「神庭君」  
呼び止められて振り返ると、そこには天ヶ崎泉が立っていた。  
「あれ? いずみ先輩どうしたんですかこんなところで」  
放課後、生徒会の雑務を終えて、生徒会室から出た直後のことである。  
他の役員もドア越しに見ているし、なんだか不機嫌そうな御神楽の視線が痛い。  
遮るようにドアを閉める幸宏を、いずみはクスクス笑いながら見ていた。  
「神庭君らしいな……」  
「え? なんですか」  
「なんでもない。ちょっといいかしら?」  
「あ、はい。でも、ここじゃなんですから……」  
幸宏はそう言うと学食に行こうと思い歩き出した。流石に食堂はしまっているだろうが、  
あそこなら外にもベンチがあるし、自動販売機で飲み物も買える。  
生徒会室のある部室アパートの階段を下りて、プール脇の特別教室棟へ向かう渡り廊下を踏み出した辺りで、  
不意にいずみに手を引かれ、「こっちよ」と、焼却場跡地の方へ導かれる。  
特別教室棟から焼却場跡地、ラリーではおなじみのコースを歩きながら、  
何だろう? と、幸宏は首を捻った。いずみ先輩のことだから部活関係の話だろうな……  
と、想像しながら、なんでこんな人気のない場所を歩いているのか、その理由がわからない。  
制服の袖口を掴まれたまま、焼却場跡地にたどり着いたところでいずみは幸宏に振り返って言った。  
「神庭君、神庭君はあのお弁当のお姉さんと付き合ってるの?」  
「………はッ? 一体なんの……」  
不意にかけられた言葉の意味が判らず、思わず聞き返してしまう。  
「付き合ってるの?」  
「そんなの、あるわけないですよ」  
あくまで真面目ないずみの問いかけにたじろぎつつも、幸宏は言葉を紡いだ。  
「従姉ですよ、そんな家族相手に付き合うとかそんなこと……」  
「じゃあ、美冬の事は好き?」  
「ええぇっ!?」  
唐突の質問にだった。いつか同じことを聞かれた気がする。  
幸宏は慌てながらもその時と同じ答えを口にしていた。  
「美冬姉さんは…なんていうか好きだけど、それは家族の好きっていうか……」  
「じゃあ………」  
いずみは幸宏の襟元を掴むと、そのまま顔を引き寄せる。  
互いの鼻も重なりそうな距離、ほんの5センチ程で唇すら重なる距離でいずみが呟いた。  
「私のことは?」  
漆黒の満月みたいな丸い瞳が幸宏を見つめている。そのまま引き込まれしまいそうな、  
心地よい戦慄に包まれながら、視線を逸らすことも出来ずに見つめ合ってしまう。  
「……好き?」  
いずみ先輩が!? なんで? っていうか、それってどういう……  
混乱する幸宏を見つめるいずみの瞳が優しく閉じいく。  
それが近づいてきた。と思っているうちに二人の唇は重なっていた。  
触れたと思った次の瞬間、生暖かい舌が幸宏の唇を割り開いて忍び込んでくる。  
いずみの唇がまるで形を探るように動く感覚に、幸宏は思わず目を閉じてしまう。  
いつの間にか背中に回された手が、放すまいとばかりに幸宏を抱きしめている。  
その間もいずみの舌は貪欲に幸宏の口内を蠢いて、唇の端から卑猥な水音を奏でていた。  
いずみのさらさらとした舌になぞられると、背筋を竦むような快楽の波が駆け上がってくる。  
互いの舌が触れ合う快感に戸惑いながらも、いつしか幸宏もいずみに合わせるように舌を絡ませていた。  
ぴったりと抱きしめられているせいで、いずみのやわらかな乳房が幸宏の胸に押し付けられて、  
見かけよりもずっと大きな存在感で幸宏の脳を刺激している。  
(いずみ先輩……どうして?)  
混乱と快楽の交じり合う幸宏の脳内に、まるでフラッシュのように美冬の顔が瞬いたが、  
それが表情に出るよりも速く、本能が体を動かしていた。  
やがて軽い水音を奏でながらゆっくりと唇が離れると、  
互いの唇を粘液で創られた細い橋が結んだが、すぐに消えてしまう。  
それでも、幸宏を抱きしめる腕は離さないまま、互いの鼻が触れ合うような距離で、  
頬を真っ赤に染めたいずみが、真っ直ぐに幸宏を見つめたまま小さく囁いた。  
「……好き」  
 
 
いずみから衝撃の告白を受けた翌日。  
幸宏は眠たい頭を抱えたまま、なんとか待ち合わせの場所までやってきた。  
あの時、告白の返事をするよりも先に、いずみの提案でデートの約束をしていたのだ。  
 
