついてきた。
十分なほど濡れているそこは、私を興奮させた。
「ちゃんと感じてくれとったんか、リー」
私はそう言うとリーの下着をおろした。
リーはもう抵抗しない。
はだけた制服、スカートの下にのぞく下着。
こんな姿、誰にも見せたくないと思った。
私のもの。
ぬちゅぬちゅ割れ目にそって指を這わせていた。リーはとても気持ち良さそうな顔をして、その初めての快感に浸っていた。
「リー、指挿れるよ?」
グッと力を入れると、にゅるっと中へ入った。
「ああぁぁっ・・・やっあ・・あんっ」
こんな声、初めて聞いた。
だけど、あんまり声を出すと人がきてしまう。
それは困る。もっと楽しみたい。
「あんまり大きな声出すと人きてしまうよ?」
私は顔を歪めるリーの耳元でささやいた。
途端、リーの顔が赤くなった。
「でもっっ・・・堪えられへんっ・・・」
私が指をくちゅくちゅやるたびに、リーは自分の口を手でふさいでいた。
「ここに顔うずめときぃ」
私の肩を手でポンと叩くと、リーは素直に顔をうずめてきた。
リーの感じている顔を見られないのは残念だけど、しょうがない。
私は指を2本に増やして、またくちゅくちゅやりだした。
「ダッコぉ・・・ぁあっ・・」
しばらくいじっていると、リーは立ち膝を崩した。
初めてならこんなものかと思い、指を引き抜いた。リーの透明な液が絡み付いている。
「すっきりした?」
リーは肩で息をしたまま答えない。
呼吸が整ってきたら口を開いた。
「ようわからん・・・」
下げられていた下着を上げながらリーは言った。
「ようわからんの?」
「うん、ようわからん」
私が初めてしたときは・・・昔過ぎて覚えていない。
よくわからないものだったっけ。
制服を着終わったリーは、すっと立ち上がり、私を見下ろした。
「なんで急にこんなことしたんよ」
少し、むっとした顔。
「なんでって、リーがストレス溜めてるみたいやったから解消したろうかなー思うて」
これは本当の理由。途中から、私の楽しみでもあったけれど。
「だからって、こんなことすることないんやない?」
先ほどまでの可愛いリーはどこへ行ってしまったのか。
「もう2度とせんといて!」
そう言うといつもと変わらないリーは階段を降りて行った。
いつものリーに戻ったのはいいことだけれど、少し名残惜しかった。
あんなに可愛いリーは初めて見たから。
思いだし笑いをしながら、私も階段を後にした。
数週間後、リーにまたあの階段へと呼び出された。
なんの用だろう。
「リー、なんー?」
「ダッコ・・・あのな、あの・・・」
「なんやの、はっきり言い」
リーらしくない。
と、リーは私の耳元で早口でささやいた。
「また、この間みたいにしてほしいんよ」
驚いてリーを見ると、顔が真っ赤で。
「してって・・・何を?」
確かめるように聞いたけれど、リーは何も答えなかった。顔を真っ赤にしてうつむいていた。
言葉で言わなくても、何を求めているかなんてすぐにわかった。
私はリーを抱き寄せると、首筋にくちづけた。
「なんでまたしてほしくなったん?」
スカートの中に手をいれる。
「んっ・・・イライラ、消えてたんよ。でもしばらくしてまたイライラしてきて、自分でしようとしたけど、できなくて」
それを聞いた私はギュッとリーを抱きしめた。
それからこの階段は、私とリーの秘密の場所となった。
おしまいw