「はぁっ…ふぅぅん…んっ…」  
 
草摩紫呉の屋敷の居間。  
昼間だというのに、今、一人の少女の喘ぐ声が響き渡る。  
長く伸びたサラサラの髪。大きな瞳はまだ幼さを感じさせる。  
彼女の名は、本田透。  
男のような名前だが、正真正銘の女。  
そして、今はその女の部分を曝け出して、独り悶えている。  
居間には彼女の他には誰もいない。  
 
いつもは同居人の三人の他、草摩家の面々が訪れて、賑わいを見せているこの居間も、  
今日に限っては、朝から偶然にも透独りとなっていた。  
由希は、生徒会の仲間達と出掛けていった。  
夾は道場へ行っている。  
紫呉は……彼のことはよくわからなかった。  
いつも飄々としていて、掴み所が無い。  
今日も朝からいない。気まぐれに何処かへ散歩にも出掛けたのだろう。  
とにかく、今現在この屋敷に誰もいないことはわかっていた。  
 
最初は、ただ掃除をしようとしていただけだった。  
今日は天気が良いから、みんなの布団を干そう。シーツも洗おう。  
誰もいないからこそ、やり易い作業だと思えた。  
だから、由希と夾の二人が出掛けた後、透は早速取り掛かった。  
 
……しかし、その過程で、彼の布団を抱えたときに、彼の匂いが透の鼻を突いた。  
そして、布団を運んでいる最中も、透はずっとその匂いが気に掛かっていた。  
彼の匂いを嗅いでいると、頭がぼうっとしてくる。下腹部が熱くなってくる。  
段々と、自分ではどうしたら良いかわからなくなってくる。  
(あぁ…いけません…こんなのはおかしいです…)  
頭では制しようと思っていても、昂りが、どうにも収まらない。  
そして、居間にまで運んだところで、とうとう我慢しきれなくなった。  
誰もいないことが、透を開放的な気分にさせていた。  
 
彼の使っている布団を畳の上に置き、その上に飛び込む透。  
また、彼の匂いが透の鼻腔をくすぐった。  
いけないこととは思いながらも、彼のことを思うと、自然と股間に手が伸びてく。  
自分でスカートを捲り上げ、露わになった下着の中央に手を伸ばす。  
勝手に動き出す指先。自分で、自分の繊細な部分を弄り始める。  
この行為は誰に教えられたわけでもない。透は本能で身に付けていた。  
そして、動き出した指が止まらなくなる。  
やがて、透の股間を覆っている白い下着の中央に染みが出来始める。  
その染みは、段々と範囲を広げていった。  
「ダメです…こんなことは…」  
そう言いながらも、自分では止める事が出来ず、むしろ透はますます大胆になっていった。  
今度はその下着までも脱ぎ始める。  
パンティは足首に引っ掛けたまま、我慢しきれなくなって、性器に直接触れた。  
「ふぅぅん…ん…」  
指が触れた瞬間、背筋にビリビリと電流が走る。  
透は思わず背中を丸めた。  
(少し触っただけなのに…)  
凄く感じてしまう。  
彼のことを考えるだけで、透の身体は熱くなり、神経が過敏になっていった。  
 
そして、今に至る。  
透は、布団の上に横向きに寝転んだまま、背中を丸めて性器を弄り続けていた。  
彼のことを思い浮かべて、自分のワレメを穿るように指でなぞっていた。  
時々、ビクッ!ビクッ!と身体が勝手に震える。  
ワレメの一番上に少し膨らんだ部分があり、そこに触れると、特に大きな刺激が走った。  
(…おかしいな…何か足りないような気がします…)  
こうして、性器を弄っていると、段々高揚してくる。  
しかし、今はそれでも何か足りない気がする。  
透の右の中指が、何かを追い求めるように、膣口へと伸びていった。  
「んっ…」  
膣口の中に指を挿れてみる。そうすると、何か、良い感じに近い気がした。  
 
