「サラ/高度3万フィートの恥辱」  
 
 ニューヨーク行きの飛行機内は、夜の機内食も終えて、とうに消灯の時間になってい  
た。ほとんどの席で乗客は静かな眠りにつき、何か読書でもしているのか、手元灯をつ  
けている者はわずかしかいない。  
 その中で、一人の少女も窓際の席で壁に寄りかかるようにして、穏やかな寝息を立て  
ていた。  
 中東某国の出身であるサラ・ハリファは美しい黒髪と褐色の肌の持ち主で、その無垢  
で可愛い寝顔には少女から大人へと移り変わる途中の、仄かなあどけなさと気品とをそ  
なえた端麗な輪郭が見て取れる。  
 元メトロポリタン美術館のキュレーター(学芸員)であり、今は贋作を専門に扱う画  
廊「ギャラリーフェイク」のオーナー、フジタを慕う彼女は、仕事で一人ニューヨーク  
に行ってしまった彼を追って、この飛行機に乗り込んだのだった。  
 シェードを上げたままの窓には、漆黒の夜空に小さく瞬く星々がゆっくりと流れてい  
く様子と、その中で夢に浮かぶサラの姿が映し出されている。  
 ふと、サラはかすかな意識の中で不意に眠りが浅くなるのを感じた。  
 エンジンの低い轟音以外、たいした物音や声もない機内で、まだ夜明けまでは随分と  
長そうだというくらいしか分からない曖昧な時間を感じながら、わずかに開きかけた瞳  
を閉じて再び眠り込もうとした。  
 しかし、なにか奇妙な違和感のようなものに妨げられて、夢の中で一緒にいたフジタ  
はゆっくりと薄れて闇の向こうに消えていってしまい、彼女は寂しく眠りにつくことが  
できない。  
「フジタ……、ん……」  
 最後の寝言の欠片に、自分でも妙な吐息が混じるのに気付くと、サラはだんだんと意  
識を覚醒させていった。  
 
(え……なんか、膝が温かい……?)  
 確かに肩まで毛布をかけて、ついさっきまで眠っていたのだから身体が温かくなって  
いるのは間違いないが、それにしてもこれは、何故か左足だけがとくに温かく、かすか  
にくすぐったいような心地よさを感じる。  
 悪くはないのだが、この感触では眠りに集中できないと、サラは毛布の中で小さなお  
尻を少しずらして姿勢を変えようとした。  
(……え、なにこれ?…やだッ!)  
 毛布の中、自分の膝元に何気なく動かした手が予期せぬものに触れると、今度こそ急  
激に意識をはっきりとさせたサラは思わず驚く。  
 自分以外の手がゆっくりと太ももを撫で回し、その指先がさらに少しずつ這い上がっ  
ていこうとしているのだ。  
 サラは褐色の肌に映える純白のタートルネック・セーターと、それに合わせた可愛ら  
しいピンクのフレアスカートを履いていた。  
 フジタはすぐに子供だとバカにするけど、案外こういう可愛らしい服も彼の好みだと  
いうことを、サラはちゃんと見抜いていた。大好きな彼のもとに、わざわざこうして押  
しかけて訪れるのだから、オシャレだって気を抜けない。何着分も悩み抜いてのコーディ  
ネートだった。  
 それなのに、今はそれが大きな間違いだったようにさえ思えて仕方なかった。  
 少女の若く健康的な張りのある素足をじっくりと撫で回した謎の手は、そのまま指先  
をスカートの中へと滑り込ませようとしている。  
 微睡みの中でのこととは言え、フジタ以外の見知らぬ手に愛撫され、感じかけてしまっ  
ていたことに恥じ入る余裕も無く、サラは咄嗟にスカートの上から不埒な手を押さえつ  
けた。  
 
