ファイナルセーラークエスト  

「そーゆーことね……」 
 真琴は、溜息交じりの声で言った。 
 地下十階の空白領域。 
 あらゆるモンスターとトラップに満ち溢れ、犬も歩けば棒に当たり、 
作家が歩けばテニスコートに当たる。そしてテニスコートに突き当たった 
作家はトラップの影響で原稿を落としてしまう。そーゆー所だ。 
 何しろトラップだから、しょうがないのである。 
 作家にとって危険極まりない土地、それが神宮寺だ。 
 そして、神宮寺が危険なのは、作家だけでなく女子高生にとっても 
なのであった。 
「……」 
 目の前にいるモンスターを冷たい目で睨みながら、真琴はゆっくりと 
視線を下げた。 
 牙を剥き出した毛むくじゃらの頭の下に、これまた毛むくじゃらだが 
人間に似た体がくっついている。 
 ワーウルフ。 
 狼の頭に人間の体を持った、有名なモンスターである。特殊能力は 
怪物料理の名コック。フランケンシュタインとバンパイアと三人合わせる 
と何かが起こる、という伝説もあったが、あいにく真琴はそんな伝説には 
興味はなかった。 
 もっとも、このワーウルフはあまり名コックという雰囲気ではない。 
 目を血走らせた表情からしてコックらしくなかったが、そもそも素っ裸 
だというのが大問題である。股間で屹立した元気な息子さんを丸出しにした 
コックというのは、あまり聞かない。 
 唯一の救いは、そこがモザイクがかかったようにぼやけているということ 
だった。真琴のレベルでさえアイデンティファイできないほど、『それ』の 
レベルが高いのだ。 
 ――何をどうやったら、『そこ』のレベルだけ上げられるのかしらね? 
 何かアイテム(真珠とか)を装備しているのかもしれない。 
 視線でワーウルフの動きを牽制しながら、真琴はもう一度大きく溜息を 
ついた。 
 どうして、こんな珍しいモンスターと遭遇してしまったのか? 
 その理由を真琴ははっきりと知っていた。 
 昨日の放課後、のりことこんな会話を交わしたことを、覚えていたので 
ある。 
『ねー、真琴さん。オオカミ男って見てみたいと思いません?』 
『何を言ってるのよ、あんたは。ワーウルフなんて、もう何十年も前に絶滅 
 したって話じゃない。怪物くん邸で目撃されたのが最後の一匹だったって 
 授業で言ってたでしょうが』 
『でも、ひょっとしたらどこか南米の奥地に残ってるかもしれないじゃない 
 ですか! それで川口浩に発見される可能性だって……』 
『断言してあげましょうか?――皆無ね』 
 ――皆無では、なかった。 
 ぎり、と真琴は奥歯を噛みしめた。 
 成田山のアミュレットの効果を甘く見ていたことを痛感したのである。 
もともとラック値の高いのりこがアミュレットを持ったとき、ダンジョン内 
のあらゆる確率論は崩れ去る。一パーセントでも可能性のあることなら、 
それは必ず起こるのだ。 
 南米の奥地でひっそりと隠れ暮らしていたワーウルフは何故かダンジョンに 
現れ、一パーセントの復活可能性すらなかった川口浩に代わって真琴がそれを 
発見した。 
 そーゆーことである。 
 ――それが、なんであたしなのよっ! 
 喚きたくなる衝動を、真琴は自制力を百二十パーセント動員してなんとか 
抑えこんだ。 
 ワーウルフは、菊一文字の切っ先を警戒しながら低い唸り声を上げている。 
完全に殺る気満々の顔だ。暢気に喚いていられる事態ではない。 
 ――こいつを倒したら、死体はのりこの家の庭に放り込んでやる! 