今度は、指の第二関節までを一息に挿入してみる。  
「んんっ…はぁ…」  
徐々に気持ち良くなってきた。  
(もう少し…もう少しで…何か…)  
膣口から入れ込んだ指を出したり入れたりしていると、内側から何か込み上げてくる感じがした。  
実際に、透の体内から熱い液体が溢れ始め、入れ込んだ指を濡らし始めている。  
奥手の透と言えども、その液が何であるのかは知っていた。  
そして、自分が今何をしているのかもわかっていた。  
透は、罪悪感に苛まれながらも、その行為を止められずにいた。  
 
 
「へー…透君がねぇ…」  
 
不意に、透の背中の方で、透ではない別の声がした。  
突然のことに、身体をビクッ!と大きく震わせると、そのまま固まったように動かなくなる透。  
掛けられた声は、透もよく聞き慣れた声だった。透の背中を、ヒヤリとした悪寒が駆け抜ける。  
透の額から、冷えた汗が吹き出し始めた。  
透は、恐る恐る、ゆっくりと後ろを振り向いた。  
「いやぁ…透君もやることやってたんだねぇ…」  
居間の扉を開け放ち、柱に寄り掛かるようにして、着物姿の男が透のことをじっと見つめていた。  
草摩紫呉。この屋敷の持ち主。  
紫呉は透がようやく自分の存在に気付いたことを確認すると、透の方へと静かに歩み寄り始めた。  
「おっ…おおおおおおおお…」  
透は、あまりの出来事に驚いて、舌がうまく回らなかった。  
「透君さぁ…そういうことは、自分の部屋でやろうね…」  
紫呉は、そんな透の様子をからかうような笑みを浮かべながら近付いて行く。  
そして、寝転んだ姿勢のまま動けないでいる透の足元まで到達すると、  
その場でしゃがみこんで、透の足首に手を掛けた。  
「…でないと、何処からケダモノが覗いているか、わかったものじゃないよ…僕みたいなね…」  
そう言いながら紫呉は、透の足首に引っ掛かったままになっていた透のパンティを抜き取った。  
そして、そのパンティを両手で拡げながら、「あ、シミが…」とポツリと呟いた。  
「おっ…お出掛けになられたのでは…」  
 
透はやっとのことでそれだけの言葉を搾り出した。  
「んー…出掛けてたけど、そりゃ帰ってきますよ。ここは僕の家だからね」  
紫呉に言われて、透の雷に打たれたような気分だった。  
(人様の家の中で、何て事を…)  
透は今更ながらに自分のしていたことを恥じた。  
穴があったら入りたいとはこのこと。  
全てを投げ出して、逃げ出してしまいたい気分だった。  
しかし、後退りしようとする透の足を、紫呉がガッチリと掴んで逃がしてくれない。  
透が恐る恐る顔を上げると、紫呉は真っ直ぐに透を見つめていた。  
「…透君…随分と夢中だったねぇ…僕に気付かないなんて…」  
紫呉の話し振りが、透をますます不安にさせる。  
「…まさか…ずっと見てらしたんですか?…」  
恐る恐る、唇を震わせながら尋ねる。  
透の問いに対して、紫呉は「うん」とあっけらかんとした様子でにこやかに答えた。  
「ひゃああああああ!」  
透は最早卒倒してしまいそうだった。  
そのまま、グッタリと後ろに倒れ込んでしまう。  
それでも一応股間だけは手で隠していた。  
「いやいや、そんなに恥ずかしがること無いよ。みんなやってることだから…」  
紫呉は、半分笑いながらそう言った。  
そして、笑いながら、股間を隠し続けている透の手に、自分の手を掛ける。  
透の身体が、ビクッと跳ね上がった。  
「な…何をなさるんですか?…」  
紫呉は、自分の手に力を込めて透の手を除けようとしていた。  
「いや…ココ、どーなってるのかなぁーって思ってさ…」  
紫呉は、抵抗する透の手首を掴んで除けようとしてくる。  
顔は笑っているのに、すごい力だ。  
「いいいい…いけません…そんなのは…」  
透は渾身の力で必死に抵抗した。  
「僕も男だからね…あんなところ見せられたら、黙ってられない…よっと…」  
しかし、紫呉の力はやはり男の力。  
透の力を軽く凌駕していた。透の手が、段々と浮き上がってくる。  
 