『返事はそのときに……』  
 
最後にその一言を残すと、いずみは呆然とする幸宏を置き去りにして一人で駆け出してしまった。  
残された幸宏はというと、正直舞い上がっていた。  
初めての告白の上に初めてのキス。家に帰ってからも、まるで熱に侵されたようにぼんやりと、  
濡れた唇と背中に回された手の感触を反芻して……気がつくと夜が明けていた。  
本当にうっかりしていた。だから幸宏は、いずみの言葉の意味も、いずみへの返事も、  
ろくに考えないままここまで来てしまった。  
約束の時間は10時。今は9時45分を回ったばかりだから、まだ少し余裕がある。  
 
『……好き』  
 
もう何度目か、思い出してしまい頬が熱くなる。  
押し付けられた胸の柔らかさだとか、唇の重なるむずがゆい感触だとか、  
そんなものを無理やり追い出して必死に考える。  
いずみ先輩のことは……もちろん好きだ。三女神に選ばれるほどの美人だし、  
それを除いても部活では面倒見のいいやさしい先輩だ。  
みんなのために飲み物を用意してくれるのもいずみだし、  
階段部に入ってはじめての勝負でコーチをしてくれたのもいずみだ。  
波佐間との勝負だっていずみの協力なしでは勝てなかった。  
何よりも『天ヶ崎泉争奪階段レース』の最後。  
 
『神庭君。階段部のエントリーカードを私にください』  
 
あの真剣な表情で幸宏に向けられたいずみの手。  
あの時階段部に向けられた手の先が、今度は幸宏に向けて差し出されている。  
いずみ先輩はあんな告白を、冗談でするような人じゃ………  
(そういえば悪ノリが好きなところもあるし、ひょっとして部長がけしかければするかも知れないけど)  
……たぶん、ない。いずみ先輩はきっと本気だ。  
だからこそ、幸宏の『好き』が先輩に対しての『好き』なのか一人の女性に対しての『好き』なのか、  
真面目に考えて、その結果がどんな物でも正直に伝えなければならないと思った。  
思った幸宏だったのだが、そのことに気づくのがあまりにも遅すぎた。  
 
幸宏が悩んでいるうちに、待ち合わせ場所の駅前広場に見慣れたセドリックが横付けされる。  
もしかして……と思いよく見てみると、幸宏の姿を見つけたいずみが、嬉しそうにこちらに手を振っていた。  
途端に頬が緩んでしまうのを自覚しながら、手招きされたように見えたので車に向かって走り出す。  
いずみは学年でも三女神に選ばれるほどの美人だ。そんな美人に車上から手招きされる幸宏。  
通りすがりに向けられる好奇の視線がやたらに恥ずかしい。  
と、いうか、なんだか殺気混じりの視線まで向けられている気がする。  
駆け足で車の方へ向かったが、いずみを間近にすると、なんだか戸惑ってしまい、思わず頭を下げていた。  
「いずみ先輩。おはようございます」  
いずみはその挨拶にクスクス笑い出しす。  
「おはよう。神庭君。でも、まるで部活みたいな挨拶ね」  
「え? あ……言われてみれば………」  
なんだか色々な意味で恥ずかしくて落ち着かない。  
車のドアが開いていずみが腰をずらしたので、幸宏は促されるままにいずみの隣に座る。  
「それに今日は……」  
広い車内なのに、寄り添うように直ぐ横に腰掛けたいずみが少しだけ頬を赤くしている。  
「『先輩』は禁止よ」  
静かにドアが閉じられ、車が動き出した。シャンプーなのか香水なのか、なんだかいい匂いが広がって落ち着かない。  
「……言ってみて」  
と、なんだか幸宏の肩に頭を預けるようにして俯いたいずみがとんでもないことを言う。  
「え!? で、でも……」  
「いいから」  
顔を上げたいずみに思いがけず強い口調で言われ、その上至近距離で見詰め合うような形になってしまった。  
「え、えーと……それじゃあ………」  
幸宏は思わず視線を逸らしそうになったが、覚悟を決めるといずみに向き直って言った。  
「………いずみ」  
「………」  
「………」  
見る間にいずみの頬が赤くなったと思ったら、今度はしがみつくように幸宏の肩に頬を埋めてしまう。  
幸宏も恥ずかしかったが、いずみの方も相当のようだ。こんなに取り乱したいずみを見るのは初めてだ。  
普段は頼りがいがあって、美人で、幸宏をからかうような先輩なのに、なんだか可愛いく思えてしまう。  
「そ、それで、今日はどこに向かってるんですか? てっきり駅前の映画館にでも行くのかと思ってたんですけど」  
「………ホテルよ」  
幸宏がたずねると、いずみはイタズラっぽく呟いた。  
 