 はなはだ不穏当な決意を胸に秘めて、真琴は愛刀を構えなおした。 
 怒りでパワーアップした真琴の戦闘力は、サイヤ人に匹敵する。負ける可能性 
は無いはずであった。 

 
 

 ――だが、皆無では、なかった。 

 
 

「ぅ……ぁ」 
 ダンジョンの剥き出しの地面に倒れた真琴の口から、弱々しく声が漏れた。 
体中至る所の肉が裂け、血が制服を赤く汚している。特に右足首の怪我は深刻 
であった。 
 アキレス腱が切られていて、もはや歩くことさえ出来そうにない。 
 それでも真琴は、なんとか上体を起こすとダンジョンの壁にもたれかかった。 
 菊一文字は既にその手の中にない。ワーウルフの一撃でへし折られ、今は 
離れた床の上に二つに分かれて転がっていた。 
 ワーウルフには、銀の武器しか効かない。 
 そのことを忘れていたがゆえの、失態であった。 
 いくら高レベルのソードマスターとは言え、刀を失ってしまえば真琴は女子 
高生に過ぎない。地下十階に出没するようなワーウルフ相手では、敵うはずが 
なかった。 
 ここまでか。 
 と、真琴は思った。 
 生まれてから十六年、ダンジョンで暮らしてきた真琴である。それなりの覚悟 
はできている。 
 せめて情けない死に様は晒すまいと、真琴は霞む目で近づいてくるワーウルフ 
を睨みつけた。 
 だが、ワーウルフは、真琴のすぐ前で立ち止まったまま、とどめを刺そうとは 
しなかった。 
(……?) 
 不審なワーウルフの様子に、真琴が眉を寄せる。 
 と、そのとき、真琴の脳裏に嫌な記憶が蘇ってきた。授業でワーウルフについて 
教えられたときの記憶だ。 
『ワーウルフは男性しかいない種族なので、子孫を残すために人間の女性を襲って 
 いたという歴史があり……』 
 真琴の目が、ワーウルフのそれに吸い寄せられた。 
 アイデンティファイできないせいで気づきにくいが、それは異様に巨大だった。 
子供の腕くらいの長さと太さを持ったそれが、興奮のせいかびくびくと震えている 
のが分かった。 
 真琴の顔から、傷による出血とは別に血の気が引く。 
 ――まさか。 
 血走ったワーウルフの目が、制服の裂け目から覗く真琴の腿に向けられた。水気を 
たっぷりと含んだ果物のように瑞々しい太股は、血の赤に染められたせいで、本来の 
白さを一層際立たせている。 
 ワーウルフが、大きな音を立てて舌舐めずりをした。巨根の先端から垂れた先走り 
が、地面に落ちて小さな染みを作る。 
「い……イヤアアアアアアアアアアッ!」 
 悲鳴を上げた真琴が、左足一本で跳ね起きるより速く――ワーウルフの手が、その 
足をしっかりと捕まえていた。 

 
 

 世界が一回転した。 
 真琴の左足を掴んだワーウルフが、片手でその足を自分の頭より高く持ち上げた 
のである。 
 当然、真琴の体は頭を下にして吊り下げられることになる。 
 スカートはめくれ上がり、セーラー服の裾が胸元まで捲れて白いブラが外気に 
晒された。高校生にしては豊満な釣鐘型の乳房が、カップから溢れそうなほどに 
自己主張している。フロントホックのブラに包まれた双胸はいかにも窮屈そうで、 
指先を引っ掛けただけでも、金具を振り切って飛び出してしまいそうに見えた。 
 だが、そんな格好を気にしている余裕は真琴には無かった。 
「この……放せっ!」 
 逆さになったまま、両の拳を振るってワーウルフの脚を殴りつける。しかし、 
モンスターの鋼のような筋肉はそれを易々と受けとめた。 
 ワーウルフは真琴の抵抗など知らぬげに、ぎらぎらと光る目で目の前の下着に 
プリントされたスヌーピーを見つめている。 
 怒りと羞恥で、真琴の頭に血が上った。 
「この……っ!」 
 体を振って反動をつけ、空いている右足で狼の顎を蹴りつける。 
 切り裂かれたアキレス腱から、すさまじい激痛が脳天を貫いた。 
「くあ――ッ!」 
 あまりの痛さに、目尻から涙がこぼれる。 
 だが、さすがにこれは幾らか効いたらしかった。ワーウルフの体が、小さいが 
確実に揺らぐ。 
 ――もう一発! 
