「お帰りなさいです、夾くんっ。すぐご飯の用意しますね!」
師匠の道場から帰った夾に、透は笑顔を向ける。
「・・・悪ィけど、今日はメシいらねぇ・・・。」
夾は眉間にシワを寄せ、ひどく疲れた様子でそう言った。
「どうしましたか?お身体の調子が悪いのですか!?」
透が慌てて夾のもとへ駆け寄り、額に手をあてた。
「ちょっと熱いです・・・風邪かも知れません!早く休んで下さい!」
「あぁ・・・そうする・・・。」
体がだるくなる雨の日よりもつらそうにしている。
「バカでも風邪ってひくの?」と、突っかかる由希に言い返しもせず、
夾は足早に2階へ上がっていった。
透が、熱冷ましの薬と氷枕を持って夾の自室に入った時、
夾は既に眠っており、苦しそうに寝息を立てていた。
熟睡しているのか、枕を交換しても、夾は目を覚まさなかった。
「どうしましょう・・・お薬を飲まないと・・・。」
透は、困った表情でつぶやいた。
錠剤の薬なら、口を開けて飲ませれば良いのだが、
草摩家の薬箱には細粒の薬しかなく、水と一緒に飲ませねばならない。
体を揺すって起こしても、夾は目を覚まさない。
透は意を決したように胸の前で拳を握りしめ、夾の枕元に座り込んだ。
「救急の時は・・・こうすれば良いはずですっ」
熱冷ましの薬を、透は自分の口に流し入れた。そして、水も口に含む。
(夾くんっ、失礼しますっ・・・)
透は、ぎゅっと目をつぶり、水に濡れて冷えた唇を、夾の唇に押しあてた。
ゆっくり、少しずつ、夾の口へ薬を流し込んでいく。
初めて触れる他人の・・・夾の唇は、熱く柔らかかった。
透の頭の芯がぼぅっとしていく。
最後の一滴を流し終えたところで、夾がゴホッ、と軽くむせた。
透は一瞬で現実に引き戻され、慌てて唇を離し、身を引いた。
「・・・?」
夾がゆっくりと目を覚ますのと同時に、透の顔はぼんっ、と真っ赤になった。
「はわわわわ、すみませんっ!!起こしてしまいましたか!?」
「いや・・・別に・・・。何慌ててんだよ、お前。」
「うぁ、はい!!本当に失礼しました!!」
「??・・・んだぁ?」
顔を真っ赤にしてなにやら慌てている透を見て、夾は眉をひそめた。
唇の端から水滴が流れるのを感じ、無意識に手の甲で唇をぬぐう。
ふと目をやると、枕元に箱の開いた熱冷ましの薬と水が置いてあった。
「俺、薬飲んだのか?」
無意識に飲んだのか、と思ってつぶやいた一言であったが、
透の体がビクッと跳ね上がり、さっきまで真っ赤だった顔が青ざめていった。
「も、申し訳ございませんっ、本当に・・・!!
無礼なことをしてしまい、心から反省してますっ・・・。」
「何言ってんだ?お前・・・。」
夾は、なにがなんだかわからない。困ったように大きく息を吐き、
顔を真っ青にしてうつむく透の頭をわしゃわしゃと乱暴に撫でた。
「いいから話せよ。どうした?怒ったりしねぇから。」
透は、うつむいたまま視線だけを上げて、おそるおそる夾の方を見た。
「夾くんが・・・」
ゆっくりと口を開く。
「苦しそうに寝ていらっしゃって、熱冷ましのお薬を飲んでいただきたかったのですが、
お起こししても目を覚まされず・・・。」
「んで?」
「お薬が錠剤ではありませんでしたので、どうしてもお水が必要で・・・。
わ、私が僭越ながら・・・保健体育で習いました人工呼吸の要領でお薬をっ・・・!」
言い終わると、透は耳まで真っ赤にしてうつむいた。
「本当にすみませんっ・・・!どうかお許し下さい・・・。」
聞いていた夾の顔もどんどん赤くなり、2人は黙ってうつむいた。
しばらくの間、沈黙が流れていた。やがて夾が口を開く。
「・・・他の奴にもしたことあんのか?」
「え?」
「他の奴にも・・・ぁ〜、俺にしたみてぇなこと・・・したことあんのかよ?」
「な、な、ないですっ!!」
透は両手と頭をぶんぶんと左右に振って否定した。
「じゃあ俺が最初、ってコトになんのか?・・・キス。」
「キっ・・・!!」
「キス」という単語を出され、透はの顔はますます赤くなった。
両手で顔を覆い、聞こえるか聞こえないかくらいの小さな声でつぶやく。
「・・・そ・・・そぅです・・・すみません・・・っ。」
夾は、抱きしめたくなる衝動と、高鳴る心臓の鼓動を必死で抑え、
顔を覆っている透の両手をつかみ、透を自分のベッドの上に引っ張り上げた。
「ひゃっ!?」
両手をつかんだまま、布団の上に押し倒す。
「きゃっ!」
透は目を丸くして、驚いた表情で夾を見つめた。
「夾・・・くん・・・?」
眉間にシワを寄せ、険しい表情で透を見下ろしていた夾だが、
名前を呼ばれたせいか、ほんの少し表情を柔らかくして透を見つめた。
そして、ゆっくりと頭を下ろし、透の耳元に顔をうずめ、囁いた。
「キス以外の「最初」も・・・くれるか?」
「え?・・・んっ!」
どういう意味か聞き返そうとした瞬間、夾が唇を重ねてきた。
突然のキス。
透は状況を理解できず、目を大きく開けたまま動けずにいた。
(えっ・・・夾くん・・・!?)
