希春姉さんが風邪をひいた。  
ただの風邪だったらよかったのだけれど、具合が悪いのに  
いつものように甲斐甲斐しく家事に精を出したせいで、  
すっかりこじらせて寝込んでしまった。  
しかも都合の悪いことに、他の三姉妹は全員用事があるとかで、  
一日中留守という事態。残されたのは僕だけ。ということは……。  
「希春姉さん、おかゆできたよ」  
「ゆーちゃん……ありがとう……  
 ふーふーして食べさせてくれる?」  
これくらいの甘えなら、まだ大丈夫。  
ふーふーしてから匙を差し出すと、嬉しそうにそれを咥えて、  
希春姉さん、可愛いなとすら思ってしまう。  
でも油断していると、要求は予想通りどんどんエスカレートする。  
「ゆーちゃん……ごめんね……お水持ってきてぇ……。  
 あん、こぼしちゃった……口移しで飲ませてくれない……?」  
はい今すぐ水差しを用意しますからね。  
「ゆーちゃん、ゆーちゃん  
 汗かいちゃった。着替え……取ってくれない?  
 そう……箪笥の下から二番目……。  
 あっ……ごめんねぇ……そこ、下着入れだったわぁ……」  
わざとでしょ絶対。  
「でもちょうどいいや……。  
 下着も替えたいから、取ってちょうだい。  
 うん……ゆーちゃんの好きなので、い・い・か・ら」  
はい、このグンゼのでいいよね。  
「あらぁ……こういうのが好きなんだぁ……。  
 そっか。あんまり派手なのは好みじゃないのねぇ……」  
なんの話ですかっ!  
「それよりも……汗、気持ち悪いなぁ……。  
 ゆーちゃん……拭いて……?」  
ごめんそれは無理! っていきなりボタン外さないで前をはだけないで  
タオルは置いていくから自分でやってよね失礼しますっ!  
「ぶー……ゆーちゃんのけち……」  
などと扉の向こうから聞こえてくる。心臓が口から飛び出しそうだった。  
あわてて部屋を出る寸前、ちらりと見えた希春姉さんの白い双丘が  
目を閉じても浮かんでくる。しょっちゅう押しつけられているけれど、  
実際に見たのは初めてだ……大きかったな……って僕は一体何を  
考えてるんだ!?  
希春姉さん、僕だって高校一年の健全な男子高生なんだよ?  
理性にも限界ってものがあるんだよ! 間違いがあったどうするの……  
ってその間違いを薦めてくれそうなのが希春姉さんだった……。  
どきまぎしつつも、抵抗むなしく素直な反応を見せている自分自身の  
きかん坊をどうしようかと悩んでいると、玄関のチャイムが鳴った。  
往診のお医者さんが来てくれたんだろう。  
「はーい、今行きます」  
 
往診のお医者さんに会うのは初めてだったけど、顔を見た瞬間から  
何となく、イヤだなと思った。人を外見で判断するのは良くないことだと  
分かっているけど、何て言うか、イヤらしいのだ。顔立ちも、目つきも。  
「あら、今日は若先生なんですのね」  
「えぇ……親父も風邪を引き込みましてね。  
 医者の不養生とはこのことですよ……フヒヒヒヒ」  
ベッドから辛そうに身を起こした希春姉さんの全員を舐めまわすかのように  
眺めている医者を見て、不安は確信に変わった。  
「じゃあ診察を始めるから……君は外に出ていてくれるかな?」  
とはいえ、希春姉さんが病気なのも事実。見て貰わないわけにもいかない。  
仕方なく部屋の前で待機していると、扉越しに会話が聞こえてきた。  
「いけませんね……だいぶ喉が腫れています」  
「……ひうッ……!」  
……悲鳴?  
「……それに、ここも……」  
「あの……せ、先生? そ、そこは……」  
あの……ちょっと?  
「こんなに赤くなって……」  
「あ、あッ……! あんッ! だ、だめ……」  
「このお薬を注射して差し上げましょう。なーに、すぐにラクになりますよ……」  
「いやぁ……!」  
何やってんだこのエロ医者ーーーッ!!  
「先生ッ!お茶が入りましたよ!」  
すぱーん!と襖を開け放つと、ちゃんとパジャマを着たままの希春姉さんと、  
注射器の準備をしている医者の姿があった。気まずい空気が流れる。  
どうやら勘違いをしていたのは、僕のほうのようで……。  
 