 痛みを根性で押し殺して、微かな希望に賭けて再び蹴りを放つ。 
 だが、そう上手くはいかなかった。 
 顎を蹴り抜く前に、ワーウルフの手が真琴の足首を受けとめる。 
 そしてそのまま、両の足首を掴んで思い切り左右に割り開いた! 
「――ぎゃあっっ!」 
 少女のものとは思えない、屠殺される豚のような悲鳴が真琴の喉から漏れた。 
 真琴の股間は思い切り広げられ、逆さ吊りにされた体はまるで『T』の字の 
ような有様になっていた。薄布に包まれた恥丘の奥からは、ごきごきと股関節の 
鳴る音さえ聞こえてきそうに思える。 
「ぐ……あッ! や、やめ…っ、裂ける……ッ! 裂け、ちゃ……うあッ!」 
 さっきの痛みとは比べ物にならない、文字通り体を裂かれる激痛に真琴が 
苦鳴を上げる。ぼろぼろと涙と涎を溢しながらの哀願に、しかし狼男はまるで 
興味を示さなかった。 
 子供が人形を弄ぶように無造作に脚を引きながら、ワーウルフは無造作に 
鼻面を真琴の股間に押し付けた。 
 犬科の動物特有のざらざらした毛の感触が、薄い布越しに真琴の秘所を嬲る。 
ワーウルフはひくひくと鼻を動かして、その奥から漏れる牝の匂いをしっかり 
と嗅ぎ取っていた。 
 ――思ったとおり、この牝は子供が生める。 
 思いがけず伴侶を得た喜びに、ワーウルフの男根が大きく脈動する。 
 いや、伴侶と言っては正確ではない。獣人にとって、牝はあくまで子供を 
生むための道具に過ぎない。いわば、家畜だ。 
 ワーウルフは、真琴の両脚を押し開いていた腕を少し緩めた。 
 股間を襲う激痛から開放され、真琴がほっと息をつく。 
 それと同時に、生来の負けん気が再び真琴の中に蘇ってきた。 
 ――これで終わったなんて、思ってるんじゃないでしょうね。 
 確かに、素手で自分がワーウルフを傷つけられる手段はほとんどない。だが、 
狙うのが急所だったなら、どうだろうか。 
 真琴は素早く両手を伸ばして、ワーウルフの巨大な男根を引っ掴んだ。 
 金的は男性最大の急所である。それはモンスターといえども同じはず。 
「くらえっ!」 
 真琴は、それをへし折るべく両腕に力を籠めた。 
 だが。 
「うそ……なんで!?」 
 性経験がなく、格闘の専門家でもない真琴は知らなかった。急所となるのは 
あくまで陰嚢であって、陰茎ではないのだということを。ましてやワーウルフ 
のそれは、筋肉の塊のようなものである。真琴の腕力でどうこうできるもの 
ではない。 
 愕然とする真琴の体に、そのとき、奇妙な感覚が走った。 
 匂いを嗅ぐことに飽きたワーウルフが、舌を真琴の体に侵入させ始めたのだ。 
「や……うあああああっ!」 
 処女地を荒らされる嫌悪と異物感に、真琴が体を振って暴れる。 
 だが、先細りに尖ったワーウルフの舌は、蛇のようにくねりながら容赦なく 
真琴の胎内へと潜り込んでいった。 
 生温かい獣の舌が、じわじわと秘所を押し広げていく。下着の中に潜り込み、 
柔肉を押し開き、襞の一本一本を唾液で濡らすように膣内を丹念に這いずって 
いく。 
「ゃ……やぁぁ」 
 どれだけ暴れても、脚を掴んだ両腕も股間に押し付けられた獣の顔も、まるで 
びくともしない。真琴の悲鳴はやがてすすり泣くような声に変わり、体の動きも 
弱々しくなっていった。 
 その変化に気づいているのかいないのか、ワーウルフは黙々と真琴の秘所を舌で 
蹂躙し続ける。と、その先端がこつんと何かに突き当たった。 
「ひぃ!?」 
 その途端、真琴の腰が大きくびくんと震えた。 
 涙に濡れた顔に、絶望と嫌悪に勝る脅えが浮かんでくる。 
「や……お願い、それだけは……」 
 縋りつくような声で、真琴は懇願した。 
 ワーウルフの舌が触れたのは、彼女の純潔の証。獣人の長い舌は、そこまで 
