「紅南国酔夢譚〜星の下に輝く朱いさだめ」
私は運命の星に身を灼いて、滅ることも恐くない。
朱雀の伝承を知ったその瞬間、巫女に寄せる期待は膨らみ、
やがてそれは恋慕の情となり、憧憬を募らせた。
夕城美朱、異世界より参り、この紅南を救うべく降臨した巫女。
七星士としての関係を上回る感情を抱くのに、時間は必要あるまい。
いたずらな情熱は、魔性の遊戯となるのだろうか。
構わぬ、私は帝であり朱雀七星士 星宿なのだ。
巫女の為、全身全霊を掛けるのが務め。
多少自侭にしたところで問題はあるまい。
全ては己が心の赴くままに。
紅南国宮殿、その主は自室にて国務の処理を淡々と行う。
月が蒼天を駆け上りつつあっても、仕事は続く。
紅南国第四代皇帝<彩賁帝>は、ふと筆を置き手を休める。
倶東との戦火は紅南の国力を著しく衰退させ、軍は甚大な損害を被り、再編成を余儀無くされている。
七星士もまた例外ではなく、鬼宿が戦塵に消えた。
一時は歓喜に浸り極彩色の夢を見た。我が愛しの美朱との恋路を阻む輩が消えたのだ。
名誉の戦死を遂げ、七星士の義務を果たし、醜の御盾となったのである。
素晴らしい。
だが、日ごと痩せ衰えゆく美朱を見るにつれ、自身の浅ましさに嘔吐を覚えた。
私には何も出来ないのか? 愛しの娘を絶望の淵より救えないのか?
これより機会あるごとに、星宿は美朱を頻繁に訪れ、心の傷を癒すのに砕身することになった。
次第に美朱は星宿に心開き始める。
紅南の国主は淡々と国務をこなす。宵闇の帳が降りても終わらない。
ふと自室の外に人気を感じる。美朱だ。
ここのところ、夜になると美朱は星宿の部屋を訪れる。
何をするのではない、他愛の無い会話。だが、お互い話す事で美朱は鬼宿を失った事の喪失感を埋め、
星宿は平穏と安らぎを得る。
そして、それはやがて互いに心開き、慈愛の感情を持つ事になる。
「星宿。今夜もいい?」
月明かりに照らし出される美朱の制服姿は、いささか扇情的であり、また魅惑的でもある。
否応もなく自室へと招き入れる。
寝台に腰掛けた美朱は、とめどもなく語る。
「覚えてる?今日は鬼宿の一周忌だということ…」
私は美朱の傍に腰掛け、美朱の言葉に頷く。
「でもね、いつまでも悲しんでたら駄目よね。」
なにやらいつもの様子で無い。なにかの決意を秘めた表情だ。
「鬼宿の分まで幸せに生きなければ、草葉の陰で鬼宿が泣いちゃうもんね」
沈黙が重く広がる。美朱の鼓動が聞こえるくらいに。
「私は全身全霊を掛けて、そなたを守りそして、愛しよう」
星宿は漆黒に煌く美朱の瞳を見つめ、そっと肩を抱く。伝わるのは温もり、吐息そして、愛。
二人の唇は静かに合わさり、お互いの舌は求め合うかのように絡まる。
さながら、滑らかに流れる美酒のように甘美で、熱情に満ちたものである。
星宿は覆い被さる様に、美朱を寝台に寝かせる。
寝衣の帯を緩め、しなやかで麗しい上半身を露にする。
「よいな?」愛を確認する星宿と、無言で同意の表情を浮かべる美朱。
制服のボタンを一つ一つ外す。
星宿の手には、ふくよかで豊満な美朱の胸の膨らみが収まり、優しく撫でる。
次第に汗ばみ、吐息が早まる二人。
星宿は美朱の首筋、うなじと舌を這わせ、柔らかい耳たぶを甘噛みする。
「そなたの全てが愛しい、私の全てはそなたのもの、そなたの全ては…」
「もう、言葉はいらないよ」
美朱は星宿の口を、自らの唇で塞ぎ、星宿の脚の付け根に手を伸ばす。
初めて触るそれは、体の他のどの部分よりも熱く、硬く、そして激しいくらいに脈を打つ。
また星宿も美朱の同等の部分に手を触れ、弄る。
陰中に泉生ず。そんな古の言葉を思い出した星宿は、美朱の秘泉の周囲の肉襞を撫でまわすと、
次第に汗とは違うものが湧出してくる。
美朱の股布は重く湿り、星宿の赤銅色の怒張は収まりがつかなくなる。
そろそろ頃合か?瞳同士で意思の疎通を計る。美朱は首肯する。
「よいな? 無理はしなくともよい。痛ければ申し出よ」
美朱の秘部にあてがわれる星宿の怒張は、静かにゆっくりと、だが力強く押し込まれる。
「痛っ! でも、そのまま…」
美朱の顔に汗と苦悶の表情が浮かぶ。
念願の巫女、それを我が手に。
あたしを愛してくれる男(ひと)とひとつに。
昂ぶる歓喜と情愛の渦に二人は飲み込まれていく。
怒張は未だ人跡未踏の秘境へ辿り着いた。その証は美朱の太腿を伝う赤い筋で分かる。
だが星宿の怒張は美朱の締め付けで、動く事も侭ならぬ。
星宿はゆっくりと腰を前後に動かす。擦れ合う肉壁、絡み付く粘液。
その度、精を放ちたい衝動に駆られる。
星宿は次第に動きを早める。美朱は嬌声を挙げ始める。
「はあっ、お・お願い…あたしと星宿の愛の証を…」
ひたすら星宿を求める美朱。
「これが私の証だ、受け止めよ」その想いに応える星宿。
脳内に天上界の光が満ち足りた様に、真っ白になる。
全身を貫く電撃の刺激。肉欲が絶頂に達し悦楽を貪る。
美朱の体内奥深くに星宿の精が解き放たれた。
熱い、あたしの中に星宿がいっぱい…
星宿の怒張が美朱の体内より引き抜かれると、赤い血潮と白い精の入り混じったものが、滴り落ちる。
「そなたは今より紅南の皇后であり、私の最愛の伴侶だ。
そう、死が二人を分かつまで」
美朱の頬を慈しむ様に撫で、そっと囁いた。