放課後。  
今日の生徒会は休みだけど、僕は生徒会室へ走った。  
旧部室アパートを一気に六階まで駆け上がり、生徒会室の扉を開く。  
「遅かったわね」  
と、いきなり厳しい声に出迎えられた。  
扉の正面、生徒会長席にある椅子がくるりとこちらを向くと、  
しなやかな指先で僕と同じ緑色をした学年色のリボンを弄ぶ女生徒が、  
不機嫌そうな顔で座っていた。  
「ごめん。掃除に手間取っちゃって……」  
すこし大人びた顔の女生徒は、まるで人生に裏打ちされたような仕草で、  
ゆるいウェーブのかかった髪をかきあげると、  
肘掛に乗せた両手を正面で組んで、その上に優美な曲線を描く顎を乗せた。  
折角の綺麗な瞳を恨めしげに細めて僕を睨みつける。  
彼女は生徒会の副会長でクラスメイトの御神楽あやめさんだ。  
「まったく、わたしを待たせないで。って、いつも言ってるのに………」  
「………ごめんなさい」  
「……でも、急いで来てくれたみたいだから、今回は許してあげる」  
僕が素直に謝ると、御神楽さんはすぐに笑顔で許してくれた。  
突き落としてから、持ち上げる。  
いつもながら、御神楽さんのやり方には感心してしまう。  
 
御神楽さんは澄まし顔で立ち上がると、僕の横を素通りして扉へ向かい、  
さも当然というふうに、扉に鍵をかけた。  
「………御神楽さん?」  
「なに?」  
「今日は資料修正のはずじゃ………」  
「それなら私が終わらせておいたわ。それより………」  
御神楽さんはいきなり僕に抱きついてきた。  
背中に手をまわして、ぴったりとしがみついたまま顔を僕に向ける。  
見上げてくる瞳があまりにも綺麗で、恐いくらいだ。  
「今日は時間があるんでしょ?」  
やさしい笑顔で見上げながら、僕の制服のボタンを外しはじめる御神楽さん。  
思わず後ず去るようによろめいてしまったが、御神楽さんは僕を放してくれない。  
壁際に追い詰められる頃には、僕はガクランを脱がされていた。  
薄い制服のシャツ越しに、ぎゅっと胸を押し付けてくる。  
「………神庭君」  
「………」  
 
………………………が、次が無い。  
 
御神楽さんは僕に抱きついたまま、頬を摺り寄せたり、  
背中にまわした手を組み替えたりと、もじもじするだけで、  
それ以上の行動を起そうとはしてこなかった。  
本当なら、御神楽さんほどの美人にこんなことをされたら、  
それだけでかなり刺激的なことなんだけど、  
朝から色々なことがあったせいで、今の僕には効果が無かった。  
 
実のところ、御神楽さんはそれ以上、アピールする方法を知らないのだ。  
 
こんなことすると、また呼び出されそうだけど………  
すこし面倒な気もしたけど、僕は御神楽さんを抱き寄せた。  
一瞬、御神楽さんの体が緊張に強張り、だけど、次の瞬間には安心したように緩んでいく。  
僕はそんな御神楽さんのスカートの端を掴みあげると、隙を突いて一気に捲りあげた。  
「……っ!? ちょ、ちょっと、神庭君!」  
御神楽さんは不意打ちに驚きはしたようだけど、本気で止めようとはしなかった。  
もしも、本気なら、得意の合気道で僕は投げ飛ばされているはずだ。  
下着が丸出しになるように、スカートの裾をウエストに巻き込んで、  
柔らかいお尻を揉みまわしていると、御神楽さんはすぐに大人しくなった。  
荒い呼吸に甘い溜息が混ざり始めている。  
御神楽さんは僕の腰に回していた手に力を込めて、耳まで染まった胸を顔を埋めてきた。  
 