「おおお…お見苦しいところを見せて申し訳有りませんんん…」  
何故か謝ってしまう透。しかし、手の力は緩めなかった。  
「うーん…あまり手荒なことはしたくなかったんだけどね…」  
紫呉はそう言うと、片方だけ手を放した。  
そして、その片方の手でもって、透の脇腹を擽り始める。  
「いぁっ…そんな…あはははは…いけませんっ…ハハハ…」  
くすぐったさに、透の手の力が、段々と薄らいでいく。  
「そうらっ…」  
そして、遂には紫呉の力によって、股間から取り払われてしまった。  
「あぅう…」  
紫呉の目の前に、透の可憐な性器が露わになる。  
そこには綺麗に整った一本のスジがあるのみで、形は崩れていない。  
さらに、体毛が薄いこともあって、その女性器は尚更幼く見えた。  
ただ、先程まで弄り回していたためか、控えめに膨らんだ恥丘はうっすらとピンク色を帯びており、  
恥液で濡れた表面が、テラテラと鈍く部屋に差し込む光を乱反射している。  
男に見つめられながら、時折呼吸をするようにヒクヒクと収縮する様は、  
見た目の幼さとは裏腹に、とても淫猥なものに見えた。  
「あぁ…そんなに見つめないで下さい…」  
紫呉の手の中で、透の抵抗する力が弱くなっていく。  
そして静かに震えている。  
大事なところを凝視されて、透の心に微かな怖れが湧き上がっていた。  
「…そんな…怖がらなくてもいいじゃない…」  
そんな透の様子を見て、紫呉は心底残念そうな顔をしてみせる。  
「…透君は、僕のこと嫌いかい?」  
「いっ…いいえそんなことは…ありません…です」  
紫呉のその顔が、本当に残念そうだったので、透はこんな時でも紫呉のことを気遣ってしまう。  
「じゃぁ、僕のこと好き?」  
今度は、ぱっと顔を輝かせ、期待に胸膨らませる様子を見せる紫呉。  
「えぇ!?…は…はい…好き…です」  
人が良すぎる透は、まんまと紫呉の期待通りの答えをしてしまうのだった。  
 
「ふふふ…じゃぁ、お互い好き同士なら、いいよねー…」  
紫呉は、またにこやかな笑みを浮かべると、遠慮無しに透の秘部に指で触れた。  
「えぇぇえ!?そ、そんな…あぁっ!ダメです…指を挿れては…んっ…」  
紫呉の指が、透の陰唇を割り開いて、中に侵入してくる。  
さっきまでの自分の指とは違い、男の太い指が挿入され、膣口を掻き回す。  
中から溢れてくる恥液が、紫呉の中指をグッショリと濡らしていった。  
「うわぁ…すごく濡れてる…透君って、案外エッチなんだね…」  
言葉で責めながら、紫呉は透の中で自分の指の関節を折り曲げる。  
自分のものでない、別の意思に身体の中を動き回られて悶える透。  
「ちっ…違います…こ、これはその…お、おしっこなんですぅ!」  
「へぇー…おしっこ漏らしちゃうほど、感じてたんだぁ…」  
「えぇ?!うぅぅ…」  
透は何とか抵抗したつもりだったが、知識もボギャブラリーも少なく、  
言葉で本職の物書きに勝てるはずは無かった。  
紫呉の指が、透の膣口へ侵入を繰り返す。  
その出し入れする速度は、徐々に速さを増していた。  
「…あっ…ダメです…ダメなんです…」  
紫呉の指が動くのに合わせる様に、透の太股がピクピクと震える。  
初なその様子は、紫呉をますます増長させた。  
「ふふん…『ダメです』っていう透君も、何だか新鮮だなぁ…」  
普段、透はあまり断る言葉を使わない。可能な限り、人の要求に答えようとする。  
そんな透が嫌がっている姿を見ると、何故だかサディスティックな性格が紫呉の中で首を擡げてくるのだった。  
紫呉の中指が透の膣口から抜き出され、変わりに両手の親指が、透の陰唇に当てられる。  
「うぁっ…そんな…拡げちゃダメですよぉ…」  
紫呉は指に力を入れて、透の大陰唇を左右にいっぱいに拡げた。  
ピンク色の小陰唇が剥き出しにされ、隠れていた膣口も目の前に曝される。  
「あぁぁあ…ダメです…それ以上拡げては…あぁ…」  
紫呉はさらに力を込め、透の膣口の中が覗けるほどに拡げて見せた。  
柔らかい透の恥肉は、案外簡単に開いてしまうのだった。  
 
