「…これが例の薬か?」  
「はい。あなたのリクエストどおりにできてると思いますよ。  
 ぐっふっふ…。しかしトラップも悪ですねぇ」  
「うるせぇ、こうでもしないとあの鈍感女に  
 俺の気持ちが分かるわけねぇだろ」  
「まぁ、そうですけどね。でも注意してくださいよ」  
「なにを?」  
「効果ですよ。効きすぎる…という場合も無くは無いですからね」  
「なんだよそりゃ」  
「まぁ、体に危害は無いですから、大丈夫でしょう。  
 健闘を祈りますよ」  
「あぁ…さんきゅ」  
 
こうして俺はとある薬を手に入れた。  
最後のキットンの言葉が妙にひっかかりはしたが、別にどうってこたねぇ。  
とにかく…俺の気持ちに気付いて欲しい。  
遠回りなんかしたくねぇ。  
俺は盗賊だ。  
近道を探し出すのが、俺の職業だからな。  
小瓶に入った黒い液体を胸ポケットに突っ込んで、俺は台所へ向かった。  
 
少々道具を探すのに四苦八苦したものの、なんとか作ることができた。  
熱々のインスタントコーヒー。  
「さて…あとはこれを入れるだけっと」  
ポチャン  
黒い薬はコーヒーに溶け、形を消した。  
見た目は何の変哲もねぇ。  
普通のコーヒーの出来上がりだ。  
見た目はな。  
 
 
コンコン。軽快なノックの音がした。  
「誰ー?」  
ガチャッとドアが開くと、そこにはトラップが不似合いなカップを持ってたっていた。  
「よっ。原稿、進んでるか?」  
「うん、まぁね。前のクエストは結構いろんなことがあったから。  
 書くこと多くて、逆に困っちゃうくらい」  
少し私は微笑んだ。トラップも私に合わせて、少し微笑んだ。  
「それで、何か用?」  
「阿呆。これ見て気付かないわけ?  
 差・し・入・れ。疲れてると思ってよ」  
そう言ってカチャンとコップを机の上に置いた。  
湯気の立つコーヒーは、とても美味しそうだった。  
「あ、ありがとう。珍しいね、トラップが差し入れなんて」  
「べっつにー。俺もこの部屋に用があったし」  
「へ?」  
「じゃ、遠慮なくお邪魔しまーす」  
「ちょっと…」  
私の許可も得ずに、トラップは机のすぐ隣にあるベッドに体を預けた。  
「隣の部屋使えばいいんじゃないの?」  
「バーカ。隣の部屋は、シロとルーミィがすやすや寝てるし。  
 その隣の部屋はめっちゃくちゃ日が当たって寝れたもんじゃねぇんだぜ?」  
枕に顔をうずめながら彼は言った。  
確かに筋は通ってる。この部屋のベッドは木陰がちょうどできるし、風通しも良い。  
昼寝には最適の場所だ…けど。  
「気が、散るんだけどなぁ」  
「気にすんなって。俺を空気と思っとけ」  
「う〜ん…」  
反論できずに、私は「邪魔しないでよね」と小声で言って、原稿を書き始めた。  
コクン、とトラップの差し入れのコーヒーを飲んで。  
 
この部屋に来た目的が昼寝なんてのは、勿論嘘だ。  
俺はうっすらと目を開けながら、原稿を書き進めるパステルを見ていた。  
…飲んだ、な。それを確認すると俺は目を閉じ、静かに寝息を立てた。  
涼しい風の音がした。  
 
…ガタッ…ギシッ  
椅子が動く音、ベッドの軋む音。そして、体に感じるこの重み。  
うっすらと目を開ける。そこには、微かに頬を赤く染めた、パステルの姿があった。  
「とらっぷ…」  
蚊の鳴くような声で俺の名を呼びながら、ゆっくりとパステルの顔が近づいてきた。  
そして。柔らかな感触、コーヒーの香りが、俺の目を完全に覚まさせた。  
 