………本当に、見かけによらず御神楽さんは初心だな。  
 
僕は見神楽さんを抱きしめたまま移動して、定位置に座らせる。  
為すがまま、椅子に追い詰めた御神楽さんに追いかぶさるように身体を預けて、  
御神楽さんの耳元に囁いた。  
 
「ここでしようか?」  
 
御神楽さんは返事をする代わりに僕を抱き寄せた。  
予想外に強く引かれバランスを崩してしまい、まるで椅子に座る御神楽さんの前に跪き、  
柔らかい胸の間に顔を埋めるような格好になってしまった。  
御神楽さんは胸に縋るような姿勢の僕の首に手を回して抱き寄せる。  
見えたわけじゃないけど、御神楽さんが穏やかな顔で微笑んでいるのが、何故だか解った。  
僕は手を伸ばして、御神楽さんの胸に触れる。  
「………ッ!!」  
御神楽さんの体が緊張に強張るのが伝わってきた。  
強気なフリをしているけど、御神楽さんが実は経験が浅いことを僕は知っている。  
僕は胸のリボンは解かずに、ブラウスのボタンを上から外していった。  
ブラウズの胸元を広げると、薄っすらと昂揚した見神楽さんの素肌が現れる。  
柔らかい胸元を包む下着は、レースをふんだんに使った、  
大人びたものだったけど、何故だかそれが可愛らしく見えた。  
まるで背伸びして、下手な化粧ではしゃぐ子供みたいに。  
「動かないで」  
僕は緊張に震える御神楽さんの背中に手を回した。  
ホックを外した瞬間、見神楽さんが息を飲むのがわかった。  
見上げると、頬を真っ赤に染めた御神楽さんが、泣きそうな顔で僕を見つめている。  
「……嫌?」  
僕が聞くと、御神楽さんは弾かれたように首を横に振った。  
「ち、違うの。嫌じゃないのっ! でも………」  
「………まだ恐い?」  
「………」  
御神楽さんは、答えない。  
僕は御神楽さんの返事を待たずに、ブラを上へずらした。  
零れ落ちた胸を、御神楽さんは慌てて両手で抱きしめ、隠そうとする。  
 
僕は御神楽さんの手首を掴むと、肘掛へ押し付けた。  
「…………ッ!!!」  
隠していた胸を晒され、首まで真っ赤になって息を飲む御神楽さん。  
真っ白なはずの肌は昂揚してほのかに赤く染まり、  
御神楽さんがビクンと震えるのに合わせて、綺麗な円錐型のふくらみもぷるんと揺れた。  
見とれていると、触れてもいない胸の先がぷっくりと膨らんで尖り始める。  
「……見られるが気持ちいいの?」  
御神楽さんはへの字に唇を噛んで、真っ赤になって僕を睨んでいたが、不思議と恐くなかった。  
こういう時の御神楽さんは、本当に可愛い。  
僕は出来るだけやさしく、御神楽さんの胸に唇で触れた。  
「………ッ!! あっ……ん……」  
胸の先を口に含ませ、舌で転がすと、その度に御神楽さんは細い喘ぎを漏らす。  
僕は胸の形をなぞりながら、ゆっくりと唇を下へ、下へと下ろしていく。  
胸から肋骨へ、お腹からおへその脇を過ぎて、スカートの下へ………。  
「か、神庭君!?」  
見ると、レースで彩られた大人びた下着は、すでに薄っすらと濡れている。  
御神楽さんは慌てていたが、僕はそれを無視して、下着の上から唇を押し付けた。  
僕は下着の上から、食い込み気味に薄布を食んだ縦溝を舌で撫でる。  
背筋をピンと反らせ、胸を弄っている時の倍の反応で御神楽さんの体が跳ね、  
命令されたわけでもないのに、御神楽さんは足を開いたまま、舌の動きにあわせて身を捩っている。  
そんな様子を見ながら、僕は油断した御神楽さんの足首を掴んで立ち上がった。  
突然の出来事に御神楽さんは転ばないよう、慌てて肘掛にしがみついたが、  
僕に持ち上げられているせいで、堪えることが出来ず、  
御神楽さんは椅子に腰掛けたまま、僕に股間を突き出すような格好になってしまった。  
そのまま肘掛に足を乗せて広げさせ、抜け出せないように、僕は肘掛に手をかけた。  
大事な場所を広げさせた恥ずかしい格好のまま、僕は唇で御神楽さんの胸を重点的に責める。  
 