夾は、透の唇を自分の唇で何度も噛むようにしてキスを続ける。
瞳を閉じ、切なそうに眉を寄せながら。
(なんだか・・・気持ちいい・・・かもです・・・)
夾の唇の柔らかい感触を心地よく感じ、透の体から力が抜けた。
目を閉じ、夾のキスに身を任せる。
透の体から力が抜けたことを感じた夾は、舌で透の唇をなぞった。
そのまま、顔を離す。
「透・・・。」
切なげに透の名前を呼ぶ。
透は、閉じていた瞳をゆっくりと開け、夾を見つめた。
「きょぅ・・・ぅんっ!」
透が、夾の名を呼ぼうと唇を開いた瞬間、
夾は再び透の唇を奪い、熱い舌を腔内に侵入させた。
前歯をなぞり、頬の裏側の粘膜を味わい、奥で小さくなっている舌を捕らえる。
舌と舌が触れた瞬間、透はビクリと体を震わせ、重ねられていた夾の手を握りしめた。
柔らかく熱い夾の舌が自分の舌に触れる度、背中を快感が走り抜けて行く。
「んっ・・・んんっ」
塞がれたままの唇から、喘ぎ声が漏れた。
その声が、夾を熱くさせる。
夾は右手を透の左手から離し、そのまま下に滑らせる。
手首、二の腕、肩、鎖骨・・・。
ゆっくりと、なぞるように滑らせ、鎖骨の下にある、柔らかな膨らみに触れた。
「ぁ・・・っ」
感触を確かめるように揉む。服越しでも伝わる柔らかさ。
(ダメだ・・・我慢できねぇ・・・っ!)
夾は、透のブラウスの真ん中に両手をかけ、左右に引きちぎった。
「きゃぁっ!?」
フロントホックのブラジャーも外し、透の素肌が晒される。
咄嗟に胸を覆い隠そうとした透の両手首を掴み、左手でまとめて押さえつけた。
「やっ・・・恥ずかしぃ・・・ですっ」
透は、顔を真っ赤にして目を固く閉じ、首を横に振りながら訴える。
しかし、夾には透の訴えも聞こえていなかった。
「すげぇ・・・綺麗」
透の肌に見入っていた夾は、嬉しそうにそうつぶやいた。
白く滑らかな透の肌。仰向けになっても潰れない二つの膨らみ。その頂の桜色の蕾。
堪えきれなくなった夾は、透の蕾に唇を寄せ、味わうように舌で舐め上げた。
「あんっ!」
初めての感覚に、透は敏感に反応する。
今日は、自由な右手を白い膨らみに重ね、やわやわと揉みしだいた。
「ぁあぁっ・・・」
夾の一つ一つの動きに合わせるように、透は甘い声をあげた。
その反応に気を良くしたのか、夾は更に透の蕾を嬲り続ける。
舌で弾き、指でこすり、軽く歯を立て、親指と人差し指で軽く引っ張る。
「ああっ・・・あんっ!はぁんっ!・・・ゃあんっっ」
その度に透は、背中を反らせて反応した。
夾は、透の胸元から顔を離し、耳元に唇を寄せた。
桜色の蕾を指でこねながら、低く小声で囁く。
「堅くなってるぜ・・・ココ。気持ちいいか?」
「ゃぁっ・・・言わないで下さ・・・っ!?」
羞恥心と耳元に感じる吐息が、透を追い立てる。
下着の中の誰にも見せたことのない部分に、熱い液体がトロッと流れた。
(えっ・・・何でしょう、これ!?)