何なのかは詳しくわからないけど注射を一本打って貰ったら  
大分ラクになったようで、希春姉さんはすやすや眠ってしまった。  
白状すると、いい年して注射を打たれるとき、ぎゅっと目をつぶって  
そっぽを向く希春姉さんには、正直キュンときた。  
お大事にといって、医者は帰っていった。やっぱり生徒会長たるもの  
外見と言動で人を判断しちゃ、いけないよね……。  
 
部屋の掃除をしたり、洗濯物を取り込んだりしているうちに、  
もう日も傾きはじめていた。こんな大変なことを、会社に行きながら  
希春姉さんはやってくれているんだなと思うと、感謝の気持ちで  
いっぱいになってきた。部屋のカーテンを閉めながら、眠っている  
姉さんの端正な顔を見てそっと呟く。  
「希春姉さん……いつもありがとう」  
「……どういたしまして」  
うわあ! お、起きてるならさっさと起きてよ!  
そう抗議したら、こっそりキスされるの待ってたとか。  
いくら待たれてもそんなことし・ま・せ・ん! と言いながらも  
顔が熱くなっていくのがわかる。そんな僕の顔が目を瞑っていても  
見えるのか、希春ねえさんはにっこりと笑った。  
「ねえ、ゆーちゃんに質問」  
「なに? 希春姉さん」  
「さっき、若先生が診察に来てくださってた時……  
 ゆーちゃん、もしかして、嫉妬してくれてた?」  
 
「えーと……」  
また困ったことを言い出すんだからこの人は。  
「嫉妬っていうんじゃなくて、なんか希春姉さんが  
 あぶない目にあってそうだったから、あわてて……。  
 あの時は夢中だったから、何にも考えてなかったよ」  
「そっか……護ってくれたんだね。  
 ありがとうね、ゆーちゃん」  
「お礼を言われることじゃ……結果的に僕の勘違いだったわけだし」  
「ううん。いいの……えへへ。嬉しいな」  
いつもなら、ぐいぐいと自分から進んでアピールしてくる希春姉さん。  
僕の気持ちなんかお構いなしに、恋人だ妻だと言い張る強引な希春姉さん。  
人の話なんてちっとも聞いちゃくれない、押しかけ女房のような女性。  
「ねえ、ゆーちゃん、今日最後のお願いしてもいいかなぁ?」  
「うん、何?」  
そんな希春姉さんが、今日は静かに、僕と会話を交わしている。  
とても新鮮で、そして姉さんがとても弱く儚い存在に思えてきて。  
「……キス、して……」  
希春姉さんをたまらなく愛おしく感じている自分に、気づいてしまった。  
 
希春姉さんが半身を起こしたベッドの横に、無言で跪く。  
そんな僕を見て、自分でお願いしたくせに、希春姉さんはとても驚いたような  
表情を向けてきた。その後で、ちょっと上目遣いの、怯えたような表情になる。  
僕、そんな怖い顔してるかな。内心苦笑しつつ、希春姉さんの肩に手を置いた。  
びくりと肩を震わせてから、そっと僕の手の上に希春姉さんの手が重なる。  
 