「待った?」  
振り返ると驚くほどそばにいずみが立っていた。  
白いビキニの水着姿で。普段は制服に隠れた胸の谷間や、  
丸出しになっているおへそまでが見えていて、なんだかやたらと恥ずかしい。  
その上、水着もグラビアで見るようなきわどいデザインなので、  
ほっそりとした長身の割りに存在感のある胸のふくらみが、ツンと自己主張していて、  
幸宏は思わず視線を逸らしてしまう。  
「似合うかしら?」  
似合うとか似合わないとか以前に、恥ずかしさのあまり正視できない。  
幸宏はまるでイタズラの成功した子供みたいないずみの笑顔に、苦笑いをしながら照れるしかなかった。  
広いプールサイドには、幸宏といずみ以外の客はなく、まるで貸切のようだ。  
 
いずみの言葉どおりに車がホテルに横付けされたとき、幸宏の思考は止まった。  
腕を組んだいずみに、なかば引きずられるように導かれてホテルに入った。  
エレベーターに乗り込んだ時は、普通に呼吸が出来ていた自身がない。  
後ろに流したいずみの黒髪だとか、それがシーツの上にやさしく広がっていく様子だとか、  
見たこともないはずのいずみの白い柔肌だとか、  
とにかく、緊張とあらぬ妄想が交じり合い、階段レース以上に激しく騒ぐ心臓の音で、  
僕、もしかしてこのまま死ぬんじゃないだろうか………などと、思ったりもした。  
そしてエレベーターが静かに開いたとき、目の前の光景に絶句していた。  
水着の並ぶカウンターにラウンジ。屋内温水ポールの看板……。  
何のことはない。たどり着いたのはホテルの屋内プールだったのだ。  
このホテルは天馬グループ経営するホテルの一つで、ちなみに貸切というわけではなく今日は株主優待日らしい。  
「それとも、スイートルームの方がよかったかしら?」  
と、微笑まれた時は、正直どんな顔をしていたのかわからない。  
 
「ほら、泳ぎましょう」  
いずみは幸宏の腕を抱きつくように抱えてプールへと歩き出す。  
二の腕がなんだかやわらかい谷間に挟まれる感覚に戸惑っているいるうちに「えいっ!」と、プールに突き落とされてしまった。  
「うわ!? 何するんですか!」  
仕返しとばかりに幸宏が両手で水面を叩く。飛沫が跳ね上がり、プールサイドで笑っていたいずみはまともに水を被ってしまう。  
いずみも笑いながらプールを蹴ってやり返してくる。幸宏は水をまともに浴びてしまったが、  
そんなやり取りを繰り返すうちになんだか安心していた。  
はじめはどうなるかと思ったけど、なんだかこういうのも楽しい。  
そんなふうに思っていたのだが、いずみの濡れた水着に起きた変化に気づいて、再び固まってしまう。  
真っ白だったはずのビキニが、濡れるにつれていずみの素肌に張り付いて、  
徐々にその色が桃色交じりに変化していたのだ。  
特に濡れた胸の辺りはビキニのヒモを境にほとんど肌色になっていて、  
当然のように、その頂点のあたりは特に肌色が濃く尖っていて……  
……って、いずみ先輩。透けない白いワンピースの水着を持ってませんでしたっけ!?  
 
幸宏が固まったまま視線を逸らせずにいると、いずみは笑いながらゆっくりとプールに足を伸ばした。  
右足が水に沈んで、左足がそれに続く。  
両膝がプールに沈んだ辺りで、わずかに水面を騒がせると、いずみは一気に飛び込んだ。  
気が付くと幸宏のすぐ近く。手を伸ばせば触れてしまう距離に、すっかり濡れてしまったいずみが立っている。  
我に返った幸宏は、いまや裸も同然のいずみを見ていられず慌てて背を向けた。  
「どうしたの?」  
正直に言うのもどうかと思ったが、他の人が入ってくるかもしれないこんな場所で、まさか黙っているわけにはいかない。  
「だ、だって……水着が透けて……その………」  
は、恥ずかしい。それ以上は言葉を続けることが出来ず。なんだかむずむずと体の一部も反応してしまい、  
ますます、いずみの方を見ることも出来ない。それなのに、  
とんでもないことに、いずみがしがみ付くような形で幸宏の背中にくっついてきた。  
互いの肌と肌が、ビキニだけを通して触れ合ってしまう。  
その上、背中から幸宏に回された手にしっかりと抱きしめられていた。  
おかげで、なにやらやわらかいものが心地よく背中に押し付けらているのも、  
ぽちっと、存在を主張して動いているものが、いずみの胸の先端で堅くなっている部分であることも、ハッキリ感じてしまう。  
(い、いずみ先輩!! あたっています!? あたってますってば!!!)  
いずみのしなやかな指先が、幸宏の胸の上で遊ぶように動いた。  
幸宏が逃げ出すことも、止めることも出来ず、そのむずがゆさを堪えていると、いずみの唇が耳朶に触れるほど近くで囁いた。  
 