届いてなお十分な余裕を残していた。 
 こんな姿で、獣の舌によって処女を散らされる――それは、考えただけで気が 
狂いそうな恐怖だった。 
「やめて……それ以上したら、許さないから……」 
 既に、真琴の声に普段の気丈さはない。 
 それでも、声を恐怖に震わせながらも、彼女は泣いて哀願しようとはしない。 
それが真琴の最後の誇りだった。この期に及んでなお光を失わない目で相手を 
睨みながら、彼女は『許さない』と口にする。 
 ――これは、実にいい牝だ。 
 その姿を見ながら、ワーウルフは満足していた。人間の言葉は分からないが、 
大体の雰囲気くらいは感じ取れる。 
 健康で、気丈で、しかも誇り高い。おまけに言えば、舌の感触からして名器で 
あることも間違いなさそうだ。これだけ張りのある乳房なら、子供の三人や四人 
同時に育てることもできるだろう。この牝は、逸材とも言うべき家畜だった。 
 だが、あまりに反抗的では困る。あくまで家畜と主人の関係なのだということ 
を思い知らせておかなければなるまい。 
 ワーウルフは舌の動きを止め、その代わりとでも言うように腰を真琴の顔に 
押し付けた。 
 巨大な怒張が真琴の唇を滑り、先走りの液で顔を汚していく。 
「ひ……」 
 真琴が嫌悪に顔を背ける。 
 だが、ワーウルフは吊り下げた真琴の体を捻って、彼女の唇に執拗に男根を 
押し付けた。 
「……まさか」 
 嫌悪と恐怖の色を目に浮かべて、真琴がワーウルフを見る。それも無視して、 
獣は自らの性器を真琴の顔に押し付け続けた。 
 ここに至って、真琴もはっきりと理解できた。 
 ――舐めろって言うの、これを……? 
 目の前でグロテスクに脈打っている肉の塊を見る。おそろしく生臭い牡の匂い 
を漂わせた、長く太い肉塊だ。真琴の小さな口では、限界まで押し開いても半分 
も収めきれまい。 
 こんなものを舐めるなど、死んでも御免だった。 
 男根の先が真琴の顔を擦るたび、ぬらぬらとした先走りが肌を汚し、鼻をつく 
匂いを残していく。 
 だが、要求に答えなかったとすれば―― 
 真琴の膣内に潜り込んだ舌は、今は動きを止めている。しかし、いつまでも 
拒否していれば、そのうちまた動き出すだろう。そうすれば、今度こそ真琴の 
処女は奪われてしまうに違いない。 
 こんな獣人に口で奉仕するなど、死んでも御免だった。だが、その獣人に舌 
で処女を奪われるのは、死ぬよりずっと嫌だった。 
 覚悟を決めて、真琴はおずおずと唇を開いた。 
 その途端、待ち構えていたかのように男根が口腔に押し入ってくる。 
「――うむぅっ!」 
 喉の奥を突かれて真琴がくぐもった悲鳴を上げたが、ワーウルフは気にも 
留めずに乱暴に腰を前後させた。 
 精液のえぐい臭いと獣の体臭とが入り混じって、真琴の体を肺から犯そう 
とするかのように、口の中で渦を撒く。いっそ吐いてしまいたいほど胸が悪く 
なったが、口いっぱいに男根を頬張らされた状態では、息をするだけでも 
精一杯だった。 
 舌で舐める余裕などありはしない。口で奉仕するというよりも、口腔をレイプ 
されているような錯覚に襲われて、真琴は苦しさと屈辱に涙を流した。 
(もう……やだ……苦しい、悔しい、きもちわるい……) 
 一度流れ出した涙は、なかなか止まろうとしない。 
 口からは涎と先走りの混じった液体を溢れさせ、目からは涙を溢しながら、 
真琴はひたすらワーウルフが満足するまで耐えていた。 
(だいじょうぶ、こんなのすぐにおわる……すぐに……) 
 それから、どれくらい時間が経ったのか。 
 真琴の顎が痺れ、口の中の感覚がなくなりそうになった頃、ようやくワー 
ウルフの動きに変化が訪れた。 
