「お、おかえりなさい」  
事情により一人で帰ってきた草摩夾を出迎えたのは、自分と同じ十二支の一員、  
草摩杞紗だった。  
「……・・ちび、なんでここに居る?しかも一人で、あいつはどうした?」  
あいつ、本田透は申し訳無さそうにして友人達と自分より先に帰ったはずだ。  
「お、お姉ちゃんに会いに来たんだけど、お姉ちゃんどうしても買わなきゃ  
いけない物を思いだしたって言って買い物に行かなきゃ行けないからって  
お留守番頼まれたの」  
早口でまくし立てる。杞紗はそもそもこんなに良く喋る娘だっただろうかと  
夾は一瞬考えるが…・・まぁ今の自分には大して関係ないと思う。  
「紫呉はどうした?」  
そう言えばあの暇人の姿を見かけない、  
「出かけてるってお姉ちゃんが言ってた。」  
由希は生徒会の仕事で帰りが遅くなると言っていた。  
となるとこの家には自分と杞紗の二人しか居ない事になる。思わずため息が出た。  
 
こうして夾と杞紗のお留守番(笑)が始まった……。  
 
 
(あ〜遅い、何でこういう時に限って誰もいねぇんだよ)  
夾が帰ってきてから既に30分が経過したが、まだ誰も帰って来ていない。  
 
夾は一度「暇ならテレビでも見てろ」と杞紗に言ったのだが、  
杞紗は何もせずにただぼーっと座っているだけである。  
杞紗一人をリビングに置いておいても良かったのだが、  
なんとなく気が引けたので夾もリビングに座って誰か帰ってこないか待っていた。  
 
 
元々女性と接する機会の無いままつい最近まで過ごしてきた夾は  
たとえ年下とはいえ『女の子』である杞紗と二人っきりで過ごすのは  
結構落ち着かない物があった。  
(ん?)  
夾がふと杞紗の方を見てみた。  
「寝ちまったか・・・・。」  
杞紗は待ちくたびれてしまったのか横になってすやすやと寝ていた。  
「・・・・・このままだと風邪引くな、何か持って来てやるか。」  
夾は起こそうかとも考えたが、このまま寝かせておいたほうが都合がいいと  
思い、自分の部屋にあるタオルケットを取りにリビングを離れた・・・・・・  
 
 
「っったく、あんな所で寝るなんてまだまだガキだな」  
自室にあるタオルケットを取り、階段を降りながら夾はそんな事を呟いていた。  
そしてリビングに入った夾は本日何度目か分からないため息を吐いた。  
リビングで寝ていた杞紗の寝相は何と言うか、最悪だった。  
 
「・・・・・何て格好して寝てやがるんだこいつは」  
グチグチと夾は呟いていたが、内心はそれどころでは無かった。  
なぜなら、杞紗の寝相の悪さの所為で着ていたTシャツは胸元までめくれ上がり、  
スカートもめくれて太ももの大部分が露出していたからだ。  
夾は杞紗の服を何とか直そうとして近づき、Tシャツに手を掛けようとした  
が、ちょうど杞紗が寝返りを打ち夾の方に倒れこんできた。  
余りに突然の出来事だった為、夾は手を引っ込められずにそのまま杞紗の身体を  
受け止めるが、受け止めた場所が悪かった。  
 
夾の掌には杞紗のまだ膨らみかけの乳房が納まっていた。  
 
(や、やばい!とにかく起こさないように手だけ抜き取らねぇと・・・・)  
とにかく慎重に、それだけを考えながら夾はゆっくり手を引いていった。  
杞紗の少し固さの残る胸の感触に夾の思考回路はショート寸前まで陥り、  
冷静さは次第に薄れていく。  
(もう少しだな・・・)  
そう思ったその時、  
「んっ・・・・」  
杞紗の声がした。一瞬別人かと思えるような喘ぎ声が、夾の耳に入った。  
その時、夾の中で何かが切れた・・・・・・・・・・。  
 
 
 

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