「見てもいいよ」  
 
真っ赤になった。体中の血液が頭で沸騰しているのかも知れない。  
いずみの両手が動いて、身動きどころか呼吸すら忘れている幸宏の頬を挟むと、ゆっくりと自分の方を向かせる。  
プールはそれほど深くはなかった。真っ直ぐに立てば、幸宏のちょうど胸の辺りに水面が来る程度の深さだ。  
当然長身のいずみにも水面は同じ深さの位置にある。  
だから幸宏は、浮力に支えられ、水面で弾むように揺れるいずみの乳房をまともに見てしまった。  
瑞々しい桃色の谷間が、窓からの日差しを浴びて輝いている。透けたビキニの頂点で苺のように赤らんだ先端がツンと膨らんでいて、  
ほとんど透けてしまっているのに、わずかに残った水着の白色が、濡れた肌の艶かしい桃色を際立たせているみたいだ。  
「神庭君って、案外えっちなのね」  
「えっ!?」  
状況が状況だけにわけもわからず慌ててしまう。  
いつの間にか、いずみの両手は幸宏から離れていた。見上げると、いずみの頬も羞恥に染まっていて、  
なんだか首といい、肩といい、桜色に上気していて余計にいやらしい。  
「す、すいませんっ!!」  
幸宏は我に返ったが、俯くわけにもいかず、かといって今更背を向けるのも変な気がして、すこし迷ってからプールサイドに視線を逸らす。  
「僕…そんなつもりじゃ……」  
「あっ、いいのよ。でも、そんなに熱心に見られるなんて、思わなかったから……」  
再びいずみが近づいてくる。そっぽを向いていたので判らなかったが、気づいたら手を握られていた。  
その手が持ち上げられ、水面近くで止まる。  
 
「触ってみる?」  
 
幸宏が反応するより早くいずみの手が動いた。  
意外に強く引かれてしまい、気づいたら思い切り開いた手のひらがいずみの胸に触れていた。  
「………!?」  
反射的に逃れようと動いた指先が、そこだけ堅くなった胸の先に触れてしまう。  
「ぁ……」  
と、息を漏らしたいずみの体がビクンと震える。  
その声に反応してしまい、思わず顔を上げると、なんだか頬を染めつつも瞳を潤ませたいずみと、まともに目が合ってしまった。  
恥ずかしくて仕方がないはずなのに、思わず見つめ合ってしまう。  
希春の過剰で執拗なスキンシップは平気で避けられるのに、相手がいずみとなるとまるで抵抗もできない。  
見つめ合っていたいずみの瞳がゆっくりと閉じられ、そのまま倒れこむように幸宏に傾いてくる。  
いずみを支えようとした幸宏だったが、触れていた場所が場所だけに、思いっきりいずみの胸を揉むような形になってしまった。  
いずみの手が幸宏の首に回され、ふたりの唇が重なる。  
突然のことに驚きはしたが、今度は幸宏もいずみの舌に迷ったりはしなかった。  
水中に押し倒されるような格好になってしまったが、なんとか頭だけは水没しないように踏ん張りながら、  
迷い込んで来たいずみの舌に自分の舌を合わせる。  
(いずみ先輩……)  
幸宏は自由になった左手をいずみの腰にまわして抱きしめた。抱きしめつつ、胸の置いたままの右手で感触を確かめる。  
自覚のないまま動いた右手がいずみの乳肉をすくい上げるように動いて、ビキニを突き上げるようにツンと張った乳首に触れた。  
そこを指で挟むように動かすと、その度にいずみの体がビクンと震えるように反応してくる。  
いつの間にか衝動に押し流されるまま、いずみの胸を揉みしだいていた。  
いずみも逃げようとはせず、むしろ幸宏を放すまいとばかりに抱きしめる手に力を込めてくる。  
互いの唾液を相手に刷り込もうとでもするように熱心に絡ませていると、いずみの足が動いた。  
しなやかな足がまるで幸宏の腰を挟み込むように絡ませてきた。  
水を吸って透けたビキニパンツ越しの股間が、すでにはちきれんほどに張り詰めていた幸宏の欲棒に押し付けられる。  
「い、いずみ先輩!?」  
かなりきわどい刺激に、さすがの幸宏も戸惑ってしまった。  
言わんとするところは判っているだろうに、いずみは真っ赤に上気した頬を膨らませて不満気に見つめ返してくる。  
「……先輩は禁止じゃなかった?」  
「そ、そんなこと言ってる場合じゃ!!」  
いずみの足にますます力が込められ、幸宏は押し寄せる快感にそれ以上言葉を続けていられなくなる。  
こうなるといずみがしがみつく位置を直そうと水中で動くだけでも擦るように刺激されてしまう。  
幸宏は押し寄せる快楽から逃げるように身を捩るが、動けばいずみの秘裂に這わせるように押し付けられた肉棒が刺激され、  
快楽はますます高まってゆく。  
しかも、いずみの方も同じように刺激されているらしく、幸宏が動く度に、いずみも敏感に体をビクンと震わせて、その度に、  
「…!!」とか「ぁ……」とか「んッ」とか唇から漏れる声がやたらといやらしく聞こえるものだから、  
理性が静止を命じているのに、肉体は快楽に突き動かされるまま、自然と互いの股間を摺り合せるような動きになっていた。  
「だ……ダメですよ。こんな場所で…ん……誰か来たら………」  
我ながら息が荒い。いずみを力ずくで引き剥がすことだって出来るはずなのに、体が言うことをきいてくれない。  
「実を言うとね……」  
いずみの真剣な瞳が幸宏を覗き込んでいた。が、再び首に回された腕に力が込められ抱きしめられた。  
互いの顔も見れないらいに密着したいずみが小さく呟いた。  
「……部屋も……予約してあるの」  
 