 腰の動きが速度を増し、小刻みに揺さぶるような動きに変化する。 
(あ……やっと、おわるんだ……) 
 真琴が朦朧とした意識の中でそう考えたとき、ワーウルフが短く吼え声を 
上げ、一際深く男根を真琴の口にねじ込んだ。 
 獣の腰が震え、大量の白濁した粘液を真琴の喉に直接注ぎ込む。 
「げっ! ご、がふ、かはっ!」 
 とても呑みきれない量の精液を口中に吐き出され、真琴が大きく咳き込んだ。 
 蛇口の壊れた水道のように精液を噴出し続ける男根が口腔から引き抜かれ、 
勢いよく跳ね上がる。犬の精液は人間と比べ物にならないほどの量があり、 
性器もなかなか硬度を失わないというが、狼男もどうやらそうであるらしい。 
 男根が跳ね上がった拍子に真琴の乳房を弾き、フロントホックが外れたブラ 
からたわわに実った美乳がこぼれ出たが、ワーウルフの精液はその乳房にも 
大量に降り注いだ。 
 ブラを外されても重力に逆らって張り詰めた半球状の乳房、やや色の濃い 
小さめの乳輪、膣を嬲られ続けた刺激で痛々しいまでに尖った乳首……その 
全てを、白濁した粘液が覆い隠していく。 
 いや、胸だけではない。 
 ワーウルフは真琴の胎内から舌を引き抜くと、彼女の体を自分の正面にぶら 
下げて全身に精液をぶち撒けていった。数リットルはあろうかという精液が、 
股間も、腹も、胸も、顔も、髪も、真琴の体をまるで泳いだ後のようにずぶ濡れ 
にしていく。その丁寧さはまるで、精液をかけることで真琴の体が自分の所有物 
であることを主張しているかのようであった。 
 その仕打ちを、真琴は呆然としたまま無抵抗に受け入れていた。 
 戦闘での出血と弄ばれ続けたことによる疲労、そして体内の舌がなくなった 
安堵によって、真琴は一種の無気力状態に陥っていた。 
 全身を汚液によって汚されていることも、何とも思えない。口の中に流れ込んだ 
精液を真琴は無意識に飲み込んでいたが、それすら気づかない有様であった。 
 ――だが、その安堵はやはり早すぎた。 
 精液を出し尽くしたワーウルフは、満足そうに喉を鳴らしていたが、不意に牙を 
剥くと真琴の下着に噛み付き、一気に引き裂いたのだ。 
「……え?」 
 突然の事態に、真琴が目をぱちくりとさせた。 
 何が起こったのか理解できない、という表情の真琴の顔のはるか上で、剥き出し 
にされた秘所が、ダンジョンの薄暗い明かりに照らされてひくひくと震えている。 
真琴のそこは、年不相応に成長した乳房とは裏腹に、まるで子供のように小さな 
割れ目でしかなかった。陰唇も薄く、僅かに開いた裂け目から覗く真っ赤な柔肉の 
色合いだけが、それが立派に成熟していることを物語っている。 
 これも小さな陰核の下には、薄い恥毛が行儀よく生え揃っていた。 
 その恥毛は、粘液に濡れてきらきらと光っている。 
 ワーウルフの精液、ではない。先刻までそこを嬲っていた舌による唾液と、 
そしてもう一つ、真琴自身が溢れさせた愛液であった。 
 ワーウルフは真琴の股間を目の前に引き寄せると、再びそこに舌を這わせた。 
今度は膣内に潜り込ませるのではなく、入口付近を擦るように舐め上げながら、 
同時に陰核を擦りあげていく。 
「ひぁぁぁぁっ!?」 
 最も敏感な部分をぞろりとした舌で嬲られ、真琴が甲高い声を上げた。 
 それと同時に、呆然とした顔に理解の色が浮かんでいく。 
 ――口で奉仕すればそれ以上はしない、なんてコイツは約束していない。 
 それはただ、追い詰められた真琴が勝手に思い込んだ都合のいい幻想でしか 
なかった。実際には、ワーウルフは好き勝手に真琴の体を弄んでいただけで 
あり――そして、おそらく最後まで楽しむつもりでいる。 
 それを理解したとき、真琴の最後の意地が砕け散った。 
