「あ、そうだ!!透くん、透くん。これ、ひーくんが今日取りにくるから渡しといて」
そう言って渡したのはレンタルショップの青い袋。
「なんですか、コレ?」
「ひーくんからアニメのビデオを頼まれてね。借りてきたの。
僕も見たいものあったしね」
紫呉の自室へお茶を届けると必ずと言っていいほど仕事が一つ増える。
そういえば駅前にオープンと言うチラシが入っていた様な気もする。
「紫呉さんがレンタルショップ…なんだか不思議ですね」
部屋を出てからふとつぶやく。
よく見てみると渡された袋の外側にレシートが入っている。それを見ると「モゲ
太〜〜」と書いてあった。
「あ、懐かしいです」
それは以前、透がダブルデートした時の映画。
「この間は4人でしたが今度は…夾くんと…?!!」
「夾と2人きりで」と言いそうになった時、玄関が開く音が聞こえた。
慌てて玄関に向かうと学校帰りの燈路がいた。
着慣れていない制服が何だか燈路の子供っぽさを表していた。
「いらっしゃいです」
「紫呉呼んでくれない?」
「あ、ビデオならおあずかりしてますよ」
透が青い袋を取ってくると、相変わらず噛み付いてきた。
「なんであんたに託すわけ?プライバシーの侵害じゃん。中身みたでしょ?
だからいやなんだよ。俺が何見ようとあんたには関係ないよね?」
「そ、そうは言われましても…紫呉さんもお仕事が忙しいわけですし…」
困った笑顔で返す透から「まぁいいや」とビデオを受け取る。
「ありがとうって伝えといて」
そう言うと燈路は紫呉の家を後にした。
その姿を自室で見てた紫呉は悪戯な笑顔で見守る。
「バレたら怒られちゃうかもねぇ…」
みっちゃんをいじめる時にでる笑顔。
燈路はなにも知らず杞紗の家に向かった。
「あら、いらっしゃい」
出迎えたのは肩の力が抜け笑顔が戻ったキサの母。
燈路と杞紗の歳が近いせいもあり、杞紗の家とは家族ぐるみで仲が良い。
あいさつをすると当たり前のように杞紗の部屋に向かった。
2階にあるキサの部屋。ノックをすると杞紗が中から出てきた。
「あ、いらっしゃい。燈路ちゃん」
笑顔で迎えてくれる杞紗に頬が熱くなる。
「コレ、杞紗が見たいんじゃないかと思って借りてきたから…」
カバンから青い袋を取り出すと杞紗に渡した。
「燈路ちゃん…ありがとう。一緒に見ようよ」
杞紗の言葉に小さくガッツポーズをすると2人は部屋の中に入った。
「飲み物持ってくるね」
杞紗が取りに行った間に、ビデオをデッキにセットする。
燈路は最初のほうに入っているだろう予告を飛ばすため、
画面を見ずに15分間早送りして杞紗を待った。
「おまたせっ」
お茶をテーブルの上に置く。
「あ、お母さん燈路ちゃん家に日向ちゃんを見に行っちゃったの。
私も今度、日向ちゃんに会いに行くね」
「いつでも来てよ、日向も喜ぶし」
(俺も…うれしいし)
言葉には出せない想いが燈路の脳裏をかすめる。
「それじゃ、つけるよ!」
それを振り払うように燈路は慌ててリモコンを取り再生ボタンを押した。
『これが良いんだろぉ!』
『あ、嫌っそこはっ…ダ…メっ…あっ、んん…あぁっ』
『先生も女だったんだねぇ』
『いやぁっ…あぁっ』
燈路と杞紗は訳が分からず画面を見る。
そこに映ったのは教室と思われる場所で先生と呼ばれる女性が数人の学生に遊ば
れている姿。
「…えっ?!」
先に声をあげたのは燈路だった。
ありえないとは思うが何かの予告であって欲しいと早送りしてみるが
場面は代わらずどんどん行為が進展していく。
たえきれず杞紗は視線を床へそらす。