いけないことだと分かっている。でも、そっと長い睫毛を伏せて、顔を  
こちらに向けてくる希春姉さんの顔を見てしまったら、もう止まらない。  
 
そっと、唇が柔らかいものに触れた。心臓が爆発しそうなくらい高鳴って、  
頭に血が上りまくっているのに、それを見下ろしている妙に冷静な自分がいる。  
ほんの数秒間だったと思う。  
互いの唇が離れると、希春姉さんはにっこり笑っていた。  
「……初めてだった?」  
「…………うん」  
「ふふ……ゆーちゃんの初めて、もらっちゃった……」  
「……うん。でも……」  
何処かの糸が切れるのが分かった。  
全然、足りない。もっと、したい。そう思ったから。  
今度は激しくぶつかるように、希春姉さんの唇を貪っていた。  
「ん……ふ……うっ……!?」  
柔らかい唇を吸い上げると、希春姉さんは驚いて小さく悲鳴を上げた。  
でもすぐにこちらの唇の舌を這わせてくる。「はぁっ……!」という  
熱い吐息が鼻孔をくすぐる。たまらない。舌を絡め取り、希春姉さんの  
腔内に進入する。歯の裏を舐めると、姉さんは感じているのか  
「ァあっ……!」と喘ぎを上げた。  
涎の糸を引きながら、名残惜しそうに唇が離れる。  
視線を落とすと、夕日に照らされ、汗で身体にまとわりついた希春姉さんの  
パジャマ姿があった。大きく突き出した胸の先端にが、ぷっくりと突き出ている。  
僕の視線に気づいたのか、希春姉さんが艶然と笑みを浮かべた。  
「……見たい?」  
 
ごくり。と、生唾を飲み込む音は姉さんにも聞こえただろうか。  
そして、頷く。希春姉さんは、なぜか嬉しそうにまた微笑むと、  
これまで頼んでもいないのに見せようとしてきたくせに、やけに  
もったいぶりながらパジャマの前のボタンをひとつひとつ外していった。  
やがて開かれたパジャマの裾の奥から、白く形の良いおっぱいが、  
僕の目の前に現れた。桜色のほどよい大きさの乳首から、目が離せない。  
これまでもその手の本やビデオで見たことはあった。  
でも希春姉さんのそれは、今まで見たどんなものよりも  
大きくて、そして綺麗だった。  
「もう……あんまり見つめないで……」  
僕の片手を取って、希春姉さんは胸元へと誘った。  
この世のものとは思えない柔らかい感触が、手から伝わってくる。  
「ゆーちゃんの……好きにして……」  
理性を保つのも限界だった。  
両手で存分に希春のおっぱいを揉みし抱き、乳首にしゃぶりついた。  
「あああッ……! やっ……だめぇ……!」  
好きにしていいんじゃなかったの?  
「だからって……あぁぁ……そんな、激しく……!」  
やわらかくて、あたたかくて、甘い声をもっと上げさせたくて、乳首を吸いあげる。  
そこから首へ、うなじへ、肩へ、脇へ、臍へ、全身に舌を這わせる。  
どこかを舐め上げるたびに、希春姉さんはびくびくと身体を震わせて、  
「あッ! ああッ!」と喘いだ。  
「だ、だめっ……! 汗かいてるからぁ……!」  
確かに希春姉さんの身体はちょっとしょっぱい。  
でもそれが、逆に僕の興奮に火を付ける。  
何の躊躇もなく、パジャマのズボンに手をかけようとすると、  
希春姉さんの手がそれを遮った。  
「あの……ね……?」  
「うん……何……?」  
「私……その……」  
たゆんたゆんと胸を揺らし、内股気味にもじもじしながら、  
希春姉さんは告ぐ言葉を躊躇っているように見えた。  
「は…………」  
「は…………?」  
意を決したように、希春姉さんがうつむきながら言う。  
「は、初めてなのっ……! だから……」  
……そんなの。僕だって、は、初めてなのに……。  
そんなことを言われると、急に気恥ずかしくなってしまう。  
 
「だから……あの……やさしく……して……?」  
 
可愛い。もう、どうしようもなく。  
 
いつも通り、何の根拠もないけれど、大丈夫。そう力強く言い、  
僕は、再び希春姉さんを抱きしめて、キスをした。  
 
「希春姉さん……腰、あげて……」  
「ん……」  
 
ゆっくりとパジャマのズボンをおろしていく。  
さっき僕が放ってよこした無地のショーツがちょっと見えたところで、  
なぜか希春姉さんは下ろしかけていたズボンをぐいっと上にあげてしまった。  
 
