天栗浜高校生徒会長選挙が、幾多の波乱と混乱を経て終結してから、数日が経った。
紆余曲折の果てに生徒会副会長に就任した御神楽あやめは、かつて自身の派閥と言うべきグループの拠点となっていた小会議室の椅子に座り、資料に目を通していた。
資料の内容は、小規模部活の一覧。階段部の部長である九重が必死に駆けずり回り、集めた署名を元にデータを集めた物である。
コーヒーを啜り、資料に添削を記し、―――万年筆を置いた。
「はあ……」
以前の彼女には似合わない、悩ましげな溜息を吐き出す。よくみれば彼女の頬は皮膚本来の色ではなく、ほんのりと赤く染まっていた。
「本当に、どうしてしまったのかしら」
自身の変化に、彼女も悩んでいた。
日に日に強くなっていく、激しい性の衝動。彼女とて高潔に振舞ってはいるが、年頃の娘である。その感覚に覚えが無いわけではなかった。今までは特に意識しておらず、我慢しようと思えば我慢できた。
しかし、生徒会長選挙が終わってから。否、『彼』を強く意識するようになってから、この衝動は強く、そして過激に染まっていった。たった数日で、耐え切れない程に。
授業中にも、勃起した乳首が痺れる感覚が持続し、股間を濡らしていたのだ。
「ふ、は……も、もう限界……」
スカートの中に手を入れ、ピンク色のショーツの上から、クレヴァスに沿って手を這わせる。
思い浮かべるのは『彼』の優しい笑顔。あやめの心を溶かしてくれた、人を惹きつける微笑み。
「ひぁっ!」
全身を貫くような鋭い快感に、あやめの身体は敏感に反応した。
ただでさえ濡れそぼっていたショーツの隙間から、愛液が生足をへと伝う。
人差し指で包皮の上から敏感な突起をスリスリと擦る。直接触ると快感が強すぎて逆に痛くなるし、強く擦っても同様だ。
まだ性に慣れていない身体は、微弱な快感をも、至高の快楽へと変える。
「くっ、ふっ、ふぅっ……!」
リボンを口に挟み、嬌声を抑え込む。放課後になり、人も殆どいないが、やはり自身の行いを考えると、警戒を解く事は出来ない。
あやめにとって、これほど気持ち良い自慰の経験は、未知の体験だった。興味を覚えた頃に、軽く弄った程度。当時は「この程度か」と思ったが、明確に『彼』を想像しての行為は、まさに未知と言える。
「ゆき、ひろっ……」
普段は苗字で呼ぶ、『彼』を、艶かしい声で、名前を呼ぶ。彼の前では決して見せられないけど、自分一人なら、と。
名前を呼ぶだけで、アソコの奥が収縮する。絶え間ない快楽の悦びが襲い掛かり、あやめの指はますます動きを早めていく。
「っ―――!も、もうダメッ!」
何かが爆発しそうな感覚が、全身を支配する。意識が朦朧として、理性が働かない。淫らに垂れる愛液は股下に水溜りをつくり、性の香りを放っていた。
激しく指を動かし、爆発を迎え入れる。グチョグチョという音を掻き鳴らし、あやめのアソコは淫猥に蠢いた。
そして、
「っっっ!! イクッ……!」
一際大きな快楽の波に、あやめの身体はビクビクと脈打った。
「はっ、はっ、はあっ……」
絶頂の余韻を受けながら、あやめは想像していた。
(もし、幸宏のおちんちんを……ここに挿れたら……)
そんな幸せな妄想をしていた時。
不意に、扉が開かれた。