「ん……ちょ、ちょっ、あっ……あぁっっ………」  
 
御神楽さんはこぼれる声を堪えようと、必死で口元を押さえていたけど、  
舌が触れる度にぴくんッと、腰が震え始めている。  
「神庭君……」  
瞳を潤ませて御神楽さんが切な気な顔で見上げてきた。  
 
僕は十分濡れているのを確かめて、動くのを止めた。  
「やっぱり今日は止めておこうか」  
「え?」  
「御神楽さん、こんな恥ずかしいこと好きじゃないでしょ?  
 やっぱり、僕ばかり悪いよ」  
「そ、そんなことないわっ」  
「して欲しいの?」  
「………………………」  
長い無言の後で、御神楽さんは小さく頷いた。  
「じゃあ、どうして欲しいか教えて」  
「………っ!?」  
「ほら、教えてくれなきゃ解らないよ?」  
「………………………」  
また長い沈黙。  
御神楽さんは恨めし気な目で見上げてきたけど、  
震える指で下着をずらすと、真っ赤に充血したひだを自分から広げた。  
「………おねがい、……挿れて。  
 わたしで……感じて欲しいの……」  
普段はきつく吊り上がり気味の眦が不安気に垂れ下がる。  
縋るような目で見つめられ、何故だか嗜虐的な欲求が股間に膨らみ始めた。  
 
「どうしよう? 両手が塞がってるから、  
 御神楽さんが手伝ってくれないと、僕も続きが出来ないんだけど」  
「………えぇっ!?」  
 
すこし迷ってから、真っ赤な顔で腕を伸ばしてきた。  
足を抑えられているせいで、御神楽さんは背もたれに押し付けられるような格好になっている。  
その格好で必死に手を伸ばし、もどかしそうに僕のベルトを緩めると、  
ボタンを外して、懸命にズボンをずり下ろす。  
僕も手伝うように腰を近づけて御神楽さんの手助けをする。  
苦労して、自分から僕を脱がせたくせに、  
硬くなった僕の下半身が現れると、真っ赤な顔で長い睫毛を伏せる。  
御神楽さんはぎこちない手付きで僕にゴムをかぶせ、  
そのまま導くように招きいれようとしたけど、僕はわざと挿入せずに狙いを外した。  
濡れた割れ目に沿って、なぞるように押し付ける。  
「んっ……」  
隠れたクリに当たるように、わざとそこを狙って腰を動かした。  
「………っ!!」  
擦れる度に、御神楽さんは切なげに目を閉じて、もじもじと身を捩る。  
だんだんと、御神楽さんの腰が跳ね始め。僕に合わせるように、自分から股間を押し付けてくる。  
焦らされ続けたせいで、待ちきれずにねだっているのだ。  
あんなに恥ずかしそうにしていたのに、御神楽さんはすっかり発情して、  
荒く息を弾ませながら、快楽を引き出そうと夢中になっていた。  
散々じらしてから、僕は御神楽さんの希望通り、一気に奥を貫いた。  
 