「へぇ…さっき指挿れたときにひょっとしたらって思ったけど…」  
「な…なんですかぁ?…」  
性器を目一杯に拡げられ、観察されて、透の目がうっすらと潤んでいる。  
しかし、紫呉は収まりがつかないのか、言葉を続けた。  
「…透君って、処女じゃないんだね…」  
そこにあると思っていたもの、処女膜が紫呉の指に触れなかった。  
結構奥まで指を挿れたつもりだったが、そこにあると思っていた抵抗が、何時までも来なかった。  
そして今、目で確認してみて、それがそこにないことがはっきりした。  
「………」  
透は押し黙ったまま、答えない。  
紫呉が顔を上げても、目を合わせようとしなかった。彼女は今、心を覗かれまいとしている。  
(あぁ…そうなのか…)  
その様子から、紫呉は理解した。  
透の処女膜は、アクシデントによって破られたのではない。  
おそらく、以前に誰かと性行為に及んだ結果、こうなっているのだ。  
そして透はそれが『誰』なのか、紫呉に知られることを怖れている。  
多分、その人物は紫呉も知っている者だ。  
透のことだから、恐らくその『誰か』に迷惑が掛からないように、守るつもりなのだろう。  
「…まったく…妬けちゃうよね…」  
これは、ある意味紫呉の本心でもあった。  
自分に優しくしてくれる女性が、他の男のものであるというのは、少なからず妬ける。  
紫呉のそういった気持ちは、その『誰か』ではなく、今目の前にいる透に向けられていった。  
「いぁっ…そんな…いけません…そんなところ…んっ…」  
紫呉の顔が、拡げられた透の性器に近付いていく。  
そして、舌のグニャリとした感触が、透の陰唇に触れた。  
「…そんな…汚いですよぉ…そんなところ舐めるなんて…」  
しかし、紫呉の舌はお構い無しに動き回る。  
膣口の上をザラザラとした舌の表面が滑っていく。柔らかい小陰唇を、尖らせた硬い舌先が突付く。  
さらに、尖らせたままの舌先が、穿るように膣口の周りを伝っていく。  
紫呉は口に唾液を含ませて、ピチャピチャとわざと大きな音を立てていた。  
舌が動き、唾液の爆ぜる音が、透の羞恥心をさらに掻き立てた。  
透の意識が、自らの股間に集中していく。  
 
