『―――どうしてこんなことに、なったのだろうか。』
神庭幸宏は、今にも全てをゆだねそうになる快感の中、そんな事を考えた。
仰向けに寝る彼、彼の上には一心不乱に腰を上下させる女性がいた。
パチュン、パチュンと規則正しく打ち付けられる腰。それに合わせてプルンとゆれる胸。
下ろしたウエーブのかかる髪の毛は、汗とともに顔に張り付き、ただただ妖艶な色気だけをかもし出す。
「んぁあっ! はぁんっ! どうゆーちゃん、気持ちいい? 私のナカ、気持ちいい…んっ!」
彼女自身、コレが初めてのはずなのに、痛みは無いのだろうか。
幸宏のそそり立つ肉棒には、彼女が先ほどまで正真正銘の処女だった証であろう、破瓜の血が滴っている。
しかし彼女は、まるで何かに取り付かれたかのように動くのをやめない。
「きっ…、希春姉さん…っ! だめだよっ、………こんなことっ!」
目を瞑り、必死になって快楽を外に追い出そうとする幸宏。
しかし彼女の内部はまるで生物のように蠢き、彼のモノを刺激する。
「はぁんっ! ゆーちゃんのおちんちん、おいしいよぅ。もっとぉもっとぉー。」
闇の世界の中、彼女の声だけが耳に届く。
幸宏はというと、ただただ「どうして…」を繰り返すことしかできなかった。
たとえ毎日過剰すぎるスキンシップをされても、美人で年上の女性である。憧れる心も決して少なくない。
むしろ時折見せる母性のようなものには恋心すら抱いていた。
そんな彼女から突如として襲われたのである。ショックは隠しきれない。
…何度目の「どうして」を言っただろうか。突然、ポタリと顔に落ちる雫。幸宏はその雫に誘われるかのように目を開ける。
その視線の先では、希春が涙を流している。
「えっ? き…希春…ねえ…さん?」
「お願い。 今日だけ…、ううん。今だけでいいの…。明日からは、またいつも通りにするから…。だから…っ。…っく、おねっ、がい。…っく。」
「好きなのっ。 ゆーちゃんのことが…。 いっぱい愛して欲しいの…っ。 だから………っ。」
腰を動かすのをやめる希春。そのまま、顔を手で覆い嗚咽を漏らす。
その光景を見て、幸宏は考える前に希春を抱きしめていた。
「…っく。 ゆー…ちゃん?」
「愛してるよ。今日だけじゃなく、ずっと。………でも、もうちょっと正攻法で来てくれた方が、僕の方も受け入れやすかったんだけど…。」
思わず苦笑してしまう。あそこまで過激に、そして最終的にこんなことになっては、誰だって引いてしまうだろう。と。
「ふぇ…、ふぇぇーん! ゆーちゃん、ゆーちゃんっ! うれしいよぅ、ふぇぇぇぇ!」
ただ彼女の方は、そんな幸宏の苦笑いに気付くことなく、彼の胸に顔を押し付け泣きじゃくっている。
そっと頭を撫でる幸宏。
「ゆーちゃ…ゆーちゃん。大好きだよゆーちゃん…ぐすっ…。」
彼女は彼の名前を呼びながら、
「スースー。」
泣きつかれたのか、眠ってしまった。………もちろん、挿入したまま。
「えっ!? 希春姉さん! 僕どうすればいいのっ!? すっごい中途半端なんだけど!?」
嗚呼…、セルフ処理。