就寝前に鏡の前で、ウインクの練習をするのがわたしの日課だ。  
以前クラスメートがやっていたのを見て、わたしもやってみようとしたが、両目を閉じてしまい上手く出来なかった。  
それ以来毎晩就寝前に鏡の前に立つようになった。  
 
「…………………………………………………………………………上手くいかない」  
半年練習しても出来ないということは、もしかしたら練習方法がいけないのかもしれない。  
 
諦めて眠ろうとすると、異変が二つ起こった。  
「…え?……ウソ、なんで?」  
どういうわけか体が動かず、鏡の前から離れることが出来ない。  
 
――そして、二つ目の異変。  
 
「ウソ……」  
鏡の中のわたしの手が動き出した。  
もちろんわたしは体を動かしてはいない。  
わたしの困惑をよそに、鏡の中のわたしの手は、ゆっくりと下腹部へと向かっていた。  
 
「や…、ウソ、どうしてぇ……」  
鏡の中の手が、わたしの秘芽を弾いた。  
「きゃあぁぁっ……」  
カラダの力が抜ける、しかし動かない体は倒れる事を許してはくれなかった。  
 
秘芽を弾かれた衝撃に、膣口を這う指先に、わたしはただ翻弄されるだけだ。  
動けないわたしとは対照的に、鏡の中のわたしはその指使いを激しくさせてゆく。  
 
 
「くっ…んあ……ひっ…く」  
どれくらい時間が流れただろう、気が狂いそうになる。  
ギリギリ達しないレベルの刺激を与え続けられたわたしの体は、そろそろ限界が近くなってきた。  
「イかせてよ…、お願い。  
もう…もう……ああ!」  
秘芽を捻られた。  
その刺激で、くすぶっていたわたしのカラダは容易に、わたしをあちら側へ連れ去っていった。  
 
 
「……ふう、成功………カナ?」  
気だるいカラダをベッドへ放り出す。  
視界の隅に、わたしが鏡を叩いているのが見えた。  
「あらあら、頑張るわネ。  
…でも無駄よ。アナタは一生出られない」  
わたしが喚く。  
正直五月蝿い、わたしはもう騒ぐ事が出来ないよう、鏡を叩き割った。  
 
――もう、何も聞こえなくなった。  
 
「サヨナラわたし。  
とっとと成仏してネ」  
 
END  
 

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