広い王宮の奥に星宿の自室はあった。  
静かな庭と池があり、さわさわと風の音がする。  
夜。月明かりの中、美朱は星宿に案内されこの部屋に来た。  
「良い部屋だろう?ここにいると、何故だか心が落ち着くのだ」  
「うん。静かでいいね」  
夢にまで見た伝説の巫女がニコリと微笑む。心が躍る。  
「美朱──」  
逸る気持ちを抑えようと星宿は自分の手を強く握りこんだが、無駄だった。  
力を込めたせいで白くなった手で、美朱の肩を優しく包み  
ベッドに押し倒した。瞳は美朱を見つめたまま。  
「星宿?どうしたの?」  
美朱は状況がよくわかっていないのか、屈託なく微笑んだまま、星宿を見つめ返す。  
「私の──美朱」  
ゆっくりと星宿の顔が美朱に近づいてくる。さすがの美朱もこれには驚いた。  
──これじゃあ、まるで“キス”するみたい…  
少々色恋沙汰には鈍い美朱だが、ここまで来ればこれから何が起こるかわかった。  
恥ずかしさが募り自然と頬が赤くなり、そっと目を閉じた。  
──どうしよう…ううん。何もしなくて、いいよね。星宿に任せればきっと…星宿なら、いいよ。  
 
まさに唇が触れようかという瞬間、星宿は美朱から手を離し身を起こした。  
そのまま無言で壁に向かい、側に置いてあった刀で壁を切る。  
切られた壁が音と共に崩れ落ち、鬼宿と柳宿が現れた。  
「こんなところで、二人は何をしておるのかな?」  
「いや…その、柳宿に頼まれて…」  
「たまちゃんヒドイ!私のせいにするの?!それよりも美朱っ!あんたって人は…!!」  
「鬼宿、すまないが柳宿を部屋までおくってやってくれぬか」  
「はぁ…」  
「私はごらんの通り取り込み中でな」  
鬼宿が部屋の中を見ると、乱れたベッドの上に真っ赤な顔をした美朱が呆座っていて、柳宿と何か言い合っていた。  
──国のエライ人が、何やってんだか。  
「ほら、柳宿。帰るぞ」  
まだ美朱に文句を言いたそうな柳宿の首根っこを捕まえて、鬼宿は部屋を出て行った。  
美朱は何故か、鬼宿のほうを見ようとしない。  
否、一瞬だけ鬼宿を見たが、何かを吹っ切るように強く首をふり俯いた。  
 
鬼宿と柳宿が去ると、再び静寂が戻ってきた。  
開いた壁から月光がさす。  
星宿は俯いたままの美朱の横に座り、そっと肩を抱いた。  
「全く。あの二人には困ったもんだね」  
優しく、慈しみながら美朱の顔を覗き込む。そこには、涙があった。  
ホロリと落ちた涙が、月明かりに光る。  
「──美朱?もしかして、嫌だったのかい?」  
「ううん。違うの。あのね、私…星宿とならいいよ」  
溢れ出た涙は留まることなく、美朱の頬を伝う。  
「でもなんでだろうね…急に…泣きたくなったの」  
美朱はそう言ったが、本当は理由がわかっていた。  
──鬼宿。鬼宿の声を聞いた途端、何故か胸が締め付けられたような気がした。  
だが星宿はそのことを知る由もなく、ただただ美朱を抱きしめ、そっとベッドの上に押し倒す。  
「美朱──私で構わないのだな」  
仰向けになり、美朱の涙は止まった。潤んだ瞳で星宿を見つめ、小さく、でも確かに頷き目を閉じた。  
頬に暖かい星宿の息を感じる。  
星宿は愛しい娘の涙を、その舌で舐めとった。  
 