「え。な、何で……?」  
 
思わず顔を見ると、目をまん丸にして口を一文字に結び、  
真っ赤な顔でぷるぷる震えている希春姉さんの顔が目に入った。  
 
「わ、忘れてたの! グンゼなんてだめっ! 見ちゃだめ!」  
「あの……希春姉さん……?」  
「今すぐ着替えるから! ままま、待ってて!」  
 
何をいまさら。呆れながらも、そんな希春姉さんが可愛いと思ってしまう。  
慌てた様子で身を起こし、ベッドから足を下ろしたところで、希春姉さんの  
身体がぐらりと傾いた。  
 
「あ、危ないっ!」  
「きゃっ……!」  
 
倒れそうになる希春姉さんを背中から抱き留めて、ベッドに尻餅をつく。  
くてりとその身体から力が抜けるのがわかった。  
僕の腕の中にすっぽりと収まった希春姉さん。柔らかくて、いい匂いがする。  
 
「急に立ち上がっちゃだめだよ。まだ完治してないんだから……」  
「うん……ごめんね。ゆーちゃん……んッ!?」  
 
希春姉さんのおっぱいを背後から持ち上げると、心地よい重みが手のひらに  
伝わってきた。乳首を指の腹で撫で上げると、その度にびくッ、びくッと身体が震える。  
 
「……ゆーちゃんの……えっち……」  
 
姉さんが言いますか、それを。首筋に唇を這わせながら、小さく抗議した。  
乳房を弄んでいた片方の手を、ゆっくりと希春姉さんの下腹部に沿わせていく。  
ぶるぶると震えながらも、今度はその手が遮られることはなかった。  
パジャマの上から、希春姉さんの股の間に指を沿わせる。  
くちゅり、と音がした。  
 
「ふぁっ……!?」  
 
これって……もしかして濡れてる、ってヤツなのかな……。  
そのまま指を上下に動かすと、くちゅ、くちゅといやらしい音がする。  
希春姉さんは片腕を僕の首の後ろに回すと、ぎゅっとしがみついてきた。  
 
「ん〜〜〜ッ……! ……! ……!」  
 
目と唇を固く結んで、何かに必死に耐えている。  
股に這わせていた指を持ち上げると、指先がしっとりと濡れていた。  
 
「……濡れてるよ、希春姉さん」  
「……! だ……だってぇ……っ!」  
 
いやいやをするように身をよじって、潤んだ瞳で見上げてくる。  
 
「……ゆーちゃんに触ってほしかったの……ずっと……。  
 ずっと……待ってたんだからぁ……っ!」  
 
ああもう、神様。どうしてこの人は、こんなにも可愛いのですか。  
胸の奥底から、この人をめちゃくちゃにしてしまいたいという  
嗜虐心が沸き上がってきて止まらない。  
断られても、遮られても、もう止める気はなかった。  
 
「……さわるよ」  
「?? ……ひぁッ!?」  
 
言うが早いか、パジャマのズボンの裾に手のひらを差し込み、  
その下の無地のショーツも持ち上げて、指先を姉さんの股の間に  
突っ込んだ。  
ぬるり。とも、ぞろり。とも、言い表しようのない感触が  
指先から伝わってくる。  
 
「あうッ……! あッ! アッ! ゆーちゃぁんっ……!」  
「…………?」  
 
ふと、違和感に気づいた。思わず、差し込んだ指先を止める。  
 
「希春姉さん……生えて、ない……?」  
「……う、ん……」  
 
有り体に言えば、希春姉さんの「そこ」は、つるつるだった。  
そういう人がいるということも知識としては知っていたけれど。  
そういえば、いつだったか千秋姉さんがソシエ(※ムダ毛処理機。とても痛い)を  
片手に「いいよな、春姉は」なんて言っていたのを暢気に思い出したりしていた。  
 