絡みついた足がゆっくりと解かれ、いずみの体がそっと幸宏から離れた。  
開放された股間にむずむずと寂しさを感じていると、真っ赤になったいずみがぷいっと背を向けて歩き出してしまった。  
幸宏も慌てていずみの背中を追いかける。水中をほんの少しだけ歩いてプールサイドの梯子にいずみが手をかける。  
ザパッ、と水をはじいていずみの体が水面から浮かび上がり、直ぐ後ろにいた幸宏は、突き出されるように目の前に現れたいずみの桃尻をまともに見てしまう。  
慌てて視線を逸らしたのでほんの一瞬のことだったが、ブラと同じように濡れて張り付いた小さなビキニパンツは当然のように透けていて、  
お尻の割れ目にあたる部分は肌との距離のせいでよくは見えなかったが、ちょうど足の付け根のあたり、  
ぷっくりと膨らんだその場所は、ぐっしょりと濡れた布が張り付いていて、胸の先の辺りと同じようにそこだけ肌色が濃く色付いているのも、  
柔らかく揉み解され、卑猥に割り開きかけているのもはっきり判ってしまった。  
いずみがプールから出た気配を感じながらも幸宏は戸惑ってしまう。  
いずみが用意した幸宏の水着は競泳選手が穿くような黒いビキニタイプのものだったからだ。  
当然、はちきれんばかりに元気になってしまった部分が、くっきりと形を露にしている。  
男子高校生としてはかなり恥ずかしかったが、それはいずみだって同じはずだ。  
幸宏は覚悟を決めると、梯子を握り締め、勢いよくプールから飛び出した。  
先にプールを出ていたいずみが、備え付けなのか、手近にあるタオルを広げて羽織った。よく見るとタオル生地のガウンのようで、  
元々がそういうサイズなのか、長身のいずみが着るとまるでミニスカートのような丈で、  
その下に隠れた姿を、ほんの数秒前に見てしまった幸宏としてはなんだかチラチラと見えてしまいそうで落ち着かなかった。  
幸宏もいずみを真似して近くのガウンを羽織る。  
やっと股間が隠れてくれたのには安心感を感じるが、とにかく大きくなったままなので歩き辛い。  
いずみはベンチに置いてあったポーチを手にすると、入り口とは別の方へ進んでいく。  
そのまま、更衣室ともお手洗いとも案内のない窓際の扉の脇に立つと、備え付けの機械になにやらカードを潜らせた。  
と、扉が開いて、いずみは幸宏を振り返った。  
「これが鍵になっているの」  
いずみの後を追って扉を潜り抜ける。入るとすぐにエレベーターのような扉があって、  
(ああ、ここエレベーターの入り口なのか……)と、思っていると背中の扉が自動的に閉じて、部屋が動き出したので驚いた。  
階数ボタンが無い上に入り口が2箇所もあるエレベータなんてなんだか落ち着かない。  
ほんの数秒で今度は正面の扉が開いて再びドアが現れる。  
いずみは再びカードをスロットに潜らせると、ガチャッと音がした。いずみがドアを開けたので幸宏も後を追う。  
「うわぁ………」  
そこは映画に出てくるような豪華な部屋だった。ラスベガスの富豪とか、ギャングの親分が利用しそうな広い部屋で、  
暖炉や、巨大な液晶テレビは当然で、カウンターバーやら2階に上がる螺旋階段やら、壁の一面は全て窓になっている場所まである。  
今いるリビングだけでも神庭家より広そうだ。  
「驚いた?」  
 
