その日、その朝。  
光明寺茉衣子はいつもよりはやく目を醒ました。  
時計を見れば、本来の起床時間よりも1時間程早い。  
空調は動作していないため少しばかりひんやりとした空気のただよう中、茉衣子は二度寝を決行すべく布団を被りなおし、目を閉じた。  
 
ふと感じる違和感。  
 
やや過剰な装飾のネグリジェの裾を手探りで正そうとした茉衣子の手に、何かがあたった。  
(・・・・・・?)  
『それ』はどうやらネグリジェの中にあるようだ。  
寝起きで普段の3分の1も回らない頭は、もぞもぞと手を操作し、ネグリジェの中の『それ』を触らせた。  
硬い。温かい。波打つように脈動している棒。  
掴んでみれば、『それ』から体に手の感触が伝わる。  
(・・・・・・?)  
掴んだ瞬間、『それ』が一回り大きくなった。  
なんだろう、これは。  
怪訝に思った茉衣子は怠そうに起き上がり、自らの目で『それ』を確認した。  
股間のあたりからネグリジェを押し上げている物体。それがなんなのか、寝起きの頭は思いつかなかった。  
だから、ネグリジェの裾をまくり、確認してしまった。  
 
 
 
そこにあるのは、ショーツからはみ出した、まぎれもない直立した『男性器』だった。  
 
 
 
数秒の硬直。  
茉衣子の目が見開かれていく。  
「なっ・・・・・・!?」  
それ以上は声が出なかった。だがこの場合、それは行幸だったろう。もし同室の高崎若菜が目覚めてしまった場合、さらに事態は混乱しかねない。あの天然娘は別段不思議に思わず平静を保っているかもしれないが。  
そんな幸運に感謝する余裕は茉衣子にはなく、彼女は鯉のように口の開閉運動を繰り返しながら、それを見つめていた。  
(落ち着くのです。常識的に考えてこれが『アレ』なはずはありません。なぜなら私は生まれてこのかた全ての人生を女性として生きてきたのであり、つまりこれは・・・・・・、そう、幻覚なのです。見間違いに相違ありません)  
混乱する頭はそれの存在を事実として認めるのを拒否したが、『それ』は茉衣子の思考を嘲笑うかのように自らの存在をアピールしていた。  
(ありえません。いくらこがEMP学園という超自然と不可解の魔窟だとはいえ、性別が逆転したりすることはないのです)  
胸を触れば、確かな弾力が返ってくる。  
「性別が逆転したわけではないのですね」  
頭の妙に冷静な部分が、そんなことを呟かせた。しかし、下半身に目を向ければ、直立したモノがそびえ起っている。  
「とりあえず保安部の医療班に・・・いや、対魔班かしら?」  
ぶつぶつと呟いていると、二段ベッドの下から声が聞こえた。  
「うぅぅん。茉衣子ちゃんうるさいよ・・・・・・どうしたの?眠れないなら一緒に寝てあげようか?」  
「い、いいえ、結構です! ま、まだ起床時間ではないのですし、二度寝でもしていたらよろしいのでは?」  
とっさに反応したために声が上擦ってしまったが、若菜はそれを気にすることなく、  
「そうだねぇ。そうしよう」  
ばた、という音と同時に規則正しい寝息が聞こえてくる。  
「ふぅ・・・・・・」  
 
茉衣子は考える。  
さて、これからどうしましょう?  
 
30分後。  
茉衣子はまだ布団の中にいた。  
起床時間はとうに過ぎ、いつもなら朝食を摂取している時間だが、今日はそれどころではない。  
若菜には気分が悪いとだけ言っておいた。  
「じゃあ、私今日も当番だから行ってくるね。気分治ったら来てね。ご飯少なめにしておいてあげるから」  
そう言い残し若菜は出ていった。同室の少女に心配させることを心の中で謝りつつ茉衣子は見送り、布団から這い出した。階段を降り、そのまま保安部に向かうために着替えようとしたのだが・・・、  
「つっ!?」  
その体がびくっと震えた。  
(アレがっ、ネグリジェを擦って・・・・・・)  
下を見れば、ネグリジェの生地を押し上げているモノの角度は既に直角に近くなっている。そして、  
(あ、あ・・・・・・何か、出そう・・・。まさか!?)  
そう思った瞬間。  
茉衣子の男性器はネグリジェの中に白濁した液体を勢いよく射出した。  
「あぁ・・・・・・」  
思わず漏れる吐息、茉衣子は力を失ってその場にひざまづいた。  
 
 
 
一分程の自失状態から抜け出した茉衣子は、まず汚れたネグリジェを脱いだ。  
ワンピース状のネグリジェの内側には、べったりと白い液体がついていた。  
「このままでは・・・シミになってしまいますわね。ランドリーに持っていって、その後保安部にいきましょう。今なら大半の生徒は食堂に向かっているはず。見つかる心配はないのです」  
自分に対して言い聞かせ、なんとか気力を奮って立ち上がり、着替えをとりにクローゼットに向かう。  
一回の射出では物足りないのか、股間の男性器は起ったままだ。  
汚れた男性器をそのままにしていては服が汚れてしまう。  
そう考えた茉衣子はティッシュを取り出し、笠の部分を拭おうとした。しかし、ティッシュが触れる度に男性器がびくびくと脈動し、快楽の波が押し寄せる。  
苦労しつつも一通り拭い終わった茉衣子はそこで疑問を得た。  
(そういえば、私の・・・女性器のほうはどうなっているのでしょう?)  
 
その答えは明確だった。足を動かせは濡れたショーツの感触がある。てっきり先程の射精で飛んだものかと思ったが・・・。  
「ひぐぅっ!」  
ショーツの上から少し触れただけで、男性器とは比べものにならない程の、電流の走るような快感がある。  
それと同調するように男性器も脈動する。  
さらなる快感を求めるように無意識に手を股間の女性器の方に持っていってしまう。  
(ダメですわ、堪えなっ、けれっ・・・・・・ばっああぁ!)  
抑制の意思はショーツの上からのひと撫ででたやすく崩壊した。  
理性は抑止力を失い、手はショーツの中に侵入する。  
30秒後、茉衣子は絶頂に達し、男性器から精液を、女性器から愛液をほとばしらせた。  
 

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