こ、この状態は…マズイ、よね…?  
 
今は真夜中、私はベッドに押し付けられていた。  
すぐ目の前には寝起きのくせに、強く強く光る赤茶の瞳。  
「んで?こんな夜中にどうしたってんだよ?」  
私の目をまっすぐに見て、鼻をこすり合わせながら訊いてくる。  
う、どうしたっていったって…。  
「まあなあ、俺さまってやっぱりこう、男前だし?  
寝顔みてるうちについムラムラっときたってのもわからないでもねーけどなあ」  
調子のいいことをいいながら、トラップは手際よく私の服を脱がしていく。  
う、否定できない……。  
「それにまあ、俺さまってば細身なわりにこう、いい体してるし?  
裸みてるうちについ欲しくなっちまったってのもわからねーでもないのよ」  
ううっ、その通りっていえば実際その通りなんだよね……。  
「ち…違うもん」  
力なく呟く私をみて心底楽しそうに笑うと、トラップはほとんど裸にされた  
私の体をひっくり返し、腰の窪みに舌を這わせてきた。  
熱い舌がねっとりと背筋をなぞっていって、背骨のあたりが  
じんじん疼いてくる。  
思わず声が漏れそうになって、必死で唇を噛んだ。  
 
「んだよ、声だせよ?」  
後ろからつまらなそうに文句をつけてくる。  
だって!隣にはクレイとキットンが寝てるし!  
このあいだ、隣の部屋からキットンの笑い声が聞こえたんだ。  
まあ、キットンの声がおっきいってのもあるのかもしれないけど…。  
でも自分の…その時の声、なんてどのくらいかわからないし!  
後ろからベッドに押し付けられたまま、慌てて首をぶんぶんと振った。  
「へえーえ、じゃ、絶対声出すんじゃねえぞ?」  
そんなトラップの楽しそうな声がいやに近くに聞こえた、瞬間、  
あったかくて、ぬるぬるとしたものが私の耳の中に入り込んできた。  
「ひっ…!」  
思わず叫ぼうとした唇にも、細い指がねじ込まれた。  
耳の穴を舐めまわされて、口のなかを乱暴にかきまわされて、  
頭のなかがびちゃびちゃという音でいっぱいになる。  
耳たぶに軽く歯が当てられて、背中に電流みたいなのが走った。  
逃げようともがいても、トラップの右手がぎっちりと私の体を  
抑えていて身動きがとれない。  
声をあげようとしても、指のあいだからたらたらと涎が流れるだけで。  
涙で視界が歪んで、頭がぼんやりとしてくる。  
耳を舌でなぶられて、首筋に噛み付かれて、背中に吸い付かれて  
体に力が入らない。  
抵抗を諦めると、私の舌を追いかけていた指がふいに引き抜かれ、  
かわりに掌で強く口を塞がれる。  
そして突然、私の下着のなかに手を差し入れられた。  
 
「んん…っ!」  
慌てて逃げようとしたけれど、もう遅い。下着がびしょびしょなのを  
知られたと思うと、恥ずかしくて耳が熱くなった。  
「おーすっげえ…」  
トラップがとろとろになったそこをかき混ぜるたび、  
くちゃくちゃと音が漏れる。  
華奢な指がいちばん気持ちいところに触れて、びくりと体が震えてしまう。  
軽くなぞるようだった指の動きが、そこを中心に押すような動きになった。  
腰のあたりからぞくぞくと快感が押し寄せてきた。  
「あっ、ああっ、はあっ…!」  
やっと唇が開放されたけれど、うまく呼吸ができない。  
もっともっと刺激が欲しくて、夢中で腰をこすりつけてしまう。  
「ほら、気持ちいいなら声だせよ」  
トラップが耳元に囁いて、指先の力を強めた。  
「やだ…っ、やだよぅ・・・もう…っ」  
体全身から汗がふきだしていて、段々と頭のなかが白くなってくる。  
「もうなんなんだよ」  
トラップが手を止めて、面白そうに私の目を覗き込んでくる。  
「やぁ…お願い…」  
「わかんねーよ、言えよ」  
私がこんなぐちゃぐちゃになってるのに、トラップは汗ひとつかいていない。  
その切れ長の瞳でまっすぐに見つめられるだけで、おなかの奥がきゅんとする。  
「もう…いきたいの…お願い…」  
ほとんど泣きながらお願いすると、  
トラップは嬉しそうに笑って私に軽くキスをして、今度は二本の指で  
突起を擦り上げてくる。  
「ああっ…もう、だめだよ…、やだ…やだ…いっちゃうよぉ…っ!!」  
甘い衝撃が全身を駆け抜け、トラップの腕に爪を立てて、私はびくびくと痙攣していた。  
 
 

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