「……変……よね……気持ち悪い……かな……」  
「ううん、ちょっとびっくりしただけ」  
 
泣きそうな顔をしている希春姉さんの頬にキスをする。  
 
「かわいいと思うよ」  
「……ゆーちゃんっ……!」  
 
慰めたつもりだったのに、なぜか涙を瞳いっぱいに浮かべた  
希春姉さんが、身をよじって抱きついてきた。その重みで  
僕が下敷きになる形でベッドに倒れ込む。目を白黒させていると、  
希春姉さんが唇を重ねてきた。  
互いに舌を絡ませながら、下着ごとパジャマのズボンをずらす。  
すべすべした張りのあるお尻の感触を楽しみながら、再びその奥に  
指を這わせた。  
 
「嬉しいッ…! 嬉しいようっ…! ゆーちゃんっ…!」  
「希春姉さん……」  
 
希春姉さんの腕から逃れると、一気呵成にズボンを脱がせてしまった。  
感触の通り、つるつるのあそこが可愛い割れ目を覗かせている。  
 
「見ても……いい……?」  
「……うん……いいよ……」  
 
希春姉さんの膝の裏に添えた手にそっと力を入れて、股を開いていく。  
長い足、均整の取れた見事なプロポーション、体毛というものがおよそ  
感じられないきめ細やかな白い肌、そんな中で、赤くぬらぬらと  
別の生き物のようにいやらしく濡れているのは……。  
 
「これが……希春姉さんの……」  
「……恥ずかしい……そんなに見ないで……」  
 
手を添えると、びくんッ! と希春姉さんの身体が大きく震えた。  
もう片方の手を添えて、そっと開いていく。薄桃色のそこは、  
小さく、ひくり、ひくりと蠢いていた。  
 
はぁ…はぁ…と荒い息をついているのは、希春姉さんなのか、僕なのか。  
もっとよく見たい……。口づけてみたい……。  
だんだん顔を接近させていくと、がしっと頭を捕まれて、  
行く手を希春姉さんに阻まれた。  
 
「だ、だめっ……! 洗ってないから……汚いもん……!」  
「そんな……」  
 
止めろと言われればしたくなる。強引に顔を近づけようとする僕と  
希春姉さんの静かな攻防が続く。しまいには膝で顔を挟まれてしまった。  
 
「いててて……」  
「もう……ゆーちゃんてば……」  
 
不承不承顔を上げた僕の唇に、身を起こした希春姉さんの指が添えられた。  
 
「それはまた……今度……ね……?  
 そのときは私も……その……してあげるから……」  
   
その言葉の意味に気づいて、さっきからずっと痛いほど固くなっていた  
僕の股間に、いっそう血が集まるのが感じられた。  
 
「それより……ゆーちゃん……」  
 
半分僕の身体に覆い被さる形になって、希春姉さんの指が三角テントを  
張りっぱなしの僕の股間に添えられた。  
 
「……もう、我慢できないの……」  
 
柔らかく、希春姉さんの手が部屋着のズボンの上から僕のモノを掴んだ。  
今度は、僕が身を震わせる番だった。もう、暴発寸前。  
 
「ね……して……?」  
 
どんな階段を上る時よりも早く、僕は部屋着を脱ぎ捨てた。  
 
「わ……すごい……」  
 
互いにベッドの上で向かい合う姿勢になって、僕の怒張が、希春姉さんの  
前に晒される。恥ずかしいとか照れくさいとか、そういう感覚はもう、  
麻痺してしまっていた。  
 
「おっきい……こんなに……」  
 
人とサイズを比べたことなんてなかったけど、そういうものなのかな。  
それとも希春姉さん、誰かと比べてるのかな……。  
 
「ゆーちゃん、何考えてるのか見え見えよ?」  
 
なぜかにっこり微笑んだ希春姉さんに、ぐいとほっぺを引っ張られた。  
 
「ふぁ、ふぁんふぉほと?」  
「お父さんとゆーちゃん以外のなんて、見たことないんだからね。  
 ゆーちゃんのだって、8年前に一緒にお風呂に入ったときに  
 見たきりなんだから……」  
 
