「あ、雨……。」  
学校からの帰り道、本家の門を開けようと伸ばした手に、雨粒が落ちた。  
「やだな。」  
門を押し開けると広い草摩家の敷地が広がる。杞紗の家はやや奥まった所にあり、ここからはまだ遠い。   
小走りに駆け出した杞紗の細い金髪を雨が容赦なく濡らしてゆく。  
「杞紗?」  
不意に後方から声をかけられ、振り向くが誰も居ない。  
「こっち、こっち。」  
打ちつける雨に目を細めながら見上げると、連なる屋敷のひとつに見覚えのある顔が見えた。二階の窓から撥春が手招きしている。  
「今帰りか?」  
「うん。」  
杞紗は屋敷に駆け寄り、濡れた前髪をぬぐって笑顔で答える。  
「お前、風邪ひくぞそれ。うちで雨宿りしてくか?」  
 
「ほら、タオル。これでも着とけ。」  
撥春がタオルとぶかぶかのパーカーを投げて渡す。  
「俺の服しか無くて悪いな。」  
一通りクローゼットを引っ掻き回した後、彼はいつもの無愛想でそう言い、座って雑誌をめくりはじめた。  
「ううん、ありがとう…。」  
「学校はどうだ、うまくやってんのか?」  
撥春は雑誌に目を落としたまま尋ねた。  
「うん、大丈夫。」  
「ふーん。」  
撥春が生返事をして、そのまま会話は途切れた。  
春くんは、優しい。  
ぶっきらぼうで感情を表に出さないけれど、杞紗は彼のぎこちない優しさをいつも感じていた。  
春くんはいつだって私を気遣ってくれる。でも私は春くんに何もしてあげていない。いつもそうだ、優しくして貰うばっかり…。  
 着替えるために隣の部屋へ行き、タオルで髪の毛をふき始める。  
 
「春くん。」  
濡れた制服のボタンを外しながら、ドア越しに話しかける。  
「……あー?」  
ややあって返事が返ってくる。  
「あのね、えと…リンと、仲直り、しないの?」  
リンというのは撥春の彼女の名前だ。少し前に撥春が一方的にふられて別れたと聞いた。  
おせっかいかともおもったが、杞紗なりに何か彼の役に立ちたかったのだ。  
「…春くん?あの、どうして別れちゃったのか分からないけど、その…。」  
「…お前に関係ないだろ。」  
しどろもどろに続けると、やや低いトーンで返事が返ってくる。  
「ご、ごめんなさい……でも、きっとリンだって…。」  
そこまで言った瞬間、物凄い音を立ててドアが開いた。驚いて振り向くと、撥春が凄い形相で立っている。  
「関係ないって言ってんだろ…! 」  
「ご、ごめんなさ……」  
杞紗は震えながら、自分の姿に気づいた。着替えの途中で下着しか纏っていない。  
「あ、あわ…。」  
慌ててしゃがみ込み、服に手を伸ばす。すかさず撥春がその服を蹴飛ばし、杞紗の髪の毛を引き掴んだ。  
「ガキになんて同情されたかねえよ。」  
撥春は湿った髪の毛を鷲掴みにしたまま、冷たい目で杞紗を見下ろす。どうやら、触れてはいけないものに触れてしまった。  
だがもう遅い。杞紗は恐怖のあまり青ざめ、歯の根の合わない声で何度も謝る。  
「ごめんなさい、春くん、ごめ、なさい……。」  
杞紗の目に涙が溢れ出したのをみて、撥春は彼女を床に突き飛ばした。  
「うあっ…! 」  
したたかに背中を打ち、杞紗の顔が苦痛に歪む。  
「泣くな、鬱陶しい!」  
そう言うが早いか撥春は杞紗に馬乗りになった。杞紗が叫ぶと、その頬をニ、三度打って黙らせる。  
「うるせえつってんだろクソガキが…!」  
「ひ……」  
杞紗はまた叫ぼうとしたが、撥春の右手が振り上げられたのを見て押し殺す。  
杞紗が静かになると、撥春は冷笑を浮かべながら振り上げた手を彼女の胸にあてた。  
 
「は、春くん…?」  
細い肩を震わせ怯える杞紗の反応を楽しむようにゆっくりと下着をずらしてゆく。  
「や、春くん、やめて…。」  
杞紗は恐れからか呟くような声で抗議する。桃色の突起が見えた所で、杞紗は両手で顔を覆った。  
恥ずかしい、こんなの嫌……  
だが撥春がその手を押しのける。  
「見てろ。」  
あらわにされた白い胸は控えめに膨らみ、杞紗の幼さを物語っていた。  
撥春は遠慮なく胸を鷲掴みにし、杞紗に見せつけるように大袈裟に舌を出して先端を舐め上げる。  
「ふあっ……」  
今まで感じた事の無い快感に驚き、杞紗は思わず声を漏らした。  
「は……。」  
撥春は乾いた笑いを漏らすと、杞紗から離れた。  
「お前みたいなガキの身体じゃ、勃たねぇよ。」  
そう言いながら彼はズボンのジッパーを下ろし、直立したまま杞紗の頭を掴んで局部に持って行く。  
なに、これ…。こんなの、なの…  
目の前の物に驚くも、頭を押さえつけられて動けない。  
「舐めて大きくしてくれる?」  
睨むように見下ろされて萎縮した杞紗は恐る恐る舌を出し、舌先で僅かにそれに触れる。   
撥春の反応を伺いながら、緩慢な動作で躊躇しながら舌先で舐める行為を続けていると、頭を締め上げる手に力がこもった。  
「こうやるんだ。」  
イラついた撥春が、杞紗の口に自分の物をねじ込んだ。  
「うぅっ!?」  
喉の奥まで異物が挿入され、むせそうになる。苦いような奇妙な味が口内に広がる。  
撥春が杞紗の頭を前後に無理やり動かすと、口内の異物はどんどん大きくなってよけいに苦しい。  
「うぐ、うう、うあ……」  
息が出来ない、く、苦しい…  
杞紗の目からは涙がこぼれたが、撥春は構わず杞紗の頭を揺すり続ける。  
「ははは、いいぜその顔。」  
彼は愉快そうに言うと、自分も腰を動かして動きを早めた。  
 口内に液体が発射されると頭が放され、杞紗は床に両手をついた。  
「げほっ、げほ、うあ……」  
口から精液と唾液の混じった物を床に垂れ流し、激しく咳き込む。  
息つく暇も無いまま、また撥春が覆い被さる。  
「も、もう、嫌だよお……。」  
涙と精液でぐちゃぐちゃになった顔で懇願するが、聞き入れられるはずも無かった。  
 
 
 

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