「や……やだあああああああああああああああああああああっ!!!」 
 絶叫とともに、真琴は必死に体を振り回した。 
 だが、今さらそんなことでどうなるはずもない。虚しく暴れまわる真琴を 
軽々と吊り下げたまま、ワーウルフは舌で丹念に陰核を舐め上げていく。 
「ひ……っ! お、お願い、です……お願いですから、やめて下さい…… 
 や、いやなんです! これ以上は……! お、お願いです、お願いします 
 から……っ!」 
 下半身から襲ってくる刺激に、断続的に体を震えさせながら真琴は哀願 
する。それはまさに、哀願と言うしかない姿だった。 
 もはや日頃の強気な剣士の面影はどこにもない。そこにいるのは、子供 
のように泣きながら虚しい哀願を繰り返す、ただの無力な少女だった。 
「いやぁ……許して……ゆるして、くださいぃ……」 
 ワーウルフに人語が通じるはずもないのに、真琴はひたすら哀願し続ける。 
涙と涎と精液でぐしゃぐしゃになった顔に、恐怖と絶望と媚びを浮かべて、 
届かない願いを請い続ける。 
 だが、その声に甘いものが混じりつつあることに、真琴自身は気づいて 
いただろうか? 
 ワーウルフの執拗な責めは、真琴の心とは裏腹にその体を十分にほぐして 
しまっていた。真琴の秘所は途切れることなく蜜を吐き出し続け、獣の舌が 
動くたびに唾液とは違った粘液の糸を引かせている。ぷっくりと膨れ上がった 
陰核は、包皮から完全に顔を出して、痛々しいほどにその存在を誇示していた。 
 後ろの方にまで垂れた愛液を追って、ワーウルフの舌が尻の谷間を這って 
いく。 
 そ、その先端が飴色の窄まりに触れた途端、真琴の体に一際強い震えが 
走った。 
「や……だめぇぇぇ!」 
 ぷしゃあ、と音がして黄金色の液体が飛沫を上げる。 
 恐怖、快感、絶望……様々な感情で限界に達していた真琴の膀胱は、その 
異様な刺激を受けて、とうとう堰を切ってしまっていた。 
「やぁ……もう、やぁ……」 
 哀願の言葉さえ出なくなったか、真琴は両手で顔を覆ってすすり泣く。 
その体の上に、自らが排泄した液体がとめどなく落ちかかった。絶望的な 
羞恥に身を震わせても、一度出始めたそれを止める術などありはしない。 
 自分の漏らした尿を自分で浴びる、という人間としての尊厳を奪われる 
ような辱めに、真琴はただすすり泣くことしかできなかった。 
 しかもその間も、獣の舌が秘所を、そして尻の穴を嬲り続けているのだ。 
 快感と羞恥とが複雑に絡み合って、真琴の正気をゆっくりと溶かしていく。 
 死ぬほど屈辱的な状況のはずなのに、真琴の体はますます強く快感を 
求めて疼いていた。尿が噴き出す周期に合わせて陰唇が開閉し、白く粘り気 
のある液体を吐き出していく。 
 その様子にもう十分と判断したのか、或いは言葉もなくしてすすり泣く 
真琴の姿に興奮したのか、ワーウルフは真琴の体を地面に下ろすと、尻を 
高く上げた四つん這いの姿勢にさせて、後ろからのしかかっていった。 
「やぁ……」 
 弱々しい声が漏れたが、真琴はそれ以上抵抗しない。 
 いや、それどころか、それが本当に抵抗の言葉だったのかどうか真琴自身 
にも分からなかった。 
 ただ一つ分かったのは、これでもう自分は完全に後戻りできない所に堕ちて 
しまうということだけ。 
 ワーウルフの巨大な男根が、真琴の小さな秘所に当てられる。先端が僅かに 
入っただけでも、真琴のそこが裂けてしまいそうなほどに、ワーウルフの男根 
は大きい。 
 だが、そう思っても、真琴に抵抗する気力はなかった。絶望に魂まで掴まれた 
彼女は、自分から迎えるかのように尻を高く掲げたまま、顔を地面に押し付けて 
泣き声を漏らす。 
 その尻に、ワーウルフの腰が勢いよく叩きつけられた。 