「ぁ……ぁんっ!!」  
まだ入っただけなのに、御神楽さんはイきそうな顔をしている。  
小さな額には薄く汗が噴出し、綺麗な前髪が張り付いていて、  
長い睫毛の端から涙がこぼれていたけど、口をだらしなく開けて悶えてた。  
御神楽さんの中は既にとろとろに溶けたようにいやらしい蜜で溢れ、  
まるで絡みつくように、僕を熱く締め付けてくる。  
「………動くよ」  
僕が腰を前後させると、御神楽さんはそれに合わせるように腰を振り出した。  
「ぁ……んっ……んっ…ぁんっ……」  
僕が突くたびに御神楽さんは敏感に反応して泣き声に似た甘い声を漏らす。  
御神楽さんの中は、まだ狭くきつかったけれど、  
僕は腰を動かしながら、突くのに合わせて椅子を引き寄せたので、  
その度に深く繋がることが出来た。  
そこまで密着しているのに、御神楽さんは両手で自分の足を抱えて、  
更に最奥に届くように、ねだるように足を広げる。  
「ぁ……ぁんっ………ぁあっ! っああぁぁぁ!!!!!」  
僕がピストンの速度を上げると、堪えきれなくなったのか、  
御神楽さんの体が痙攣するようにびくびくと震えながら、  
椅子の上で派手に潮を噴出してイッてしまった。  
ずらしただけの下着が、見る間にいやらしいおつゆで溢れる。  
熱く締め付ける御神楽さんに絞られ、僕は深く繋がった状態で、  
御神楽さんの中にぶちまけていた。  
 
 ・・・  
 
「………」  
「あの………」  
「………」  
「………御神楽さん、もしかして怒ってる?」  
御神楽さんは珍しく、ムスッと頬を膨らまして、すこし赤い顔で僕を睨んでいる。  
お漏らしみたいに濡れてしまったせいで、下着を穿いてないせいかも知れない。  
「これが喜んでるように見えるのかしら?  
 神庭君て鈍すぎるんじゃない?」  
「御神楽さんだって人のこと言えないんじゃないかな?」  
御神楽さんは怪訝そうな顔で僕を向ける  
 
「………どういうこと?」  
「気付いてた?  
 それ、御神楽さんのいつも座ってる専用の椅子だよね?  
 僕達、その上でしたんだよ」  
唖然とした御神楽さんの表情が見る間に赤く染まる。  
「もしかすると、そのシミも落ちないかもしれないよ」  
羞恥に首まで真っ赤になった御神楽さんの肩がプルプルと震えだした。  
「明日も、明後日も、御神楽さんは自分がイッた椅子の上で会議をするんだよ。  
 もしかすると、役員の子達に聞かれるかもね?  
『それ、何のシミですか?』って。」  
「……ッ!?」  
「また、その上でしてあげるから、御神楽さんも忘れないでね」  
「………お、覚えてなさい!!」  
真っ赤になって、怒った御神楽さんは、苛立ち紛れに下着を僕に投げつけると、  
捨て台詞を残して、生徒会室から駆け出してしまった。  
すこしやりすぎたかも知れない。  
………そういえば、御神楽さん、穿いてないままだけど、大丈夫かな?  
階段には計測用のカメラがいくつか仕掛けてあるけど………  
 
 ・・・  
 
僕は生徒会室の床を掃除してから、階段部のジャージに着替えて廊下へ出た。  
それにしても、三島さんといい、御神楽さんといい、  
二人の様子から察するに、まるで同じ人を取り合って張り合っているみたいだ。  
それで、二人とも僕を相手に練習しているんだろうけど、  
僕なんかで試しても意味が無いんじゃないかな?  
そりゃ、張り合ってる二人からすれば、  
どっち着かずで協力をする僕を怒りたくもなるんだろうけど………  
 
僕がそんなことを考えながら歩いていると、背後から何かがかぶさってきた。  
一瞬、何が起こったのかと慌ててしまったが、後頭部にあたる柔らかい感触には覚えがある。  
と、いうか、一人しか思い浮かばない。  
「こ、小夏姉さん!?」  
振りほどこうともがくとあっさりと開放されて、振り返ると、  
『大正解』と書かれたホワイトボードを掲げた小夏姉さんが、  
相変わらずの無表情で立っていた。  
 
 
 

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