「んっ…んっ…あぁあぁああ…はぁ…」  
そして、透の口から甘い息が漏れ始める。  
声がうわずり、喘いでいるのに近くなっていく。  
しかしそんな中、紫呉は急に舐めるのを止め、口を離した。  
「うぁっ…はぁ…はぁ…」  
急に刺激を止められ、放り出された透の性器。  
ピンクの小陰唇を震わせながら、口が離されてからも、物足りなさ気にヒクヒクと収縮している。  
その様子を眺めながら、紫呉の口元が綻んでいった。  
「ねぇ透君、ちょっといいかな…」  
意地の悪い笑みを浮かべて、透を見つめる紫呉。  
「ふぇぇ…な、なんですか?…」  
うっすら赤くなった顔で、透は紫呉の言葉を待った。  
「…透君さ…初めては誰としたの?…」  
その質問に、透は一瞬目を見開き、すぐに顔を背けた。  
「…それには…お答えできません…申し訳有りません…」  
本当に申し訳なさそうに答える透。  
一方的に襲われていると言っても言い過ぎではないこの状況でも、まだ相手のことを気遣っている。  
それが透の性格であった。  
いつもなら、この性格に触れると、何故だか言われた方が申し訳ない気持ちになってしまうのだが、  
今の紫呉にとっては逆効果となってしまった。  
「…ふーん…でも、教えてくれないと、舌挿れちゃうよ…」  
そう言いながら、紫呉の顔が、再び透の股間に近付いていく。  
そして、透の膣口に紫呉の舌先がグニャッと侵入してきた。  
「うぁぁ…あ…ん…もう入ってきてますよぉ…」  
紫呉の舌が、何度も何度も透の膣内に挿入され、抜き出される。  
時折、膣内に留まっては、味を確かめる様に、内部で舌を動かして、穿る様に舐め回すのだった。  
「…はっ!…んぁっ…あ…いけません…こんなことは…ん…」  
膣内を異物が動き回る感触に、透の腰が時折跳ねるような動きをした。  
言葉で拒否しながらも、舌が動き回る度に体内から愛液が溢れてくる。  
その愛液を、また紫呉がズズッと音を立てながら吸い取っていく。  
その音が、また透の羞恥心を呼び起こすのだった。  
 
「ねぇ…教えてよ…由希君?」  
舌を抜き出し、意地悪な質問を繰り返す紫呉。  
しかし、透は答えない。  
「…それとも…夾君かな?…」  
そう言って、紫呉はまた舌を挿入してきた。  
「んぁぁっ…ダメ…ダメです…」  
また新たな挿入感が透を襲う。  
舌が挿入されると、腰の奥から波が襲ってきて、透を悶えさせるのだった。  
「もー…意外と強情だなぁ…じゃぁ…」  
紫呉の口が、今度は透の性器の上部へと向かっていった。そこには、一番敏感な部分がある。  
「…剥いちゃうよ…」  
紫呉は、そう言うと、唇と舌を使って、器用に透の陰核の包皮を剥き始めた。  
「…う…あっ!…あぁあっ!!」  
やがて剥き出しにされる透の陰核。そこに、僅かに舌が触れるだけで、透の身体に電流が走ったようになった。  
「ふふん…」  
含みを持った笑みを浮かべながら、紫呉が透の陰核を唇で咥える。  
「うぁぁっ!!…やっ!…引っ張っちゃダメ…です…」  
紫呉が、唇に少し力を入れるだけでも、今まで感じたことの無い衝撃が透を襲い、腰が跳ね上がり、背中を反らせるほどだった。  
「すごいね…透君のココ…拡がってきたよ…」  
紫呉が口を離し、また指を膣口に挿入してきた。  
「…ほら…2本入っちゃった…」  
紫呉は、中指に加え、人差し指も揃えて挿入している。  
「…あぁ…ダメ…拡がってしまいます…」  
紫呉は、入れ込んだ2本の指の間を拡げて、透の膣口の具合を確かめている。舌で充分に解された透の膣口は、余裕を持って2本の指を咥えていた。  
「…潤滑液も充分すぎるほどだし…これなら大丈夫だね…」  
そう言いながら、紫呉は自らの着物の帯を緩め始める。  
「…あぁ…いけません…紫呉さん…私には…」  
「私には…何?…」  
「あっ…ん…」  
透は答えられない。紫呉はまた意地悪な笑みを浮かべる。  
透の目の前で、紫呉の着物の前部分が、ゆっくりと開かれていった。  
(続く)  
 

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