「えっ!モゲ太を借りてきたはず…レシートもモゲ太だし…なんで?!」
そこまで言うとハッと紫呉を思い出す。
あの人がただで頼み事をきいてくれる訳が無い。
慌ててデッキからビデオを出す。よく見るとラベルが二重になっていた。
「やられた…」
燈路は杞紗の方へ体を向けるとキサは変わらず床を見つめている。
「ごめん、嫌な思いさせて…本当はモゲ太を借りたつもりだったんだけど…」
必死に弁明していると杞紗の口が開いた。
「………なら…い…よ」
俯いているせいか聞き取りづらい。
「え、なに?」
燈路が聞き返すと顔を上げもう一度繰り返す。
「燈路ちゃんなら、してもいいよ…」
杞紗の顔は恥じらいが溢れている。
「な、なに言ってるの?!」
「私じゃ嫌…?」
杞紗がどんどん燈路に迫って行く。
こんなにも積極的な杞紗は今まで見た事がない。
「やっぱり依鈴お姉ちゃんの事…」
「なんでそこにリン?!」
髪の香りが分かるくらい杞紗が近づく。
「燈路ちゃんはいつも依鈴お姉ちゃんの事気にしてるよね…
でも、今は私だけを見て…」
その瞬間、唇にやわらかい刺激が走る。その刺激は燈路自身を叩き起こした。
「前から…燈路ちゃんの事…好きなの…」
唇を離すと杞紗が言った。目の前の事に驚き過ぎて、
冷静さがかけた燈路は何かを伝えようとしても言葉にならない。
杞紗は器用にベルトを外し、燈路のモノを外に解放した。
しなやかな指先が燈路自身を触る。先には透明な液体が滲みだしていた。
「初めて見た…」
杞紗は興味津々に見つめている。
「杞紗っ…お母さんが来たらっ…」
「…燈路ちゃん家に行ったから大丈夫。燈路ちゃん…私を見て?」
「杞紗…んっ?!」
燈路自身を杞紗が口に含む。
それは杞紗の口の中でさらに大きさを増した。
唾液が絡まりじゅぽじゅぽと音を成す。初めての感覚に意識が飛びそうになる。
杞紗が亀頭を加えたまま、舌で弧を描くように舐め回す。
さらに手で刺激を与えると燈路は耐え切れずにそのまま口へ放出した。
「?!杞紗!ごめん!早く吐き出して!」
慌てる燈路を横目に杞紗はごくんと喉をならす。
「燈路ちゃんのだもん…大丈夫」
杞紗の無理した笑顔。
それはたまらなく愛しく自分を情けなく思わせる。
「…燈路…ちゃん?」
杞紗の呼び掛けに答えるように燈路は杞紗を抱き締めた。
「俺も杞紗が…好きだよ」
「…燈路ちゃん」
再び唇を重ねる。
今度は求め会うように長く深いキス。
唾液と舌を絡ませ、一つになろうと求め会う。
だんだん激しくなるキスの途中、ゴチッと鈍い音がした。
「「…っ!いっ〜…」」
慣れないせいかお互いの歯がぶつかる。その痛みでキスをやめた。
痛みを感じているのに何故か2人には笑顔が込み上げる。
「ごめんね、杞紗。痛かったよね?」
「大丈夫だよ」
くすくすと笑う杞紗。
燈路が杞紗もう一度抱き締める。それに答えるように杞紗も燈路を抱いた。
「杞紗…本当に…良いの…?」
急に真剣な顔になり杞紗に問う。
一瞬何の事か解らずキョトンとするが、すぐにその意味を理解した。
「燈路ちゃん…何度も言わせないでよ…」
顔を紅に染めながらも変わらない笑顔で燈路を見る。
「…杞紗っ」
甘いキス。
同時に燈路は杞紗の服を一枚一枚丁寧に脱がしていく。
ピンク色の下着を外すと露になる杞紗の小振りの胸。
先端は下着に負けないくらいのピンク色をしている。
「あんまり見ないで…恥ずかしい…」
隠そうとする手を払い、燈路が優しく触れた。
「杞紗…綺麗だよ…」
先端に唇を這わせ、燈路の手はさらに下着を脱がす。
だんだんと露になる、金の薄い茂み。