…コーヒーを飲んでから、気分が少しおかしかった。  
さっきまですらすらと進んでいた筆が、今私の指に持て遊ばれている。  
なんだろう、変な気持ち。頭がぼやーとして、ふわーってなって…。  
くすぐったいような、もどかしいような、変な気持ち。  
「もう一口飲んだら、直るかなぁ…」  
コーヒーに口を運ぶ。コクン。  
……喉をそれが通ってすぐ後。  
私の意思と、体は、まったく予想しない行動を始めた。  
 
正直不安だった。もしかしたら、パステルはクレイの方にいってしまうんじゃないかと。  
でも、パステルは俺を選んだ。クレイでなく、俺を。  
唇が離れないよう、パステルの頭をしっかり抱いて、舌を絡めた。  
「ん…」  
くちゅりくちゅりと唾液が混ざる音。  
最初は遠慮しがちのパステルの舌も、今は俺より積極的に動いて、求めていた。  
体勢を変えて、俺がパステルの上になるようにする。  
そして、唇は離さないまま、ゆっくり手を胸へと下ろした。  
「んぅ…」  
反応してる。俺はゆっくりその手を動かし始めた。  
「ふぁ…ん…」  
パステルが舌の動きを止め、唇を離した。  
一瞬俺は戸惑った。しかし、俺のアレにパステルの手が触れた事に気付いた。  
「パステル……」  
その手は完璧に反応したアレを掴むと、ゆっくりしごき始めた。  
 
気がつくと体勢が元通りになっていた。パステルが俺の上に乗っかる形。  
しかも、パステルは顔を俺のアレの方に向け、下半身が俺の上半身にくるような格好になっていた。  
ここまで効くとは。そう思った瞬間、アレに生暖かい何かを感じた。  
言うまでもなく…パステルの舌だった。  
「くっ…」  
想像してなかったその行動につい気が緩んだ。  
しかしなんとか踏ん張って、寸前で止めた。  
これがお前の本心なのかよ、パステル…。  
なら…俺も遠慮なくやりたいことやらせてもらうぜ。  
風でなびく赤いミニスカート。俺はそれを捲くりあげた。  
太ももに伝うほど溢れ出た愛液が、パンティの役目を妨げていた。  
「スケスケじゃねぇか…」  
その部分に軽くキスをする。甘いにおいが鼻腔をくすぐった。  
「じゃぁ、頂くとすっか」  
パンティを太ももあたりまでずらすと、パステルの足が動いて器用にそれを床に落とした。  
早くやってくれといわんばかりに。  
「そう急ぐこたねぇよ、パステル」  
俺はわざと音が立つよう、指をパステルの中にいれた。  
 
ぐちゅりぐちゅりと、音を立たせながら、そこを弄ぶ。  
それに比例して、止まることなく溢れ出てくるパステルの愛液。  
そして、格段に上がっていくパステルの口技。  
耐えている自分を褒めてやりたいほど、それは良かった。  
先端に軽く歯を立て、その部分を舌でゆっくり撫でる。  
それから軽く吸い上げ、また最初みたいに歯を立てる。  
しかもそれに手コキつきだ。  
できることなら溜まってたもんを全部パステルの顔に放出してやりたかったが、  
流石に女より男が先にイくのはプライドに傷つく。  
「困った…もんだぜ」  
一つため息をついて、指にまとわりついた液をペロリと舐めた。  
今度は舌で弄ぼうと思ったら、そこにパステルのあれは無かった。  
 