「あのっ……ちょっ、と……」  
 ぎゅっと脚を閉じて手を押さえつけたまま、サラは眉間にしわを寄せた眼差しで睨む  
ように視線を送った。一番窓際の席だから、犯人は当然隣の人間に間違いない。  
 それは、30代前後のビジネスマン風のスーツを着た男だった。  
 リクライニングを半分ほど傾け、毛布をかけてアイマスクをしてはいるが、その男は  
眠ってはいないと分かった。サラは、その男の口端がかすかに笑うのを確かに目撃した  
のだ。彼は周りからは見えないように寝たフリをして、毛布の下から腕を伸ばしてサラ  
に悪戯していた。  
 不運なことに、その男のさらに隣向こうは空席で、助けを求める相手がいない。  
「あの、やめて下さいっ……人を呼びますよ!」   
 サラは毅然とした口調で言いながら、しかし、思わず声を潜めてしまった自分に内心  
で激しく後悔した。大声を出し、自分が性的な対象として男に触られたことを周囲に知  
られることを、無意識に恥ずかしく感じてしまい、悪意に敢然と立ち向かう勇気が無い  
ことを暗に示してしまったことになる。そしてこういったことは一度機を逃すと、次の  
機会にもそれを逃してしまうものなのだ。  
 男もそれを察したのか、再び唇を歪めて小さく笑った。  
 押さえつけられて一瞬ん止まっていた男の指先が、また行為を続けようと動きだした。  
 男の指先が、自分の膝の上でもぞりと動く感触に、サラは息を飲んで視線を落とした。  
 自ら押さえつけているせいで、指先がわずかに内側を撫でただけでも、はっきりとそ  
れを感じ取ってしまう。しかし、ここで力を緩めればどうなってしまうか想像も付かな  
いので、決して屈するわけにはいかない。  
 それなのに男の手は容赦無く蠢いて、少女の滑らかな脚を少しずつ愛撫していく。男  
女の力の差と、すでに侵入されかかっているのに自分はスカートの布越しにただ押さえ  
ることしか出来ないという不利な位置関係は、状況を打開しようもなかった。  
 
(ん……っ……はぁっ……)  
 サラは身を縮ませ、いつの間にか息を乱しはじめていた。男はその攻防さえ楽しむか  
のように、強引になり過ぎることもなく、じっくりと愛撫を続けて余裕を見せている。  
(もう、またっ……んッ………)  
 サラの太腿と小さな手に上下に挟まれたまま、男の手はさわさわと撫でるように動い  
たり、急に力を入れて奥へ進もうとしたりするので、サラはそのたびに力の加減を変え  
て対処しなくてはいけない。  
 大の男相手に少女が抗うために体力的に消耗するというだけでなく、気の許せない状  
況が延々と続けられると、精神的にも疲労がつのっていく。サラは自分の頭が少しぼうっ  
とし始めているのに気付き、動揺せずにいられなかった。  
 自分は何故こんなことをしているのか。もう、このまま力を緩めて許してしまっても、  
大事な場所を少し触られるだけで、他に危害までは受けない気がする。大きな手の感触  
は温かくて、我慢すればできないほど気持ち悪いわけではない。それどころか、微かに  
漏れる自分の吐息に心地良さが混じっていないと、完全に否定できるだろうか。  
 男の手は熱く強引だが、どこか丁寧な触り方は、傷や痛みを与えないように気遣う優  
しさでもあると錯覚しかけ、誤解だと分かっているはずなのに納得して受け入れてしま  
おうとしている自分がいた。  
 自身の内心の変化に戸惑ったサラは、緩急をつけた男の手が突然強くスカートの奥へ  
と捻り込まれる動きに反応しきれなかった。  
(…ッ……嫌っ……!…あぁ……)   
 男の指先がついに脚の付け根へと辿り着き、下着の薄い布越しに少女の柔らかな膨ら  
みへと触れ、熱く押し付けられた瞬間だった。  
 