ぺちゃ……ぺちゃ……  
美朱の涙を舐めていた星宿は、そのまま唇に触れ、そのまま唇も舐めた。  
半開きになった美朱の口のなかに、熱い舌を入れる。  
「う……」  
フレンチキスの経験もない美朱は、異物が口に入ってきたことに驚き思わず力んだ。息が詰まる。  
星宿の舌が、自分の舌を舐める。逃げようとするが狭い口の中、逃げ場などなくすぐに絡みつく。──とても熱い。  
星宿がゆっくりと顔を離すと、お互いに半開きになった口は透明な液体で繋がっていた。  
「……はぁ……はぁ」  
美朱はそのまま半開きの口で荒く呼吸する。  
そんな美朱の上から、小さな笑いが聞こえた。  
「美朱、息してなかったのかい?」  
「……うん……だって、どうやって……」  
「鼻でしたらいいんだよ」  
「あ、そっか」  
素直な美朱の声にクスクスと笑いながら、再び星宿は顔を近づけた。  
今度は唇と唇を長くくっつけ、美朱が鼻で息をしていることを確認してから、舌で美朱の唇を割り入った。  
美朱の目は堅く閉じられていたが、舌は先程と違い、何かを探すように星宿の中に押し入ってくる。  
くちゅ……ぴちゃ……  
唾液にぬれた音と荒い吐息が入り混じる。  
 
星宿は美朱の口から自身の舌を抜き、唇、頬、耳、首筋、鎖骨と徐々にずらしながら赤い痕跡を散らしていった。  
それと同時に二つのふくらみにそっと手を置く。  
「あ……」  
薄い夜着の上からでも、その柔らかさがわかる。大きな星宿の手でかろうじて包み込めるかというぐらいの豊かさ。  
「ん……んっ……」  
ぎゅっと手に力を込める度に、小さく美朱が反応する。  
星宿は口付けを繰り返しながら、美朱の夜着を剥ぎ取り、自身の衣服も脱いだ。  
星宿も男にしては色白なほうであったが、美朱の肌はそれとはまた違う白さがあった。  
美しい肌に見惚れながら、ふくらみにそっと口付け、吸う。  
磨かれた象牙の宝玉。月夜に浮かぶ幽し光。そこに散る赤い痕跡。  
「んっ……は……あん……」  
星宿の愛撫に、先程よりも大きな声で美朱が鳴く。  
ふくらみの薄紅の中心部はいつのまにか硬くなり、星宿に向かって立っているようだった。  
口に含み、舌の上で転がす。舐める。吸い上げる。  
「んあ……あ…あっ……」  
「美朱──もっと鳴いてくれないか。私にその美声を、もっと聞かせておくれ」  
「えっ……そんな、恥ずかしい──」  
「恥ずかしがることはないよ。ほら、ここはこんなにも悦んでいる」  
再び星宿は美朱の胸を口に含み、その中心部の硬さを確かめるようにそっと噛んだ。  
「ひゃぅ……」  
歯で挟み、先端を舌で擦る。  
「あぁ……いやっ……はん……」  
強い刺激にますます美朱の息は荒くなる。  
──あぁ、なんだろうこの気持ち?すごく…痺れてるみたい。  
星宿が目線だけあげ美朱の顔を見ると、そこには恍惚の表情があった。  
──苦しくて切ないのに……気持ち良いみたい  
美朱がそう思ったとき、脚の付け根がひどく疼いたが、それが何なのか美朱にはわからなかった。  
 