幸宏があまりの展開に呆然としていると、嬉しそうに微笑むいずみが現れた。  
いつの間に用意したのか、両手にはオレンジジュースを持っている。  
片方が差し出されたので、幸宏は反射的に受け取って、うなずいた。  
「……はい。驚きました。すごく」  
ちょうど喉が渇いていたので、なにやら苦味の強いオレンジジュースを一気に飲み干す。  
「うふふ。ないしょにした甲斐があったわ」  
いずみは幸宏の腕を掴んで歩き出す。少し赤色を帯びた頬がやたらと艶かしく見えて、幸宏の頬もつられやように熱くなっていった。  
「部屋履きは………いらないわね」  
やわらかい絨毯を踏みしめてリビングを横断しながら、部屋履き? となんだか聞き慣れない言葉に戸惑う幸宏だったが、  
いずみはそんな幸宏を部屋の奥へ奥へと導いていく。途中のサイドテーブルにグラスを置いて、螺旋階段を登った。  
「なんだか追い越しにくそうな階段ですね」  
と、幸宏がポツリと感想を漏らすといずみは噴出して笑った。  
「もお、神庭君は本当に天然なのね」  
「ええぇ!? な、なんでですか?」  
階段を登りきると、すぐにドアが開いたままの部屋が正面にあった。  
カーテンを閉め切って暖色の間接照明がゆれる部屋の中に、やたらと大きなベッドがあるのが目に入る。  
「だって……これから何をするか、わかってるんでしょ?」  
いずみが恥ずかしげに目を合わせてくる。  
「そんな時に階段部の話なんて、やっぱり天然だと思うな……」  
いつのまにかいずみと向かい合っていた。さっきからなんだか頬がやたらと熱い。  
いずみの潤んだ瞳が幸宏を見つめていた。  
「幸宏」  
「!?」  
普段とは違う、美冬と同じ呼び方をされて、幸宏は思わずギクッと反応してしまった。  
『神庭君』と、いつもは年上を思わせる呼び方なのに、名前で呼ばれるといずみが普段とは違うということをより意識してしまう。  
「これからは……そう呼んでも…いい?」  
言葉の最後は消えてしまいそうなくらい、かぼそい声でいずみが呟いた。袖をつかむいずみの指先が震えているような気がする。  
あんな大胆な姿で幸宏にイタズラをしたくせに、こんなホテルを貸し切りにするくらいお嬢様なのに、  
幸宏の名前を呼ぶくらいのことで、こんな子供みたいに震えているのはどうしたことだろう?  
なんだかボーっとする頭で考えたが、どんな言葉もなんだかいずみへの答えには違う気がして、幸宏はいずみを抱き寄せた。  
「いずみ……」  
初めての軽いキス。幸宏の方から唇を重ねたのは始めてだ。  
「………」  
唇を離すと、今にも泣き出しそうな、けれども、今にも笑い出しそうな。そんな不思議でやさしい表情をした、いずみがいた。  
いずみに導かれて、腰掛けたベッドの上でもう一度唇を重ねる。  
なにも言わなくたっていいと思う。いずみも多分そう思っている。  
だって……これから何をするかなんて、決まっているから。  
 