その奥へ指を這わすと、指先に湿りを覚える。
そこへ軽く指をあてがうと、杞紗が甘い声をだした。
「あっ…んんっ」
指は秘所の奥へ進む。
溢れる蜜はくちゅくちゅと鳴っていた。
「…燈路ちゃんも…脱いで…?」
杞紗に言われて燈路はまだ制服姿でいる事に気がついた。
慌ててシャツのボタンを外し素肌を晒す。
適度に引き締まった身体。
抱き締めあうとお互いの体温に溶けてしまいそうに感じる。
「杞紗…」
燈路は杞紗をベッドに倒すとそのままゆっくりと杞紗の中に挿入した。
「あ…あぁ…んんっ」
簡単な愛撫だったにも関らず杞紗は簡単に燈路を受け入れた。
燈路はゆっくりと奥へ奥へと腰を押していく。
「んっ…くぅっ…きつ…!!」
簡単に受けいれたと思ったのにゆっくりと生き物のように燈路を締め付ける。
ゆっくりゆっくり、杞紗が壊れないように…
暫くすると杞紗の蜜が溢れ出て滑りが良くなってきた。
燈路の顔が快楽を覚えていく。
「燈路ちゃ…もっ…と…早くっ…」
燈路は返事もせず、自身を抜く。
正常位ではこれ以上、早くは動けないことに気がついた。
「燈路ちゃん…?」
どうしたの?と燈路の顔を見上げた瞬間、杞紗は部屋が回るのを見た。
うつ伏せにされると後ろから燈路の声がする。
「四つんばいになって」
言われるままに四つんばいになると、後ろから激しく突かれた。
「あぁっ…!!」
杞紗の声が部屋に響く。
もし、杞紗の母が帰って来ていたら声が聞こえていたかもしれない。
ぬるぬると溢れる杞紗の愛液も手伝い、燈路は段々と早くそして強く杞紗を抱いた。
「燈…ひろぉ…んぅっ、あぁんっ!!」
杞紗が先に果て、その直ぐ後に燈路が果てた。
二人がぱったりとベッドに倒れ込む。
杞紗の太ももに白く濁った液体が流れ落ちる。
5分もそのままだっただろうか。
寒さに体を起こし、燈路はティッシュで杞紗の体を拭いた。
乾いてしまったそれは白く股に後を残した。
「杞紗、シャワー浴びたほうがいいかも…」
心配した顔で横になった杞紗を覗き込むと、杞紗と唇が触れた。
「燈路ちゃん、大好きだよ」
杞紗の笑顔に燈路もつられた。
二人は笑顔でお互いを見つめると、気持ちを確かめるようにキスをした。
「ただいま〜。杞紗?」
玄関のドアが開くと同時に母の声が家の中をめぐる。
慌てて唇を離し、杞紗は母に言葉を返した。
「お夕飯、燈路くんのお宅で頂く事になったから。後で燈路くんと一緒に来なさいね」
「はぁい」
返事しながら慌てて服を着ていると、玄関が閉まる音がした。
二人は顔を見合わせ、くすっと笑うと衣服を正し軽いキスをして部屋を出た。
翌日、学校が終わると燈路は紫呉宅に向かった。
直接紫呉の部屋に向かい、カラカラっとドアを開けると襖に背を向け座っている紫呉が居た。
「透くん?」
振り返り、一瞬バツの悪そうな顔をしたが直ぐに表情が変わった。
「ひとつ大人には成れたかな?」
にやっと笑う紫呉に燈路は笑顔で「あぁ」と答え言葉を続けた。
「ありがとう。でも、これは返すよ」
青い袋を手渡し、「これはやりすぎだよ」と笑った。
「きっかけは大人が作らないとね。さてさて、ひとつ大人に成ったひーくんに…」
紫呉は相変わらずの調子で、もう一つの青い袋を取り出した。
「ご褒美です。今度は本物ですよ」
渡された袋をあけ中を確認するとラベルの剥がれたビデオが入っていた。
「それじゃこれ見るから帰るね、本当ありがとう」
燈路はあっという間に部屋を出て行った。
「怒るどころか、ありがとう…ね…」
紫呉はふぅと溜息をつくと窓の外を眺めた。
昨日と同じく燈路が家を出て行く姿が見えた。