 長い駆け引きのせいで、褐色の肌はかすかに汗ばみ、スカートの奥は蒸せたようになっ  
ている。下着越しに触れられた少女の其処は、焼き立てのパンのようにふっくらと生温  
かく、とても柔らかだった。  
 最も敏感な場所に触れられてしまったサラは、小さく身を震わせて万感の思いで息を  
吐いた。  
 薄々は触られてしまうかもしれないと考えていた見知らぬ男の指を実際に押し付けら  
れ、もはや抵抗する意味は失われてしまったかのような気持ちにさえなる。相変わらず  
両手で押さえ続けてはいたが、すでに半分ほどの力が失われていた。  
 もうこれで満足しただろう、解放して欲しい。そんな思いでサラは弱々しく視線を男  
へと向けた。  
 だが、男は相変わらず眠っているフリのままで、サラには振り向きもせずに薄笑いを  
浮かべている。  
 それどころか、指先はサラの大事な場所をもっと確かめようと、動きを止める気配が  
なかった。下着の触り心地を指先で楽しみながら、手のひらを内股へと這わせて撫で付  
けていく。もう上から押さえつけても無意味なほど侵入して、触りやすいように脚を広  
げさせようという力が加えられた。  
 その愛撫と圧迫感に、サラの肌は否応無しに反応して恥ずかしく熱を帯びてしまう。  
普段は感じることのない違和感が、ゾクゾクと背筋をかけて少女の下半身を痺れさせ、  
下腹部の湿度を高めていった。  
「(ああ…そんな……んっ……はぁ……!)ぁ…んッ!」  
 深い諦めと羞恥心、終りない絶望の中、少女は息を荒げて感じはじめていた。  
 男の指が布越しに割れ目に押し付けられ、強くゆっくりとスジを撫で付けていく。サ  
ラは前屈みになったままピクンっと顎を跳ね上げ、男や周囲の席に気付かれないように  
と、ずっと耐えていた吐息と声が、とうとう小さく漏れてしまった。  
 少女の秘所は男に与えられた刺激を確かな快感として受けとり、身体中に微弱な電流  
を流して悦びを示してしまったのだ。  
 
 一度それを気持ち良いものとして感じてしまえば、身体は勝手にさらなる行為を期待  
しはじめる。彼女は自分の意志と関係なく、痺れるような熱が下半身にこもるのを感じ  
た。膣口では男を受け入れる準備が進み、甘い蜜が集められていくのだ。  
 無遠慮に押し付けられた男の指に上下に擦られ、ふっくらとした双丘と縦筋が下着に  
くっきりと現れていく。その形状を強調するように、縦筋に沿ってじわりと染みが浮か  
びはじめた。そして軽く指を突き立てられれば簡単にすぼまり、下着の向こうにさらに  
奥へ続く入口がある事を予感させる。  
(あぁ、もうだめ……嫌なのに…んッ……ああ……息が、声が出ちゃうっ……)   
 すでにサラの手は力なく添えられているだけで、今はもう片手も戻して、強い刺激を  
感じるたびに喘いでしまいそうになる口元を、必死でかばうことしか出来ない。細くし  
なやかな指の隙間から、ふぅ、ふっと細かく熱い吐息が途切れ途切れにこぼれていく。   
 押さえつけていたサラの手が緩むと、男はさらに大胆になって、大きな動きでサラの  
下半身を愛撫しはじめた。手のひら全体で下着の上から包み込むように股間を撫でて細  
かく揺らし、中指と人さし指を器用に使って、指を突き立てたり恥丘をこね回していく。  
 敏感な場所に与えられる振動に、サラは可愛らしく身震いしながら快楽に流されそう  
になるのを耐え、巧みな指遣いに何度も意識を手放しそうになった。  
 十分にほぐされながら、与えられる刺激をすっかりと感じてしまい、ともすれば勝手  
にゆるゆると開きかけてしまう脚を、まだ閉じようとするのがいじましい。  
 しかし少女の膣口は、もう自分でもはっきり分かるほど濡れてしまっていた。  
 湿った布が貼付くような感触は気持ち悪いのに、男の指で圧迫されると熱く気持ち良  
くて、一瞬それだけでは焦れったいようにさえ感じてしまう。  
(ふぅっ…ん……ぁ、んッ……ぁ………!)  
 いつの間にか、男の手に添えられたサラの手に再び力が込められていた。しかし、そ  
れは拒絶するというよりも、反射的に押し付けて、男の指をもっと強く感じてしまいた  
いという無意識の反応だった。  
 