少し上体を上げると、俺自身のモノであるのに、俺自身が見た事無いほどでかくなったアレと、  
そこに挿入しようとまたがってるパステルを見た。  
「おい、ちょっと待っ……」  
俺が全ての言葉を言い切るより早く、パステルと俺は繋がった。  
「!!?」  
「ひぁ……!!」  
パステルの微かな悲鳴と同時に、俺は呆気なく果てていた。  
ビクンビクンと痙攣してるのが、よく分かった。  
「うふふ…」  
不敵な笑みを浮かべたパステルは、果ててしまった情けない俺をずるりと抜くと、  
精液と自身の血で汚れたアレを口に含んだ。  
「うぁっ……」  
ちょっと待て、待ってくれ。そう言いたい意思と反対に、  
俺のアレはまた元気を取り戻しパステルの玩具と化した。  
「ん…あぁ…」  
自ら腰を動かし、パステルは快感を得ていた。  
終いには自分のその腕で小さく小刻みに揺れる、自分の胸を愛撫していた。  
「ふぁ…ん、あぁ…」  
一人快楽に溺れるパステルと、されるがままの俺。  
その光景は、明らかに当初の計画とはずれていた。  
 
キットンにもらったあの薬。あれは、性欲を極限まで増すことのできる薬だった。  
しかも、その性欲は好意を寄せる相手が近くにいないと増さない。  
なんとも都合の良すぎる効果だった。  
キットンの説明によると、その男性に感じる独特のホルモンなんたらかんたらで。  
さっぱり原理を覚えてはいなかったが。ここまで効果があるのは流石に予想外だった。  
俺の計画では、性欲を我慢できなくなったパステルに、  
手取り足取り基本の基を教えてやるつもりだった。  
それが、今のこの状態だ。  
これだと俺が道具…いや、教えられているようなもんじゃねぇか。  
快楽に溺れるパステルの目は、今まで見たことも無いような目だった。  
そしてぱっ…と、キットンの声が蘇った。  
『効果ですよ。効きすぎる…という場合も無くは無いですからね』  
瞬間、俺はまた果てていた。  
 
 
一瞬目の前が真っ白になった。  
もしかすると、これは夢だったのかも知れねぇ…そう思った。  
しかし頭の中が正気に戻ると、やっぱ何も変わってないまんまで。  
相変わらず一人喘ぐパステルの姿が目に映った。  
気持ち良いんだが、なんか複雑な気持ちだ。  
いや、何流されてるんだ、俺。考えて見れば相手はパステルじゃねぇか。  
例え薬の力でこうなってようとも、腕力自体は変わっていないはずだ。  
俺は腹筋にぐっと力を入れて、上半身を起こした。  
そしてアレに深く入ってるパステルを持ち上げて、逆の体勢になった。  
思ったより簡単…というか。まるでパステルがそれを待っていたかのようにすんなりできた。  
心なしか、パステルの顔に笑みが浮かんでいるような気もした。  
まぁ、さっきの状態よりはまだマシだと勝手に思い込んで。  
今度は俺から、俺自身をパステルに深く入れた。  
やっぱり男にとっちゃ、この格好が一番しっくりくる。  
パステルの胸を掴んで、俺は徐々に腰を動かすスピードを速めた。  
 
「あぁ…ん、んぅ、あぁ!!」  
パステルの腕が俺の首に絡む。胸を掴む手に力がこもる。  
硬くなったピンクの乳首を口に含み、軽く舌で転がした。  
「とらっぷ、もっと、もっとぉ…」  
求められるがままに腰を激しく動かす。  
さっきより強く乳首を吸い、時折深くキスをした。  
俺を待っていたかのようにパステルの舌は絡んできた。  
そして、唇が離れたとき、甘い唾液が糸を引いた。  
 
「あぁ…とらっぷ、いくぅ、いくぅ…!!」  
ついにパステルにも限界がきたようだった。  
まぁ、俺がされるがままにされていたときに何度もイっていたのかもしれねぇけど。  
俺もそろそろ限界に近かった。  
何度もいったというのに、まだまだイけるというところ若いと思う。  
「パステル…!!」  
「あぁ、とらっぷぅ…!!」  
俺は放出寸前のところでパステルの中からアレを引き抜き、  
パステルの顔めがけて思いっきり放出した。  
 
