今日は、しぐれの家には、透と由希しか居ない。
『本田さん、家事、手伝おうか?』
急に台所に入ってきた由希を見て、透は驚いたのか、半歩引いた。
『ゆっ・・由希君・・・手伝ってくれるのですか?ありがとうございます。
では、洗濯物を取り込んできてくれますか?』
『わかった・・じゃあ取り込んで出来たら・・たたんでおくから。』
由希はそういうと、縁側へ向かい、用意してあるスリッパを履き、
洗濯籠を持って、洗濯物を取り込み始める。
取り終わると、居間に行き、取り込んだ洗濯物を不器用に畳みはじめる。
畳み終えると、由希は台所に行き、
『次は、何をすればいい?何かあれば、手伝うよ。』
『あの・・・その・・後は私一人で出来ますから、由希君は、どうぞ
休んでください。』
『そうは行かないよ。いつもお世話になってるからね。』
『では・・・野菜の皮を剥いてくれますか?』
『いいよ。』
由希は皮剥き器を持ち、人参の皮をむき始める。不器用に。
その日の夕食の野菜は、形がおかしかった。それを見たしぐれは、
『もしかして・・由希君が剥いたの?』
『何か文句でもあるの?しぐれ?』
由希の顔がゆがむ。
『あ・・いや・・別に。』
しぐれは急いで味噌汁を飲む。透はそれを見て「くすっ。」と、
笑ってしまうのだった・・・。