「――ぎあああああああっ!」 
 真琴の悲鳴が、ダンジョンの奥深くに響き渡る。 
 気絶すら許されない、強烈無比な痛みだ。真琴の秘唇は限界まで押し広げられ、 
血の気を失って真っ白になってしまっている。そこを、幾筋もの血の筋が流れ 
落ちていく。 
 だがワーウルフは、そんな真琴の様子に頓着することなく、乱暴に腰を振る。 
子供を生ませることが第一目的だと分かってはいても、それを忘れて快楽に 
没頭してしまうほど、真琴の膣内は気持ちがよかった。 
 ただキツい、というだけではない。 
 ほとんど裂ける寸前にまで広げられているのだ。キツいだけならば当たり前で 
ある。だが真琴の膣壁はそんな状態にも関わらず、呑みこんだ男根に複雑に絡み 
ついてきた。 
 ――この牝は、とんでもない当たりだったらしい。 
 と、ワーウルフは思った。 
 これだけ過酷な状況で、本人が息も絶え絶えになっているというのに、膣だけ 
が別の生き物であるかのように貪欲に快楽を求めている。その感覚は、まるで 
柔らかいゴムを凄まじい強さで押し付けられているような感じだった。 
 圧迫感があるのに、抵抗感はない。 
 しかも、襞の一枚一枚が別々の動きをしているかのように、あらゆる角度から 
男根に絡みつき、撫でさすっている。 
 ワーウルフは、更に腰の抽送を速めた。 
「ひぁ……やぁ……」 
 悲鳴を上げる余裕もないのか、口を開閉させる真琴は、掠れるような小さな声 
しか上げはしない。 
 激しく腰を突き上げながら、ワーウルフはふと思いついて、手近に転がっていた 
菊一文字の柄を拾い上げた。真琴の愛刀は鍔元から刀身を折られ、今や短刀として 
使うこともできないガラクタになってしまっている。 
 虚ろな真琴の目は、その刀を映しているのかいないのか、自分の愛刀がモンスター 
の手に握られているというのに何の反応も示さない。 
 ワーウルフは、菊一文字の鍔を掴むと、不意に、その柄を真琴の尻の穴に突き 
刺した。 
「ひぎっ……!」 
 精液、愛液、尿……様々な液体で塗れそぼっていた尻穴は、強い抵抗を示した 
ものの、結局その柄を飲み込んでしまう。 
 金属の尻尾を生やした犬のような姿にされて、真琴は苦痛とも屈辱ともつかない 
苦鳴を漏らした。 
 そしてその膣は、ワーウルフの目論見どおり、更に強く獣の男根を締め上げる。 
 いっそ裂けてしまった方が楽になれたかもしれないが、強靭に鍛え上げられた 
真琴の肉体は、限界まで括約筋を拡げることでその異物を受け入れてしまって 
いた。 
 犬のように舌を突き出し、涎と涙にまみれて荒く息をつく真琴を、ワーウルフ 
は獣の体位で欲望の赴くままに犯していく。 
 自分の内側で快楽が膨れ上がるのを感じ、獣人は真琴の体に深く覆い被さった。 
 ――オマエは、オレの家畜だ―― 
 真琴の耳に口を寄せて唸り声を上げると同時に、溜まりに溜まった欲望をその 
胎内に解き放つ。 
「ら……めぇ……」 
 びゅるびゅると噴き出す精液が、真琴の膣に溢れかえっていく。 
 人間の限界を軽く超えたその量は、膣ばかりか子宮までも満たし、しかもなお 
留まるところを知らない。 
 妊娠したかのように自分の下腹部が膨れ上がっていくのを感じながら、真琴の 
意識は、限界を超えた絶望と屈辱に、とうとう闇の中へと落ちていった。 
 ――オマエは、オレの家畜だ―― 
 完全に意識を失う寸前、理解できるはずのない声を聞いたような気がして、 
真琴はろれつの廻らない口調で答えていた。 
「はい……あたしは……家畜です……」 
 自分の中で何かが壊れたことだけが、何故かはっきり分かっていた。 

 
 

「遅刻だわ、遅刻だわ」 
 今日も今日とて、暢気な声がご近所に響く。 