顔にこびりついた俺の精液をパステルは指でゆっくり掬い取り、口へ運んだ。  
そして、微笑んだ…と思うとそのまま深い眠りについた。疲れたんだろうな、そりゃぁ。  
…こんだけやりゃ、当たり前のことか。  
白い精液と赤い血が混ざり合って、ピンク色に染まったベッドを見て俺はため息をついた。  
慣れない手つきでパステルに服を着せて、顔についた精液をティッシュでふき取った。  
悪戦苦闘しながらもなんとか不自然ではない格好になった。  
汚れまくったシーツを洗面所に持って行き、軽く水で洗って洗濯機につっこんだ。  
新しくベッドにシーツを敷いて、何事も無かったようにパステルをそこに寝かす。  
キットンの話によると、あの薬が効いてる間の記憶は全て消されるらしいが…。  
念のため、起きるまで待つことにした。  
数分後、「んぅ…」と声が聞こえたかと思うと、パステルが上体を起こした。  
「おはよ、パステル」  
「え…?トラップ??なんでそこに、っていうか、なんで私寝てるの!?  
 そーいえば、コーヒー飲んだら気分が悪くなって、それから、それから…」  
マンガのように心臓が飛び出るかと思った。  
しかし、その後本気で悩んでるパステルの顔を見てほっとため息をついた。  
「それから、またコーヒー飲んで。えぇっと…なんだっけ、ねぇ、トラップ!!私何してた!?」  
ほれきた。パステルが寝てる間に必死で考えた言い訳をすらすらと俺は言い上げた。  
「コーヒー飲んだらお前がいきなり眠くなったって言い始めたんだぜ?  
 俺が寝てるっていうのに勝手にベッドに入ってきてよぉ…。  
 俺追い出したの、覚えてねぇわけ?」  
「…覚えてない、けど」  
「はぁ〜全く。人様に迷惑かけといて、それを覚えてないときたもんだ」  
「ご、ごめんなさい・・・」  
俯くパステルが妙に愛しく思えた。  
俺はパステルを抱き寄せると、軽くおでこにキスをした。  
「……!!?」  
金魚のように口をパクパクさせながら、パステルは俺を見た。  
今しかねぇ、かな。  
俺は多分今までで一番真剣な顔をしただろう。そして、飾らずにただ一言。  
「好きだ」  
と言った。さっきよりさらに赤くなったパステルの顔に、微笑みが浮かんだ。  
 
 
 
「…と、ゆーわけよ」  
「ははぁ…。それは良かったですねぇ。  
 それで、残った薬のほうを返してもらいたいんですが」  
「残り??あれって全部使っちまえば良かったんじゃねぇの?」  
「…えぇっ!!?あれ、あの小瓶一杯全部使ったんですか!?」  
「あ…あぁ、それでいんじゃねぇかと思って」  
「何言ってるんですか!!一滴でも充分効果あるんですよ!?  
 それを…小瓶一杯なんて!!」  
鼓膜がビリビリ震えるのと同時に、顔からさっと血の気が引くのが分かった。  
「で、でも別にダメなこたねぇだろ!?」  
「ダメなことは無いですが…、あれを全部使ったとすると…そうですね、  
 性欲が全開になって誰であろうと無我夢中になって、快楽を求めるようになるんです。  
 つまり、相手は誰であれ、あなたに行った行為と同じ行為をとりますよ。  
 クレイにもノルにも、そして私でも」  
「でも、結果的に良かったじゃねぇのか?  
 とりあえず付き合えることになったし…!?」  
「あの薬で行為をした場合、どんな理由であれその人が気になってしまうんですよ。  
 それが小瓶一杯となると、効果は絶大。  
 もしかしたら、もしかしたらですよ。  
 別にパステルはあなたのことを好いてなかったかも…知れませんね。  
 まぁ、気持ちが変わることは無いと思いますから、大丈夫、ですけど」  
「…」  
 
「おはよう!トラップ」  
パステルの太陽のような笑顔が目にしみた。  
 

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