(あぁ…はっ……ん、……)  
 朦朧としかけていたサラは、不意に男の責めつけが緩められたことに気付いた。  
 手が離れたわけではないが、指先は最も敏感な場所から遠ざかり、今は脚の付け根近  
くの内股をゆっくりと撫で回しているようだった。  
 やっと許してもらう事が出来たという深い安堵感と、かすかな物足りなさを感じてし  
まっていたが、だからと言ってどうすれば良いのかも分からずに、ただ芒洋とした表情  
でシートに背を凭れてしなだれた。  
 周囲は薄暗く、みんな眠りについていて、ここで起こっている異変になど誰も気付い  
ていないようである。機内に響く相変わらずのエンジン音は脳裏を痺れさせ、サラは一  
人、乱れた息づかいの中で悪い夢を見ているのではないかと、真剣に願わずにはいられ  
ない。  
 だが、そこで気を抜いたのは間違いだった。  
 男は決して行為を終りにしたわけではなく、相変わらずサラの太腿を撫で回し続けて  
いたが、その手がまた這い上がってきたのだ。  
 スカートの中で大きく腰横を撫で上げた手は、なだらかな曲線を描く少女の下腹部に  
指先を沿わせていく。  
 サラは最初、今までとは違う男の手の動きが何を示しているのか分からなかったが、  
そこにあるものに気付いて愕然とした。  
(…あ……あぁ、そんな……ッ……!)  
 男の指先は、下着のラインを辿っていたのだ。  
 実際にはあり得ないと分かっているが、フジタに見られても馬鹿にされないように、  
サラは少し気恥ずかしく感じつつも、時々密かに大人っぽい黒い下着をつけていた。今  
日の下着も縁の部分はさりげない程度のレース模様でまとめられ、中央には小さな赤い  
リボンがアクセントになっているもので、セクシャルでもあるし可愛くも見える、お気  
に入りのものだった。  
 直接見られたわけではないが、背伸びした自分の考えが見透かされたようで、一瞬サ  
ラは自分が窮地に瀕していることも忘れて、必要以上にかあっと顔を赤らめて俯いてし  
まう。  
 男は、サラがたいした抵抗もできないのを良いことに、そのまま下着の端を軽く持ち  
上げて、あっという間に指を滑り込ませた。  
(もう…許…して……はぁ……っ!…嫌ぁ……ッ、……あ……んッ!)   
 
 下着の中はほど良く蒸れていて、指先がすぐに柔らかな茂みに触れた。  
 まだ成長途中なのか、少女の陰毛はそれほど濃くなく、淡い。だが大事な場所を護る  
ために、下着の中に潜った少し下の辺りから薄らと生えはじめて覆い隠し、ずっと下へ  
と続いている。  
 サラはもう上から押さえるのは諦めて、片手でゆるゆると男の腕を押し返そうとした  
が、それも弱々しいものだった。構わずに茂みの奥を探って割れ目を見つけ、秘所を撫  
で下ろす指の感触に、小さく唇を開いて震わせることしかできない。  
(はぁっ……はッ……嫌、そんな……開かない、で……)  
 茂みの奥で、男は指先の感触だけを頼りに割れ目を辿りながら、縦長に楕円を描くよ  
うにして上下に擦り付け、同時に、少しずつ割れ目を押し広げていく。丁寧な指の動き  
に、肉厚の陰唇がくちくちとこね回されて形を変え、無理をしなくてもそれだけで、ほ  
とんど勝手に開いていくようでもあった。  
(ん…、ああ……駄目ッ…ふ、ぁっ……んぅッ……)   
 サラはまだ自身でもほとんど触れたことのない内側の粘膜を、男の指に触れられる瞬  
間を知った。想像以上の激しい刺激が少女の身体を貫き、屈辱とともに堪え難い快楽に  
痺れた背中が、思わず弓なりに小さく弾ける。  
 他にどうすることも出来ず、そばにあった男の腕を掴んで、夢中で掻きむしるように  
撫でた。  
 せめてもの抵抗を示してるようでもあり、他に行き場のない快楽をぶつけて存分に感  
じているようでもあり、あるいは、さらなる刺激をせがんでいるようでもある。  
 男の好きなように、どうとでも解釈できる反応だった。  
 だが、幾重かの肉襞が重なるようにして複雑な形をなしている少女の膣口が、ぬるり  
と熱く濡れているのは隠しようもない。  
 男はさらに深く蜜壷へと指を埋め、従順に、容赦なく、少女の身体が求める望みを叶  
えていく。  
 