そ、そういえばそんなこともあったっけ。  
 
「その……8年前はあんなに可愛かったのに……。  
 こ……こんなにおっきくなっちゃって……」  
 
僕の先端から、透明な液体がこぼれ落ちているのが分かる。  
希春姉さんの揺れる大きなおっぱいを見るたびに、そのぴんと尖った  
乳首を見るたびに、そしてつるつるのあそこを見るたびに、僕の怒張は  
聞き分けのない子供のようにびくり、びくりと脈打つ。  
 
「は……入るかしら……って……  
 ちょっとだけ……不安になったの……」  
「えっと……僕も初めてだから……よくわからないけど」  
 
ちゅっと希春姉さんの唇をついばみ、その背中に腕を添えて  
ゆっくりとベッドに横たわらせた。眉根を寄せたその視線の先で、  
僕は一体どんな顔をしているのだろう。  
開かれた脚の間に腰を入れ、僕は指を添えたモノの先で希春姉さんの  
秘所を探す。ももの内側に触れながら、奥へ、奥へ。  
くちゅり、と先端同士が唐突に触れ合った。  
 
「ひあっ……!」  
小さく悲鳴が上がる。僕もうっとなった。  
は、早く入れないと、このまま暴発してしまう。  
 
「あ……あれ……? えっと……」  
 
モノの先端をあてがって突き入れようとするが、中々思うようにいかない。  
 
「……そんな、焦らないでいいの……」  
 
見かねたのか、希春姉さんがふふっと笑って僕を見た。  
希春姉さんの細い指が僕の先端を挟み込んで、そこへと導いてくれた。  
 
「ここ……だから」  
 
濡れそぼった秘肉同士が触れ合う。そこは火傷しそうなほどに熱かった。  
 
ぐっと、腰を進める。ずぷぷっいう感触とともに、僕のモノが飲み込まれていく。  
わ、わ、入っちゃう。本当に。  
 
「ん……んうッ……!」  
 
よく、処女膜を破るなんて表現があるけれど、それは障子の紙みたいなものじゃ  
ないんだな……と、きつく僕の侵入を拒もうとする秘所と、苦しげに顔を  
しかめる希春姉さんの表情を見ながら思った。  
 
「いッ……痛……い……!」  
「だ、大丈夫? 希春姉さん!? やめようか?」  
「大丈夫。大丈夫だからっ……!」  
 
顔を真っ赤にして、瞳の端から涙をこぼしながら、希春姉さんが必死に訴えてくる。  
 
「うれしいのっ! ゆーちゃんとひとつになれて……  
 だから……だから……やめないで……!」  
 
自分でする時とは比べものにならない快感の渦が、背筋をぞくぞくと駆け上ってくる。  
やがて、根本まで僕のものが飲み込まれたのがわかった。  
 
「ぜ……全部入ったよ……希春姉さん……」  
「うん……もうちょっとだけ、このままでいさせて……」  
 
やっぱり痛いのだろう。必死に僕の腕を掴む手のひらが、そのことを伝えてくる。  
 
「きもちいい……? ゆーちゃん……」  
「うん……とっても……」  
「よかった……」  
 
希春姉さんの腕が僕の首筋に回された。そのまま導かれるようにキスをする。  
肌と肌が直接触れ合った場所から、じんわりと心地よさがこみ上げる。  
 
「ね……動いてみて……」  
「だ、大丈夫……?」  
「うん……思ったより、大丈夫そうだから……」  
 
その言葉に従って、試しに腰を引いてみると、僕のモノを逃がすまいとして  
秘所がからみついてきた。なな、なんだこれ、なんだこれ……。  
 
「あ・あ・あ・あ・あッ……!」  
 
背中を反らせて、希春姉さんが呻いた。カリが抜けるか抜けないかのところで  
モノを引き抜くのを止めて、ふたたびゆっくりと腰をしずめる。  
ずぷぷぷ……。そんな表現がぴったりの感触だった。  
そして再び、深く希春姉さんを貫く。  
 