いずみが背を向けてガウンの紐を緩めた。素肌の肩がこぼれ出て、薄明かりの中に真っ白いいずみの柔肌がと浮かび上がっていく。  
後ろに流した長い黒髪が揺れて、ほとんど裸の背中が一瞬だけ覗いたが、細身のいずみの体はすぐに黒髪で隠れてしまう。  
ガウンを脱いでしまうと、いずみの腕が背中に伸びて動いた。もどかしそうにビキニの紐を解いているようだったので、  
手伝おうとして伸ばした幸宏の手が、いずみの指に触れた。  
「ぁ……」  
いずみの背中がビクンと震える。幸宏も思わず手を引いたが、思い直し、再びいずみの黒髪をずらしてビキニの紐を解いた。  
どうしてだか、気が大きくなっていた。  
もじもじといずみが動いて水を吸ったビキニが床に落ちる。  
戸惑ういずみの肩を掴んでこちらを振り向かせると、いずみは俯いて両手で胸を隠していた。  
希春ほどの大きさはないが、それでも手のひらだけで隠すには大きすぎるふくらみに思わず息をのむ。  
いずみは柔らかな胸が潰れるほど強く指先を胸に食い込ませていたが、幸宏が肩を掴んだせいで腕が動いて、  
いずみは逃げるように仰向けのままベッドに倒れこんだ。  
その拍子に腕が解け、隠していたはずの胸が丸出しになってしまう。開放された乳房がふるん、と揺れる。  
うわぁ……と、声には出さなかったが、はじめて生で見てしまったいずみのおっぱいに、幸宏は思わず息をもらした。  
再び隠そうとするいずみの腕を幸宏が抑えててしまうと、プールでの大胆さが嘘に思えるほど、いずみは真っ赤になった。  
「は、恥ずかしい………」  
既にいずみの乳首は頬に負けないくらい赤々と色づきツンと上を向いている。  
荒い吐息にあわせて、誘うように揺れるいずみの胸を指先でそっと触れてみる。  
「あぁっ……」  
ほんの少し触れただけなのに、いずみは大げさに背を逸らす。  
下乳から頂点を目指してすべるように指を遊ばせると、小さな嬌声をあげながら反応して身を捩る。  
やわらかい……  
つい、面白くなってしまい、今度は少し大胆にいずみの乳房を揉み上げた。  
ツンッと立った胸の先を指の間に挟んで転がすと、いずみはビクンと震え「ぁ……」と小さく息を漏らす。  
(感じてるのかな?)  
少し迷ってから幸宏は胸の先に唇に押し当てた。そのまま唇でほおばり舌の先で舐めてみる。  
「んっ!!」  
声を押し声押したいずみの体が、小刻みに震えてた。  
始めは驚いたようないずみの顔も次第にふやけたように快楽に緩んでいく。  
幸宏は熱心にいずみを舐りながら、いずみを抑えていた右手を離した。いずみも胸を隠そうとはしない。  
空いた手でいずみの鎖骨にそっと触れる。確かにそこに息づくいずみを感じながら、  
鎖骨から胸へ、胸から肋骨へ、徐々に下へと指を滑らせる。  
ゆっくりと動く指先がおへその脇を抜け、下腹を更に下を目指して進んで、濡れた水着へと辿り着く。  
「あっ、だめ……」  
今やいずみを隠す最後の一枚を脱がそうと動いた手が止まる。慌てて幸宏の手を掴んだいずみに遮られたのだ。  
 
「……どうして?」  
幸宏は言いながら水着越しに触れてみる。明らかにプール以外の理由で水着が濡れていた。  
撫で上げるように温んだ食い込みに指を割り込ませる。  
「ぁ……待って」  
緩んだいずみの顔が急にもじもじとしだす。  
「幸宏君の……見せて」  
「……へぇ!?」  
女の人も見たいものなの?  
いずみの言葉のには驚いたが、言われてみれば、幸宏はガウンの前をはだけただけで水着も着たままである。  
恥かし気な、それでも真剣ないずみが躊躇いがちに言葉を続ける。  
「よく見ておきたいの……だってそれが……その、これから………」  
流石に、それ以上は言えなかったらしい。いずみは俯いてしまったが、それでも意を決したように幸宏を見つめ返してくる。  
……そうか。これから自分の中に入ってくるものがどんなものか、自分が逆の立場なら確認したいと思うだろう。  
幸宏は体を起こし、横たわるいずみの脇に膝立ちのような姿勢でガウンを緩めた。  
既に痛いくらいに勃起したものを見られるのはかなり恥かしかったが、幸宏は既にいずみに同じ事をさせている。  
覚悟を決めて前を隠していたガウンを開くとそのまま脱ぎ捨てる。  
これでもう互いに最後の一枚である。  
あっ、と目を丸くして、慌てて視線を背けたいずみだが、恐る恐るといった感じで幸宏に……股間のふくらみに視線を戻す。  
競泳用のビキニに押さえつけられた欲棒をまじまじと見つめられ、幸宏はなんだが恥かしさで萎んでいくような気持ちになってしまう。  
「……見せて」  
と、ふたたびいずみに促され、水着に手をかけた幸宏だったが、簡単には決心できない。  
幸宏が躊躇していると、しびれを切らしたのか、いずみが起き上がって幸宏に手を伸ばしてきた。  
反射的に避けようとしたが捕まってしまい、今度は逆に幸宏がベッドに押し倒されるような格好になってしまう。  
少し怖いものを感じて「い、いずみ先輩?」と、幸宏が言うと、「……いずみ」と、頬を膨らませたいずみに睨まれてしまう。  
股間を隠すように両手で遮ったが無駄だった。抵抗する幸宏の水着をいずみはあっさりと剥いてしまう。  
「ああぁぁ……」  
文字通り丸裸にされてしまった。  
仰向けにされ、太股の辺にいずみが跨り、股間を隠していた幸宏の手を掴む。  
「……幸宏君」  
まるで人が変わったように、いずみが艶然と微笑んだ。なんだかその笑顔が怖い。  
「あっ!? 待って、待って下さい!」  
「だめ……」  
両手が退けられた。反り立った肉棒が天井に向かって跳ね上がる。  
冷たい外気に晒されながらも、いずみの裸に興奮してびくびくと脈打つ肉棒。  
恥かしい。それに、おかしい。何かが間違ってる!  
 