 サラの膣口はほとんど抵抗もなく、捧げられるままに男の指をくわえ込んでいった。  
 クチュっとかすかに音がするような感触とともに指が埋まると、その隙間から溢れた  
透明な液が一滴、サラの内股を伝い落ちていく。まだ狭い少女の膣は、侵入する異物を  
わずかに押し返そうと圧迫したが、同時に欲するものを逃さないように締め付けてもい  
た。  
 サラはあどけない唇をわななかせながら、その一部始終を感じていた。  
 自分のよりも、ずっと長くて太さもある男の指が深々と埋められていく。  
 ただ強引に貫くのではなく、膣壁を撫で回すように揺らして静かに沈められていくの  
で、少なくとも感覚的には気持ち良さの方が遥かに勝っている。抵抗できる理由が見当  
たらなかった。そして、自分の下半身で熱く膨れ上がる女としての快感に、なけなしの  
理性さえ大きな波に飲み込まれて消えていく気がした。  
「はぁっ……ぁッ……ああ…い、いっ……ん…イヤぁ……」  
 男の指が根元まで埋められると、サラはどうしようもなく喘いだ。背中をかけのぼる  
快楽に身を震わせ、今まで片手でずっと押さえていたのに、もう我慢できずに小さな声  
が出てしまう。  
 サラの膣奥で、形を馴染ませるように先をくねらせた男の指は、粘膜が充分に熱く濡  
れているのを確かめると、やがて静かに引き抜いていき、すぐにまた突き上げた。  
 指が、男根の挿入を想定するかのように同じ動きをはじめたのだった。  
 実際にサラも、出し入れに合わせて全身の神経を秘所に集中させ、どんな小さな動き  
も逃さずに感じてしまっている。  
 最初はきつい締め付けをなだめるように、真っすぐにゆっくりとした動きだった。  
 それでも、指の第二関節辺りの節くれが膣口に引っかかるように抜かれると、その刺  
激に膣全体がきゅっと締まって引き止める。男の指はそれに応えて一瞬動きを止め、す  
ぐにまた挿入してサラの女の部分を気持ち良く満たしてくれるのだ。  
 
「あぁ……んッ……ぁ……んんッ……」  
 サラは必死で手を当てて声を押し殺そうとしているが、それがどれだけ役に立ってい  
るかは、もう自分では分からない。甘く突き上げられるたびに、はしたなく鼻息が漏れ  
ていく。  
 愛液の量が増えてくると、指の動きに回転や指先の巧みな技が加えられた。  
 深く埋めたまま、指の付け根の方をぐりぐりと回されて膣口を拡げられたり、濡れた  
壁を撫で擦りながら愛液をかき出していく。  
 窮屈な下着の中での指戯なのに、男の指は自在に蠢いて少女の膣奥を蹂躙していくの  
で、予想外の新たな刺激を受けるたびに、サラは悶えて声にならない声で喘ぎながら追  
いつめられていった。  
「ん……はぁ…あ、っ……ダ、ダメっ……イク…イっちゃうッ……っ…ぁ……」  
 もう、限界だった。  
 サラは座席シートの上で淫らに腰をくねらせながら、堪え難い快楽の波が胸奥から押  
し寄せてくるのを悟った。慌てて毛布の端を引き寄せて口に含むと、歯を食いしばりな  
がら、もう片手で男の腕を掴んでぎゅっと握りしめる。  
(は…はぁっ……ふッ……ふぅうん、んッ―――…ぁ……っ!)  
 今までにない、激しい電流が少女の背中を駆け上がって焼き付け、脳裏を閃光で埋め  
尽くされたようだった。  
 深く指をくわえこんだ膣は、食いちぎるような強さで根元から締め付け、その圧力で  
じわじわと溢れてくるように愛液が滴る。踊り狂った腰は半分浮かされたまま、快楽に  
打ち震えて細かく痙攣していた。  
 可愛い顔は真っ赤に紅潮して眉間にしわを寄せ、息をすることも出来ないようだ。毛  
布を噛んでいなければ、間違いなく絶頂の声を機内中に響かせてしまっていただろう。  
 やがて、サラは強張らせた身体をゆっくりと弛緩させ、崩れるようにして余韻に落ち  
ていった。毛布の中は体温の熱と女の匂いがこもり、褐色の肌はじっとりと汗ばんで上  
気している。  
 男は密かにアイマスクをずらして、荒々しく息を乱したまま果てて動かない少女の横  
顔を覗くと、薄く笑って再びマスクを戻し、彼女には聞こえないように呟くのだった。  
「やれやれ、もうイったのか。だが、ニューヨークまではまだまだだ。先は長いんだが  
な……くくっ」  
 

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