「あァッ……! あ……!」  
 
はあはあと荒く息を付く。どうしよう。ものすごく気持ちいい。  
 
「だ、大丈夫……?」  
 
「うん……」  
 
先ほどよりも大分余裕が出てきたのか、希春姉さんがとろんとした目で僕を見た。  
 
「どうしよう……気持ちいい……私、初めてなのに……」  
 
よかった……。正直もういっぱいいっぱいな中で、安堵がこみ上げる。  
 
「ゆーちゃん……遠慮しなくて、いいからね……?  
 好きに動いて……私で、気持ちよくなって……」  
 
遠慮する余裕なんて、もうなかった。火がついたように頭の中がカッと燃える。  
腕を盆の窪に差し入れて強引に希春姉さんの脚を持ち上げると、まるで身体ごと  
押し入れるように、僕は腰を振っていた。  
 
「あんッ! あっ、あっ、あっ、あっ……!」  
 
下半身を抱えられ、身動きの取れなくなった希春姉さんは、  
逆手にシーツを握りしめながら甘い喘ぎ声を上げる。  
 
「ゆーちゃんっ! ゆーちゃんっ! す、すごいようっ……!」  
 
仰向けになってなお豊かさを失わないおっぱいが、たゆんたゆんと揺れていた。  
たまらずその先端にむしゃぶりついて、舌先で乳首を転がす。  
 
「やぁッ! だめぇっ……!」  
 
可愛らしい乳首を舐めるたびに、秘所がきゅっと締め付けられる。  
それが嬉しくて、もっと感じさせてあげたくなる。  
希春姉さんの背中に手を回すとぎゅっと身体を抱きしめて、その首筋を吸った。  
 
「だ、だめッ! だめッ! あッ! そ、そこ弱いのッ!」  
 
跡がつくくらい吸い上げて、唇を鎖骨へ、顎へ、そして唇へと移しながらキスしていく。  
誰に習ったわけでもないのに、そうしたくなったからそうしてしまう。本能なのかな。  
激しく腰を動かしながら蠢く僕と希春姉さんは、もし見る人がいたら、二匹の獣のように  
見えたかもしれない。  
互いの唇を貪るように味ってから、唇を放す。熱い瞳が、僕を見つめていた。  
 
「ゆーちゃん……すき……だいすき……」  
「姉さん……」  
 
そう呼ぶと、なぜか「はぐっ」と首筋に甘噛みされた。気がつくと、僕の身体が  
完全に希春姉さんを押しつぶしすように圧迫してしまっている。  
 
「……だめ……名前で呼んで……」  
「え……」  
 
じーっと期待を込めたような眼差しで見つめられて、思わず目が泳ぐ。  
すると、また甘噛みされた。痛くはないけれど、ぞくぞくと背筋に快感が走る。  
 
「えと……き、希春……?」  
「そんな呼び方じゃ、いや」  
 
疑問系なのがよくなかったのか、希春姉さんが唇を尖らせる。  
 
「……希春……」  
 
みるみるうちに、希春姉さんの、いや希春の顔がくしゃくしゃになっていく。  
笑っているのか泣いているのかよく分からない表情で、瞳からぽろぽろと涙を  
零すと、今もなお僕のモノを包み込んでいる秘所が、きゅううっと締まった。  
 
「うれしい……うれしいよう……ゆーちゃん……」  
「希春……すき……」  
 
自分の言葉が麻薬のように脳髄を刺激して、再び僕は腰を動かしはじめていた。  
 
「あぁっ……! ゆ、ゆーちゃん! ゆーちゃん! 私もう……だめッ……!」  
「ぼ、僕も……」  
 
正直もう限界だった。熱い奔流が腰の奥からこみ上げてくる。  
 
「ゆーちゃん! だめぇっ……! 私、イ、イッちゃう……っ!」  
「希春ッ! で、出る……っ!」  
 
衝撃とともに、世界が真っ白になった。  
 
希春は背中を大きく反らせて、びくん、びくんと身体を痙攣させていた。  
そして、どくどくどくッ! と脈打つモノから、僕の精子が希春の秘奥部に  
注ぎ込まれたのが分かる。  
 