透は、初めてのその感覚に驚き、ゆるく開いていた太股をバッと閉じた。
夾は、その動きを見逃さない。
蕾に触れていた指を離し、ぴたりと閉じられた太股の谷間に這わせる。
「・・・どうした?」
わかってはいたが、やはり聞きたくなってしまう。
「なんか・・・変なんです・・・熱くなって・・・」
透は今にも泣きそうな顔で、消え入りそうなほどの小さな声で訴えた。
夾は少し微笑み、再び透の唇を奪った。舌を絡め、腔内を貪る。
「ん・・・っ」
粘膜の触れ合いに快感が背筋を走り、透の足から力が抜けた。
その瞬間を逃さず、夾は「熱くなって」いる部分に指を滑らせた。
「ぁっ!?」
透が驚いて足を閉じようとしたが、夾の指は既に太股の奥へ進んでいた。
(すげぇ・・・)
下着越しでも指先感じる湿り気と熱さに、夾は興奮を抑えきれなくなる。
唇を離し、透の顔を見つめながら、そっと下着の上から秘所をなぞった。
「ゃんっ・・・そんなとこ・・・恥ずかしぃです・・・っ」
羞恥に歪む透の顔も、興奮を高める為のスパイスにしかならない。
耐えかねたように、胸の蕾にむしゃぶりつく。
「ふぁあんっ!」
透の両腕を押さえていた左手を離し、荒々しく乳房を揉みしだいた。
その間も、秘所は優しくなぞったまま。
「ああぁあっっ・・・あんっ!んんっっ!」
敏感な3点を攻められ、透の秘所はどんどん熱くなっていく。
(気持ちいいです・・・おかしくなりそぅです・・・っ)
溢れ出る熱い液体が、下着越しに触れているだけの夾の指さえも濡らしていた。
「脱がすぞ。」
それだけつぶやき、夾は透の服を1枚1枚脱がしていった。
袖を通ったままのブラウス、前だけ開かれていたブラジャー、
膝上までのニーソックス、捲れ上がったミニスカート。
透は、恥ずかしさに顔を真っ赤に染めながらも、されるがままになっていた。
秘所を隠す、最後の1枚に手がかかり、ゆっくりと降ろされてゆく。
「ぁっ・・・」
濡れている場所に空気が触れる冷たさに、透が小さく声をあげた。
秘所にぴったりと貼り付いていた下着が離れ、透明な糸が幾筋もつたった。
「お前のココ・・・ぐしょぐしょ。」
その様子をじっと見ていた夾は、透に聞こえるようにハッキリとつぶやいた。
「ゃっっ・・・!!」
言われた瞬間、秘所の奥から、熱い液体の塊がドロリと流れるのを感じた。
遂に下着を足から引き抜かれ、透は生まれたままの姿になる。
透の足下に座っていた夾は、透の両膝を掴んで透に言った。
「見せて。」
「きゃぁっ!?」
言うが早いか、夾は透の膝を立てさせて左右に開き、奥の秘所に顔を近づけた。
「ぁ・・・やぁ・・・」
誰にも見せたことのない秘所を、夾にじっと見られている。
恥ずかしくて恥ずかしくて、おかしくなってしまいそうなのに、
奥から溢れる熱い塊は、治まることを知らない。
「見てるだけなのに、さっきよりグッチョグチョ。」
「ひゃぁんっ・・・!」
夾の言葉だけで、透の意識はホワイトアウトしそうになる。
「さわってもいないのにな・・・。」
そう言った夾は、濡れて光る桃色の粘膜に、羽のように軽く、指を触れさせた。
「はぁっ・・・」
触れるか触れないか、ギリギリの愛撫。
ホワイトアウトしそうでできない。透の理性はもう限界を迎えていた。
「夾・・・くんっっ・・・!」
絞り出すように夾の名前を呼ぶ。
「・・・ん〜?」
夾は、焦らすようにゆっくりと返事をした。
「もっと・・・もっとさわって下さい・・・」
「なんで?」
意地悪く夾が聞き返す。
「もぅ・・・ダメなんですっ・・・!おかしくなりそぅで・・・お願いしますっ・・・!」
透が大きな瞳から涙をこぼしてこう叫んだ瞬間。
夾は、秘所の割れ目の上にある、最も敏感な肉の芽にむしゃぶりついた。
「ぁあぁぁあああああぁぁぁああっっっっ!!!!!」
それと同時に透は絶叫し、意識を失った。
秘所からとめどなく溢れる愛液が、シーツに大きな染みを作っていた。
「透・・・」
愛しそうに名を呼び、夾は透の体中に口づけを落としていった。