まじまじといずみに見られている。  
さっきまでのしおらしさはどこへ行ったのか、なんだか品定めでされているようで薄ら寒いものが心を過ぎる。  
それなのに、そんないずみを押し倒された幸宏の方から見ると、ちょうど見上げ構図になってしまい、  
細身のわりにボリューム感が増したように見える胸の存在感に反応して、期待はますます膨らんで元気になってしまった。  
幸宏の視線ががいずみの胸に釘付けになっていると、不意にいずみが触れてきた。  
「うっ ……なにを…」  
遠慮がちに、しなやかな指の先でツンツンとカリ首をつつかれる。  
「あ、ごめんなさい。……触ってもいいかしら?」  
いずみは身を屈めて顔を近づけてきた。  
もう触ってるじゃないですか。と、言うわけにもいかない気がしたので応えた。  
「……………すこしなら」  
既にいつ発射してもおかしくないぐらいにキているのに、いずみは熱い吐息が感じられるくらいの距離で眺めながら、  
ぎこちなく握ってみたり、なぞったりしている。  
まるで、はじめて見た動物に触るみたいに、おっかなびっくりだった指先が、  
筋に沿って撫で上げたり、強く握り締められしごいたり、大胆に動き変わってきた。  
「うっ……そんなこと………」  
その度に快楽が背筋を駆け上がり、今度は幸宏の方が声を殺す番になってしまった。  
「え? ……あ、痛かった? もしかして、苦しいの?」  
「き、気持ちいいです……でも…出ちゃいそうで……」  
真っ赤になったいずみの顔が、ますます赤くなる。  
「そ、そう、なの? 」  
幸宏を握り締めたまま、跨っていた足をずらしてきた。そのまま幸宏の隣にコロンと横になり、甘えるように体を摺り寄せてくる。  
なんだかとてもいい香りがする。柔らかな胸が押し付けられた上、いずみの左手は幸宏を握ったままだ。  
見上げるようにして鼻を突合せるような距離でいずみが呟いた。  
「出してもいいのよ」  
「えぇ!? って、ん…んっ……」  
幸宏が言い返す前に、唇を塞がれてしまう。いずみは大胆に舌を絡ませてきたので、互いの唾液の混ざり合う水音がとてもいやらしく響いた。  
そんなふうに唇を重ねながら、いずみは左手でぎこちない上下運動を開始させる。  
もどかしくも強烈な快楽に、欲棒が脈打つのが判る。幸宏は耐えられずに思わず目を閉じてしまった。  
いずみはさらに体をずらして、幸宏の上に移動してきた。一瞬左手の動きが止まったと思ったら、今度は幸宏を握る手が右手に取り替えられる。  
いつの間にか幸宏を跨いで、左から右に移動したいずみは、左手をしがみつくように幸宏の首に回しながら、右手で運動を再開させる。  
押し返す快感に攻められながら、幸宏も右手をいずみの背中に回して抱きしめて、左手をいずみの胸に伸ばす。  
「あっ……ん……」  
不意打ちだったのか、重ねられたいずみの唇から、淫らな悲鳴がこぼれる。  
いずみは熱心に右手を動かしながら、幸宏の足に自分の足を絡めてきた。  
ぬるんとした水着の股間が幸宏の太股に押し付けられ、いずみの腰がもじもじと動いているように思えたので、幸宏はそれにあわせて足を動かした。  
ビクンと肉体で反応しながら、既に限界ぎりぎりの幸宏をしっかりと握り締め、いずみの動きにますます力が込められる。  
 

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