あ……そういえばゴムしてなかったな……。  
膣出ししちゃった。どうしよう……などと、今更ながらに思ったりした  
 
「ゆーちゃんの……いっぱい……出てる……ね……」  
 
まだ繋がったまま、荒い息をつきながら見つめ合う。  
希春は愛おしそうに呟いて、ぎゅっと僕を抱きしめてきた。  
 
「えへへ……しちゃった……ゆーちゃんと……」  
「う、うん……」  
 
改めてそう言われると、急に気恥ずかしくなってくる。  
責任をとって今すぐ結婚して、なんて言い出すんじゃないかと急に恐ろしくなる。  
けど希春は、そんな僕の考えなどお見通しなのか、そっと口づけて言った。  
 
「いいの……今はこのままの二人でいましょ……。  
 ゆーちゃんが、本当に、本気で私の事を想ってくれるようになるまで、  
 私、待ってるから……」  
「ぼ、僕は希春姉さんのこと……!」  
 
続く言葉を、そっと希春姉さんの指が遮った。  
 
「ゆーちゃんはまだ若いもの。いろんな可能性があって、  
 これからも色々な出会いがあると思うの……」  
 
耳元でささやく声がこそばゆい。  
 
「そういうものを全部経験した上で……。  
 私を、本当に、好きになって……」  
 
頬をすり合わせながら目を合わせると、いつものようににっこりと、  
慈母のように微笑む希春姉さんの表情があった。髪は乱れ、互いに裸で  
汗まみれだけど、やっぱり希春姉さんと僕は、これまでの関係のままだった。  
 
「た・だ・し……」  
 
笑顔のまま、ぎゅうと耳を引っ張られる。  
 
「ほかの女の子に手を出す時には、カ・ク・ゴ・し・て・ね?」  
 
いいい痛い痛い痛いですお姉さんていうか言ってることがめちゃくちゃです。  
と思ったら、またいきなり瞳をうるうるさせているし。  
 
「浮気なんかしたら……もう……させてあげないんだからねっ」  
 
ああもう……この人は……。  
たまらず希春姉さんの身体を抱き締めると、彼女の中で再び僕のモノが  
固くなるのがわかった。我ながら若いな、なんて思ってしまう。  
 
「あは……ゆーちゃんの……また……」  
「うん……えっと……浮気なんてしないから……その……」  
 
うふふ、と希春姉さんがまた、艶然と微笑んだ。  
 
「……したい?」  
 
「うん……したい」  
 
「じゃあ……もう一度、名前で呼んで……?」  
「希春……」  
 
そして再び、二人の唇が重なる。  
 
<おしまい>  
 
……と思いきや。  
 
すっかり日の落ちた夕暮れ時、神庭家の庭先に一人の女性の姿があった。  
 
長い黒髪をポニーテールでまとめ、ジャージ姿で窓から中をそうっとうかがっている。  
その中で行われている光景を目の前にしても、彼女の表情は変わることがなかった。  
 
『あわわ……どうしよう。見てしまった』  
 
誰が見ているわけでもないのに、ホワイトボードを掲げて存在を主張する。  
ホワイトボードの中でだけ慌てた様子を見せているが、無表情と相まって  
まったく説得力がない。言うまでもなく、神庭家の次女、神庭小夏だった。  
そして律儀にこしこしと文字を消し、再びラインマーカーでボードに文字を書く。  
 
『予定が変わったから帰ってきたのに、これじゃ入るに入れない』  
 
『……おなかすいた』  
 
顎に指を添えてちょっと考えてから、再びホワイトボードにマーカーを走らせた。  
 
『これは幸宏のせい。全会一致で決定』  
 
そして再びホワイトボードに……ってあの、もういいですから喋ってくれませんか?  
ん、んっと咳払いしてから、小夏は腰に手をあてて宣言した。  
 
「幸宏に、おしおきする」  
 
<……つづく?>  
 

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