星宿が美朱の胸から口を離し、どこにも触れずに美朱の顔だけを見つめていると、美朱は大きく肩で息を吸う。  
はぁ……はぁ……はぁ……  
そんな姿にニコリと微笑み、星宿は美朱の耳元で言った。  
「緊張しないで──もっと楽にしていいんだよ」  
優しい囁きと共に、星宿の息が耳にかかる。  
「ほら──」  
吐息に乗せて、星宿の手が下に伸び美朱の脚の付け根に触れた。  
「ひゃあっ……」  
思わず美朱は脚を強く閉じたが既に遅く、星宿の細長い手は草根をわけされに深いところへと入っていた。  
結果的に、星宿の手首を脚で挟み押さえつける形になる。  
「美朱、足の力を抜いて。僕の手を離してくれないか?」  
言われて、慌てて星宿の手を解放する。  
美朱の目線まで戻ってきた星宿の指先は、何故かヌラリと光った。  
「見てごらん。これが美朱の愛液だよ──」  
微かな臭いがする。オシッコのような、何か別のもの──例えば魚屋に並ぶ烏賊のような──生臭い感じ。  
なんだろうと星宿の指先を見つめていると、ふいに星宿がその指を舐めた。  
「──おいしい」 「え……?」  
ぽつりと一言呟くと、星宿は美朱の尻を掴み両足をぐっと持ち上げ自分の肩の上に置いた。  
大きく開かれたその付け根に顔を近づける。  
「えぇ?いやっ・・・…ほとほり、やめて……こんなかっこ……」  
嫌がる美朱の声を聞きいているの聞いていないのか。星宿はじっと茂みに覆われた付け根を見つめ、動かない。  
「やっ……ハズカシイよぉ……」  
美朱の顔が哀願に歪む。  
「美朱、嘘はいけないよ。恥ずかしいとは言うが、先程からここが溢れているよ」  
徐に星宿の舌が伸び、付け根から湧き出る液体を舐め取る。  
「ひゃあぁ……やっ……」 ぴちゅ…ぴちゅ…ぴちゃ…  
ゆっくりと、だが丁寧に星宿の舌は動き徐々に奥へと進む。  
「くっ…やっ・・・・・・やあっ…・・・あ……」  ぴちゃ…くちゅ…くちゅ…  
星宿が奥に進む度に、美朱の声は大きくなる。そしてついに、星宿はつんと突き出たものを見つけた。  
「ああっ……」  
その突起を舐めると美朱の身体が大きく仰け反った。  
 
愛液が溢れる洞穴よりも少し上に、その突起はあった。  
突起の先端にはしこりのようなものがり、食んだり引っ張ると美朱は一際大きな声で鳴いた。  
「あっ……あっ……ああっ……」  
美朱の腰が蠢く。太ももの筋肉が軽く痙攣したかのようにヒクヒクと動き、それと同時に溢れ出た液体が足を伝い尻へと流れ落ちる。  
星宿は突起を口から離し、改めて美朱のそこを見つめる。  
洞穴だけでなく、脚の付け根全体がヌルヌルとてかっていた。  
愛しい娘の愛液がただただベッドへ落ちていくのが勿体無く思い、星宿は洞穴に指を入れ詮をする。  
「くぁっ……やっ…星宿……」  
爪、第一関節、第二関節……そして第三関節。  
すらりと長い星宿の人差し指が、生暖かい美朱の体内に消えた。  
 
「はっ……あ……やぁ…おねがい……ぬいて…」  
茂み越しに見た美朱の顔は歪み、喘いでいる。苦痛のためか、恍惚のためか──あるいは両方か。  
その表情すら愛しく、星宿は慈しみをもって再び突起にしゃぶりついた。  
入れたままの指がぎゅっと締め付けられる。その力に呼応するように、星宿は指で洞穴の壁をなぞった。  
「んあ…ああ…あっ…ダメ……ああああっ」  
腰や脚だけでなく指先にまで力を込め美朱の身体が硬く緊張し、今までにない淫靡な声で鳴いた。  
勢いを増した愛液の流れに星宿の指は押し流され、外に吐かれた。  
「はぁ…はぁ…」  
それと同時に美朱の全身の力が抜けた。ドクドクと洞穴だけが口を開け閉めしている。  
星宿は肩から美朱の足を降ろし、ベッドに横たえてやる。ぐったりとしている美朱だが、吐く息は荒い。  
「美朱、イッてしまったんだね」  
──イク?  
「気持ちよかったかい?」  
──気持ちいい?イクと気持ちいいのかぁ  
「今度は、共に果てよう」  
星宿は美朱に覆い被さり、優しく口付けた。  
 