 その日ものりこは、運命に導かれて道に迷っていた。 
『これは運命だからしょうがないのよ!』 
 と、のりこは力説したものである。 
『伝説の勇者だって、運命には逆らえないんだもの。あたしが逆らえなくたって 
 無理はないと思わない?』 
 だが、その理屈は担任教師・森田正義には通用しない。 
 運命と聞けば、何はなくとも逆らってみる。砂浜があれば、夕日に向かって 
走ってみる。 
 森田正義とは、おおむねそんな人物であった。 
 そんなわけで、のりこは今日も遅刻しないように一所懸命走っているのだった。 
「やった、間に合ったー!」 
 地下十階直通のエレベーターに飛び乗って、のりこは大きく万歳をした。 
これに乗り遅れたら、遅刻確定だったのだ。 
 と、エレベーターの中からくすくすという笑い声が聞こえた。 
 両手を万歳の形に挙げたまま、のりこはぴたりと固まった。 
 ――間抜けな子だと思われたかしら? 
 おそるおそる、そちらの方を向いてみる。 
 すると、そこには見知った人の顔があった。それも、かなり懐かしい顔だ。 
「……真琴さん!?」 
 びっくりした顔で、のりこは叫んだ。 
 真琴は笑って手を振った。 
「久しぶりね。……一ヶ月ぶりかしら?」 
「ええ! どうしたんですか、モンスターに襲われたって聞いたから、 
 心配してたんですよ?」 
 と、のりこが言うと、真琴は気にするなと言うように笑って答えた。 
「まあ、ちょっと色々あってね。 
 ……それより、のりこ。あんた、前にワーウルフが見たいって言って 
 なかった?」 
「え?……えっと、言ったような気がしますけど……」 
 首を傾げるのりこの前で、真琴は鞄の中を探り始めた。見れば、普段は 
鬼のように薄かった真琴の鞄が、今日はやけに分厚く見える。 
 ――広辞苑でも入ってるのかしら? 
 のりこの頭に浮かぶ分厚いものと言えば、それが一番だった。 
 ――あ、それとも厚揚げのおとーふかも。 
 のりこがそんな間抜けなことを考えているとは知る由もなく(知ったら 
大変だっただろうが)真琴は鞄の中から一匹の生き物を取り出した。 
「――ほら、ワーウルフの赤ん坊」 
「うわー!」 
 のりこは、歓声を上げた。 
 それは子犬くらいの大きさしかなかったが、確かに狼男だった。 
「ふんがー」 
「……何よ、それは」 
「オオカミ男への挨拶のつもりなんですけど……」 
 真琴の冷たい声にちょっとのりこはひるんだが、今日は機嫌がいいのか、 
真琴はそれ以上追及してこなかった。 
「ま、いいわ。ワーウルフも、これから増えてくるでしょうから、珍しがって 
 いられるのも今のうちだけだし」 
「え、そうなんですか?」 
「そうよ。ワーウルフの妊娠期間って、人間と違って一月くらいだもの。 
 ……それに、すごいのよ? 妊娠中に犯されても流産の可能性がほとんど 
 ないから、毎日だってできるんだし……」 
「へ?」 
 ぽかんとした顔で、のりこは問い返した。 
 真琴の言っていることがよく理解できなかったのだ。 
「いいの、気にしないで。それより、のりこ? 今晩、暇だったら泊まりに 
 こない?」 
「え?……いいんですか!?」 
「もちろん。なに、そんなに驚くこと?」 
「いえいえいえ」 
 ぶんぶん、と首を振ってのりこは否定した。 
「じゃあ、楽しみにしてるわね。母さんも喜ぶと思うわ」 
「はい!」 
 のりこが明るく答える。 
 その顔を見やって、真琴は本当に嬉しそうに微笑んだ。 
 ……そしてのりこは、真琴の首に首輪の跡がうっすらとついていることに、 
結局気づかなかったのだった。 

 
 

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