パステルって、…無防備だと思う。  
鈍い鈍いと言われているおれだって、薄いパジャマの生地に透ける乳房のかたちには気付いてしまう。  
まあ、ここはいつものみすず旅館じゃないし、野宿をしているわけでもない…  
トラップの実家に泊めてもらっているわけだから、もしかしたら少しくらい気が緩んでしまうのも仕方ないのかもしれないけど。  
 
…ほかの皆に見られたらどうするんだ。  
 
さっきまですぐそばにいた柔らかい髪の香りや、浮き出るからだのラインを思い浮かべると、  
おれは自分が膨張していくのがわかった。  
触れるまでもない。静かな欲求が滲み出してくる。  
「…う」  
…部屋に戻ろう。  
 
そのときだった。後ろからおれを呼ぶ声。  
「クレイ?」  
 
「お、お、おおっ、おばさん!?」  
おれの声は完全に裏返っていた。  
パステルのことを言えやしない。  
パジャマのズボンの前は欲望を如実に現して盛り上がっている。  
 
上着のすそを引っ張ってその部分を何とか隠しながら振り向くと  
そこにはトラップの母さんが白いコットンのパジャマに  
薄いストールを羽織って立っていた。  
風呂上りなのか、トラップとそっくりなサラサラの赤毛は  
濡れたままひとつに束ねられている。  
ほつれた髪が上気した頬にへばりついているのが妙に艶めかしく  
おれは一瞬息をのんだ。  
 
「ず、ずいぶん遅い時間にお風呂に入るんですね?」  
バカなことを口にしてしまい、おれは頭をかきむしりたくなった。  
お客のおれたちを優先してくれてるから  
こんなに遅い時間になったんじゃないか。  
 
おばさんはクスリと微笑んだあと、頬に付いた髪を耳へとかきあげた。  
その何とも言えない仕草に、おれは知らずにゴクリと唾を飲み込んでいた。  
「主婦だからかもね」  
その言葉の意味が理解出来ずに「は、はぁ」と何とも情けない受け答えになってしまった。  
「最後に入ったら、湯を落として風呂を洗えるでしょ、そうすると明日する仕事が一つ減るのよ」  
「ああ、なるほど主婦ならではの知恵なんですね」  
「ええ、誰に教えて貰ったわけじゃない、日常を過ごしていくうちに自然と付けていった知恵かもね」  
トラップのおばさんはそう言って、おれの横を通り過ぎて行く。  
【――ふぅ助かった、何とか切り抜けられたか――】  
安堵からあふれた額の汗をふきたかったが、おれはおばさんが完全に消えるのを待つことにした。  
 
「だから、こんなことも知らずに覚えた一つなのよ」  
おばさんは、おれの真横でそう言うと、そそり立ったままのおれのモノを握った。  
「お、おばさんっ!?」  
変な裏声でおれは叫んでいた。  
「若いって言うのはいいわね、こんなにかたいなんて」  
おばさんは握ったモノをゆっくりと上下にさすった。  
「――くっ!!!」  
正直、自分でするのと比べられないものにならないほど気持ちよかった。  
無知なおれは知らなかった、誰からして貰うのがこんなにもいいものだなんてことを  
「クレイ凄いわ、あなたの更に大きくなってる」  
おばさんはおれの額の汗を舌で舐め取る。  
その感触にも、おれは快感に感じて震えそうになった。  
「だ、だめですっ、おばさんっ、やめて下さい」  
「そうね、このままじゃクレイ辛いわね、スボンがギチギチだもの」  
【違いますっ、そうじゃなくて!!!】  
その言葉は声にならなかった、おばさんがスボンを器用に下げて、下着に手を入れ  
おれのモノに直接触れてきたからだった。  
 
「あら、もう涎が出てる、本当に若いわね」  
おばさんの顔がふっと、おれの横から消えた――と思った瞬間  
「うわっ!!!」とおれは叫んでいた  
おばさんが床にしゃがんで、おれが出した先走りの液を舌先で舐め取っていたからだ。  
「おいしい……、ねぇクレイ、おばさんにもっとおいしいモノちょうだいね」  
そう言うと、おばさんはおれのを口にふくんだ。  
ジュブと言う唾液の音と一緒におばさんの頭が動く。  
熱く絡みつく感覚に、おれは知らずにおばさんの頭を掴んで、その動きを手伝っていた。  
 
目の前がくらくらする。  
おれのものを咥えながら、器用に指先に唾液を擦り付けて、  
巧みに刺激を与えてくる。  
それが…それをしているのが、トラップの…  
 
「――おばさ…」  
声が声にならない。  
彼女の濡れた髪の毛を貪っているのは誰の手だ?  
状況は飲み込めていないのに、体はしっかりと反応してしまう。熱い。  
「こんな…とこ、――おじさんに見られたらっ…」  
「ん…だいじょおぶ…今日は帰って来ないの」  
口は離して、だけど指先の動きはそのままに、おばさんは知らない女性の目でにっこりと笑った。  
おれの手から濡れた髪の毛が糸を引くようにしゅるり、とほどける。  
「だから……部屋に来てくれる?」  
 
ほどけた髪の毛がまたすぐ睫毛の横で揺れて、絡みついた。  
 
 
“部屋に来て”  
耳に届いた言葉に、おれは息を飲んだ。  
それが何を意味するか、いくら鈍いと言われているおれにでもわかる。  
つまり、おれとおばさんが、部屋で…  
「!」  
頭の中がカッと熱くなった。思わず両方の拳をぐっと握り締めてしまう。  
「クレイ」  
返事をしなかったおれに焦れたように、おれのものに添えられた指がするすると根元に移動し、  
ぐぅっ締めつけた。  
同時に、赤い舌がぺろりと先端を舐めあげる。  
「くはっ!」  
思わず声が漏れた。ぞくぞくと背中を快感が走る。  
「ね、クレイ」  
荒い息をつくおれに、おばさんがにこりと笑いかける。  
濡れた赤い髪に縁取られた、そのなまめかしい笑顔に、  
おれの股間はますます熱くたぎっていった。  
高まった性欲にせきたてられるまま、おれがこくりとうなずくと、  
おばさんはおれのものを優しくズボンにしまいこみ、  
ゆっくりと立上って、おれの耳元に口を近づけた。  
「続きは…部屋で、ね?」  
吐息をたっぷり含んだ、熱い囁き。  
それにうながされるように、おれは彼女の後に従って、歩き出した。  
 
 
 

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