ぐっと力を込め、先程まで指を入れていた洞穴に、すっかり大きくなった自身をあてがう。  
指一本しか入ったことのないソコは狭く、なかなか入らない。だが星宿は既に我慢出来ない状態だった。  
──美朱は恐らく処女であろう。しかし充分に濡れていた。あれだけ感度が良ければ、大丈夫だ。  
更にぐっと押し付けると、星宿の先端がなんとか洞穴に入った。  
「くあっ…星宿っ・・・…なんか…入って……くる」  
美朱からは星宿の男根は見えていない。まさに今侵入しようとしているものが、どれくらいの大きさかは分からなかったが、本能的に畏怖を感じる。  
「大丈夫……さ、力を…抜いて」  
星宿がそう囁きながら美朱を見つめると、安堵したのか洞穴が緩む。  
その一瞬を逃さず、星宿は中へ自身を押し込んだ。  
「ひゃあぁぁっ・・・あっ・・・がっ・・・」  
半分ほどは入ったであろうか。少し引き抜いてみると、朱色の愛液がまとわりついていた。  
一度全部抜いて、美朱の洞穴をみる。朱色の愛液が、徐々に鮮血となった。  
破瓜の痛みに、美朱は苦しんでいる。だが、星宿の男根も溜まった愛情を吐き出せずに苦しかった。  
「美朱──すまないが、少し我慢をしておくれ」  
「あああ…いっ……やぁ……あっ……」  
薄っすらと涙を浮かべる美朱の中に、再び星宿が攻め入る。  
 
どろりとした血のおかげか、幾分入れ易くはなっていたが、狭いことに変わりはない。  
ゆっくりと、洞穴の壁を押し広げながら進む。  
「いや…やっ・・・ぬいて……ねぇ…いた…い」  
美朱は懇願したが、星宿は取り合わない。奥へ奥へと進み、ついに星宿の長い男根の全てを美朱は飲み込んだ。  
「いい娘だ、美朱。美朱が僕の全てを包み込んでる。ほら──」  
星宿は上体を起こし、美朱にもその結合部が見えるようにしたが、美朱は見ようとしない。  
「っ……はっ…はぁ……ぬい…て……」  
苦しそうな微かな声だ。繋がりはそのままに、再び顔を近づけその口をふさぐ。  
「んぐ…んんっ……」  
「──動くよ」  
「んああっ…あああっ」  
言うが早いか、星宿は腰をゆっくり持ち上げた。半分ほど自身が美朱から抜け出たところで、勢いよく押しつける。  
「ひやぁぁ…いたっ・・・あっ・・・」  
小刻みに腰を振り、壁に強く自身を擦りつける。  
「や…や…んぁ…はぁ…くっ…あぁ…」  
或いはゆっくりと引き抜き、腰を回しながら押し戻る。  
「んはぁ…あぁ…ふぁ…んぁ」  
なんて甘美な声、匂い、感触。全てが星宿の能管を震えさせ、その刺激は急速に下半身に集まった。  
 
高まる感情に合わせ、激しく腰を打ち付ける。  
その度に肌と肌がぶつかる音が響いた。  
「あっ…あっ…いっ…あっ…」  
「美朱…美朱…」  
名を呼ばれ、嬉しさが募る。その喜びが異物の侵入という苦痛を和らげ、快楽へと変わる。  
「いっ…いいっ…んぁ……ああっ…ほと…ほり…」  
「…美朱…くっ……」  
今宵、睦み合ってから初めて星宿の顔が歪んだ。  
「はっ…はぁ…いっ…くっ……いっ…ちゃう…」  
「み…あか……私も………だすよ」  
「んあああっ……」  
美朱の全身が強張り、洞穴がきゅっと締まる。  
同時に星宿の動きが止まり、その男根がドクドクと波打ちながら白濁の精を美朱の中に吐き出した。  
その全てを受け止めた美朱は、何かが溢れ下腹部が膨らむのを感じていた。  
──これが…星宿の…星宿の……  
 
さわさわと風の音。月明かり。  
美朱が目を覚ますと、全裸の星宿が優しく髪を撫でていた。  
「えっ?あ、星宿??」  
「すまないね美朱。初めてなのに、無理をさせてしまって」  
「も、もしかして、私寝ちゃってた?」  
「今日は、このままお眠り。明日、ゆっくりと湯を使うとしよう」  
「うん──」  
温かく見つめられ、美朱は素直に頷いた。  
そっと触れた星宿の胸板はひどく冷たく、火照った頬をくっつけると気持ちよかった。  
ゆっくり目を閉じ、意識を手放す。  
闇に寸前に鬼宿を感じた気がしたが、深く考えることは出来なかった。  
今はただ、この快楽に眠ろう──  
 
 

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